転身 (その26) 作:ecvt 「・・・!有坂教官、こんな時間にどうされたのですか?それにその格好・・・!?」 「格好のことは後で説明するわ!緊急招集よ、皆制服に着替えて一階ロビーに集合するように!」 「はい!」 (おぉ!さっすが恐れられているだけあるな、皆の行動が素早い!) 寮に入った俺は、偉そうに腕組みをしながらそう命令すると、慌てて生徒たちが整列するのを眺めていた。 「3分40秒!遅い!着替えて整列するだけなのに一体何分かけているの!?そんなことではお客様を満足させることなど到底出来ないわよ!」 「はい、すいません!」 俺がみどりを使って言った適当な評価に対して、申し訳なさそうに生徒たちは声を揃えて謝ってきた。 (おぉ、さっすが俺!威厳あるなぁ・・・!にしし・・・) 「今日集まってもらったのは、急遽決まった会社の新しい方針についていち早く教えるためです。今日はそれを覚えて、明日の朝一番、実習の開始と同時に実践してください。いいわね?」 「はい!教官!」 (うっひょー!気分イイ!) 「よろしい。では、おりしの航空不況により、我が社も苦しい立場に置かれていることは知っているわね。そこで緊急に接客方針が変更されることになりました。テーマは、[より男性のお客様に親しみやすく喜んでいただく]です。ビジネス客の大半は男性です。その男性客の心をしっかりとキャッチすることで、それを我が社の特徴としていく、ということです。これからはそれに注意して接客を学んでいってください」 「はい!」 (うんうん、いい生徒たちだ・・・) 「教官!」 研修生のリーダーである井上和香子が手を挙げた。とても芯がしっかりしていて真面目だとみどりの記憶が教えてくれる。 「なんでしょう、井上さん」 「はい、では男性のお客様に喜んでいただくには、具体的にどうしたらよろしいのでしょうか?」 「いい質問ね。それを今から説明します」 「よろしくお願いいたします、教官!」 「では私がしているように胸元を開いて谷間を強調する!」 そう言いながら俺がさっきよりも大げさに胸元を開いて前に突き出した。 皆ザワザワとしだした。 「ホラ、なにやってるの!?コレは会社の決定事項よ!そんなことを躊躇しているようじゃ一人前のCAにはなれないわよ!?今すぐここから出て行くことね!」 「すみません、教官!」 生徒たちは俺の命令に従って、次々と胸元を開き、谷間を強調させた。 (おぉ!いい眺め・・・) 「・・・教官?」 またリーダーの井上が俺に声を掛けてきた。どうやら自然と顔が緩んでしまっていたようだ。 「・・・コホン。ではその次にスカートです!」 俺はまたキリッと表情を戻すと、スカートをぎりぎりまで捲り上げながらそう言った。 今度は生徒たちも素直に従った。 (いいね、いいねぇ・・・!) 「よろしい!コレで男性客が喜ぶこと間違いなしです!明日の研修からは必ずこの格好で行うように!いいわね?」 「はい、教官!」 「では次に挨拶です!コレも今まではカタ過ぎたという会社からの通達があり、変更となりました。新しい挨拶はこうです!」 そう言って俺は胸を両腕で挟んで、だっちゅーのポーズをとりながら前屈みになり、顔だけを上げ 「おっはよほほーい!お帰りなさいませ、ご主人さまぁ!」 と言ってやった。 「どう?柔らかくて男性ウケしそうな挨拶でしょ?ホラ!皆も私に続いて!おっはよほほーい!お帰りなさいませ、ご主人さまぁ!・・・ハイ!」 「おっはよほほーい!お帰りなさいませ、ご主人さまぁ!」 「まだ胸の挟み込みが足りない!もっとこうよ!こう!じゃ、もう一回!」 「おっはよほほーい!お帰りなさいませ、ご主人さまぁ!」 俺の命令するがままに寮には「おっはよほほーい!お帰りなさいませ、ご主人さまぁ!」の声が響いていた。 (あっはっは・・・!コイツはけっさくだぜ!) 俺がは心の中で腹を抱えて笑っていた。 「後は写真とかに撮ってみるか!」 みどりはその姿を写真に収めようとカメラを取り出そうとしたところ、生徒の一人が俺に近付いてきた。あのリーダーの井上和香子だ。 「教官、ちょっとよろしいですか?」 「はい、なんでしょう」 「ここではちょっと、他の生徒の目もありますし・・・」 「わかったわ、じゃ、皆は各自向かい合ってペアで練習するように!私はちょっとトイレに行ってきます私が戻るまで続けるのよ?」 「はい!」 俺は井上和香子をトイレへと呼び込んだ。 「で、どうしたの?井上さん」 「あんな挨拶、おかしいと思います」 「あらあら、残念だけどこれは会社の方針なのよ?まだ正式なCAでもないヒヨッ子のあなたが口を出せることではないわ」 「でも皆の中にも半信半疑で練習してる人がいます。私はリーダーとして・・・」 「あら、それはよくないわねぇ、それはリーダーのあなたがちゃんと諭さないと」 「でも私自身も疑問を感じていて、とても諭すことは・・・」 「リーダーなんだからもっと率先して皆に教えるぐらいじゃないとダメよ!ほら!」 「確かに教官が言って、さらに私も率先して言えば、皆信頼してやってくれるとは思うんです。でも私、いくら会社の方針でも・・・嫌なんです!こんな格好してあんなバカみたいな挨拶・・・」 「それはよくないわぁ!