異国にて
(その2)

 
漫画&小説原案:SKNさん
小説  :toshi9


  


「な、なんなんだこれは」

ボディースーツの手触りは、マスクと同様まさに女性の皮そのものだった。
見た目も手触りもは本物の女性の皮膚そのものに感じる素材でできたマスクとボディスーツ。これって……まさか……ほんもの。

「本人から剥いで作ったのでは?」という突飛な想像が浮かんだが、俺はすぐさまそれを打ち消した。
いくら何でも、そんな事あるわけないない。

何より、心の中でムクムクと膨らんでいくもう一つの想像のほうがそんな疑念を上回っていた。
もし俺がこれを着たら、二条沙耶奈って女の子そっくりに見えるのかな。
我ながらバカバカしいと思いつつも、マスクとボディスーツを眺めていると、それを着てみたいという思いがどうしようもなく俺の心の中を覆っていった。
股間のモノがズボンの中で硬く直立していた。

俺は興奮を抑えながら、店主から説明メモをもらったことを思い出してそれを読んだ。

「なるほど、熱い湯で柔らかくしてから着るのか」

漢字で書かれたメモ書きの内容は、何となく理解できた。
俺は服を脱ぎ捨て、両手にマスクとボディスーツを持ってバスルームに入ると、熱いシャワーをボディスーツにかけてやった。すると少しごわごわした固めの感触が、ヌメヌメした滑らかなものに変わっていく。それと同時に、首の部分がゆるむように広がっていった。

「なるほど、これならここから身体を入れられそうだな」

俺は自身もシャワーを浴びて体に熱い湯をたっぷりとかけると、ボディスーツの広がった首の部分をさらに手で広げてに脚を、そして身体をすべり込ませていった。
明らかに俺の身体より小さいボディスーツは窮屈そうに見えたが、俺の身体に何の抵抗もなくフィットしていく。
そう、女性のしなやかな肌が俺の体を覆っていた。

鏡に映った俺の姿は、首から下は女性そのものに見えた。
狭い肩幅、ぷるんと膨らんだ胸、くびれた腰、そしてむちっと張り出したお尻、肉付きの良いすらりとした脚、そして翳るような恥毛に覆われたすっきりとした股間、そこにできている縦に割れた溝…それは本来の俺とは程遠い姿だった。

「信じられない……まるで俺の体みたいに感じる、んふっ」

体を見下ろすと、胸に大きな膨らみがある。それをそっと揉んでみると、何となくそこから奇妙な快感がを感じられるのだ。

これって、女そのものじゃないか、なんでこんな事が……これで、もしあれもかぶったら、まさか本当に……

胸から股間に手を移し、そこに本来の俺のモノの存在を示す膨らみがないことを確かめた俺は、熱病にかかったように仮面に手を伸ばした。

ボディスーツと同様、シャワーの湯に浸らせて柔らかくなったマスクをかぶってみると、俺の頭を覆い尽くして瞼の裏や鼻の穴、耳の中にも皮が滑り込んできた。

「これ……すごすぎるぞ」

バスルームの鏡の中から俺を凝視しているのは、見知らぬ気の強そうな女だった。


(続く)





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