転身  (その22)
作:ecvt



「どうやら友達が来るのには間に合ったようだな・・・どれどれ、[私]の部屋を物色させてもらいますか!まずはこの部屋から・・・ん?カメラがいっぱい・・・原稿らしきものと・・・へぇ、ルポライターか何かかな・・・?カッコいい!」
俺はその中のひとつのカメラの電源を入れると、下品に舌を出しながら梓紗となった自分にレンズを向けてシャッターを押した。
「うん!きまったね!お、コレは日記かぁ・・・別に後で記憶読めば全部判るからいっか!あれ?このあたりの写真、全部男の顔がマジックで塗りつぶされてるなぁ・・・どれどれ記憶を・・・ふむふむ、最近別れたのね、もう愛想が尽きて・・・ほう、未練はない・・・と、へぇ、こういう顔の奴かぁ、うん、別れて正解だよ」
「そうよね、でも、最近ヤッてなくてぇ!アソコが寂しいから慰めてぇん!」
「やれやれ、まったくしょうがないなぁ、梓紗さんは!さっきバイクで散々ヤッたじゃないか・・・!ではポチッと・・・にしし・・・」
梓紗はニヤけた表情でそんな一人芝居しながら双頭バイブのスイッチを入れた。
「あっあぁん!いいわぁ、やっぱりコレが無いと毎晩寂しくって・・・」
「喜んで・・・も、もらえ・・・ると、お、俺も・・・嬉し・・いよ・・・」
「あぁん!もうダメ・・・梓紗イッちゃうー!」
すでにバイクで何度もイッていて敏感になっていた梓紗の身体はすぐにイッってしまい、床に崩れ落ちるのだった。
バイブのスイッチを切ってヨロヨロと起き上がった梓紗は、今度はデスクの引き出しを開け始めた。
「お、4−5年前のファッション雑誌かぁ・・・お、コレって梓紗さんじゃぁーん!なぁーんだ、私って元モデルだったんだね!どおりでスタイルがいいわけだ、うんうん!」
梓紗は服を脱ぎ捨て、全裸にバイブが刺さった姿になると、ニヤけた表情でその雑誌と自分を見比べながら舐めるような視線で自分の身体を眺め、まるで珍しいものでも触るかのような手付きで撫でまわした。
「あぁん、ス・テ・キ!さぁて、お次は寝室だぜ!」
全裸にバイブ姿で胸を揺らしながら部屋から飛び出した梓紗は、廊下のドアを勢いよく開けた。
ガチャ!
「あ、違った、ここは洗面所か、寝室はこっちかな!失敗失敗!タンスは・・・あった、あった!」
梓紗は、勢いよく寝室に入ると、タンスの前にがに股でしゃがみ込み、タンスの引き出しを乱暴に次々と開け、服を投げ散らかした。
「さっすが元モデルだけあって色んな服持ってんなぁ!こんな超ミニスカートまで・・・若い頃のモデル時代の服かな?ちょっと履いてみよっと!そしてコレも若い感じ・・・」
ノーパンのままタイトなミニスカートを履いた梓紗は、上に丈の短いダウンジャケットを羽織って途中までチャックを閉めると、姿見の前に立ってモデルポーズをとった。
「うーん!股間の膨らみとジャケットの隙間から押し出されそうに見える胸・・・落ち着いた歳なのにこの若くて色っぽい格好のギャップがまたいいねぇ!」
「そうかしら?喜んでもらえて嬉しいわ」
そう言って鏡に向かってウインクした梓紗は、別の引き出しの物色を始めた。
「こ、コレは・・・学生時代のブルマ!」
梓紗はバイブを自分の股間から乱暴に引っこ抜くとイソイソとそれを身に着け、姿見の前に立った。
Tシャツにはしっかりとマジックで書いた[伊東]の苗字が書かれている。
「いいねぇ、この股間にピッタリ吸い付く感じと、この年齢とのアンバランスさ!」
そう言いながら梓紗はTシャツを捲り上げていった。
「いいね、いいねぇ!下も下げちゃおっかなぁ!おぉう!こんなコト、普通ならぜぇったいやってくれないよな・・・」
鏡に向かって満足気な表情をした梓紗は、Tシャツとブルマを元に戻すと、また物色を始めたのだった。
「さぁて、この引き出しは・・・おぉ、これは・・・梓紗さんのパンティー!」
自分の下着がしまわれている引き出しを見つけたブルマ姿の梓紗は、取り出したパンティーを左右に広げて掲げた後、においを嗅ぎだしたの。
「フンフン!はぁー・・・いい香り・・・!あぁ、鏡に映ってる梓紗さんの姿、超変態だよぉ」
