『家庭訪悶』
 作:嵐山GO


その2

「う…うーん」
 どれ程の時間が経過したのだろうか。幸子は眠りから覚めたものの
依然、身体の自由を取り戻せず絨毯に倒れたままの状態だった。
「あ…うう…け、警察に…電話しなくちゃ」
 行動すべき事が口から漏れるが、四肢が言う事を聞くことは
なかった。

 カチャリ
 二階の娘の部屋のドアが開いた音が聞こえた。
(ミチルが帰ってきたのかしら? でも、それなら私に気づいてる筈…)
 パタパタ…
 廊下を歩き、階段を降りてこちらに向ってくる足音が耳に届く。
 だが、身体の向きを変えて音の主を確認する事は出来ない。
(でも、さっきの男の足音ではなさそうだわ。ミチルに何事も
無ければいいのだけれど)

 バタン!
「ママっ! 一体どうしたの? 具合でも悪いの?」
 娘のミチルが入ってくるなり慌てて駆け寄り、母の容態を心配した。
「ミチル…あなた、大丈夫?」
「大丈夫って何が? ママこそ、どうしたのよ!」
「泥棒が入ってお金を盗まれたわ。私は大丈夫だから、早く警察に
電話して頂戴」
「駄目よ。そんなの…ママが心配だもの。ね、胸が苦しいの?」
 ミチルは座ったまま母を抱き上げると、ブラウスの前ボタンを外しに
かかった。

「大丈夫…私は平気だから…ミチルは早く警察に」
 そう言い掛けて改めて視線を娘の足元に移すと、先程の男が
持っていた黒い鞄が目に入った。
「そ、その鞄は…」
「あれ? もうバレちゃった? 実は、このお嬢ちゃんの姿も偽物なんだ。
せっかく家族3人分の皮を作ったからさ、使わないと勿体無いでしょ?」

「な、なんて事を」
「でも安心して。ミチルちゃんには何の危害も与えてないから。
だからね。その洋服脱いで私に貸して。この後、ママに化けて
銀行行くんだもの。その方が自然でしょ。それにカメラに写っても
怪しまれないし。ね?」
 ミチルに化けた男は手際よく服を脱がせていった。
「そ、そんな…やめて下さい」
「パパの姿のままでも良かったんだけど、何となくこっちの方が興奮
するでしょ? そうは思わない?」
「や…やめて下さい」

 最後の下着を剥ぎ取り、そばに放った。
「うわー、ママ、綺麗ね。一児の母とは思えないほどスタイルもいいし、
おっぱいの形も全然、崩れてない」
「変態…ミチルの声で、そんなこと言わないで。」
「やーん、だって今は私、ミチルだもーん。それにママもパパと御無沙汰
なんでしょ? 今からミチルが可愛がって、あ・げ・る」
 少女は立ち上がって着ていたTシャツとミニスカートを脱ぎ始めた。


(続く)



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