SKIN TRADE2
作:嵐山GO

(その10)

「じゃーねー、また明日」
「うん、裕美…バイバイ」
 早坂裕美は校門前に止められたリムジンを確認すると、僕に手を振って
行ってしまった。
(怖いなぁ。何が待ってるんだ? 何を話せばバレずに済む?)

「お嬢様、お疲れ様でした」
 運転席から執事らしき人物が降りてきて、一礼する。
「あ…はい。ご、ご苦労様です」
 僕も頭を下げながら、返事してみた。
「ご主人様もお待ちです。さあ、どうぞ」
 後部座席のドアが開けられる。広い車内の奥に顔は見えないが、どっかりと
座った人物がいた。
「はい。失礼します」
(ちくしょう、もうどうにでもなれだ! いざとなったら正体を現して
やろうか?)
 僕は、おそるおそる乗り込んだ。

 カタン!
 小さな音がしてドアが閉まると、やがて車は発進した。
「どうだね? そろそろ半年になるが学園には慣れたかい?」
 車内はウィンドウもブラックコートが貼られ、太陽光が入り込まない
ようになっている。
 そのせいもあって僅かな室内灯に慣れるまで時間を要したが、何とか
顔を見れるようになった。
 年は60歳は間違いなく過ぎているようだ。もしかしたら70歳近いかも
しれない。
「あ…はい。おかげ様で何とか」
「そうか。なら何か思い出したことはあるか? 生い立ちや両親の事とかは」
「?」
(何を言ってるんだろう? 記憶がないと先生に嘘をついたのは金曜日の事
だけど)
「そうか…思い出さないんだな。まぁ、いいさ。ワシも捜索願など
出ていないか調べておるが、今だに何も無い。どうやら事件性も薄そうだな」
「はい…すみません」
 とにかく覚悟はしていたが想像以上に答えに詰まる。

「お前が記憶を無くしてワシに拾われてから、早や六ヶ月か…とりあえず
ワシの遠い親戚ということで身分を作り学園に入れたが、記憶は戻らん
ままか」
「ごめんなさい…」
(何となく飲み込めてきたぞ。『あの男』がこの少女に化け、記憶喪失と
偽って理事長に取り入ったんだな)
「もっともワシは今のままで全然、構わないのだがな」
 老人のシワだらけの手が胸に伸びてきた。
「あ…」
(そうか…その代償として身体を提供してるのか。面白くなってきた)
「今日はまた、いつになくウブで可愛いわい。出会った頃の初々しさが
出ておる」

 もう一方の手が太股を撫でる。
「あ…いやん。恥ずかしい…です」
 スカートを捲られないよう、両手で裾を押さえた。
「大丈夫だよ。いつものようにワシらの声は聞こえないし、何も見えない。
安心をおし」
 傍らのボタンを押したのか、シートがゆっくりと倒れベッドのように
広がる。
「あ…でも…制服がシワになっちゃう」
 真っ白なブラウスも胸元で揺れるリボンも、男の自分には洗濯には特に
気を使う。
「そんなもの、幾らでも買えばよかろう」
「でも、私…バイトしてないし」
「バイトなんかしなくていい。おっと忘れる前にコレを渡しておくか。
年を取ると忘れっぽくなるからな。わははは」

 老人は高そうなスーツの内ポケットから厚めの封筒を取り出した。
「無駄遣いするんじゃないぞ」
 しっかりとしたその封筒は言葉からしても間違いなく現金だった。
しかも、その厚さと重さから優に20万位は入っていそうだ。
「いいんですか?」
(いいもなにも毎回、貰ってるんだろうからなぁ。断る理由もないし、
今の僕にはお金は幾らでも欲しいところだ)
「来月の第三火曜日までは、それでもたせなさい。いいね? バイト
なんか絶対にするんじゃないぞ」
「はい。有難うございます…」
「うん、なら続きを始めるか」
 老人はスーツを上下とも脱いでハンガーに掛ける。続いてトランクスの
中からナマコのようなイチモツを取り出した。

「さぁ、こいつをいつもみたいに、その可愛い口で大きくしてくれるか」
「…はい」
(げっ? コレ、咥えんの? 嫌だなぁー)
 チュッ
 亀頭の先端部に軽いキスをする。清潔にしているようで嫌な匂いも
味もない。
 はむっ、くちゅ
 大きく口を開けて、その柔らかな物体を口中に飲み込む。
「おお、いいぞぉ。もっと舌を使ってな」
「あむ…」
 咥えたままで返事をする。
 舌を使い、溝や隙間を丁寧に這わす。

(続く)


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