転身  (その23)
作:ecvt



「・・・梓紗?ちょっと聞いてるの?」
「・・・え?あ、あぁ・・・」
今日初めて会った俺の「親友」有坂みどりと共に、彼女行きつけのクラブに来た俺は、自分の胸元を凝視しながら、呼びかけてくるみどりに気のない返事を返した。
なんと今の俺・・・伊東梓紗の服は、慌てて濡れた水着の上に着たので、だんだんとシャツに水着と乳首が透けてきたのだ。
(うーん、色っぽいねぇ・・・)
「・・・でね、その客のせいで上司に怒られちゃったのよ、ヒドいでしょ!?」
「・・・そうね・・・」
みどりの話を聞き流しながら、革ジャン越しに自分の胸をチラチラと覗き込んでいた。
(いいねぇ、シャツにも乳首が透けて見えてきたよぉ・・・)
「そうねって、ちょっと梓紗、聞いてるの!?」
(あ、ぜんぜん聞いてなかったったけど、客とのトラブル話か・・・ふーん・・・ん!?これって俺の話じゃん!どっかで見たことある顔だと思ってたけど、コイツはあのときの美人だけどムカつくCAか・・・ひどい言われようだな、俺・・・)
「いえ、彼も彼なりの考えがあってのことなんじゃないの?あなたの勘違いかもしれないし、そ、そんなに責めたら可哀想よ・・・ねぇ・・・」
「へ!?ちょっとアンタ、親友の私より、そいつの肩持つの!?」
「いえ・・・彼もいい人よ、きっと・・・」
「えぇ!?なんで!?だってアイツこの私に向かってあんな事言ったのよ・・・!」
(へ!?アレは完全なオメ―の勘違い、逆切れじゃねぇか!とんだ高飛車CAだな!)
「オメーな!あれは・・・!」
(はっ、いっけね・・・!)
「はっ、・・・コホン、な、なんでもないわ、酷い事もあったものね、でも、もっとお客様のことを第一に考えないとダメよ。じゃないと彼が可哀想よ、じゃ、私はちょっとトイレに行ってくるわ、じゃあねぇ・・・!」
そう言って席を立った俺は、首をかしげながらこちらを見つめるみどりを尻目に、そそくさとトイレに向かった。

「・・・ったく、俺は今伊東梓紗だから、おおっぴらに反論出来ないけど・・・なぁんか、釈然としないなぁ!」
トイレに入った俺は、鏡に向かってそうつぶやいた。
「そうよね、親友の私からあなたに謝らせてちょうだい。お詫びに私の水着ショーの続きをお見せするわぁん!」
「そういうことなら仕方ないなぁ、お言葉に甘えて見せていただくとしますか!」
そう一人芝居をしながら梓紗はブーツと服を脱いで、水着姿になってポーズをとった。
「うっふーん!私は梓紗、伊東梓紗なのよぉーん!」
そう言ってお尻に水着を食い込ませ、前後に摩った。
「あっあぁん!スリスリして、梓紗、気持ちいぃーん!」
ガチャ!
そのとき、トイレの清掃に来た男性店員が入ってきた。
「・・・!し、失礼しました!」
若い感じの男性店員は顔を真っ赤にしながら、慌ててドアを閉めて走り去っていった。
「あはっはっ!そりゃびっくりするかぁ!なんてったってクラブのトイレで水着でオナってる客がいるとは思わないもんなぁ!・・・おっ。これは・・・」
俺は店員が慌てて落としていった「清掃中」の看板を床から拾い上げた。
「コレは使える・・・!」
「あぁぁぁあぁぁぁあんっ!!いいわぁぁぁん!」
・・・・・・
トイレのドアに「清掃中」の看板をぶら下げ、邪魔者がこないようにした俺は、梓紗の身体でのオナニーを堪能するのだった・・・・・・


「はぁっ、はぁっ・・・あー、気持ちよかった!」
水着でのオナニーを堪能した俺は、梓紗の身体で床から起き上がった。
「きったねぇ、トイレの床に倒れこんじゃったぜ・・・でも俺の身体じゃないし、ま、いっか!」
そして鏡に自分の顔を映しこみながら自分の顔を撫で回してそうつぶやいた。
「ふぅ、しっかし、親友のアンタにこんなことしてもらっても本人に謝ってもらわないとなぁ・・・うんうん、あのみどりってCA、ムカつくけど顔は俺の好みなんだし・・・そうだ!形だけでも謝ってもらいましょう!筋を通さないとここまでしてくれた梓紗さんに悪いしね!・・・うんうん・・・にしし・・・」
そう頷きながら梓紗はトイレを後にしたのだった。


