『その後の英雄と悪漢』(その8)
 作:嵐山GO


「うん!じゃあね、桜を、ぎゅっと抱いていてね。一緒に
転送するから」
「あ、待って!あそこに倒れてる女の子はどうする?」
「大丈夫。もう少ししたら目が覚めるわ。そしたら自分で
帰るんじゃない?」
「なるほど…」
 オレはほっと安心し、少女の小さな身体をセーラー服ごと
包み込むように抱いた。

 眩い光が2人の身体を包んだかと思うと、次の瞬間には
目的の部屋の中にいた。
「うわー…」
「どう?可愛いお部屋でしょ?」
 ワンルームの部屋の中には年頃の女の子の部屋にあるべき
物が全て揃っている。
「う、うん…可愛い。でも、いつ変えたの?」
 オレは、あの凶悪でスケベな異星人が、とてもこんな部屋
に住んでいるとは思えなかった。
「もちろん、ついさっきよ。この桜ちゃんの身体に変身する
ときに部屋の方もイメージを転送しておいたの。気に入って
くれた?」
「気に入ったよ、うん。私の部屋なんかより、うんと可愛い
もの」
 
 薄いピンクのシーツが敷かれたベッドにはフリルたっぷり
の肌掛けや枕が置いてある。
 ゴクリ…
 このベッドの上で憧れの桜を抱けるのかと思ったら、
口内に溜まった唾液が音を立てて飲み込まれる。

「お兄ちゃん、しよっか。スカートの裾、持ち上げてて」
 オレは言われたとおり、両手で自分のプリーツの裾を
摘んで持ち上げた。
「この小さな布の中に私の知らないお兄ちゃんの男の子が
入ってるんだね…」
 少女の小さな手が伸び、ショーツの上から触れる。
 とっくに興奮はしていたが同時に極度の緊張もしていた
ので、いまだ勃起はしていない。
「あ…そこは…」
 左手が太股から臀部へと回ると同時に右手はペニスを
捕らえ、やわやわと揉み始めた。
「お兄ちゃん…今は桜の事だけ考えてね。ほら、コレが
まだ男を知らない桜の中に入るんだよ」
 
 桜の設定は出会った頃の姿になっている。まだ何も
知らない穢れ無き乙女。
 あまりにも純粋で硝子細工のように儚げな、その姿に
オレはいつも見ているだけで、長い間声を掛けられないで
いた。
 その初々しい少女が、その時の姿のままでオレのペニスを
大切そうに愛撫している。

「あ、お兄ちゃん…ビクビクしながら大きくなってきたよ」
「だって、それは君が…触ってるから…ああん…」
 オレは戸惑いの中にいた。今の自分は女だが、股間には
男性器が生えている。
 しかも目の前の女の子は自分の事を「お兄ちゃん」と呼ぶ。
 果たしてオレは、女で通すべきなのか、それとも男を
演じるべきなのか…

「桜だよ。ちゃんと私のこと、桜って呼んで。お兄ちゃん」
「桜…ちゃん…あ、はうんっ!」
 少女の姿をした異性人の刺激をギリギリの所で耐えて
いたが、自ら桜という名を発した時点で鉄壁だった堤防は
無残にも崩れ落ちた。
「桜ちゃん…あ、駄目…もっと大きくなっちゃう!」
「すっごーい!ショーツの中で、こんなに大きくなって…
辛そう。
ねえ、お兄ちゃん。オチ○チン出してもいい?」
「え、ええ。…お願い。じかに…触って」


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