転身  (その12)
作:ecvt



(ふふっ、見てる見てる・・・)
スタイルのいい美人が、ピッチリとしたスパッツと、乳首の浮き出たタンクトップ姿で、上気した表情で走っているという異様な姿に、人々は顔を赤らめたり、いやらしい視線や好奇の眼差しでこちらを見つめていた。
(くぅー!快感っー!でも、俺がこんなことしてるのに恥ずかしいのは美紀さんなんだよな・・・実際にやってるのは美紀さんの身体なんだから・・・ふふふっ!・・・あぁん!しっかし、その興奮と刺激が思った以上に過激で・・・タンクトップにすれる乳首とバナナからの刺激でもう・・・!やばい・・・!)
「あぁん!も、もうだめ・・・腰がガクガクで・・・ま、また・・・あぁぁぁぁ・・・」
(もう中のバナナがグチャグチャだし、濡れてスパッツはぐしょぐしょで染みだらけだよ・・・も、もう歩けん・・・!病院どころか駅にさえたどり着けないぞ!ダメじゃないか美紀さん!)
俺は美紀の身体で息も絶え絶えでその場にしゃがみこんでしまった。
「はぁっ、いくら体力が美紀さんのものでも、中身が俺じゃあここら辺が限界かぁ。美紀さんの精神力であればもっと頑張れたのかもしれないけど・・・まぁ、本来の美紀さんならこんなこと絶対しないだろうけどね・・・へへっ」
(腰がガクガクでもう立てないし・・・そろそろ美紀さんからおいとまするとしますか・・・)
そんなことを考えながら俺はタンクトップを引っ張って美紀の胸元を覗き込んだ。
(おぉ、絶景かな絶景かな!これで見納めか、さぁてと、どこか人が集まるところまで・・・!お!あれは・・・)
辺りの建物を見回すと、そこには美紀がかつて勤め、現在休職中のフィットネスクラブがあった。
(お、ここなら人もいっぱいいるから都合がいい・・・)
「頑張れ、美紀さん!」
「わかったわ・・・でも私、アスリートとしてバナナは最後まで抜かないで頑張るわ・・・!」
「よく言った!そ、それでこそ俺の見込んだアスリート・・・!あぁん!」
俺は最後の力を振り絞ってなんとか会員専用駐車場のところまではたどり着いたが、バナナを抜かなかったことによる更なる快感の波が押し寄せてきたのため、そこで倒れ込んでしまった。スパッツはもう洪水状態である。
(き、気持ちよすぎるぜ・・・こうなったらこの身体で限界までイッてやろうじゃねぇか・・・)
「うひひ・・・美紀、ラストスパートよぉん・・・あぁあぁぁん・・・!」
快感に溺れ、乗り換えのことなどどうでもよくなった美紀は、フィットネスクラブの駐車場で、限界までの激しいオナニーを始めたのだった。
「あぁぁぁぁぁ・・・・・・へ、変態の美紀・・・さん・・・あっ・・・あっ・・・イ、イクゥ・・・」
(さ、最高だったよ・・・美紀さん・・・・あぁ・・・そういや、美紀さんって・・・元従業員だけど・・・・会員じゃないから入れないんだったっけ・・・女風呂・・・入りたかったなぁ・・・あぁ・・・憧れの女性専用フィットネス・・・も、だめ・・・)
俺は快感に溺れて気絶しそうになったそのとき、俺の目の前の車のクラクションがけたたましく鳴り、ツカツカとスーツを着た女性が降りてきた。。
「ちょっと、あなた!車を出すのに邪魔よ!・・・!?その格好・・・こんなところで何をやっていらっしゃるの!?迷惑条例違反になるわよ!」
「へ?」
どうやらフィットネスでトレーニングを終えて車に乗った会員の女性のようだ。キリッとメガネをかけてはいるが、よく見ると顔のつくりが整っていて、長身で色白で、モデル体型の美人であった。
「さらに猥褻物陳列罪で・・・あら、あなた確かインストラクターの方でしたわよね?一体どうなさったの?」
「え、えぇ・・・ちょっとトレーニング中にトラブルがあって・・・はあっ、はぁっ・・・」
「・・・トラブルって、まさか誰かに襲われたんですか?誰かに無理やりこんなことを!?私は弁護士です。相手を訴えるならまずは私にご依頼を。さて、まずは警察とかに連絡・・・」
(警察ぅ!?美人だけどうるせぇなぁ・・・)
「け、警察はいいの!これは自分の意思でやったんだから!それよりも私を病院に・・・はぁっ、はぁっ・・・」
「自分の意思で!?なんてことなの!あなたみたいな下衆がいるからいつまでたっても女性の地位は上がらないの!私はこれから大口の依頼人と会う予定なのよ!私の依頼人になり得ない人にこれ以上時間を無駄にすることは出来ないわ!勝手になさい!まったくもう!」
