『幽体離脱〜ミルフィーユの少女たち〜
 作:嵐山GO


    第5章  カメラの誘惑(Into The Lens」

「おはよう」
 僕は起きたばかりの春日美結の身体にさっそく入り込み
言った。
{なんだ、帰ってきたんだ。帰ってこなくても良かったのに}
 不機嫌そうな台詞は、言葉にしなくても十分理解できる。
「ま、そんなこと言わないで。またすぐに出て行くよ。
だって君の姿で学校に行っても色々と大変そうだしね。
その代わりに寄り道しないで帰ってきてよ。また他の所を
歩いてみたいから」

{嫌よ! なんで、そこまでしてあげなきゃいけないのよ。
寄り道しちゃう}
「じゃあ、このまま学校へ行っちゃおうかなー?高校の
テストだから問題無さそうだし、女の子達と話すのって
何だか楽しそう」
{わかったわよ! でも今日は勘弁して。今日でテスト
終わりだから友達と遊びに行くって約束したんだもん。
明日は土曜日だから午後から
付き合ってあげるわ。それでどう?}
「オッケー。じゃ、今日は家でおとなしく待ってるよ。
テスト、代わってあげても良かったのに」
{うーん、それは嬉しいけど、今日は得意科目だからいいわ。
それより、昨日の夜はどこに行ってたの?}

 彼女は昨日の夜、妹の理香と愛し合ったことを思い出し、
カマを掛けてきた。
「昨日の夜? ああ、あれから外に出てグルグル回りながら、
他の誰かに入れないか片っ端に試していたんだ。結局、駄目
だったけどね。どうして?」
{あ、ううん。何でもない。それより、そろそろ私の身体から
出てよ。着替えなくっちゃ}
「この制服だよね。セーラー服って着てみたかったんだー。
いいでしょ? 着替えたらすぐに抜けるから。ね、お願い」
{はい、はい。どうぞ、ご勝手に。あんたって、つくづく変態
なのね}

 僕は下着姿になると、椅子の背もたれに掛けてあった制服を
取った。
「このセーラーってリボンタイなんだね。ホックだから楽で
いいや」
 僕はきちんと制服を着込むと、鏡の前で変身した自分の姿を
映し見た。
「うわー、可愛いっ。私ってホント何着ても似合っちゃうから
好きっ!」
{もう、いいでしょ、変態さん。遅刻するから、出てっ}
「はーい、ちょっと残念だけど」
 僕が抜けると、彼女は髪をブラッシングして逃げるように
降りていった。

(さてと、どうするかなー?家でぼーっとしてても仕方
ないし…せめて付いて行くべきだったかなー)
 実体がないのでは、さしてする事も浮かばず途方に暮れ
ながら自分も一階へ下りた。
「理香ーっ、お姉ちゃん、もう学校に行ったわよ。あなたは準備
出来たのー?」
 母親の声が聞こえる。どうやら妹の方はこれから家を
出るらしい。
(理香ちゃんかー、でもなー…小○校じゃ、もっとつまんな
そうだよなー)
 僕は理香ちゃんの身体で学校に行くべきか考えてみたが、
即刻却下となった。
「お母さーん、私の水筒が無ーい」
(ん?水筒?今日は遠足なのか?)
 僕はリュックを背負った理香ちゃんを発見した。

「はい。冷蔵庫に入れといたのよ」
 そう言って母親は水筒を娘に手渡す。
「うん。ありがと」
 理香ちゃんは長いストラップに頭を通して、腰の辺りに
下げた。
「鋸山(のこぎりやま)に行くのよね?怪我をしないように
気をつけなさい」
「うん。分かってるよ」
 母親は娘の髪の寝癖を直しながら、言った。
(鋸山? どこだ? 聞いた事が無い…ま、家に居ても仕方ないし、
付いていくか…)

「理ぃー香ぁーーちゃーん」
 玄関の方から女の子の声が聞こえた。
「ほら、沙希ちゃんが迎えに来たわよ。じゃ、いってらっしゃい」
「はーい、お母さん、行ってきま−す!」
 運動靴にショートパンツ、半袖のトレーナーーという姿で家を
飛び出した。
 沙希ちゃんという子とは仲がいいようで、バスの中でも
隣同士で、ずっとお喋りをしていた。

 僕はタイミングを見計らって理香ちゃんの身体に入ったり
出たりして楽しんだ。
「今日、理香ちゃん、何だかおとなしいね。具合でも悪いの」
 お喋りを止めてしまったので変だと思ったらしい。だが
まさか中身が男だとはさすがに思わないようだ。
「ううん、なんでもないよ。でも昨夜(ゆうべ)、お姉ちゃんに
言われたの。もうすぐ中○生なんだから、女らしくしなさいって」
「ふーん、ウチはお兄ちゃんだから、そんなこと言わないよ。
お姉ちゃんかー、いいなー。私もお姉ちゃんが良かったなー」
「そう?」
「うん。だってすぐにブツんだもん。最近は一緒に遊んでも
くれないしね」
「そうなんだ」
(ふふふ、僕は昨夜、姉妹レズプレイまでしちゃったよ。女の子
同士はイイよー)
 その後はまた抜け、バスが目的地に着くまでの間、二人の
たわいのない会話を聞いていた。

