『皮り種』
作:嵐山GO


第4章 擬態

 朝からオレは、ソワソワしていた。
今日はボーイフレンドの孝明とデートの日なのだ。
(服も決めたし、財布も携帯も持った。後は持って行くものは
無いよな…?)
「大丈夫…よね」
オレは、ここ数日の間に瑞希の姿で買い物や散歩に出かけ、
言葉遣いも含め、何とか女に成り切ろうと努めた。

 ウインドショッピングを楽しんでいると、背後などに男の視線を
感じる事はあったが、さすがに先日のように声を掛けてくる輩は
いない。
 地元の商店街などで、そんな事をしたらスグに知り合いに
見つかってしまい、噂が広まるからだろう…。

 少なくとも買い物や、その為の会話は違和感無く自然に少女を
演じてきれている筈だ。
 そう、後は孝明にさえ感ずかれなければ何も問題ない。平凡な
学園生活をエンジョイ出来るのだ。そう思っていた…
この後の事態さえ起こらなければ。

 玄関を閉めて鍵をポーチに入れ、バス停に向った。
今日の待ち合わせは駅前の『AQUA』という喫茶店だ。
(処女喪失か…あれからも何度となくオナニーしたので、
少なくとも身体の方は思春期の女の子並みには開発されたの
だろう…だが、やはり挿入時は痛いのだろう…)

 バスは数分、遅れて到着した。
混んではいなかったが座席に座れるほどには、
空いてはいなかった。
 バスが発進する。
目的地まで、バス停は7つ…疲れるほどの時間ではないし、
向こうに着けば座ってまずはゆっくり話しでもするだろう。


『次はOO前ー。お降りの方はボタンを…』
停留所が近づくと、車内にテープが流れる。
ピンポーン
バスは決まって各停留所で停車し、乗客を乗り降りさせる。

「瑞希っ!」
「ええっ!?」
 振り返ると、見知らぬ少女が自分に向けて微笑みかけている。
(同い年くらいだな。瑞希のクラスメートだった子か…?)
「どこ行くの?おめかししちゃって、さてはデートだな」
「う…うん」
「いいなー。私も早く彼氏、見つけようっと。ところで、アンタが
ここにいるって事はお母さんに付いて行かなかったんだ。」
「え?」
「お母さん。家を出たんでしょ?」
その友人は急に声を細めて、周りを気にするように言った。
(し、知っている!?この子は何か知っているぞ!)

「あ…あの…」
「あ、ゴメン。バス着いちゃった。私ここで降りるんだ。ちょっと
用事があってさ。またいつか会えたらいいね。じゃね」
「あ、ちょ…ちょっと」
(追いかけるのか?オレは、あの子の名前も知らない。それに
ここで降りて話を聞いていたら待ち合わせに遅れる。いや、
その前に、あの子は何か用事があると言って慌てて降りた。
話をする事など出来ないかもしれない…)

ガタンッ!
バスが動き始めた。
「し、しまった!」
急いで窓際へ行き、もう一度顔を確認しようとしたがすでに距離が
開き、小さくなった後ろ姿が見えただけだった。
(ど、どうしよう…孝明に聞いてみるか)
オレは諦めて、たったいま空いた座席に座った。

(瑞希の一番の親友に相談したと考えるのが妥当だろうな。
だったら、何とか探せるかもしれない…もう一つの可能性としては、
妻が瑞希の友人の母親に打ち明けたパターンだ。その母親が娘で
ある、さっきの子に話す…この場合は探し出すのは相当困難だぞ)

「とりあえず彼に聞いてみるか…」
 ポツリと漏らすと、視線を外の流れる景色へと移した。

前回に続いて、この日も孝明は時間通りに現れた。
「入ろっか」
「うん」
 店内奥の人気(ひとけ)の無さそうな場所を選んで座る。
「ここなら、あまり周りを気にしなくても話しが出来るね」
「うん」
 そのような場所を選んだのは当然この後の、行き先について
語り合うからだろう。

