転身  (その4)
作:ecvt



「ここは人の出入りが激しいな、とりあえずこれを着よう!にしし・・・」
俺は買った中で一番のお気に入りであったショッキングピンクのTバックヒモパンとブラを身に着けた。
「おぉお!俺がこんな格好してるなんて・・・!変態だよ・・・!いや、変態なのは理沙さんか!ちょっと変態になった理沙さんの姿を写メに撮ってみよう!」
カシャ!
(やべっ、けっこうシャッター音って大きいな・・・トイレに誰かいるんだったっけ)
俺がそう思った瞬間、個室のドアがドンドン!と叩かれた。
「開けなさい!私はここで怪しい喘ぎ声を出している変態女性がいるという通報を受けて来た警察官よ!」
(うあっ、やっべぇな・・・まてよ・・・婦人警官ってことは、俺の身体を捜すのに好都合だな、ようし!)
ある考えが浮かんだ俺は、コンパクトをバッグから取り出すと、個室のドアを開けた。
(おっ、なかなかの美人!俺の好みのタイプだよ!)
「あ、あなた!デパートのトイレでなんて格好してるの!?この変態女!あなたのような下品な女性が女性の地位を下げていくのよ!あぁ、汚らわしい!なんていやらしいの!?」
と、いきなり俺にビンタを食らわせた。
新人の婦警なのか、声が緊張でうわずっている感じだ。
「い、いやぁえへへ・・・婦警さん、実はこれには深い事情が・・・このコンパクトを見てください」
そう言って俺は婦人警官にコンパクトを見せた。
「・・・?これって普通の鏡・・・」
「そんなことないですよ、ほら、ここ・・・」
すかさず俺もその鏡に映りこみ、婦人警官と目を合わせた・・・!
「なんでも・・・ひっ・・・!・・・あぁぁ・・・・」


婦人警官が小さな悲鳴をあげたかと思うと、理沙はその場に倒れ込んだ。
「・・・ふぅ、これで俺は婦人警官か!やったぜ!」
何事もなかったかの様に立ち上がった婦人警官は、がに股でガッツポーズをとりながら、ニヤけた嬉しそうな表情でそう言った。そこには先程までのキリッとした表情の婦人警官の姿はなかった。


そう、俺は理沙の身体から、この婦人警官の身体に転身したのだ。先程まで自分を罵倒していたこの婦人警官の身体は、今や俺の思うがまま。俺と一心同体になったのだ。
「あら、あなたいい下着ていらっしゃるわね、さっきは変態女なんて罵っちゃってごめんなさいね。わたし、本当はこぉーんないやらしいデザインの下着をずっと着てみたかった変態女だったの。これは証拠品として押収させていただきますわ。おっと、この携帯の画像は証拠品として私の携帯に赤外線送信・・・っと。あ、あと、そちらにある袋に入ったいやらしい下着も全部押収させていただきますわ。じゃ!」
気絶してしる理沙にそう話しかけた婦人警官になった俺は、理沙からピンクの下着を剥ぎ取り、写メの画像を婦人警官の携帯に転送し、先程購入した下着の入った袋を持つと、個室のドアを閉め、洗面台の前に立った。
「うーん、この人・・・私・・・の名前は藤村奈々子・・・さん・・・へぇ、新人さんなんだ・・・でもたまたま通報を受けちゃったのが自分で、研修をかねて、自分から上司を外に待機させて一人でここに来ちゃったんだ・・・ふぅーん・・・うんうん、かなりの美人だけど、いかんせん格好が真面目すぎるな・・・うんうん、直してあげましょう!」
俺に身体を乗っ取られた婦人警官、藤村奈々子は、まるで珍しいものでも見るかのように自分の顔を撫で回しながら見た後、ニヤけた表情で個室に入っていった。
「この白のレースの下着もいいけど、これに着替えましょう!そしてスカートももっと短く・・・!よし、完成!」
個室から意気揚々と出てきた奈々子は、シャツから少し透けて見えるピンクのブラを着け、超ミニに丈を上げたスカートを履き、その中にはピンクのTバックヒモパンを履いた姿となっていた。
そして再び鏡の前に立つと、
「うーん!ミニスカポリス奈々子の完成よ!うふっ!これから出動してまいります!」
新たな自分の身体・・・藤村奈々子の姿を自分の思い通りにした俺は、そう言いながら鏡に向かってウインクして敬礼をすると、スタスタとデパートを後にするのだった。


(続く)

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