女装遊戯(第2章)
作:嵐山GO


「里奈姉ちゃん、やっぱこんなの変だよ。やめようよー」
「だーめ、ユキは私の言う事、聞くって言ったんだから黙って、これを着ればいいの」
約束の日曜日の朝、私は両親のいないリビングで弟に着替えを強要していた。
もちろん格好は女の子の姿で。つまり女装。
まだ私より5、6センチ背の低い弟に選んだのは半袖ブラウスと茶の吊りスカート。
スカートのウエスト部分には一応ゴムが入ってるけど、吊るタイプなら少々サイズが違っていても平気だし、後ろから見ると背中でX印に交差した幅広のデザイン布も可愛い。
小さな苺が無数にプリントされた白いブラウスも、今の私には幼すぎてもう似合わないし。

「うん。いいわね。やっぱ似合うわ。ユキ、可愛いわよ」
「うー、でもぉ・・・」
弟は女装させられての外出とは思っていなかったらしく、上下を着こんでもまだ唸っている。
「じゃ、パンツも脱いで。私のショーツ貸してあげる」
「ええっ!いいよう。このままで」
「駄目っ!ブリーフじゃ様にならないでしょ。ホントはブラも着けてあげたいんだけど、さすがにサイズが無いし。
それにあんたくらいの年だったら、まだ着けてない子もいるしね」
「嫌だなー・・・」
「なんなら私が脱がしてもいいけど?」
「いいよぉ。分かったよぉ」
渋々、弟はスカートの中からブリーフを取り出し、私の渡したショーツを穿いた。

「うん、じゃ、後はこっちに来て」
「里奈姉ちゃん、まだ何かあるの?」
「最後の仕上げよ」
私は日曜日だというのに、早々に出かけた母の部屋に弟と入った。

「これが、いっかな・・・?」
室内には無数に並べられた作り物の頭部があり、それらにヘアスタイルや色の違うウィッグが被されている。
選んだのは、ストレートな黒色のロングヘアー。
「被ってみて」
「・・・うん」
後ろをアジャスターで調節し終えると、さらにヘアーピンでズレない様に固定した。

「うわーっ、可愛いわよ!ほら、ユキ。ちょっと見て御覧なさいよ。自分の姿」
私は大きなドレッサーの前に弟を誘導し、全身を映させた。
「!?こ、これが僕・・・なの?僕じゃないみたい」
「えへん。凄いでしょ」
弟の見事な変身に私はちょっと自慢してみたくなった。

「OK!じゃ、出かけるわよ」
「ええー、やっぱり、この格好で外に出るの?」
「あったり前じゃない。そういう約束でしょ」
「でもぉ、バレちゃうよー」
「大丈夫。バレないわよ。どっから見ても完璧に女の子だもん。さ、ポーチを持つのを忘れないでね」
「嫌だなぁー・・・」

玄関に行くと私は自分用に、ちょっとだけヒールのあるサンダルを取り出した。
「ふふ、これでユキとは身長差が10cm位にはなるわね。あんたは自分のスニーカーを履いて」
「分かった」
家を出てバス停に向かう。
「バスが来るまで、だいぶ時間あるわね。少し、歩こっか?」
「ヤだよう・・・こんな格好で」
「じゃ、ここに立って待つの?その方が近所の人に見つかりやすいと思うけど」
「分かった・・・歩く」
「へへ、しっかり付いてきてね」

バス停をさらに一つ過ぎ、二つ目に差し掛かった所で中年のオバサンに声を掛けられた。
「あら?里奈ちゃんじゃない。これから、お出掛け?」
「あ、こんにちは。そうなんです。ちょっと買いたい物があって」
弟は驚いて私の背後に身を隠した。
「そっちのお嬢ちゃんは?初めて見るけど」
「あ、従妹(いとこ)です。遊びに来てるの。今日は一緒に買い物しようって言って」
弟が顔だけ出して、軽く会釈する。
「そうなの。そういえば何となく二人は似てるわね」
「えへへ、時々言われます」
「幾つなの?」
「13です。でも内気で、人と話すのが苦手なの」
「13歳・・・じゃあ、お宅のユキちゃんと同い年ね」
「え?あ!そ・・・そうですね。えーと、あ!バスが来たみたいだから、これで失礼します」
「はい、はい。じゃあね。気をつけていってらっしゃい」
オバサンは特に気にすることも無く、背を向けて去って行った。

「嘘ついちゃったね」
弟が座席に着くと、小声で私の耳元で言った。
「うん・・・大丈夫よ。滅多に会わないし。それより全然バレなかったでしょ?」
そう言いながらも私のTシャツの脇の下は汗で湿っていた。
「どうするの?これから」
「そうね。時間はたっぷりあるから、まずは映画でも見ましょうか?」
「うん。映画館なら暗いし誰にも見られないからいいよ」
「何か見たいのある?」
「ポケモンの新しいの、まだやってるよ」
「相変わらずガキね。ま、いいわ」
「里奈姉ちゃんの奢りでしょ?」
「まっかせなさーい」

私たちが着くとタイミングよく上映時間少し前だった。
「高校生と中学生です」私が言うと、
「学生証を提示してください」チケット売り場のお姉さんは返した。
「ユキ、学生証持ってるでしょ?出して」
「え、でも写真が・・・」
「大丈夫だから」私はポーチから半分出しかけた、弟の学生証を引ったくり
窓口に提示した。
「では、お二人で2000円です」
「はい」
お金を払いチケットを受け取ると、すぐさま館内へと急いだ。
「ほらね。ここも大丈夫だったでしょ」
「・・・うん」
「あんた、可愛いんだから自信持っていいよ」
「自信て・・・僕、あ・・・私、そんなの」
私は弟に、今日は一日「僕」じゃなく「私」って言うように忠告していたので、慌てて言い直す。
「ホントよ。他の女の子たちが羨むくらいの美少女だもの。ほら、始まっちゃう。急ご!」
「あ、待って」
弟は着慣れないスカートの裾を翻しながら、懸命に私に付いて来た。

