『他人の妹を頂く方法』
 作:嵐山GO


第1章 ある薬の完成(その2)


「お前を信じてるよ。それにさ、さっきも言ったけど
男の身体なんか早く捨てて女の身体を手に入れたいんだ。
その喜びの前には失敗の恐れなんか小さなもんだよ。それに
失敗しても、お前が薬を作って元に戻してくれるんだろう?」
「いや、それがなんていうか…俺もこの薬を作っているうちに
自分の身体から抜け出てみたくなったんだ」

「なんだ、お前も女になってやりまくりたいのか?」
「いや、まぁ…それもあるけど、その前に別の男の身体に
乗り移って女になったお前を抱いてみたいんだよ」
「おい、おい、気持ち悪いこと言うなよ。俺は男には
興味ないぞ」
「俺だってそうさ。でも、お前は女になったら男と
スルんだろう?」

「ま、そりゃ、そうだが…」
「だったら誰とでもいいという訳にはいかないだろう。
他人の身体に入ったとはいえ、いつ元に戻るか分からないし、
そのとき身体の持ち主が見知らぬ男と裸で一つの部屋にいたら
まずいんじゃないのか?」
「なるほど…じゃ、夫婦とか恋人同士とか、そういうのを
ターゲットにしようってわけだな?」
「ま、まぁ…ちょっと違うけど、そんなとこかな」

「分かったよ。初めての相手がお前っていうのはどうかなと
思ったが、確かに考えてみれば、お前の言う通りだな。
よし、分かった一緒に行動しよう。で、いつにするんだ?」
「日が経つと薬の効果が薄れないとも限らない。明日でどうだ?」
「いいとも。じゃ明日、朝一番でお前の家に行くよ」

「そんなに慌てなくてもいいよ。朝飯でも食ってからきてくれ。
腹が減ってちゃ快楽も何もないだろう」
「それもそうだな。なら、三人分くらい食ってから行くとしよう。
たっぷりと楽しみたいからな」
「ああ。じゃ、明日」
「フフ、楽しみだな。なんか今夜は興奮して眠れないかも
しれない」
「駄目だ。ちゃんと寝とけよ。睡眠はちゃんと取らないと効果が
出にくいぞ。体調は万全にしとけ。じゃな、おやすみ」

プチッ、プー、プー
一哉は携帯電話の蓋を閉じて溜息を一つ漏らした。
「ふぅー、重大な事を一つ言えなかったな。ま、いっか。明日、
話そう…」
 フラスコに丁寧にラップを掛け、そっと冷蔵庫に入れた。
 時計の針は1時半を指そうとしていた。

(第二章へ)





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