『女装した僕・エンドレスサマー』(その10)
 作:嵐山GO


「う…うーん、お姉ちゃん。リカ、いっぱいイッちゃたね。恥ずかしい…」
「可愛かったわよ」
(相変わらず、自分の思うような台詞は出せない)
「今日は、このまま寝ちゃおうかなー?」
「風邪引くわよ。この辺は夜、冷えるからパジャマ着なさい」
「はーい」
「うん、いい子ね」
(急に素直になったな。ま、さすがにこれで終わりだろうし)

「あ、お姉ちゃん。あのね…ゴニョゴニョ」
 リカは衣類を着終わると僕の耳元で何やら囁いた。
「いい?」
「はい…」
「繰り返すよ。今日ここでリカとエッチした事は忘れるの。
催眠術の本も私が家に持って帰ったから全て忘れて。今日から
セックスはリカが、お兄ちゃんに術をかけた時だけだからね。
分かった?」
「はい。他の子とはしないわ。私にはリカだけ…」
「うん、そうだよ。後の事は分かってるでしょ?」
「ええ…」
「じゃ、始めるね」
 リカは軽く指を鳴らした。

「あ、あれ?僕は何をしていたんだっけ?」
 自分のアパートの中なのに、久しぶりに見るような感覚だ。
「覚えてないの?お兄ちゃんは帰ってきて女の子の姿になって
リカと外で、ご飯食べたんだよ。それから帰ってきてシャワーを
浴びたと思ったら、すぐにソファーで寝ちゃうしさ。よっぽど
疲れてたんだね」
「そ、そうか…そう言えば妙に身体が疲れてるな。そうそう、リカ。
僕の趣味の事は母さんには絶対に黙っててくれよ」
「言わないよ。その代わり、また時々遊びに来てもいいでしょ?」
「交換条件か?そうだな、仕方ないなー」
 いい条件を提示された筈なのに、何故だろう?背中に悪寒が
走るのは。

「眠くなってきたし、私そろそろ、寝よっかなー」
「ああ、もうこんな時間なんだ」
 壁の時計を見れば12時を回っていた。
「随分、寝ちゃったんだなー。12時か…リカは僕のベッド使って
いいよ。僕はソファで寝るから」
「そお?いいの?なんか悪いね」
「いいって。僕は多分、眠れないだろうから暫くテレビでも見てるよ」
「はーい、じゃあーねー。おやすみなさーい」
 僕のパジャマを着たリカがリビングを出て行った。
 暫くするとシャワーの音が聞こえてきた。
(あれ?確か…帰ってきてから浴びてなかったっけ?女の子は汗を、
かきやすいのかな?)
 そう独り言を漏らしながら自分も汗臭いことに気付き、リカが出た後、
浴室へ入った。


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