第一夜


 ある晩、俺は遂に彼女にプロポーズした。

「白倉さん、俺は君のことが好きだ。ずっと一緒にいて欲しい。君の事は何でも知りたい。君の全てが欲しいんだ」

「小夜子って呼んで。私ね、寂しかったの。今まで何もできない自分がいやだった。いつも人にされるがまま。私はずっと一人ぼっちだった。今まで良い事なんて一つも無かった」

「一人ぼっちだったなんて、良い事が無かったなんて、そんな悲しいこと言うなよ。自分で憶えていないだけできっと良い事もあったはずだよ」

「ううん。そんなことない」

「いいや、絶対にあったはずだよ」

 悲しげに話す彼女の言葉に、俺は少しだけ意固地じなっていた。

「確かめてみる?」

「え?どういうことだい」

「ふふ、これからあたしの家に来ない」

「え! いいのか」

「いいわよ。今日は家でいいものをご馳走してあげる」

 そうか、遂に彼女の家に……その言葉を聞いた俺は、また1歩彼女との距離が近づいたような気がした。

 彼女はちょっとにやけているそんな俺を引っ張って、一人暮らしをしているという彼女のマンションに連れてきた。

「じゃあここに座ってね。あ、ちょっと待っていて」

 部屋の中に入ると彼女は俺をダイニングチェアーに座らせ、冷蔵庫からペットボトルに入った飲み物を取り出した。それは蛍光灯の灯りを反射して虹色にきらきらと光っていた。

「これから一週間、毎晩私と一緒にこれを飲んで欲しいの」

「なんだいこれ」

「研究所の小野さんからもらったの。以前彼に私の愚痴を聞いてもらったことがあって、そしたらこれをあたしにくれたのよ。」

「へぇ、あいつただの朴念仁だと思っていたけれど、そういうところがあったんだ」

 小野俊行、俺と同期で研究所に入った奴だ。あいつと小夜子の間にそんなことがあっただなんて……俺は小野にちょっぴり嫉妬していた。

「小野さんとは何もなかったわ。私のことを心配してくれたけれど、彼には他に好きな人がいるみたい」

「そうか、安心したよ」

 彼女は俺に話しながらグラスにペットボトルの中身を出していた。グラスに注がれたのは赤い飲み物だった。いや、やけにプルプルしている。もしかしてゼリーなのか?

「おいおい、それって飲み物なのかい。本当に飲んでも大丈夫なんだろうな」

「ふふ、大丈夫、私を信じて。この人とならって思った人と毎晩一緒に飲み続けると、7日後に2人の間に良い事があるんだって。それに実際おいしいわよ」

「そうかい、じゃあ・・・わかった、毎晩ここに来て君と一緒に飲もう。約束するよ」

「うれしい」

 その時の彼女は本当に嬉しそうだった。

 小野の奴、研究員のくせに7日後に幸せになれるなんて、ロマンチックなことを言うもんだ。それにしても小夜子さん本当に嬉しそうだな。俺とこれから毎晩会えるのがそんなに嬉しいんだ。

 そう解釈した俺はちょっとした満足感を覚えていた。でも後から考えると、俺は彼女の笑顔の意味を全く取り違えていた。

「「乾杯」」

 グラスに注がれたその赤い飲み物を俺は一気に飲み干した。

 こ、これってやっぱりゼリーじゃないか。

 その口の中の感触にちょっと驚きながらも結構いけるじゃないかと思っていたら、そのうちに何だか段々体がかっとしてきて目が回リ出した。アルコールでも入っているのか?

 そして、そのまま俺の意識は遠くなっていった。





 気が付くと、俺は机に頭を突っ伏してうたた寝していた。

 あれ、何時の間に寝てしまったんだろう。それに小夜子は何処に行ったんだ。

 顔を上げた俺はきょろきょろとあたりを見回してみたが、何だか様子が変だ。今までいた小夜子の部屋とは違う。机は子供用の勉強机だろうか。目の前には本とノートが広げたままになっていた。

 自分の腕をふと見ると、ワイシャツを着ていたはずなのにいつの間にか赤いセーターを着ていた。それに手が何だかやけに小さい。

 この本って、ええっと、なになに「小学校5年生の算数」

 ???

 これって小学校の教科書? ノートは、え? 5年2組、白倉小夜子……何だこりゃ。

 椅子から腰を上げて立ち上がると、何だか感覚がおかしい。何だろう。

「おーい小夜子、ちゃんと勉強してるかー、ヒック」

「え、誰だ」

 振り向くと、部屋に入ってきたのは見上げるような大男だった。ん?違う、これって俺の背が縮んでいるのか!

「お前、自分の父親を捕まえて誰だとは何だ、ヒック」

「小夜子? 父親?」

 一体どういうことだ。ふと机の横に置かれた鏡台の鏡を覗くと、其処には赤いセーターにミニスカート姿のかわいい小学生位の女の子が映っていた。肩まで伸ばしたしっとりした髪に銀色のカチューシャがよく似合っている。何処かで見たような・・・それに小夜子ってどういうことだ。

 ぽかーんとした表情の女の子は、俺が頬に手をやると同じように手を当てる。ちょっと笑ってみると女の子も笑いかける。

 こ、この女の子って、まさか俺なのか?