私たちが入ると、場内はすぐに暗転し次回の予告やCMが流れ始める。
日曜日とはいえ、人はほとんど入っていない。
私たちは後ろの方の席に向かい、自分の右側に弟を座らせた。

10分もすると本編が始まった。
弟は女装していることも忘れているのか、食い入るようにスクリーンを見ている。
(ふふ・・・現実逃避しちゃってさ。苛めちゃうもんね)
私は利き腕を伸ばして、スカートの中に手を忍び込ませる。
「ちょ・・・里奈姉ちゃん」
「静かにして。誰かに聞かれたらまずいでしょ?」
「で、でも・・・そんなトコに手を入れたら」
「いいから。あんたは黙って映画見てなさい」

柔らかな太股を這うようにして、ショーツの上に辿りつく。
多分、この時点でスカートの裾はかなり捲れていると思うけど、
画面が明るくなった時位にしか確認は出来ない。
「駄目・・・だよう」
「しっ!」
ショーツの上から弟の小さなオチン○ンに触れる。それでも私の知っている頃よりも成長した気がする。
(最後に見たのはいつだったかしら?)
指と指の間に挟み込むようにして擦り始めると、あっという間に固さを増していった。
(これ、勃起っていうのよね。みんな色々知ってるんだろうなー。
今時、17歳にもなって処女なんていないわよね)
「ア・・・アンンンー」
「声出しちゃ駄目だってば」

指先や手首を使って、布の下にある大人になりかけの肉塊を弄ぶ。
(中学生だから大きさはきっと、こんなもんよね。でも固くて、熱いわ)
布越しでも、その熱は十分に伝わってきた。
それに十分に固い筈なのに表面には僅かな弾力性すら感じ取れる。
(そっか、包茎なんだっけ。だから先端から根元まで同じ感触なのね)
親指と人差し指の先で挟み込むようにして上下にスライドした。

「あ・・・あ、駄目ェ・・・それ・・・お願い・・・やめ・・・て」
俯き加減で回りに気づかれないように、必死に懇願する。
「いいから、前を見てて」
(うふ、私ってサディストなのかな・・・そんなことないよね。弟のだから苛めてるのよ)
その後も私は腕が痺れるほど、弟のオ○ンチンを弄り続けていた。

「はーあ、映画面白かったねー」
映画館を出て、開口一番私は言った。
「里奈姉ちゃん、酷いよ。弄るから・・・あんまり」
「何?見なかったの?せっかくお姉ちゃんが奢ってあげたのに」
「だって・・・」
「さてと、次はドコ行こう?お腹空いちゃったし、まずはハンバーガーでも食べよっか」
いまだに歩きづらそうな弟の手を引っ張って、バーガーショップで軽くランチをとった。

「そうだ!買いたい物があったんだったわ」
駅のショッピングセンターに入ると、すぐに案内板を探し行き先を定めた。
「何を買うの?」
「今日、付き合ってくれたお礼にユキにプレゼントよ」
「何だろう?」
「何かしら、でしょ?」
「何・・・かしら」
「うふ、可愛い。ほら、ここよ」

私が指差したそのショップは下着専門店だった。
「僕に・・・私にプレゼントって・・・」
「うん。可愛いブラとショーツを買ってあげる」
「ええっ!ちょっと、ここだけは勘弁してよー。やだよぅ」
「駄々こねてないで、さー、中に入るのよ。ほら」
嫌がる弟の背中を押して、無理矢理店内に押し込んだ。

「えっと・・・あんた、バスト・・・じゃなくって胸囲何センチ?」
今度は珍しく私の方が小声になってしまった。
「72センチだけど」
「じゃ、これでいいわね。ジュニアブラだけど、被るタイプだから楽だしね」
「・・・・」
「ショーツはどれがいいかなー。うわー、コレ可愛い!私が欲しくなっちゃう」
「ねえ、ねえ。早く出ようよ」
「ちょっと待って。あ、これもいいわね。どう?スキャンティっていうの。
手の中にすっぽり隠れちゃうくらい小さいの。穿く時はうんと伸びるし、
うん。これにしよう。柄は・・・ブラに合わせてピンクの花柄でいっか」

私はブラとスキャンティを持ってレジに向った。弟はさすがに付いて来る勇気は無いらしくショップの外で静かに待っている。
「顔、真っ赤にしちゃって。純情なんだからー」
(それにしても姉の私が言うのも何だけど、この距離から見てもホント可愛いわね。私が付いてなかったらナンパされちゃうんじゃない?)

「はい、買ってきたわよ。これは自分で持ちなさい」
「ええ・・・でもぉ」
弟が躊躇するのも分かる。
下着が入った袋には可愛いクマが水玉のブラとパンティを穿いているイラストが印刷されているし、筆記体ながら『ランジェリーショップ・アオイ』と
書かれているのが読めるからだ。
「あんた今は女の子なんだから、不自然でも何でもないのよ。ほら持って」
「うん・・・」

ショッピングセンターを出る前に時計を見た。
まだ3時にもなっていない。
「じゃ、帰りましょうか?」
「え、いいの?」
「うん・・・ショッピングは、もうおしまい」
(うふ、あとのお楽しみは帰ってからよ)
心なしか笑顔を取り戻し、軽やかになった弟の足取りもこの後、何が待ち受けているか気づいてはいない。
(あー、また考えてたらゾクゾクしてきちゃった。私って変かなー?)


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