第二夜


 次の日の晩、俺は約束通り彼女のマンションのドアを叩いた。

「本当に来てくれたのね。ありがとう」

 俺を部屋に入れ昨日と同じように椅子に座らせた小夜子は、昨日のペットボトルを冷蔵庫から取り出すと、その中身をグラスに注いでいった。俺の目の前のグラスに注ぎ込まれたのは、橙色の飲み物だった。

「あれ、これって昨日は赤くなかったっけ」

「ううん、橙色よ」

「そうだったかな」

 いや、確かに赤かったはずだが、あの入れ物は昨日と同じ物だ。・・・どういうことだろう。

「じゃあ、乾杯!」

「ああ、乾杯!」

 俺はそれを口を付け、静かに飲んだ。

 この食感、やっぱり昨日のゼリーだよ。でも少し味も違うような気がする。

 それにしても昨日は折角彼女の部屋に入ったっていうのに何時の間にか眠ってしまったんだな。まさか今夜はそんなことできないな。

 そう思いながら、でもしばらくすると、やっぱり体がかっとしてきた。

 おかしいな・・・
 
 そして、再び猛烈な眠気が俺を襲った。

 俺の意識はそのまま遠くなっていった。





 気が付くと、俺は体操マットの上に寝転がっていた。

 マット? ここは何処だ。

 辺りを見回すと、どうも何処かの体育館の中の一室のようだ。だが、起き上がろうとしても体の自由が効かない。

 俺は一体どうしたんだ。

 意識がはっきりしてくると、自分の腕が後ろ手に縛られているのに気が付いた。両足もがっちりと縛られているようだ。しかも着ている服がおかしい。Yシャツを着ていたはずなのに何時の間にか半袖の白い木綿のスポーツシャツを着ていた。下半身は妙に涼しい。どうもズボンを穿いていないようだ。

 横たわったまま、身動きの取れない体をゴロリと回して壁のほうに向き直ってみると、そこには壁にはめ込みになった鏡があった。その鏡に映っているのは・・・髪をポニーテールにした半袖の木綿地の白いスポーツシャツに橙色のブルマを履いた少女だった。しかも手足を縛られ、上履きも穿いたままで体操マットの上に寝転がされている。

 これって俺なのか? 

 まだ頭がぼーっとしている。

 そうか、この下半身がすーすーする感じってブルマ穿いていたからなのか……ブルマ……ブ、ブルマ! 何だそりゃ。

 俺は慌てて自分の太股を擦り合わせてみたものの、股間には何の充実感も感じられなかった。そう、俺の股間には何も無かった。ピチッとしたブルマが俺の丸みを帯びた下半身を包み込んでいる。少しくびれた腰からお尻にかけては柔らかい線を描いていた。スポーツシャツを膨らみかけた胸がかわいく盛り上げていた。

 いったい俺は誰なんだ、中学生位かな。胸に名札が縫い付けてある。なになに、東中学2年3組白倉

 え・・・中学? しらくらぁ?

「これっていったい・・・」

 俺は思わず呟いてみたものの、俺の声は少女のかわいいものに変わっていた。遠くでチャイムが鳴っている。ちょっと薄暗くなってきているようで、どうも夕方らしい。

 その時突然ガラっとドアが開くと、上下とも白いジャージ姿の男が入ってきた。体育の教師だろうか。

「白倉ぁ、待たせたなぁ」

「え? ええ?」

「俺はこの時をずっと待っていたんだ。ふふふふ」

「おい、何する気だ。早くこの縄を解いてくれ」

 思わず叫んでしまったが、その男は俺の叫び声にまるで動じる様子はない。

「先生はなぁ、お前のことがずっと眩しくてなぁ。でもいつかモノにしたいと思ってたんだ」

 男がにじり寄ってくる。

 こんな男が教師ぃ。

 俺はそいつの言動に危険なものを感じていた。でも両手両足を縛られていて俺は身動きも取れない。

「せ、先生。それ以上近寄らないでください」

「何だ、その言い草は。これから気持ちいいことをしてやろうっていうのに」

 バシッ

 頬を平手で叩かれる。

「何するんだ、痛いじゃないか」

「ふふふ、強がっていられるのも今のうちだ」

 横たわっている俺の顎を片手でくいっと持ち上げ、そう言い放ったかと思うと、そいつは俺の上半身を引き起こした。

「しらくらぁ・・」

 男の顔が近づいてくる。鼻先にかかる息がくさい。俺の口は、いきなりそいつの唇で塞がれた。

「んー、んーん、んんん」

「ぷはぁー、気持ちよかったぜ。柔らかい唇だなぁ。たまらないぜ」

 舌なめずりをする男は、今度は俺の胸を撫で始めた。まだ小さいけれども、さわさわとゆっくり撫でられていると、気持ち悪いはずが段々変な気持ちになってくる。
 
 中学生なのに? 体が反応しているのか。

 男のもう一方の手は俺の下半身をもぞもぞと弄り始めるた。鏡に映っている俺・・・女の子が穿いている橙色のブルマ・・・その股間を布地の上からくるくると円を描くように、或いは上下になぞるように。その度に、俺のアソコからはジンジンと何かが込み上げてきていた。

