『皮り種』
作:嵐山GO


第5章 覚醒

 入学式も無事、終わった。テストも何とか終わった。
 今日は、そのテストの結果を貼り出す日である。

(まぁ、結構イイトコいったんじゃないか?
 もしかしたら学年でトップだったりしてな)
 オレはまだ着慣れないセーラー服のスカートをなびかせて、
昼休み時間を利用して掲示板へと向った。

(ええと…ああー、さすがに1番ではない…か。
1番は市合千代子…ええっと、どっかで聞いた名だな。
オレは、と…8番か。上には上がいるもんだな。そりゃ、
そうか)
ボーっと掲示板を見上げていると、横から声を掛けられた。

「葵さん」
「はい?ええと…貴方は…」
「市合です」
「あ、えと…あの…あっ!学年トップの市合さん?」
自分よりほんの少し背が高く、美人顔なのだが髪を無造作に
後ろで束ね、全体的に覇気が無いので地味に見える。

「同じクラスですけど、覚えてらっしゃらないですよね。
私って目立たないから…」
「あ、いえ、そんな事…ゴメンナサイ。私、覚えが悪くて…」
「そんなことないと思いますよ。テストの結果だって
凄いじゃないですか」
「でも私なんか、市合さんに比べたら全然」

「良かったら教室に戻りながら、少しお話ししませんか?」
「うん、いいよ」
「葵さんは、どこに住んでるんですか?」
「私?私は柏井町。市合さんは?」
「私は…内緒です」
「あ、ひっでぇ。私は言ったのに」

「うふふ。葵さんて面白い人ですね。時々、男の子みたいな
喋り方して」
「あ、いっけない」
「私ね、変な名前でしょ?小学校の頃はそのせいで随分、
苛められてたの」
「名前…?」
「うん。ほら続けて読むと『イチゴ、チョコ』でしょ。ね?」
「ああ、なるほど」
「だから中学に入ってからは、あまり友達も作らずに大人しく
していたの。そしたら安藤夏(あんドーナツ)さんという
方がいて、そっちの方が目立っちゃって。ウフフ」

「そう…なんだ。市合さん、可愛いのにな」
「葵さんて変な人。ねぇ、私たちって友達になれるかな?」
「もちろん歓迎さ。あぁ、いえ…歓迎よ」
「ホント、面白ーい」
「あは、あははは」
(どうも女同士で喋ると、男の口調に戻る風潮があるな)

 こうして市合と友達になった。ちなみに孝明はクラスが
別である。

「ねえ、せっかく友達になれたし途中まで一緒に帰らない?」
午後の授業が終わって、オレは市合の席に駆け寄って言った。
「ごめんね、葵さん。私、今日は予定があるの。明日だったら
いいわ」
「うん、いいよ。ああ、そうだ!私も約束あったんだ!」
「時々、校門の前で待っててくれる男の子でしょ?」
「ありゃりゃ、バレてたか」
「素敵な彼氏がいていいなー」
「大丈夫だよ。市合さんだって、スグに出来るって」
「私は…いいの」
 彼女は鞄を抱き締めながら、俯き加減で返答した。
(なんだ?なにか意味ありげだな)

「じゃ、また明日ね。バイバーイ」
「うん。今日は誘ってくれてありがとう。またね」
 市合と別れ、孝明の待つ校門へと急いだ。

「瑞希ちゃん、やっぱり凄いや。学年で8番だったね」
「やーん、見たのー?」
「僕なんか下から数えた方が早そうだよ。頑張らないと
瑞希ちゃんに嫌われちゃうなー」
「それはないけど、また同じ大学を目指すなら頑張ってね」
(とはいえ、大学かー…どうするかな…行くべきか?)