「そうよ、私はド変態なのよぉーん!もっと他の下着も見てねぇーん!」
「わかった、わかった、どれどれ他は・・・へぇ、私ってこんな下着持ってたんだぁ!へぇー、これって今はぜぇーんぶ俺の下着なんだよね・・・へぇー、ふぅーん・・・」
「なんだか悪いコトしてるみたいだけど、俺は伊東梓紗なワケだし、今ここは自分の部屋で、コレは自分の下着なんだから、何やってもいいんだよな!」
「そうよ、この下着はぜぇーんぶあなたのものなのよ!自分で自分のものを見てるだけなんだからぁ!好きなように物色してちょうだい!」
「なら、お言葉に甘えて・・・」
梓紗は自分のランジェリーがしまってある引き出しを嬉しそうに覗き込むと、次々と下着を取り出しては、引っ張ったり、においを嗅いだり、頭に被ってみたり、胸に当てがってみたりしながら、まるで初めて見るかの様な嬉々とした表情で下着の物色を始めた。
しばらくすると飽きたのか、下着を辺りに投げ散らかしたまま立ち上がった梓紗は、今度はクローゼットを開け、その中の引き出しの物色を始めた。
「おぉ、こ、これは・・・、ハ、ハイレグの水着・・・!ヘソの辺りがぽっかり空いてて・・・こ、これも俺が着ていいんだよな・・・」
梓紗は嬉しさと緊張が混在した表情で白いハイレグビキニを着込んで姿見の前に立った。
「おぉぉ!こ、コレが俺かよぉ・・・!超色っぺぇー!うふん!」
そう言って梓紗は姿見の前でポーズをとると、ウインクをした。
「うーん、せっかく胸が大きいんだから、パットなんか邪魔だな!うん」
梓紗は胸のパットを乱暴に引っ張って外すと、胸を両手で掬い上げながら、姿見の前で再びポーズをとった。
「乳首がぷっくりと盛り上がって・・・うーん、最高!・・・やっぱり下もだな!」
下の股間を覆うカバーも外すと、またポーズをとってみた。
「あんまり透けないなぁ・・・よ、よし、濡らしてみよう!」
梓紗そのまま洗面所を通り抜けてバスルームに駆け込むと、水着にシャワーをあてながら床にしなだれて色っぽいポーズをとった。
「うっふーん!乳首もアソコも透けて見えて、私ったら、なぁーんて色っぽいんでしょう!そうだ、コレを写真に収めよう!」
梓紗はフローリングが濡れるのもお構いなしに、ビショビショのままバスルームから出て最初に入った部屋に戻ると、三脚とカメラを持ち出し、バスルームに戻った。
「うっふーん!モデル、伊東梓紗の復活撮影会よぉーん!」
そういいながら梓紗は、自動で切れるシャッターに合わせて色々なポーズをとって、その姿を次々とカメラに収めるのだった。
「こぉーんなポーズとっちゃったりしてぇん!うふっ!盛り上がってきたぞぉー!」
梓紗を思い通りに動かしての撮影会に興奮しきっていたそのとき、
[ピンポーン]
家のインターホンが鳴った。
「友達来ちゃったのかよ!俺まだ水着だし・・・!」
(やっべぇ、急いで記憶読まないと・・・!えぇっと・・・・)
・・・・

「・・・はい」
[ごめぇーん!遅れちゃったぁ!怒ってる?]
「まったく・・・相変わらずね、みどりも・・・怒ってないわよ。今下に行くから、とりあえず何か食べに行きましょう」
[そうね、じゃ、私がオゴるわ。昔っから梓紗のそのさばさばしたところが大好きなのよね・・・梓紗も相変わらずね!]
「当たり前じゃない、じゃあちょっと待っててね」
(ふふふ、実は君・・・有坂みどりさんの親友である伊東梓紗は、五年前とは中身がすっかり変わっちゃってるんだけどね・・・)
即効で部屋を片付け俺は、水着の上に梓紗のジーンズと白いシャツを着て、革ジャンを羽織ると、革のブーツを履いた。
「うーん、バッチリ!」
姿見の前でもう一度ポーズをとると、カメラのメモリーカードを例のメモリーチップが入ったバッグに入れ、何食わぬ顔で俺の[親友]、有坂みどりの待つロビーへと降りて行った。
「・・・待たせたわね、みどり」
そう言った梓紗の顔には薄っすらと笑みが浮かんでいた。


(続く)


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