「や、やめろぉ」

「強がるなよ、体は正直だぜ、何だかここが湿っぽくなってきたみたいだなぁ」

 そいつは俺のブルマの中に手を差し入れてきた。そして、指先でつー、つーっと腹を、そしてその下にあるアソコをなぞる。その度に俺の中から強烈な快感が湧き上がってくる。それに耐え切れず、俺はビクン、ビクンと体を震わせた。

「く、ちくしょぅ、何でこんなことに」

 くやしさに涙がにじんできた。

「お前がかわいすぎるからさ。俺をこんな気持ちにさせたお前が悪いんだ」

 俺は断続的に湧き上がってくる刺激に、段々意識が朦朧となってきていた。

「これだけ濡れればもう大丈夫だろう。でも抵抗するなよ」

 そいつは俺の手足の戒めを解いた。すでに逃げようという気力を失いつつあった俺はされるがままにブルマを脱がされていく。そしてショーツも一緒にずり下がっていった。

「ほうほう、キレイなもんだな。お毛毛もまだ少ないんだな。割れ目チャンがよく見えるぜ。ほら小夜子見てみな」

 男は俺を後ろから抱えて股を両手で無理やり広げると、その姿勢で鏡に真正面に向かい合った。

 鏡の前で大きく股を広げられている俺、股間の割れ目が少しピンク色の隙間を覗かせて何とも淫猥な光景だが、今無理やり男に股を広げられている少女は俺なんだ。俺がこの少女?それは何とも不思議な感覚だった。

「もう止めてくれ、気が変になりそうだ。俺は誰なんだ」

「俺は誰だぁ? お前は小夜子、白倉小夜子じゃないか。さあ、言ってみな。あたしは、小夜子は先生が大好きですってな」

「違う、俺は、違う」

 バシッ、バシッ

「何をぐだぐだ言ってるんだ。さあ早く言うんだ」

 頬を叩かれた痛みに涙がこぼれてくる。もうこんなのいやだ。

「お、あたしは、小夜子は先生が・・す、好きです」

「よしよし、よく言えたな。さあご褒美だ」

 男は俺をくるりと自分のほうに向けると、すでにいきり立っていた自分の一物を俺のアソコに突き入れてきた。すっかり濡れている俺のソコは、ずにゅーっと難なくそれを受け入れていった。

「ぐっ、ぐひぃ」

 男は両手で俺の体を上下に揺さぶる。それに合わせて男のものが俺の中に出たり入ったりしている。

「うっ、うっ、うっ」

 男の声が静かな体育館の一室に響く。

「ひ、ひ、ひゃん、ひん」

 男の動きは段々と激しくなっていった。そして一段と俺の中で固さを増していた。

「うおっ、も、もう」

 男は一物を引き抜くと、俺をマットに押し倒し、俺の上半身に、顔に、自分の精液をぶちまけた。

 呆然と横たわる俺の髪も頬も腹も男の白い精液にまみれてしまっていた。俺は無意識にそれを指でさわっていたが、その時にはもう正常な判断が出来なくなっていた。

 何だっけこれ、べたべたするよ。

「小夜子ぉ、良かったぜぇ、また来るんだぞぉ・・・」

 つつっと頬に涙がこぼれていくのを感じながら、俺はその声を最後まで聞く事なく再び意識を失った。

「センセイ……」





 次の日の朝、俺は再び彼女のマンションで目が覚めた。

「あ、あれ俺また……」

「うん、すぐに寝ちゃったね」

「そうか、しかし何か変な夢を見たような」

「ねぇ、ちょっと聞いていい?」

「ん?何だい」

「あなた中学校の頃って楽しかった思い出ってある?」

「そりやいろいろあったに決まって・・・あれ、おかしいな何だったっけな」

「中学校の時の先生ってまた会いたい?」

「うん、体育の先生がクラブの顧問で……ってあれ、何だかもう二度と会いたくないような……そんなことはないはずなのに……あれあれ、何かあったっけな」

「あ、いいのよ、無理に思い出さなくっても」

「うーん、何か変だなぁ」



(続く)

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