転身  (その34)
作:ecvt



移動中の車の中で紀香の記憶を読むと、彼女はアフリカのドキュメンタリーに出演して心打たれてから、このチャリティー活動に注力しており、何回も病院や学校、施設で募金を募っていたのだが、いかんせん紀香は真面目に訴えかけることを信条として活動しており、イベント自体が芸能色を一切廃した地味なものであるために盛り上がらず、イベント観覧者の多くは紀香見たさの冷やかしで、その多くはイベントの地味さと真面目さに失望し、募金はせずに去って行ってしまうため、思うように募金が集まらない状況が続いているということだった。
周りのスタッフも、もうちょっと芸能色を出した企画をした方がいいとアドバイスしたのだが、紀香が頑としてその一線を譲らなかったのだ。
(そっかぁ、紀香さん、まじめにこんなイベントで地道な活動もしてたんだな。俺も今は藤本紀香なんだし、同じ紀香としてなんとかしてやりたいなぁ)
俺はガサガサと荷物を漁ると、衣裳部屋から何個か適当に盗んできた衣装の中からそのひとつを取り出した。
(これは・・・これなら集客間違いなし!要は募金が集まりゃいいんだろ?うんうん、まじめにやりすぎるのはよくないよ、紀香さん!ムフフ・・・俺が新紀香としてあなたの技と肉体を使って、紀香さんの為に今までより数倍の募金を集めてあげますからね・・・!)
「マネージャー、今日、私にちょっとアイディアがあるの」


「募金、よろしくねぇん!」
病院に着いた俺は、藤本紀香としてチャリティイベントに参加し、院内を練り歩きながら募金を呼びかけた。
俺が男性にちょっとウインクして、手をギュッと握りながら募金をアピールすると、みんな鼻の下を伸ばしながら募金してくれた。
「紀香さん、いつもの数倍は募金が集まってますね!こんな格好までして頂いて、本当にありがとうございます!」
「そんなぁ!アフリカの恵まれない子供たちの為ならお安い御用よ!それにみんなの努力のおかげよ。もう一息頑張りましょう!」
(これぞ、紀香の有効活用だよな!。あの紀香がこの色っぽい格好で募金お願いすりゃちょろいもんさ!)
俺が下を眺めると、俺は白いハイレグのレースクイーンのような衣装を着ており、胸の谷間は強調され、背中はパックリと開いている。そして股ギリギリの白いハイレグ衣装からはスラッと長く色っぽい脚が伸びている。
俺と握手をすると、鼻の下を伸ばした男性たちが次々と募金箱に募金をして行く。
(くくく、中身が男の俺とも知らずにめでたい奴等だ。でも、募金はどんどん集まるし、紀香さんに体を借りた恩返しができたかな!・・・さぁて、俺の病室は・・・)
「あった!」
(個室で面会謝絶かぁ・・・)
「どうなさったんですか?」
マネージャーが怪訝な表情で俺の顔を覗き込んできた。
「な、な、なんでもないのよ!」
各病室を周った後、ロビーにあるメインステージに戻った俺は、あたりを見回した。
やはり、あの藤本紀香である俺に羨望の眼差しが集まる。
(気分いい!もうちょっとこの紀香を使ってみんなを楽しませてやりますか!)
「今日はたくさんのチャリティ賛同ありがとうございましたぁ!最後に私の踊りを見てくださーい!」
仕上げに俺は、この衣装をお尻に食い込ませると、紀香の記憶を使って、彼女が以前やった、キャバレーを題材にした舞台でのセクシーダンスを披露してやったのだった。
(紀香さん、この舞台のダンスの練習にも数ヶ月かけて特訓したみたいだから、ここでも活用できてよかったよね?ふふふ・・・)
「おっと!」
踊りが激しすぎて、オッパイポロリしてしまった。
会場はさらに盛り上がる。
(いっけね!でも恥ずかしいのは紀香さんだからいっか!それに紀香さんもさらに会場が盛り上がって募金が増えるんだから喜んでくれるか!)
俺は胸を整えながらも激しいセクシーダンスを続けたのだった。
こうして募金もどんどんと集っていき、いつもの十倍もの募金を集め、大盛況のうちにチャリティイベントは終了したのだった。
予定時間を大幅にオーバーしたため、すっかり夜が深けている
「紀香さん、イベント、大成功でしたね!今まであれほど頑なに芸能色の強いイベントは毛嫌いしていらっしゃったのに・・・大転換が項を奏しましたね!さすが紀香さんは凄いです!」
「でしょー!?やっぱり紀香ブランド使って、お金集めてナンボよねー!じゃあ、今日はこれでお仕事終了よね?」
「はい、そうです。お着替えの後は御自宅までお送りしますが?」
「あ、あぁ、ちょっと用事があるので自分で着替えて帰ります。荷物も置いていっていいわ」
「わかりました。じゃあお疲れ様でした。」
「お疲れ様―!」
マネージャーに頼んでいた、コンパクト録画装置でのイベントの録画映像を確認してその装置を受け取ると、マネージャーを見送った。
「しっかし、この衣装・・・辛抱たまらん!」
あらかじめ調べておいた人気のない女子トイレに駆け込んだ俺は、興奮を抑えられず、すぐにオナニーを始めたのだった。
「あぁん!私のためにこんなに募金を集めてくれて・・・あぁん!ありがとう!」
「そんな・・・チャリティのために当然のことをしたまでです」
「なんてお優しいお方・・・お礼に思う存分私を味わって頂戴!」
「紀香さぁーん!あぁん!」

長時間のオナニーを終え、女子トイレから出てくると、すっかり病院は暗く静まり返っていた。
「あぁ・・・股が痛ぇ・・・ヤリ過ぎちまったかな・・・さぁて、見つからないように俺の病室へ向かいますか!」
「あぁん!早くあなたのチ○ポが挿れたいわぁん!」
「やらしい女だな、今、望みをかなえてやるからな」
「紀香、うれしい!」
そう一人芝居をした俺こと藤原紀香は、股を擦りながらがに股で、俺の病室に向かったのだった。


(続く)


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