『魅力的なOLボディを頂く方法』
 作:嵐山GO


第3章 暗闇の先にあるもの

「夜だな…」
 ホテルの一室で一哉と圭介はテーブルを挟んで向かい合って
いた。
「ああ…」
 圭介の台詞に相槌を打つ。
「なんだ?元気がないな。具合でも悪いのか?」
「あ?いや、そんなことはないよ。楽しみにしてるんだ」
 一哉がグラスに残ったビールを飲み干して言った。
「そうか…なら、いいけど。それよりお前いま、グラスを
持った時、小指が立ってたぞ。オカマみたいで気持ち
悪いから、癖なら気をつけた方がいいんじゃないか?」
「え?あ…そう?変だな。気がつかなかった」

「まぁ、いいや。それじゃ、そろそろ始めようか?」
 圭介も自分のグラスが空になっている事を確認すると、
立ち上がって両方のグラスを洗いに行った。
「そうだな…じゃ俺は薬を出すよ」
 一哉も立ち、冷蔵庫を開けてあらかじめ溶液を移し替えて
おいたフラスコを取り出す。

「今回は大人の女なんだから、時間も前回よりは余裕
あるんだう?」
 再びグラスをテーブルの上に2個並べ聞いた。
「ああ。それに前回の体験を元に少し改良を加えて
おいたから、かなり延びたと思う」
「そうか。前みたいに、あまり時間ばかり気にしたくない
からさ。それと今更、聞く事でもないけどアルコールを
摂ったけど平気なんだろうな?」
「平気だよ。離脱してしまえば本体が酔っぱらっていようと
関係ない」
 一哉が溶液を均等にグラスに注ぐ。

「で、時間だが大体どれくらいなんだ?一応、聞いて
おかないと。今日は俺たちだけだからいいけど、明日、
男と絡むとしたらヤバイからな」
「うん。まぁ、3時間位は平気じゃないかな。分単位では
分からないよ。前にも行ったけど、その時の体調などにも
よるからね」
 注がれたグラスを圭介の前に差し出した。

「分かった。よし!行こうぜ。もうすぐ10時になる。
存分にあの身体を使わせてもらおう。な?」
「あ!?そういえば部屋は分かってんの?」
 一哉が自分のグラスを持ち上げる手を止め聞いた。
「大丈夫。調べてあるよ。この真上の部屋だ。お前が風呂に
入ってる間にフロントに聞いたんだ。部屋番号も分かってる」
「へー、よく教えてくれたね」
「任せとけ。俺は、そういうの得意なんだ」
「良かったよ。片っ端から壁をすり抜けて探してたら大変
だからさ」

 ゴクッ、ゴクッ

「ふうー、あまり美味いもんじゃないよな。味は付けられない
のかよ」
「そういう危険は冒したくない。じゃ、俺、あっちで寝るから」
 一哉は、すでに布団の敷かれている隣りの部屋を指差した。
「駄目だよ。あの部屋は空けておかないと、戻ってきたら
遊べないだろ。このままテーブルにうつ伏して抜けようぜ」
 立ち上がろうとした一哉を制止し言う。
「あ、そっか…」
 圭介に言われて、自分も同様にテーブルにうつ伏した。

「今回も問題なく無事に抜け出せたみたいだね」
「一哉の、その台詞は安心と不安を同時に感じるよ。
じゃ、行くか。部屋の鍵は掛けてないよな」
 二人は本体から抜け出すと、素直にドアへと向った。
「掛けてないよ。入れなくなっちゃうからね。でも急いで
戻った方がいんじゃない?」

「なーに、何か盗まれて困るものなど無いさ。貴重品は
金庫に入れてあるし、鞄の中も衣類と小物しか入って
ないからな。ま、でも急ぐに越した事はないか」

「あのさレズるだけなら、わざわざ女の身体で戻って
来なくても、向こうの部屋ですればいいんじゃないの?」
「ばーか、それだと室内に痕跡が残るかもしれないだろ。
それに戻ってくれば、ちょっとしたお楽しみもあるのさ」
 そう言うと圭介はするりとドアを通り抜け、上の階を
目指した。

「ああ、ここだ。ここだ。入るぞ。楽しみだなー」
「う…うん」
 ここでも二人はドアを通り抜けると、難なく室内に
侵入した。
「おい。ほら、いたぞ。見ろよ」
二人の女性は浴衣姿で別々のベッドにいたが、まだ寝ては
いない。
 この部屋は一哉たちの部屋と違って、純粋に洋風だ。
 宿泊料金も当然こちらの方が上だろう。

 一人は奥のベッドで寝そべり、本を読んでいた。
もう一人は不自然な姿勢で塗ったばかりのペディキュアを
乾かしている。
 人目をまるで気にしていないので浴衣が捲れ、真っ赤な
パンティがしっかりと見える。

「まだ二人とも起きてるね」
「もう、ここまできたら構わないさ。ベッドの上にいるだけ
でも良しとしようぜ」
「まあね。朝、目が覚めても不自然じゃないし。でも少し
くらい待っていてもいんじゃない?時間はあるよ」

 確かに女たちは放っておいてもスグに寝るだろう。
だが圭介は目の前に餌をチラつかされた腹ペコの獣のように、
もう我慢が出来なかった。

「一哉はどっちに入るか分かるよな?」
「え?ああ、分かってる。向こうで本を読んでいる方
だろう?」
「そうだ。結構、いい女だろう?」

 そう言いながらも圭介の視線は真っ赤な下着に釘付けだ。
 爪を乾かすために、時々掌で扇いだり息を吹きかけたりする
たびに、浴衣の裾が捲れてチラチラと
 下着が見え隠れする様が、まるで挑発されているようだ。

「うーん…うつ伏せで読んでるから、よく分からないよ」
「すぐに分かるさ。ううー、もう駄目だ。俺は入るぞ!」
「お、おい。ちょっと待てって。ちぇっ、分かったよ。
なら俺も入るか」

 一瞬躊躇した一哉だったが、慌てて読書中の女の身体に
入り込む。

「あ…」
 立てひざ姿勢の女の方は小さな声を漏らし、しばし身体が
硬直した。
 一方、本を読んでいた方は友人の変化に気づきも
しなかったが、すぐにこちらも活字を追う目が止まった。

 こうして男二人は都会の喧騒から遠く離れた地で、
しめやかに舞台の幕を上げる事となった。

(第4章へ)



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