『BAD MEDICINE(良薬は口に苦し)』 【その6】
 作:嵐山GO


 俺はゆっくりと立ち上がって小さく丸まったパンティを拾い穿いた。
 同様に脱ぎ捨てられたパジャマも着る。
「単純に考えれば美遊が俺になってくれればいいのだが…そう簡単には
いかないぞ。そもそも何故、俺は美遊に変身したのか考えないと」
 俺はベッドに戻り、再び仰向け状態で帰宅してからの行動を
振り返った。

「薬を飲んだよな…それからアイドルの雑誌を見て、少し寝たんだ。
起きた時には、もう美遊になっていた…薬は、たしか麦茶と一緒に
流し込んだが、それは関係無いだろうな」
 目を閉じて懸命に何か原因が無いか探る。
「睡眠をとったから? いや、違うな。なら俺は、実は美遊になり
たかったとか? いや、それも無い。ならば美遊を抱きたかったから?
まぁ…それはある。それが決定的要因? そうだろうか?」
 
 仰向けから、うつ伏せになって更に考える。
「分かったぞ! この匂いだ…この美遊の身体の匂いが俺を変えたんだ。
そうに違いない!」
 少女特有の花のような心地よい匂いに包まれて寝たことが脳への、
あるいは脳からの指令を狂わせた、そういう結論に達した。

「他に考えられない。だが…だったらどうする? まずは美遊に薬を
飲ませるよな。手段は後で考えるとして、今は段取りを考えてみよう。
次に寝かせて俺の部屋へ運ぶ。俺の布団は、それこそ体臭がたっぷりと
染み込んであるぞ。部屋だって男の匂いそのものだ。だから美遊はおろか、
母親すらも入ろうとしない。そうだ! 夕べ、オナニーした時の精液が
ティッシュに包(くる)んで、まだゴミ箱の中だ。あれも枕元に置いて
嗅がせてやるか」
 妹が自分の部屋で寝ている姿を想像しながら、ほくそ笑む。

「まだ問題は山のようにあるぞ。まず薬をどうやって飲ませる? 
それに俺は美遊の前に出て行く訳にはいかない。次に寝るとは限らない。
変身薬と同時に睡眠薬を飲ませる必要があるな。それから…次に部屋に
運ぶだろ。今の俺の力では困難だろうが、そんなことも言っていられない。
 後は…後は服も着替えさせておかないとな。俺の時は良かったが、
美遊が俺になるとしたら体格が違い過ぎて服が窮屈だろう。こんなとこか? 
…まぁ仮にここまで上手くいったとして、目覚めたとき、どう対応する? 
そ知らぬ顔をして俺が美遊を演じるのか? 無理だな。多分、大騒ぎに
なるな。元が女だからな。信じて貰える貰えないは別としても、
騒ぐのは必然だ。俺が美遊を演じ続けるのも自信が無いし…参ったな」


ゴロンと回って又、天井を見つめる。
「薬…か。睡眠薬だって入手出来ないんだし、あいつらに頼むか。頼む? 
という事は俺が美遊になったことは話すんだな? ま、それも避けられない
か…よし、結論は出た。電話しよう。とにかく今の俺には時間が無さ過ぎる」
 ピポパパパプ
 俺は携帯を取ってきて、化学部の友人の1人に電話した。
「はい。もしもし三郎? どうした、こんな時間に。変身は上手くいった
のか?」
「あのさ、聞いてくれ。頼みがあるんだ」
「ん? 君、誰?」
「あ、そうか。んーとな、話せば長くなるから手短に言うけど、こんな声だが
俺は三郎だ。信じてくれるか?」
「へー、そうなんだ。女みたいな声だな。最近、流行りの男の娘系の
美少年にでも変身したのか?」
「違うんだよ。俺は、美遊に…妹になっちまったんだ」
「へ? それって、どういう事?」
 
 俺は、簡単に済ませたかったが結局、10数分に渡って今日の経路を
説明した。
 加えて妹を強制的に変身させるために睡眠薬が必要な事も。
「…成るほどね。大体、分かった。1〜2時間ほど眠る薬だな。お安い御用だ。
用意しよう」
「悪い。助かるよ」
「それと、もう気づいてるんだろうけど、無理やり妹をお前に仕立て上げても
本人は納得いかないぞ」
「分かってる。それも大問題なんだ」
「俺にいい考えがあるよ」
「ホントか!? どんな?」
「明日、薬を渡すときに説明する。俺の家に来いよ」
「学校じゃなくていいのか? 部室じゃなくて」
「睡眠薬程度なら、家庭にある薬の調合で何とかなる。それにお前、妹の姿
だろう?学校違うから目立つぜ」
「そ、それもそうだな」
「妹が外泊から帰ってくるのは何時だ?」
「さぁ? 昼位かな?」
「なら早い時間に来いよ。薬は今から作っておくから」
「本当に悪いな。ちゃんと礼はするよ」
「その言葉、忘れんな」
「ああ、じゃな。おやすみ」
 ツーーーーー

「これでいいのか…な? いや、もう他に方法が無い。あいつに頼るしか
ないんだ」
 携帯を机の上に置いてベッドに戻る。
「礼か…変身薬を貰ったときも約束したな。女を紹介しろとか言われたっけ。
おそらく…いや間違いなく俺は犯られるんだろうな。自宅に呼んだのも、
それが目的だろう。あいつ、美遊の事、気に入ってるみたいだし。ま、別に
構わないか。女の快感はさっき覚えたんだし、合意の上なら酷い事もしない
だろう…ならば」
 ベッドから下りて、洋服の入った引き出しを引く。
「むしろ、俺の方から誘惑して奴の弱みを握るか…あいつの口止めも
必要だからな。美遊が俺の姿で学校へ通うとするなら、薬のことを
バラさないとは限らない…」
 シワになりにくい生地の服を探した。
「出来れば脱がずにすむものがいいな。こっちのミニスカートと上は…
すぐに捲れるキャミソールかタンクトップとかにするか。どうせなら上下、
お揃いの可愛い下着とかないかな?」
 俺は自分が抱かれることを期待しながら、丹念に衣類を物色した。

「これでよし。本当にこれで上手くいくのなら俺は、明日から完全に
美遊で、明後日からはセーラー服を着て中学に通うことになる。へへ、
それはそれで面白そうだ」
 壁に掛けられた制服のリボンが眩しい。
「まだ時間も早い。今日はとことんオナニーしまくろう。なんてったって
明日は俺のバージン卒業記念日になるかもしれないんだ。奴のチンポで
イキまくれるよう、しっかりと慣れさせとかないとな」

 それから数時間、日付が変わるまで俺はオナニーに耽り、イキまくった。


(続く)


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