「ね、明日試験休みだけど、デートするでしょ?」
「う、うん…」
(デートかー…当然セックスだよなー。あれから
 自分で指を挿入したりして、いくらか広がったと思うけど、
まだ中は気持ち良くないんだよな…でも断る理由も
ないか…)

「いいよ」
「ホント!じゃ、明日も『AQUA』で待ち合わせにする?」
「うん、分かった」
 明日の予定を決めるとタイミングよくバスが来たので二人は
乗り込んだ。
 バスが駅前に着くと二人は降り、各自の家方面へのバスに
乗り換えるため、そこで別れた。
(ふぅー、またあの激痛が走るかと思うと頭が痛いよ)

 オレは前回の痛みを股間に思い出しながら、家路へと急いだ。


翌日、良く晴れた午後にいつものように着替えを完了して
外出した。
 バスを降りると『AQUA』までは歩いても5分少々だ。

「瑞希じゃん、何やってんの?」
「ええっ!?」
(また声を掛けられだぞ。今日は誰なんだよ?)
 声の主は、やはり同い年くらいでショートカット、
 色黒でボーイッシュな感じ。

「何? その顔。まるで見知らぬ人にでも声を掛けられた
ような顔してるよ。まさか洋子ちゃんを忘れてしまったんじゃ
ないでしょうね?」
「お、覚えてるわよ。桐沢洋子でしょ?よく一緒に帰った
じゃない」
 先日、孝明と話したときに聞いた名前を辛うじて思い出した。
「ふむふむ。ま、いいでしょう。で、何?今日は高校は
休みなの?まさかアンタがサボるわけないもんねー」
「今日は試験休みなんだ。そういう洋子は?」
「今日の授業は午後からなんだ、ってのは嘘でサボりでーす。
お茶でもする?」

「ああ、私…ちょっと待ち合わせなんだよね」
「高津くんね?上手くいってんの?」
「高津…ああ、そう孝明君。上手くいってるよ」
「ほー、いいねー。もしかしてヴァージンあげちゃった?」
 掌で壁を作って、他人に聞かれないように言った。
「う、うん…」
「やったじゃん! すっげー。アタイも頑張んなきゃ。最近
付き合い初めたんだけど、こいつがちょっとドン臭くてさ。
ま、それが可愛いんだけどね。実はアタイもこの後、
デートなんだ。二人して午前中サボりだよ。あははっ」
「ふふ」
(この子は先日バスの中で会った子じゃない。ま、でももう
オレも高校に行き始めたし、これ以上探るのはやめるか)

「じゃ、アタイ行くわ。高津によろしくって言っといて」
「うん、分かった。バイバーイ」
「バーイ」
 桐沢はさっそうと去っていった。あまりいないタイプの
子だった。
「瑞希とは相性が良かったのかな」
 そんな事を考えながら足を『AQUA』に向けた。


「そっか…洋子ちゃんに会ったんだ。じゃあ、その彼氏ってのは
高校で知り合ったんだろうね」
「たぶんね…」
「それよりごめん、瑞希ちゃん。今日もホテルになっちゃって。
兄貴、まだ引越し準備終わらないんだよ」
「いいよ、いいよ。気にしなくても。でもお金が大変だよね。
今日は私が払おうか?」
「あ、それは大丈夫。まだ残ってるから」

二人は前回と同じホテルに決め、入って行った。

「今日は私が脱がせてあげる」
「いいよ、恥ずかしいから」
「いいから。そこに立って」
ボーイフレンドをベッドの脇に立たせ、トレーナー、ジーンズ
そして下着を次々と脱がせていく。

「わぁ、もう大きい」
 すでに固く勃起したペニスが目の前に現れた。
 前回同様、右手で胴体部を上下に擦り、左手の掌は股間から
袋部分へと這わせ包み込む。
「あ、ああ…気持ちいいよ」
「うん」
(ちゃんとシャワーを浴びてから出てきたんだ。シャンプーの
匂いがする)
「はむっ」
「あ、瑞希ちゃん…汚いよ。口でなんて」
じゅる、じゅぱ、ちゅる、ちゅー
 孝明の言葉には答えず、初のフェラチオに挑戦してみた。

(不思議だな…それほど嫌な気分じゃない。それに、こうやって
舐めているとアソコが濡れてくる…)
 ちゅっ、ちゅっ、ちゅる
「あ、あー、瑞希ちゃん…また僕、もう」
 口の中でペニスがフルフルと震えている。
(このままイカせてやるか…)

