転身  (その2)
作:ecvt



「よし、せっかく女になったんだから、女にしか行けないところに行ってみるとしますか!」
美人キャリアウーマン遠藤理沙になった俺は、理沙の顔をニヤけさせならがそう言うと、デパートの女性用下着売り場に向かった。
「あー、あー。あっ、あぁーん・・・うっふぅーん、いい声!俺の口からこんな色っぽい女の声が出るなんておもしれぇな!」
下着売り場に着いた俺は、自分の喉から思い通りに出る理沙の声を楽しみながら、堂々と女性もの下着の物色を始めた。
「前に彼女の買い物に付き合わされて来たときは、目のやり場には困るし、居場所ねぇー!って感じだったけど、今じゃ堂々と選び放題ぜ。おっ、これなんかキワドイなぁー!ヒモパンじゃん!すっげぇ・・・」
普段の理沙では考えられないようなニヤけた表情の理沙が、嬉々として女物の下着を引っ張ったりして楽しんでいる様子は、理沙の知り合いが見たらさぞ驚くに違いないだろう。
「このピンクのヒモパンこのレースのパンティ、おっ、このブラにこれも!それと、これとこれも買おう・・・おぉぉ!ガーターベルト!これも買おう!それに合わせた網タイツも・・・」
たくさんの女性者下着をカゴに入れた俺は、そのままレジに向かった。
「じゃ、これ下さい、・・・カードで」
ワザとポーカーフェイスで顔写真入りのクレジットカードと下着をレジに置いた俺に対し、店員は買った量に対する驚きの表情を一瞬見せたが、それ以外は至極当たり前、という感じて淡々とレジを打っていった。
(おもしれぇ!元の身体でこんなに女性もの下着買ったら完全に変態扱いだからな・・・ねぇねぇ、店員さん、男の俺がこぉんな下着を買ってるんですよ!いいんですか?しかも他人のカードで!大丈夫ですか?)
「67900円になります。こちらにサインを・・・」
(おっ、サインか・・・ココは理沙の記憶を呼び出して・・・)
「はい、これでいいかしら?」
「はい、確かに。ありがとうございました」
遠藤理沙の記憶を使って、理沙の字で俺が書いたサインを理沙本人のサインと確認してしまった店員は、会計を済ませると、深々と頭を下げた。
「ふふふ・・・大成功!じゃ早速どれか着てみるとしますか!」
まんまと理沙のカードで女性もの下着を大量に購入することに成功した俺は、再び理沙の顔をニヤつかせると、女子トイレに向かうのだった。


(続く)

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