「え、え、何で俺が……え?この声って」

 俺の口から出てくる声は小鳥のさえずりのようなかわいい女の子の声になっていた。

「小夜子〜小夜子よぉー」

 俺が鏡に映った自分の姿を呆然と見詰めていると、父親だと言うそいつがいきなり抱きついてきた。

「や、やめろぉ」

「かわいくなったなぁ、小夜子。ずっと我慢していたが、もう辛抱できん。今日こそは味見させてもらうぞ」

 男は俺の穿いているミニスカートの中にいきなり手を突っ込んできた。パンツの上から無造作に股間をまさぐられる。

「な、何するんだ」

 男に両手でパンツを一気に引き下ろされ、無理やり脱がされる。男が放り投げたネコのプリントがされたパンツがひらひらと空中を舞った。

「ひひひ、きれいだなぁ」

 ペロッ、ペロペロッ

 男は俺の股間に顔を埋めると、ぺろぺろ舐め始めた。

 いやだ、き、気持ち悪いよぅ。

 そして顔を上げると今度はまだ膨らみきっていない俺の胸をまさぐり始めた。

 い、痛い。

 さらに俺の股間をもう一方の手で撫で回し、つつっと俺のそこにある溝を指でなぞる。

 ひっ、何だこの感じ。

 しかし、俺のソコは一向に濡れては来なかった。すると男は業を煮やしたように、再び顔を俺の股間に突っ込むと、舌を俺の溝の中に深く差し入れてきた。男の鼻息が俺の股間に当って気持ち悪さが一層込み上げてくる。

 部屋の中にはピチャピチャと気持ち悪い音が響きわたっていた。

「さあて、そろそろいくかぁ」

 男はズボンのチャックをひき降ろすとごそごそと自分の一物を取り出した。それはビンビンとすっかり張り詰めていた。

 ひ!まさか、こいつ俺を犯す気か。父親だって言ってたのに。

「あいつの連れ子のお前が俺のこれを受け入れられるようになるまで待っていたんだが、もうこれ以上待てん。お前の処女は俺がもらってやるからな。さあ、足を開くんだ」

「や、やめろぉ」

 男は俺の身体を軽々と持ち上げると、自分のいきり立っているムスコに向かって俺を徐々に降ろし始めた。男の一物の先っぽが俺のアソコの入り口に触れた。

 い、いやだ、気持ち悪い。

 男は俺を持ち上げている腕の力を緩めた。すると唾液で濡らされた俺のアソコの中に、男の硬くなったものがずぶずぶと突き刺さっていった。

 ずっ 

 い、痛い、

 ずぶずぶ

 駄目だ、痛い、痛い、抜け、抜いてくれ

 俺のつるつるのアソコには男の一物がすっかり根元まで入り込んでいた。

「おう、よく締め付けるぜ。さあ、動かすぞ」

 ずりっ、ずりっ

 ぎゃ、痛い、やめてくれ、痛いよぉ。

 激痛に耐え切れず、俺の目はすでに涙でいっぱいになっていた。けれども男は構わずおれの体を上げ下げする。やがて、ソコはグチュッ、グチュッっといやらしい音を立て始めた。

 痛い、痛いよぉ、もうやめてぇ。

 そして、男と俺とが繋がっているその部分からは血の混じった液体が少しずつ、少しづつ滲み出して、ポタリポタリと床に落ちていった。

 ズリュ、ズリュっと男は今度は自分で腰を動かし、ピストン運動を繰り返す。その余りの痛みに、俺の意識は段々朦朧としてきた。

 そして自分の中のものが一段と膨らんだと感じた瞬間、遂に俺の中に男のものが吐き出された。

「いや、いや、いやぁ〜」

 挿入された父親の一物が俺のアソコから抜かれると、俺の中からコポッコポッと血の混じった白いものが溢れ出てくる。おれの目からは幾筋もの涙が流れ落ちていた。

「う、うーん。よかったぜぇ小夜子・・・」

 男の最後の言葉はもう俺の耳には届いていなかった。

「パパ・・」




 次の日の朝、俺は彼女のマンションで目が覚めた。

「あ、あれ、俺いったい」

「ふふ、アレを飲んですぐ寝ちゃったわね。お酒でも入っているのかな。それとも雄一さん昨日は疲れてたのかな」

「いいや、そんなことないんだが、うーん何時の間に眠ったんだ」

「ねぇ、ちょっと聞いていい?」

「ん?何だい」

「雄一さんって小学校の頃の楽しかった思い出ってある?」

「そりや楽しかったに決まって・・・あれ、おかしいな何だったっけな」

「お父さんは好きだった?」

「そりゃ一緒にキャッチボールしたり・・・ってあれ、そんなことないのかな。父親、あれ、何だか憎いような・・何か嫌なことがあったんだっけな」

「あ、いいのよ無理に思い出さなくっても」

「うーん、何か引っかかるなぁ」


(続く)
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