「ちょっと梓紗、ドコ行ってたのよ!」
「あぁ、ちょっと、ね・・・」
何食わぬ顔で席に戻った俺は、みどりの隣に座ってテキーラを注文した。
「もう!私、あれから大変だったのよ!レズに誘われちゃって、ホラあそこの・・・!」
向こうの席にいる色っぽい女性が、みどりに向かって熱い視線を投げかけている。
「えぇ!あんなに美人なのにねぇ・・・いいじゃない、お誘いに乗ったら?」
「ちょっと、あんた本当にあの梓紗なの?私もレズなんて嫌だけど、あんたも曲がったことが嫌い、とか言ってレズなんて毛嫌いしてたじゃない!」
「そうだったかしら?レズるっていうのもなかなか楽しそうじゃない」
そう言いながらも俺は梓紗の身体にテキーラを何杯も飲ませ、泥酔させるよう仕向けた。
「楽しそうじゃない、って・・・冗談じゃないわ!それよりあなたそんなにテキーラなんてガブ飲みして大丈夫なの?」
「だぁいじょうぶよぉ・・・そんなことより、楽しんでらっしゃいな、ね?」
ぐでんぐでんになりながら梓紗はみどりにそう呼びかけた。
「冗談じゃないわ、レズなんて・・・絶対レ・・ズ・・・なん・・・て・・・・いいわねぇ、うん、親友のあなたが言うんだからちょっと楽しんでこようかしらぁん!あら、酔いつぶれちゃったの?私の親友の梓紗さぁん!まったく、しょうのない娘ね、じゃあ私は楽しんでくるわね!あなたのバッグに入ってるグッズ、もらうわよ!じゃあねぇ、梓紗!」
そう言いながら急に嬉しそうな表情で梓紗のバッグを漁って、色々なグッズやメモリーを自分のバッグに移し替えたみどりは、自分に向かって熱い視線を投げかける女性に向かって手を上げてトイレに誘ったのだった。
そう、みどりは梓紗を心配して近寄ったとき、グラスに映る梓紗と視線を合わせてしまったのだ。

「ぐふふ、やっぱり俺って美人だなぁ!なぁんちゃって!これも俺に言いがかりをつけた報いだと思ってね、みどりさん!さっきムカつくとか言ってた張本人に全てを乗っ取られてるなんて知ったら卒倒するだろうね!いい気味だぜ!好き勝手やらせてもらうよ!」
「えぇ、もちろんよ、全面的に私が悪いのよ、お詫びに私の身体も声も記憶も・・・なんでも好きに使ってちょうだい!あなたが有坂みどりなんだから!」
トイレに「清掃中」の看板を掛けて鏡の前に立ったみどりは、自分の顔を撫で回しながら鏡に向かって嬉しそうにそうつぶやくと、胸を揉みだした。
「あっはぁん!これが、CA,いや、スチュワーデスの胸かぁ・・・!柔らかいけど張りがあって・・・いいわぁ・・・」
「そう?喜んでもらえて嬉しいわ!」
そういいながらみどりは鏡に向かって胸を揉みながら嬉しそうにつぶやいた。
「あっはぁん!キスしてぇん!」
そして今度は鏡に向かって熱い口付けをしたのだった。
「どう?私のキスの味は?私、あなたのことが好きよ!あの時はあなたのことが好きで、ちょっと意地悪しちゃったの、お願いだからもっとキスして頂戴!」
そう言ってみどりは鏡に自分の胸を押し当て片手で自らの陰部を擦りながら、何度も鏡にキスをした。
(うぅん!いい絵面だ・・・こんなコト言わされて、こんなコトさせられて・・・本人に見せられないのが残念だぜ!さぁて、そろそろあの娘が来るかな?)
そう思っていた矢先、トイレのドアがノックされた。
「どうぞ、入って」
ドアを開けると、先ほどの色っぽい女性が入ってきた。
「どういう風の吹き回しかしら?さっきはあんなに無碍に断っておいて・・・」
「うふ、急に気が変わったのよ」
みどりはそう答えると、二人は熱い口付けを交わすのだった。


(続く)


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