『BAD MEDICINE(良薬は口に苦し)』 【その9】
 作:嵐山GO


「濡れてんじゃん。薬が効いてるのか。これならスグに入れられそうだ」
「やめて、お願い! そんなの入れないで。怖い」
「大人しくしていれば痛くはしないからさ。じゃ、入れるよ。美遊ちゃん、
まず僕の童貞から貰ってくれる?」
 ズニュ、ヌルーリ
「キツイけどすんなり入りそうだ。うおっ、暖けぇー。しかもグニュグニュ
動いて最高っ!」
「処女膜は破ったのか?」
「血は出てないみたいだぞ」
 いかにも経験の浅そうな会話が飛び交っている。
「ひ、酷い…ヴァージンだったのに…」
 少しだけ目に涙を溜めて泣きまねを試みる。

「メチャメチャ気持ちいイイぜ。多分、こいつだって女になって一晩
越したんだ。オナニーしたに決まってるさ」
「そ、それもそうだな。俺だってやるだろうな」
「でも処女には違いない。超ラッキーじゃん」
 不毛な会話は更に続く。
「もう嫌ぁ。離してー。もう私から離れて!」
 嫌がる態度をとりながら、ちょっと下腹部に力を入れてみた。
「うわっ! 締まる。締まってきた。だ。駄目だ。出る!」
「おい、おい。さすがに中出しはまずいぞ」
「それに俺たちも犯るんだからな」
 さすがに射精については計画してなかったのか、外野から忠告が入る。

「やめてぇ! お願い…中で出さないで!」
 更に力を込めて締め上げる。
「あうっ! だ、駄目だ! もうイク!」
「きゃんっ! やんっ!」
 引き抜くと同時に射精したようで、俺の太腿に暖かいものがかかった。
「気持ち良かった…ふうふぅ…早く、お前たちも早く犯れよ」
「よし、交代だ」
「ヤバイ。見てるだけでイッちまいそうだ。お前が終わるまでもつかなぁ」
 その後も3人は何度も交代して、結局1人3回ずつ挿入した。
 唯一、救いだったのはそのあまりの早さだった。入れて、ものの数分も
しないうちに全員が果てた。
 それと中出しをされなかったのも一応、感謝すべきだろう。
 俺自身も拒絶し抵抗しながらも、こっそりと2度ほどイカせて貰ったし。

「美遊ちゃん、いや三郎。悪かったな。でもこれで約束は果たして貰ったんだ。
いいよな?」
 ティッシュで至る所を拭き取りながら、主が言う。
「交換条件がある…」
 俺はパンツを穿き、口調を戻すと言った。
「交換条件? 何だ、それは? 言ってみろよ」
「全て上手くいくとしたら、妹の美遊が明日から俺たちの高校に
行くことになる」
「あー、それはそうだな。それで?」
「絶対に変身薬の事はあいつに言わないでくれ。俺は何とか妹を説得
してみるが、それも薬の事など知らないというのが最前提だ」
「当然の処置だろうな。今後がどうなるかお前の説得と妹さんの理解に
よって決まるといっていい」
「守れるか?」
「大丈夫だろ。お前とはクラスも違うし、もともと普段から大して話しも
しないし」
「それに、あと少しで卒業だからな。バレないんじゃね?」
 2人は合意してくれたが、1人が意地悪く言った。
「もしバラしたら、どうする?」
「お前らを訴えるさ。強姦罪か? 傷害罪か? 婦女暴行か?」
(やはり言ってきたな。用意しておいて良かった)

「訴えるって、どうやって? ここで起きたことは誰も証人が出ないぞ」
「これがある」
 俺はバッグの中から携帯電話を取り出した。
「携帯電話じゃないか。それがどうした?」
「俺の携帯はヴォイス・レコーダーになるんだ。大容量のマイクロ
ディスクを入れてきたから、ここでの会話は全て収録されているんだ」
「別にバラすつもりなど無いけどさ、じゃもし、その携帯を俺たちが
取り上げたら?」
「もう遅い。今、自宅のパソコンにデータを転送したところだ」
「はは、さすがに準備周到だな。大丈夫だって。俺たち、そんな事
しねーよ、なあ?」
「ああ。まかせろ」
「約束する」
「有難う。だったら俺も一つお前たちに良い提案を出すよ」
「それが交換条件なんだな?」
「ああ、それはお前たちがセックスしたくなったら俺が相手してやる。
どうだ?」

「願ってもないことだが、お前はそれでいいのか?」
「実は今だから言うが、本当は気持ち良かった。だからスルのは
嫌じゃない」
「成る程ね。演技してたって訳か。役者だな。今、考えれば、この
会話を俺たちがヴォイス・レコーダーに録っていれば逆転出来たわけだ」
「逆転したことにはならんだろう。それが何になる?」
「それもそうだな。美遊ちゃんの身体を好きに出来るんだったら、
これ以上の事は無いな」
「じゃ、時間も時間だから帰るぞ。薬も貰ったし」
「ああ、俺たちはもう暫く余韻を楽しむよ」
「じゃ、これからは携帯に連絡してくれよ。学校では会えないから」
「そうだな。分かった。あ、一ついいかな?」
「何だ?」
「俺たちに会うときは言葉遣いも美遊ちゃんになってくれよ。さっき
みたくさ」
「うん、分かったよ。お兄ちゃんたち。また美遊と遊んでね」
 俺は身なりを直し、小さくウインクして部屋を出た。
 大きな大きな山場が、まだ一つ残っているのだ。  


(続く)


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