『女装した僕・エンドレスサマー』(その12)
 作:嵐山GO


コン、コンッ!
「リカ?僕だけど。まだ起きてる?」
(僕は一体、何をしようとしてるんだ?何故、ここにいるんだ?)
「起きてるよー。今、マンガ読んでんの」
 カチャッ
 リカの返答を聞いてドアを開けた。
「どうしたの、お兄ちゃん?あ、お姉ちゃんて呼んだ方がいい?」
(リカに、お姉ちゃんて呼ばれるとゾクゾクする…)

「べ、別にどっちでもいいよ。あのさ…ちょっと言いにくいんだけど、
今日はさ、久しぶりだし一緒に寝ないか?」
「ええーっ!?だって私たち兄妹なんだよ」
「分かってるさ。でも、ほら…別に変なことスルわけじゃないし。な?
いいだろ?」
(一緒に寝る…か。それだけで僕は満足するだろうか?でも絶対に
一線は越えちゃ駄目だ)
「変なお兄ちゃん。もしかして可愛いリカちゃんにメロメロなの
かなー?」
「ば、馬鹿言ってんじぇねーよ。たまには子供の頃みたいに一緒に
寝てやろうかなって思っただけさ」
「ふーーん、別にいいよ。でも本当に変な事しないでよ。リカ、
ヴァージンなんだから」
「ああ、約束する。絶対に身体には触れないよ」
(そうか…処女か。そりゃそうだよな…まだ中学生なんだし)

「電気、消すか?」
 僕は添い寝するので扇風機のスイッチを入れながら、リカに
聞いてみた。
「ううん、もうちょっと起きてる。読み始めたら目が冴えちゃった」
「そっか…ま、夏休みだし、早く寝ることもないけど…」
 リカも僕も細身なので、2人がベッドに横になっても狭いと
感じることはない。
「ふぅーーっ」
「どうしたの?大きな溜息なんかついちゃって」
「いや、別に…ただ自分のベッドだと落ち着くんだ」
「ふーん、そうなんだ」
 相変わらず、うつ伏せでマンガを読み続けている。こちらには
何の関心も無いようだ。

(リカの匂いがする。何度もこの部屋に来て寝たんだもんな。
シャンプーの
いい匂いもする…ヤバイな。また勃ってきそうだ。そもそも僕は
何しに、ここへ来たんだ?手の届くところにリカがいたんじゃ、
状況は悪化したんじゃないのか?)
 仰向けで天井を凝視しながら自問自答する。
(いや、まさか、さすがに妹には手を出せるわけがない。
これでいいんだ。これで…。でも…)


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