コーヒーが運ばれてきてウエイトレスが離れてから言った。
「あのね…ちょっと先に孝明君に聞きたい事があるんだけど。
あ、今日の事とかじゃなくて…その…私のね、友達の事なんだけど」
「友達?友達って?」
「えーとね、孝明君から見て私が一番仲良くしてた女友達って
誰だったと思う?」
「僕から見て?誰だろう…瑞希ちゃんて誰とでも仲良かった
からね。親友かー…桐沢洋子ちゃんかなー?学校の帰り、
よく一緒だったみたいだし…でも瑞希ちゃんの幼なじみ
とかは分かんないよ。それがどうしたの?」

「あ、うん。ちょっとね…」
(そうだよなー。ボーイフレンドにも話して無かったくらいだ。
何か別の接点があるのか…そうだ!帰ってアルバムを
探してみようか?)
「コーヒー、冷めちゃうから飲もっか」
「あ、そうだね」
(だが見つけ出したとして、それでどうする?妻は捜すなと書いて
いたし…何が知りたい?出て行った理由か…?
 今更、究明しても仕方ないだろう。それに今日はこれから
瑞希の姿で初体験をしようとしているのだぞ。二人を見つけ連れ戻し
たとしても、現状を考えれば事態は悪化するのではないのか?)

「そっか。そうだよね…」
「何?どうしたの?」
「ううん、何でもないよ。それで、どうするの?どこへ行く?」
(そうだな。出て行った事も、帰ってこない事も事実なのだから、
今は瑞希の姿で平常を維持していた方がいいか)

「本当は僕の家に呼びたいんだけど、兄貴がいるんだ」
「お兄さん?」
「うん。今年から大学なんで一人暮らしするんだけど、まだ
引っ越し準備が終わってなくて…それで」
「ふうん…いいよ。私はラブホテルでも」
「ホント?やっぱり初めてだからラブホテルとかは嫌なんじゃ
ないかなって思ったんだけど」
「シティホテルは高いしでしょ。それにロビーとか人目が多いから、
かえって緊張しちゃう」

「じゃ、いい?」
「うん。私はいいよ。もう出る?」
「そうだね。瑞希ちゃんの気持ちが変わらない内に」
「大丈夫だってば」
 コーヒーを飲み干し、今日は二人で腕を組んで駅の反対側の
ラブホテル街へと向った。

平日昼間というのもあって人通りは少なかった。
何件か立ち並ぶ中で、お洒落で清潔そうな門構えのホテルを選んで
入った。


 自動ドアを抜けると、すぐに部屋の内部の写真を貼った自動販売機
があった。
空室はライトが点いており、代金を挿入すると鍵が出てくる仕組みだ。

「初めて入ったけど、こういう所って無人なんだね」
「受付とかに人がいると入りづらいんじゃない?特に女の子はね」
「僕もここに入るまでは、かなり恥ずかったよ」
「ね、それより高かったんじゃないの? お部屋代、少し出そうか?」
「それは大丈夫なんだけど、瑞希ちゃん、随分落ち着いてるね。
まるで初めてじゃないみたい」
「そ、そんな事ないわよ。私だって、本当はスッゴク緊張して
るんだから。足がガクガクして、このままここにヘタリ込んじゃい
そうなんだもん」
(妙なところで感がいいな。もう少し少女っぽい演技でも
続けるか?)

