転身  (その9)
作:ecvt



「うわ・・・お隣さんの部屋に入っちゃったよ・・・やっぱこれって不法侵入になるのかな?いや俺は優子さんになってるわけだからいいんだよな・・・さっき優子さんも言ってたし」
優子の記憶を頼りに、俺は直接、優子さんの寝室へと侵入したのだった。
「こ、ここが優子さん・・・いえ、私の寝室・・・」
俺はゴクンとつばを飲み込んだ。
「は、ははは・・・、優子さんの・・・いえ、私の下着漁り放題だぜ・・・!へへへ・・・」
優子は、ガニ股でいそいそとタンスの引き出しを開けると、嬉々とした表情で自分の下着を漁り出したのだ。
「びろーん!伸びる伸びる!!履いてみよっと!」
「うーん、ぴったり!って元々この身体のものなんだから当たりまえかぁ!」
「俺が優子さんの下着履いちゃってるよぉ・・・勝手に部屋に入り込んで下着を着たりして・・・これを元の身体でやったら完全な変態姿だけど・・・今の俺にはこれが当たり前なんだよな!自分の部屋に入って、自分の下着を着てるだけなんだからな!よーし!ブラも着けちゃったよ・・・」
鏡の中の優子を満足気な表情でこちらに向かってポーズをとっていた。
「優子さんも嬉しそうだな!ようし、もっと色々着てみよう・・・えへへ・・・」
普段の優子では考えられないようなだらしない表情で自らの下着を漁っていた優子は、嬉しそうに一つの下着を両手で高らかに掲げた。
「おぉ!真っ赤なシルクの下着!うーん肌触りなんかスベスベで・・・うーん香りも・・・!はぁーん!」
そして掲げた下着を頬にスリスリと擦り当てた後、乱暴に顔に押し当てると、フガフガと匂いを嗅ぎだしたのだった。
「うーん、私の下着っていい香り!早速はいてみなしょう!」
優子はいそいそとそのブラとパンティを身に着けると、鏡に向かってポーズをとった。
「この肌触り、フィット感、最高だよ優子さん・・・」
「そうかしら?喜んでもらえて私も嬉しいわ!」
そう言って優子はウインクをした。
「お気に入りの下着も決まったし、この家を探索してみるとしますか!」
「おっ、最新のゲーム機じゃん!・・・そうそう・・・!これは私がクリスマスに高志ちゃんに買ってやったのよね!なら私が自由にやってもいいわよね!何しろ私が買ったんだから!」
そう言って下着姿のまま高志の部屋の床に胡坐をかいて座り込むと、最新の格闘ゲームを始めたのだった。
「うぉー!いけぇー!・・・かぁーっ、クソッ!しねぇー!コノヤロー!おりゃぁー!」
ゲームなんてものを久しぶりにやった俺は興奮して大声を出しながらゲームに熱中してしまっていた。
端から見れば、上品で気品ある主婦なハズの優子が、派手な下着姿で床に胡坐をかいて座り、下品な声を張り上げながら嬉々とした表情で残酷な息子のものである格闘ゲームに熱中している様は、異様なものとして映ることだろう。
「くっそぉ、また負けた・・・もう一回!じゃなかった、こんなことしてる場合じゃなかった。でも、優子さん、この下着、とっても似合うよなぁ・・・もみもみ・・・うーん!たまらん!ブラなんか取ってしまいましょう!」
優子が勢い良くブラを投げ捨てるとニヤけた表情で自分の胸を揉み始めたが、そのとき、部屋の呼び鈴が鳴った。
ピンポーン!
「は、は、はーい!どちらさま?」
呼び鈴を押したのは宅急便の若い配達員だった。慌ててオートロックを解除すると、配達員を部屋の玄関に招き入れた。
「コアラ便でー・・・はっ・・・!」
玄関に入った途端、配達員は真っ赤な顔になって下を向いてしまった。
「ごくろうさま!どうなさったの一体・・・ん?」
気が付くと俺は、赤いシルクのパンティー一丁の姿だったのだ。当然胸は丸出しの状態だった。
(うあちゃー!いっけねぇ!また優子さんに恥かかせちゃったよ・・・でもまぁいっかぁ!今優子さんである俺がいいって思ってるんだから、いいよな!俺の考えていることっていうのはすなわち優子さんが考えていることってことなんだからな!ようし、ついでにこの顔を真っ赤にしているこの男をからかってやるとしますか!)
「あら、そんなに顔を真っ赤になさってどうなさったの?お熱でもあるのかしら?」
そう言うと俺は優子さんの手を配達員のおでこに当てると同時にもう片方の手で無意識なフリをして胸を寄せて谷間を強調してやった。
「い、い、いえ、大丈夫です。ここにハンコ・・・いぃぃ印鑑を・・・・」
たちまち配達員の顔はさらに真っ赤になった。
「あら、今ハンコ見当たらないわ・・・ボインでいいかしら?」
「は、はい・・・拇印かサインで・・・」
配達員は下を向きながら朱肉を差し出した。
それを見た俺は優子の胸を下から掬い上げると左右にぷるぷると振って見せた後、右の乳首を朱肉につけた。
「ボインってこれでよかったかしら?」
それを見た配達員の顔はもう茹でダコのようだ。
「い、いえ・・・そのボ、ボイ・・・ではなく・・・・」
「え?このボインでなかったらコッチのボインかしら?」
そう言って俺は優子の左胸を見た。
「ねぇ、配達員さぁん・・・わたし、よくわからないから、配達員さんがこのボイン押してくださいます?」
俺は優子の左胸を差し出すと、配達員に向かってウインクしてやった。
配達員はボーッとした表情で優子の左胸に手が伸びそうになったが、ブンブンと首を振って、自らの頬を張った。
「い・・・いえ・・・やっぱりサインの方で・・・お願いします・・・」
配達員の目はもう充血してしまっている。
(ふふふ・・・おもしれぇ・・・かわいそうだからもうこの辺で勘弁してやるか・・・)
「そう?サインでよかったのね」
サインをもらった配達員はあたふたと部屋を去っていった。
「あーっはっはっはっ!面白かった!優子さん、最高だよ!」
「そうかしら?喜んでもらえて私も嬉しいわ!」
鏡の中の優子は嬉しそうにそう答えた。
「あーあ、優子さんの乳首に朱肉がついちゃったよ!せっかくだからこのメモ帳に・・・!」
優子は朱肉の着いた自分の乳首をメモ帳に押し当てた。
「おぉ!これがホントのボインよね!・・・ってこんなことしてる場合じゃなかったっけ!そろそろ出掛けないと!」
俺はあたふたと生脚に短めのスカート、ノーブラにVネックのセーターを優子の身体に着せると、優子の財布を持って部屋を後にした。
「うーん、やっぱりブラしないと胸が落ち着かねぇなぁ!ま、いっか、そろそろ病院に向かうとしますか!」
優子はゆさゆさと揺れる自分の胸を両手で押さえながら、スタスタとマンションを後にした。


(続く)

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