「それでは、ここから自由行動でーす!」
 ロープウェイに乗って頂上近くまで上がると、引率の先生が
手を挙げ言った。
「理香ちゃん、どこ行くの?」
「ちょっとトイレ。ジュース飲み過ぎちゃったみたい。すぐに
戻るから先に皆と遊んでて」
「うん、分かった。その辺にいるよ」
「うん!」
 理香ちゃんがトイレを済ませ、手を洗い始めた時に僕は
再び入り込んだ。
「さてと、どうしようかなー?ちょっとの間、この身体で
遊ばせて貰っちゃおうっと。木陰に隠れてオナニーでも
しちゃおうかな…でも、あんまり長い時間はまずいかな」


 木々の茂った小道に入り木陰で手荷物を全て下ろした。
 すると、一息つく間もなく足音が近づいてくるのが聞こえた。
(僕のほかにも誰かこっちに来るみたいだぞ)
 見ると、眼鏡を掛けた痩せぎすの青年が大きなカメラバッグを
片手に歩いている。
(バードウォッチングかな?どうしよう、場所を変えたほうが
いいか)
 刹那、男は重そうなバッグを下ろすと、三脚を立てカメラを
セットするとアングルを探し始めた。
(あっちの方角は理香ちゃんの学校の生徒しかいないと
思うけど?)
 男はさらに角度を調節し、望遠レンズを駆使してシャッターを
切っている。
「ははーん、さては小○生の女の子を撮ってやがるな」
 思わず男言葉で呟くと、意を決して男に近づき言った。

「お兄さんっ!」
「うわーーっ、びっくりしたー。何? ぼ、僕は別に悪いことは
していないよ。ただ…」
 反応が思いっきり怪しかった。
「うん!分かってるよ。お兄さん、プロのカメラマンでしょ?
 だって、そんなすごいカメラ持ってるんだもの。私ね、大きく
なったらモデルになりたいの。私を撮ってぇー」
「え、あ、うん…しょうがないなー。本当は僕は人間は撮らないん
だけど。ま、でも君、可愛いからいいよ。撮ってあげるよ」
「ホントー。嬉しいー!いっぱい撮ってねー」
 男は言葉とは裏腹に、特大の獲物でも見つけたかのように
シャッターを切り続けた。
「ねえ、ちょっと暑くなってきちゃったの。脱いでもいい?」
「え?いいけど、恥ずかしくないのかい?」
「だってモデルになったら、もっと恥ずかしい格好とかで
撮るんでしょ?」
「ああ、そうだよ」
「じゃ、脱ぐ」
 僕はトレーナーとショートパンツを脱いで男に渡した。
「どうかな、こんな格好? 色っぽい?」
 上下共に子供用のスリップとショーツという姿だったが、
男にはそれで十分だったようだ。

「い、いいね、いいよ。すっごく素敵だ。可愛くてキュートで
天使が舞い降りてきたみたいだ」
 男は適当な言葉を並べながら、シャッターを切っていたが、
やがてズボンの股間のあたりが隠しきれないほどに膨らんできた。
 僕は木に寄りかかったり、木の葉を噛んではにかんだり、
岩肌に身体を押し付けたりしながら、
男の様子をさらに伺った。
「ちょっとゴメン。休憩しないか」
 男はついに立っていることも出来なくなったようで、その場に
座り込んでしまった。

 僕は下着姿のままで近づいていって、仔猫のように肌を摺り
寄せながら言った。
「ねぇ、お願い。私、どうしてもモデルになりたいの。
なんでもするから。ね?」
「う、うーん、でも僕じゃあ…」
 男は股間を押さえながら葛藤している。
「ねえってばー、私のこと、好きにしていいからぁー。
それとも私じゃ駄目なの?」
 そこまで言うと僕は一気にスリップをたくし上げ、かろうじて
カーブを描く両胸を見せた。
「わっ!あわわー」
 男はたまらず、すぐに胸にしゃぶりついてきた。
「あうーん、そうよ。でも優しくしてね。私、初めてだから。
ほら、お兄さんもズボン脱いだら?」
 
 僕がベルトを外してやると、後は自分であっと言う間に
ズボンを脱ぎ捨てた。
「わー、こんなに固くなってる。はち切れそう。かわいそう
だよ。出してあげる」
 トランクスを下ろした途端、男のペニスはバネのように
跳ね上がった。
 もう、ここまでくると、観念したのか度胸が付いたのか男は
「触ってみて」と言った。
「うん、いいよ…でも私、見るのも今日が初めてなんだ」
 きっと、こう言えば男の興奮の度合いはさらに高まるだろうと
予測しながら呟いた。
 そして僕の小さく震える手は、ついにその熱い肉棒に触れた…。

(続く)




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