「あはは…安心した。僕と同じだね。あ、この部屋かな」
孝明は手に持った鍵の番号と部屋番号を見て言った。
「あー、ドキドキする…」
「うん…」
ガチャリッ

 室内は想像以上に広かった。
お洒落なドレッサーや冷蔵庫、大型テレビにゲーム機、
カラオケまで置いてある。
(昔とは随分と違うのだな…)

 室内の照明も、すべて点けられおり安堵感すら与えてくれる。
「明るすぎるね」
「じゃ、消すよ」
孝 明は壁に並んだスイッチを次々と切ってゆく。
(ふぅー、やれやれ…いよいよか…)

「瑞希ちゃん、これ位でいい?」
「…ありがとう。ねぇ、キスして」
 昔、付き合っていた子を初めてホテルに連れ込んだ時に彼女が
言っていた台詞を思い出しながら真似てみた。
「うん」
チュッ
二人で抱き合って唇を重ね合う。

「孝明くん…服、脱がせてくれる?」
「いいよ」
 背中を向けファスナーを下ろして貰うと、ミニのワンピースは
ふわりと足元に落ちた。
「ブラも外してね…」
「…うん」

 ショーツ一枚の姿になると、もう一度ボーイフレンドに抱きつき、
今度は自分から口づけた。
「はう…んん。私…ベッドで待ってるね」
「うん」
 薄暗闇の中でベッドに向って歩いていると、背後で孝明が服を
脱いでいる布の擦れ合う音が聞こえた。

「瑞希ちゃん…来たよ」
「…うん」
 孝明が毛布を捲って、隣りに滑り込んできた。
「ね、今度は大人の人がするみたいなキスしたいな」
「うん」
 上から覆い被さるようにして、唇を重ねてきた。
 まだぎこちなく、あどけないキス…それでも、それは息が詰まるほど
心地いいものだった。

「ゾクゾクしてきちゃった。これが感じるって事なの?」
「どうだろう…ねえ、瑞希ちゃん…胸…触ってもいい?」
「うん、いいよ。いっぱい触って」
 ボーイフレンドの手が伸びてきて乳房を包むと、やがて力を加え
優しく揉み始めた。
「あ…んん!」

「瑞希ちゃんの胸、大きいよね」
「そ、そう? 他にも大きい人いたんじゃない?」
「僕は瑞希ちゃんの胸しか見てなかったから」
「エッチね」
「乳首、吸ってもいい?」
「うん…最初はそっとね。それと、いちいち聞かなくても何でも孝明君の
好きなようにしていいよ」
「ホント?」
「うん。今日は、そのつもりで来たんだもん」

 孝明の愛撫は極めて幼稚なものであったが、それでも初めて自分
以外の手や口によって触れられるのは、想像以上の快感を得られた。
「はうんっ、いい…感じちゃう…そこ」
 孝明の指がショーツのゴムを潜り、秘裂を探し当てた。
「濡れてる…」
「恥ずかしいよ」
 両手で顔を隠す。

「脱がすね…」
 右手を伸ばして、ショーツを脱がそうとしてきたので膝を折って、
それを助ける。
「孝明君も…脱いでね」
「うん」
 ブリーフを片手で脱ごうとしたが、勃起したペニスが引っかかって
上手く脱げないでいた。

「すごい…こんなに硬くなるの?男の人って」
「そんな風に見つめられると、僕も恥ずかしいよ」
 枕元の灯りが毛布の中の屹立したペニスを映し出す。
「触ってもいい?」
「いいけど…あんまり触られると」
 孝明は、その先の言葉を言えないでいた。
(手だけで一回イッて貰うか?童貞だと挿入した途端、
発射するかもしれないし。ま、それでも別に構わないけどな。
だが男はせっかくの初体験が、それで終わると惨めな気分に
なるだろう)

「大きいー…こんな形なんだね?」
 まるで初めて見るような感想を述べながら、そっと触れ亀頭部分を
撫でた。
「あ…あんー…うっ、んー」
 孝明は女の子のような声を上げ、必死に迫り来る快楽と戦っている。
「ピクピク動いて可愛いよ」
(そらっ、イッちまえよ!)
 右手でペニス全体を上下に擦り、左手で玉袋を下から包み込んだ。

「あ…そ、そんな風にされたら…イッ…僕、もう…」
「やん、また大きくなったよ」
(ふふ、ヒクついてきた。もうすぐ発射しそうだ…手で受け止めてやるか)
「あー、瑞希ちゃん!駄目っ! ぼ、僕…イク!ううっ」
びゅるんっ!
「きゃんっ!? す、すごい! 出てる。こんなにいっぱい」
 大量の精液を、その小さな掌で全部受け止めた。