リーダーであるあなたがそんなだから半信半疑の人が出てくるのよ、あなたが中心になってもう一度練習を再開してしきなさい!ほら、段々とロビーから聞こえてくる声が小さくなってきているわよ?」 「でも私はこんな女を売りにする女性軽視の・・・!」 井上和香子は目をキッとしてみどりを睨み付けてきた。 (めんどくせぇ奴だな!顔はイマイチ好みじゃなぇが、しょうがねぇ) 「まあまあ、この格好もなかなかいいものよ!ほら、鏡の前に立って!」 そう言いながら俺は和香子の両肩を後ろから掴み鏡の前に立たせると、彼女の肩に顎を乗せてそう言った。 「さぁ、皆の前であなたが率先してやって、皆をまとめるのよ、いいわね?」 「い、嫌です、わたし・・・絶対・・・やらな・・・や・・・やりまーす!うっひょー!コイツ、めっちゃ巨乳じゃん!ラッキー!」 床に崩れ落ちたみどりを無視して、鏡に向かいながら嬉しそうな表情で胸元を覗き込み、自らの胸を両手で鷲掴みにした井上和香子は、みどりからカメラとグッズを取り上げると、みどりの身体を引きずって洗面所横の掃きだし窓から放り出した。 「ご苦労様!みどりさん!後の指導はリーダーの私にまかせてね!」 そう言ってウインクした和香子はブラを外してゴミ箱に捨てると、嬉々とした表情で走ってロビーに戻った。 「うぉぉぉ!胸が、胸が揺れるぅー!」 ガチャ 「ほら、みんな!声が小さくなってるわよ!こんなことじゃ明日また有坂教官に怒られるわよ!有坂教官はもうお帰りになったから、続きは後を任された私がやりますね!ほら、山田さん、胸の谷間の強調が足りないわ!もっとこうよ、こう!田中さんもスカートの丈が長すぎるわ!もっとぎりぎりまで上げて!そう!じゃ、私に続いて!おっはよほほーい!お帰りなさいませ、ご主人さまぁ!」 「おっはよほほーい!お帰りなさいませ、ご主人さまぁ!」 「そう!もう一回!胸をこう振って!おっはよほほーい!お帰りなさいませ、ご主人さまぁ!」 俺に身体を乗っ取られた井上和香子は、ノリノリで先ほどまで自らが反対していていた格好と挨拶を生徒たちに必要以上に体を密着させたり、自らの胸を振りながら指導し、持ち前のリーダーシップを使ってクラスをまとめていったのだった。もうそれを疑う者はいない。 「じゃあ、教官に報告するために一人ひとり写真をとっていきまぁーす!」 カシャ! 「いいねぇ!次!じゃあ最後に私も!」 井上和香子は次々と生徒や自らの写真をカメラに収めて満足すると、 「ハイ、終了!じゃ、おつかれさまでしたぁ!」 といってその場を解散させた。 「和香子って、最初は一番反対してたよね。でも最後は一番熱心だったわね!ノーブラで接客なんて、大胆!」 「・・・そ、そう?だって、この方がより男性のお客様に喜んでもらえると思って!それに会社の決定には従わないとね!苦しいこと嫌なことから逃げばかりじゃ一人前のCAにはなれないもの!それにあの格好もやってみると楽しいしね!明日から新しい格好と新しい挨拶、がんばろうね!」 「和香子は偉いね!さっすが私たちのリーダー!」 「えへへ、照れるなぁ・・・じゃあまたねー」 俺は和香子として適当に友達をあしらって和香子の部屋に逃れると、すぐにTシャツ姿となった。 「うっひょー!顔はそこまで好みじゃないけど、胸は今までで最大級だな!巨乳アイドルになれるよ、コレなら!」 和香子は鏡の前で自分の胸を珍しそうにいじくりまわすと、Tシャツにミネラルウォーターをかけ、鏡の前でポーズをとった。 「いいねぇ、色っぽぺぇ!それにしてもでけぇなぁ、そうだ!」 和香子は嬉しそうに自分の胸にリモコンやボール、色々なものを挟み込んで楽しんだ。 「おぉ!胸で何でも挟めるなぁ!おんもしれぇ!」 そして和香子はTシャツを捲り上げると、左胸の乳首を自分の口へと持ってって嘗め回すのだった。 「こぉんなことも余裕でできるぜぇ、あっあぁぁん!」 最後に和香子はみどりの荷物から奪ったバイブを胸の間に挟みこむと、スイッチを入れた。 「うぉお!たまんねぇ・・・!あぁぁぁあん!」 和香子が胸の感覚に陶酔していると、コンコンとドアがノックされた。 「和香子ぉ、うおぉ!とか変な悲鳴みたいな声したけど大丈夫?」 とドア越しに誰かが声を掛けてきた。 「ううん!ぜんぜん大丈夫!気にしないで、ごめんね!」 「うん、ならいいけど、じゃあねー」 「あぶねぇ、ここ部屋も狭いし壁も薄いんだったよな・・・でも、和香子身体が火照っちゃってもうがまんできなぁい!」 和香子は壁の薄い隣室に声が漏れないように声を殺し、自分で自らの乳首をくわえ込み、全裸で写真撮影しながらのオナニーで何度もイクのだった。 「あぁ、よかったぁ・・・でもこんな狭い寮の部屋で、硬いベッドで寝るのは嫌だな、床も水でびしょびしょだし・・・どこか他に行くか!さぁて、着替え・・・」 そう言ってベッドから起き上がった和香子は、クローゼットを漁りだした。 「うーん、なんかインパクトねぇなぁ・・・おっ、コレは・・・」 和香子の記憶によると、新年会の出し物用に借りているというバニーガールの衣装が出てきたのだ! 「コレだよ、コレ!早速着てみましょう!」 バニーガールの衣装に身を包んだ井上和香子は、こっそりとベランダから寮の外に出ると、そのまま寮を後にするのだった。 (続く) |