『その後の英雄と悪漢』(その2)
 作:嵐山GO


『おかえり。今日も無事に女性を救ったようだね』
 声の[主]はオレを、こんな身体に変えた張本人だ。
 だが姿は見た事はない。
 地球の大気が身体に合わないとかで、この宇宙船なのか
ポッドなのか分からないが、どこかの部屋に潜んでオレの
帰りを待ち、気遣ってくれている。

「まあね。とりあえずシャワーを浴びたいんだけど。
報告は後でもいい?」
『もちろん結構だ。ゆっくり浴びて着替えてきなさい。
食事の用意もしておくから、その時に話しを聞こう』
「うん…お願いね」
 悪の異星人を追いかけ続けていると言う、この声の
[主]は不思議なことに地球上にあるものは何でも作り出す
ことが出来る。
 だからオレは食べるものも服も何一つ生活に不自由と
する物はない。

「でも…このままじゃ…」
 そうなのだ。いつまで経っても自由の身にはなれない。
地上に降りて散歩することは出来ても、今のところ地上
での生活は許されない。
「欲しい物は何でも手に入るからいいんだけど、たまには
買い物くらいはしたいわよね」
 だが、それも無理な話だ。買い物する為には、お金が
必要である。
 お金を偽造するわけにはいかないし、かといって働く事も
出来ない。
 
 過去の自分を捨てて、女になったのだから身分を証明する
ものが無い。
 バイトくらいなら頼めばドコかで使ってくれるかも
しれないが、数日ごとに現れる奴を考えれば、連日の
バイトは難しい。
 それに見た目は10代の少女なのだから日中働くにしても
親の承諾書が要る。
「それくらいなら作って貰おうか…でも結局は、これも
偽造になるよね」
 
 均整の整った若々しい肌を露わにして、勢いよくノズルを
回しシャワーを浴びる。
 つんと上を向いた形の良い乳房。だが先程まで触手に
縛られたり揉まれたりしていたので至る所に痛々しい痣が
残っている。
「あー、又こんなに残ってるぅ。夏だっていうのに、
これじゃミニスカートもキャミソールも着れないないじゃ
ない。もうっ!」
 若いせいもあって痣はすぐに消えるが、さすがに肌を
露出して町へ出るには目立ちすぎる。
 
 大小の吸盤の付いた長い触手が身体中を這いずり回り
巻きつき、吸い付く。
 それは目も眩むような快感ではあるが、同時にこの
ような痕跡が無数に残ってしまう。
「うふ。でも今日も数え切れないくらいイッちゃったけど」
 シャワーを止めバスタオルで長い髪と身体を拭きながら、
寝室の引出しを引いて下着を取り出す。
「ネグリジェにしようかな…それとも…あ、これがいいわね」
 選んだのはレースやリボンで飾られたフリフリの
パジャマの上とドロワーズのように短く膨らんだカボチャ
パンツみたいなもの。
 上下共に裾と袖口にゴムが入っており、ロリータを強調している。


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