(よし、とりあえずイカせたぞ。次はこっちが感じさせて貰う番だ)

「ご、ごめん…瑞希ちゃんの手が、すごく気持ちよくて」
「ううん、いいの。孝明君が気持ちよかったなら」
ティッシュを引き抜き、手に付いた液を丁寧に拭き取る。
(すごい量だ…中で出されなくて良かった。まさか妊娠する事はない
だろうが、内部洗浄とか面倒くさいからな。まぁ、とにかく良かった)

「じゃ、する? もう平気? 出来そう?」
「うん。大丈夫だよ」
「じゃ来て。お願い…優しくしてね」
(ホント頼むよ。いきなり奥まで入れないでくれよ)
「スキン、着けなくっちゃ」
 備え置きのスキンに手を伸ばす。
「あ、ちょっと待って」
(ゴムか…あれ着けると逆に痛いと思うんだよな。最初は生の方が
滑りはいいんだが…さて、何て説明しようか…?)

「ねぇ、イク前に抜いて外に出せる?」
「ええ!? ど、どうかなー? さっき一回イッたし、多分出来ると
思うけど、でもどうして?」
「初めてなのにスキンなんか着けるのヤだなー。直接、孝明君を
感じたいの。駄目?」
「…そうだね。自信ないけど僕、やってみるよ」

 孝之が上に乗り、なるべく体重を預けないよう気を配りながら挿入を試みる。
「この辺…かな?」
「あ…そこ、違う…」
(やれやれ、やはり童貞では分からないか…やむをえん。少し
手伝うか…やりすぎない程度にな)

 両足を開いていき、気づかれないように秘裂を開いて
ペニスを迎える準備を整えた。
クチュッ!
「うんっ、そこよ…」
「ここだね…入れるよ…」

「うん…お願い、ゆっくりね…あっ、ああ…」
ペニスの頭部がゆっくりと沈んでゆく。
「い…痛っ!…くうっ」
(こいつは生でも十分に痛いな…)
 拷問によって両足が左右に無理矢理広げられている様な激痛が走る。
「ごめんね、瑞希ちゃん。ごめんね」
ボーイフレンドの謝る声が耳に届けられるが、痛みの量は
それを遥かに凌駕していた。
涙が涙腺を伝わり、とめどなく溢れさせる。

「痛い…痛いよぅ…孝明君」
(て、てめぇ! 痛えんだよ、このドアホ! ゆっくり入れろって言ってんだろうが!)
「もう少しだけど、瑞希ちゃん我慢できる?」
やはり止(や)めるつもりはないようだ。もっともここまで
きたら途中で止められても困るが。
「う、うん…頑張る。でも早く…終わって欲しい」
(く、くっそー。蹴飛ばして跳ねのけたい気分だ)

 瑞希の皮を着込んだ時点で、今後はすべて演技を続けるものだと確信していたが、これはもう演技どころではなかった。
(破瓜の痛みがこれ程だったとは…そういえばあの時、
後輩の子もずっと泣いていたっけな)

ズ…ズズ…ズブブ…
「入ったよ」
「はぁ、はぁ…う、うん、入ったのね…」
 硬くて大きな異物が、自分の股間の中心に埋まっているのが
実感できる。
 だが、それは快楽とはまったく別次元のものだった。

「孝明君…動きたいよね?」
「うん。でもまだ痛いでしょ?」
「うん…」
(どっちみち射精しないことには納得しないんだろうし。
全く男なんて単純で我がままな生き物だ。女になってみて
分かることもあるんだな)

「動いて…いいよ」
涙も乾かないうちに、孝明の要求を飲んだ。
「もう…平気なの?」
 言いながら、ゆっくりと腰を引き次に備えている。
「…うん。いいの。瑞希を女にして。ね?」
「うん。一緒に大人になろう」
(ちっ、なにが一緒に大人になろうだ。いい気なもんだな)