すごい剣幕で怒りだした女弁護士は立ち去ろうとしてしまった。
(マズい!行ってしまう・・・くっそう、俺好みの美人だけど、金・金・金!で性格はきつくて嫌な女!でも移れそうな身体はコイツしかいないし・・・うーん、やっぱり身体は俺好みのいい女だし、うん、逆に性格悪い奴の方が遠慮しないで好き勝手できるからいいかもな!中身は俺になっちゃうんだから性格は関係ないよな!)
「待って!」
彼女になることに決めた俺は思わず大声で彼女を呼び止めた。
「・・・!?まだ何か?」
「えーっと・・・私、本当は無理やりこんなこと・・・い、今遠くから見張られているから警察は呼ばないで・・・!とにかく私を車に乗せて病院へ・・・!」
そう言って涙を見せながら車に乗ろうとする彼女に覆いかぶさった。
「ちょ、ちょっと・・・!私はこれから依頼人に会わなきゃいけないの!おどきなさい!」
俺を振り払った彼女は、急いでエンジンをかけた。
そのスキに俺は彼女の車の後席に乗り込んだ。
彼女はそうとは知らずに、車を後進させようとバックミラーで後を確認してしまったのだ。
「・・・!ちょっとあなた!い、一体どういうつもり!?もうこんな時間よ!早く降りなさい!まったく・・・私はお金にならない依頼は受けないことにしているの!ほら、もう依頼人に会いに行かぁ・・・あ、ぁぁ・・・」
そして図らずも彼女は後席の美紀と目が合ってしまった・・・
彼女は、一瞬苦しそうな表情をした後、まばたきを数回繰り返すと、先ほどまでの彼女からは考えられないようないやらしい表情となった。
「・・・行かないわよ!・・・これから私、朝倉美和はもう一度フィットネスクラブに戻って、女風呂覗き放題するんだから!」
そういった美和は鏡に向かってウインクしたのだった。
そして車のエンジンを静かに切ると、美和は嬉しそうな表情で鏡を見つめ、うっとりとしだしたのだった。そう、俺はまんまと女弁護士、朝倉美和の身体を手に入れることが出来たのだ。
その時、突然、
[ピリリリリリ]
と美和の携帯が鳴り響いた。
「あ、はい、はいはい、美和でーす!ええ、もう時間?依頼人が来ている?ああ、それならもうどうでもいいわ、その依頼は断ってちょうだい。ん?いいの!私の言うことが聞けないの?そういう生意気なことは国家試験に合格してから言うことね!じゃああとよろしく!」
今や自分の物となった美和の声と記憶を自在に使ってそう言い、乱暴に携帯を切った俺は、車のエンジンを切ると、後席から気絶した美紀を引きずり降ろしたのだった。
「ほら、あなた、こんなところでなにやってらっしゃるの?そんな格好して!迷惑条例違反になるわよ!」
「・・・へ?キャー、私なんでこんな格好で・・・いやぁー!」
美紀は恥ずかしそうに身体を隠しなら、ガクガクと脚を震わせて慌てて走り去っていったのだった。
「ありがとう、美紀さん!さぁて、とりあえず女風呂覗いてから病院に行こうかな!ウヒヒ・・・生意気な弁護士さん、俺の不法行為を手伝ってもらうよ・・・でも、これって不法侵入とか痴漢行為になるのかな?」
美紀を見送った俺は、おもむろに美和のバッグからコンパクトを取り出して鏡に向かってそう言った。
「あらぁん!ならないわよ!今のあなたは端から見れば朝倉美和、人も羨む美人女弁護士なんですのよ!この女性専用フィットネスクラブの会員で、女性なんですからなぁんにも問題ないわよ!この身体を思う存分使って私に成りすまして堂々とお入りなさい!」
「そうだよな、弁護士さんがそう言うなら間違いないよな!それに俺が女風呂覗く為に大切な依頼人との約束をすっぽかしてくれてありがとう」
「どういたしまして、あなたの望みを叶える為ならあんな約束どうでもいいわよ。さ、早速女風呂を覗きに行きましょう!」
「まったくHな女弁護士だなぁ・・・じゃ、行くとしますか!」
美和はそう言ってコンパクトをバッグにしまうと、ニヤニヤとした表情でハイヒールの音をコツコツと響かせながら、先ほど出てきたばかりのフィットネスクラブに向かって歩いていった。


(続く)

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