『女装した僕・エンドレスサマー』(その3)
 作:嵐山GO


「あー、お腹いっぱいだよ。リカ、ダイエット中だった
のにー」
 帰路の途中、妹が満足混じりで不平を漏らす。
 「そうなの?デザートまで頼んでたじゃない」
「女の子同志だと気が緩んじゃうんだよねー。
ま、たまにはいっか」
「それって、どう受け止めればいいのかしら。返答に
困るわ」
「帰ったら、一緒にシャワー浴びる?リカが背中、
洗ってあげようっか?」
「馬ー鹿っ。脱いだら、ただの男じゃない」

「リカは別にいいんだけどなー」
「駄目だって。私たち兄妹なんだから」
「ちぇっ、まぁいーや。他にもお楽しみはあるし」
「なーに、お楽しみって?」
「後で教えてあげる!」
「変な事じゃないでしょーねー」
「ひ、み、つ」

 僕はこの時、気付くべきだった。いや、気付いたと
しても、どっちみち手遅れなのだ。考えてみれば
リカは偶然、部屋にいたのではなく僕をずっと待って
いたのだから…。
 ある作戦を決行する為に…。

 結局、僕とリカは別々にシャワーを浴び、リビングで
くつろいでいた。
「なぁ、リカ。まだ女の格好でないと駄目なのか?」
 リカはパジャマ、僕はネグリジェを着させられている。
 いや、元々僕の持ち物なのだから着させられていると
言うのは正しくないのだが。
「お姉ちゃん!喋り方!ちぇんとオウチの中でも
女の子でいてよ。それに女物の寝具があるんだから当然、
女の子モードで寝るんでしょ?今更、何を言ってるの!」
「ご、ごめんなさい…」
 夕食をご馳走してもリカの態度は変わる事はなかった。

「ねえ、お姉ちゃん…」
「なーに?」
「一緒に寝たいって言ったら怒る?」
「当然でしょっ!さっきも言ったけど私たち兄妹なのよ。
子供じゃないんだから、一緒はまずいわよ」
「寝るって言っても変な意味じゃないんだけどな」
「そんなの分かってるけど、それでも一緒に寝るなんて
駄目なの!」
「やっぱり…駄目…だよね」
「こればかりは譲れません」

 可愛い妹の頼みだが譲れないこともある。もちろん
リカに襲い掛かるなんて事はないだろうが、一ヶ月も
禁欲していた身。加えて、この女装姿だ。
 気を許した途端、勃起するに決まってる。これ以上、
リカに弱みを握られたくない。


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