 じゅぱ、じゅっ、じゅる、じゅっ。
「あー、もう駄目! イク!」
 どくんっ、びゅるっ
 大量の精子が口内を汚してゆく。

「あううっ、ぐふっ」
 オレはティッシュを大量に引き抜き、その上に精液を吐き
出した。
「うえーん、苦いよう…」
「ご、ごめん。平気?」
「男の人のって、こんなに苦いんだ。知らなかった」
「そ、それは僕も知らなかったよ。ゴメン」
「うん、もう大丈夫。じゃあねー、今度は孝明君。ベッドに
仰向けに寝てみて」
「どうするの?」
「今日は私が上になって入れてみる。そうしたら、加減を調節
出来るでしょ。だって、この前すっごく痛かったんだもん」

「そっか…分かった」
 孝明は毛布の上に真直ぐな姿勢で仰向けになった。ペニスも
同様に腹の上で、まっすぐに伸びている。
「これでいい?」
「うん、いいよ。じゃ入れるね」
 ボーイフレンドの身体を跨いで、ペニスを握り膣腔に押し
当てた。

くちゅっ!
「ああ、ここよ…」
 ず、ずず…ずぶ…
「はうー、いやん。入ってくるぅ」
「瑞希ちゃん、どう?痛い?」
「この前ほどじゃないけど…でも苦しい…」
(連日のハードなオナニーが功を成したか。これで気持ち
良ければ言う事なしなんだが、まだ無理だろうな)

 ぬぷ、ぬぷぷ…
 愛液が混じり、挿入時に卑猥な音を響かせた。
「やーん、エッチな音ぉ」
「でも、少し滑らかになってきた気がするよ」
「う、うん…でもぉ」
(今日は前戯をして貰ってないからな…でもフェラの時に、
あれだけ濡れたんだ。今も溢れてるし、まぁ大丈夫だろう)

 ぐちゅ、ぐちゅ、ぬちゅっ
 最深部まで入れると、今度はゆっくり抜き出しソフトな
ピストン運動を試みた。
「はっ、はあー…うう…んんっ」
(だいぶ慣れてきた…かな。気持ち良くなれるのは次くらいか)

 ずりっ、ずりゅ、ずず…
 ボーイフレンドの胸に手を置き、腰を前後にスライドしてみる。
「あ、あんっ…くうん」
(お…これは…なかなか)
「うっ、あくっ! 瑞希ちゃんの中が締まってきて…駄目かも」
「あん、待って…私…ああ」
 腰の動きと膣内のペニスの当たる場所によっては、僅かな
快感を捕らえる事が出来そうだ。

 ぬぷ、ぬぷっ、ぬぷぷ…
 2枚の襞(ヒダ)がしっかりとペニスに張り付いている。
 まだ十分に窮屈な膣内でペニスが、もがき苦しんでいた。
「瑞希ちゃん、僕…もう駄目だよ…イキそう…」
「やん、孝明くん…私も、もうちょっとなの。お願い、待って」
 ぬちゅ、ぬちゅ、ぐちゅ
「ゴメン、駄目だ! イク!あー、出る!」
「いやーん…はあん、ああ、出てるぅ」
(やっぱりまだ経験が浅いから無理か。せっかく少し感じた
ような気がしたんだが)

「ごめん。また僕だけイッちゃった」
「謝んなくてもいいってば。でも次にする時は頑張ってね」
(中出しされたな…シャワーで洗い流さないと)
 時間はまだたっぷりあったが、孝明が落ち込んでいることと、
膣内の洗浄を考えると、これ以上続ける事は断念した。

「孝明君、今日はね。ちょっとだけ感じちゃった」
 帰り間際、落ち込むボーイフレンドの頬に軽くキスをした。
「ホント?」
「うん…恥ずかしいけど…」
「僕、次は絶対に頑張るよ」
「うふふ」
(こういう点での単純さは男も扱いやすくていいもんだな)
「出ましょ」
「うん」

 ホテルのエントランスを抜けるときに一組のカップルと
すれ違った。
 自分も顔を見られるのが嫌で、通路はいつも下を向いていたが、
今日は何となくすれ違いざま視線を送った。
「あ…」
「どうしたの?」
「え? あ、ううん…なんでもない」
(今、中年のサラリーマン風の男と腕を組んで入っていったのは
市合千代子ではなかったか…?)

 振り返ってもすでに暗闇に姿を消され、確認は不可能だった。
「確かめてみなくっちゃ…」
 囁くような声で独り言を言ってホテルを後にした…。


(第6章へ)




inserted by FC2 system