『他人の妹を頂く方法』
 作:嵐山GO


第1章 ある薬の完成

「よし、これでなんとか完成だな」
 男はさっきまでアルコールランプで熱せられていたフラスコを
ゆっくりと持ち上げ、振りながら中の水溶液を見ていた。
「後は、やはり人体実験しかないよな…あいつに電話してみるか」
 フラスコを机の上に置き、椅子に掛けてあった上着から
携帯電話を
取り出す。

 ピ・ポ・パ・ポ…
 あらかじめ登録されている相手への発信が始まった。
 トゥルルルル…
 続いて呼び出し音が聞こえてくる。
「この時間だから家にはいるだろう…まさか、もう寝たとか?」
 再び視線を机に移し、傍らに置いてある時計を見た。
(もう1時なのか…? ま、いいか。起きるまで鳴らしてやろう)

 ブッ
 呼び出し音が中断され、男の声が響いた。
「もしもし…?」
「圭介か? オレだよ。一哉だ。寝てたよな?すまんな」
「あ…ああ、一哉か。うん、いいよ。どうした?」
 二人は高校に入学してからの付き合いだった。
 高校卒業後は和也が大学へと進学したのに対して、圭介は
就職もせずフリーターという別々の環境にも関わらず、
今も変わらぬ関係を継続していた。

「前に言ってたアレ…完成したんだよ」
「アレ?アレって何だっけ?それよりお前、まだ大学の備品とか
持ち出してんのか?その内に見つかって退学になっても知らないぞ」
「大丈夫だよ。それよりコレはアレだよ。前に話したときに
言っただろう? 他人の身体に自由に乗り移れる薬だよ。
つい、さっき完成したんだ」
「お、おい。それはホントか?! あ、アレなんだな? ついに
アレが完成したんだな?!」
「ああ、やっと思い出してくれたか。そうなんだよ。だからお前に
真っ先に知らせようと思ってな。こんな時間だが電話した次第
なんだよ」

「構わないよ。そうかー、やったな。これで俺の夢も叶うって訳だ」
「覚えてるよ。お前、確か女になりたいんだったよな?」
「そうさ。女は男には無い無限の快楽を持ってるらしいからな。
だから俺は女になって、思いっきり身体中でセックスを
楽しんでみたいんだ。男みたいに、ちん○の先だけで感じるような
単純な快感には飽き飽きしていたんだ。な、いいだろう?」
 圭介は電話越しだというのに声を荒げて、力説した。

「飽き飽きと言うほどお前、女とやったのかよ?」
「オナニーだって同じようなもんさ。ちん○の先を適当に擦って、
発射してもうおしまいだ。そんなことより、俺に電話を掛けて
きたんだから人体実験するんだろう? いつやるんだ?
俺はいつでもいいぞ」
「オレも今は大学は夏休みだからいつでもいいけど、お前、恐く
ないのか? 初の試みなんだぞ。失敗したら、とか考えないのかよ?」

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