『他人の妹を頂く方法』
 作:嵐山GO


第5章  穢れなき乙女の図

「うわーっ!? ここが、こいつの…いや私の部屋なんだ。
可愛いねーっ」
 ドアに『梨奈のお部屋』と書かれたプレートが掛けてあったので、
二人は意気揚々と中に入った。
「おぉー、いいねー。いかにもお金持ちの、お嬢様の部屋って
感じじゃん」
 
 ベッドの脇にはディズニーなどのキャラクターの縫いぐるみが
所狭しと並んでいる。
 机も本棚もチェストも、どれも子供向けの可愛いデザインだが、
それでいて高価な事は一目で察しがつく。

「あっ! あの制服は!」
 一哉がハンガーに吊るされていたセーラー服を見て驚愕した。
「どうしたの?」
「あれは東亜女子付属小学校の制服だ。金持ちの、お嬢様学校
だよ」
「お前、いや。お兄ちゃんて、詳しいのね? もしかして
制服オタクなの?」
「いやー、嬉しいなー。ここの学校の少女を抱けるなんて、
まさに夢のようだ。そうだ!ねー、これ、着てみてよ」

 一哉が真っ白なセーラー服を手に取った。胸のまんなかに
赤いタータンチェックの大きなリボンが付いている。
 幅広のプリーツスカートもリボンと同じタータンチェックだ。
「まさか、この年で小学生のセーラー服を着るとはね。
うん、いいよ。貸して」
 ポツリと本音を漏らしながらも、圭介は素直に受け取る。

セーラーの脇のファスナーを下げて上着から着ると、次に
スカートに足を通す。
「どうかな?」
 兄の見ている前で、くるりと華麗に回って見せた。

「ああ、俺…今、すっごくドキドキしてきた。触ってもいい?」
「触るだけじゃいや。抱いて。梨奈を強く抱きしめて。ずっと、
お兄ちゃんの事が好きだったんだもん…」
 妹は兄の胸に顔を押しつけて両手を回した。
「ああー…幸せだー。髪から少女特有の仄かな香りが漂ってる」
「ね…お兄ちゃん…キス…して」
 当の本人にとっては、かなり抵抗のある言葉だったろうが、その
たどたどしい物言いが、かえってそそる。


 チュッ!
「あわわ、なんて小っちゃな唇。それにキスってホントに
甘いんだな」
「うん」
「心臓が破裂しそうなくらいバクバク言ってるよ」
「ホントだ。梨奈にも聞こえるよ」
胸に耳を押し当て聞いてみる。
「あー、あの薬作って良かったー。感無量だー」
「んもう、それは分かったから早くしようよ。時間見て、時間」

 壁に掛けられた時計を指差して言った。
「とり憑いてから、30分近く経過したとして、残り1時間半
ってとこか」
「余裕を持って抜け出ないとね。さ、来て」
 妹が兄の手を引き、ベッドへと誘う。


「制服、シワになっちゃわないかな?」
「脱いでもいいの? 制服のまましたいんじゃない?」
「そりゃ、もちろん、そうだけど」
「じゃ、いいじゃない。少しくらいなら」
 セーラー服の少女はベッドで仰向けになり、目を閉じて待った。

(続く)


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