ヌプププ…
 男根が狭い膣道を行き来し始めた。
「ああ…瑞希ちゃん…」
「あうっ!くっ…ううっ」
(下手糞な腰の使い方しやがって。もう少し気の方を使えって)

ズブ、ズズブッ…
「はうっ、ああ…孝明…くん」
(一体、何回セックスしたら気持ちよくなるんだろう。これなら
家でオナニーしていた方がずっとマシなのに。く、くそー。
女はよく、こんな痛みを何度も耐えられるもんだ…ま、中には
最初から感じる女もいるというが)

「み、瑞希ちゃん…ごめんね。瑞希ちゃんは全然、気持ち良く
ないのに…また僕だけ…ううっ!」
「私のことは…いいの…孝明君はイッて。お願い」
(イクんなら、うだうだ言ってないで早くイキやがれ。もう痛くて
辛抱堪らんっ!)

「イ…イクよ…瑞希ちゃん!!」
「うん、うん! イッて。お願い、早くっ」
「あーーーっ、イクよーーーー!! ふんっ!」
 射精直前に膣から引き抜いたペニスが、バネのように
跳ね上がって精液が宙を飛散した。

「ごめんね。瑞希ちゃん…また僕だけ」
「ううん。いいの…だって私も大人になれたもん」
(何とか最後まで演じきったぞ。せめて、こんな俺を褒めて
くれよ)

 腹部や乳房に飛び散った精液を、再びティッシュで拭き取る。
 孝明もティッシュを抜き抜き、同様にペニスを拭いていた。
その様子を、ちらりと見れば赤いものが混じって染みていた。
(そうか…やはり処女膜はあったんだ…出血もしたのか
…こりゃあ、まさしく本物の女だ)

「瑞希ちゃん、まだ痛い?」
「ううん、今は平気。でも孝明君が中にいる間は、ずっと
痛くって泣いちゃった」
「女の人が痛くなくなるのは、何回目くらいなんだろうね」
「うん…でも、きっと個人差があるから」
(正直、もうやりたくないぜ。でも男の方は逆なんだろうなー。
一回やると、もう自分の物になったような気になる。ふぅー、
男なんかクソくらえだ)

 その後は二人で交代でシャワーを浴び、もう一度熱いキスを
交わしてホテルを出た。

「そういえば…ちょっと大変なことを聞いちゃったんだけど」
駅に戻る歩道で孝明が口を開いた。
「大変な…こと?」
「瑞希ちゃんにとっては些細な事かもしれないけど」
「何々、なーに?早く教えて」
「テストがあるんだって。入学式が終わって一週間ぐらいすると」
「テスト!?」
「うん。まぁ、中学の復習なんだけど。問題はさ、その結果を
校内に貼り出すみたいなんだ。参っちゃうよ」
「そ、そうなの…テストの教科は?」
「主要五科目だよ」
「ふうん」

(主要五科…理数系は仕事柄、問題は無いだろう。中学生レベル
だしな。英語、これも大丈夫だ。海外出張が多かったお陰だ。
それなら地理も特に問題無い…歴史は趣味の範囲内だし。いけるか?強いて挙げれば文系か…漢文なんかもあるのかな?
今の中学生のレベルはどの程度なんだろう?
 そういえば引き出しに教科書が入っていたっけ?帰ったらアルバムと一緒に見てみよう…)

 ボーフレンドと別れ自宅に帰り着くと、いの一番で瑞希の友人のアルバムを探した。
「まぁ、今後もあるし女友達の顔くらい覚えておいた方がいいだろう」

 だがいくら懸命に探しても、アルバムどころか写真一枚見つけ
出す事は出来なかった。

 ここにきて、瑞希が持ち出した唯一のものが判明した。
それは、友人を含む娘の全ての写真だった。
それは瑞希の失われた過去といってもいい…。


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