REPLICA(レプリカ)改
 作・JuJu


chapter-042 ”女の体、男の心(V)”

 茜は製品試験室のドアを開けた。同時に、厚いドアに遮られていたマコトの声が廊下に響き渡った。
 ドアが開ききるのが待ちきれないのか、茜は開きかけたドアの隙間に体を滑り込ませる様にして中に入った。
 製品試験室。
 そこでは、裸で四つん這いにされ長い管(くだ)を尻に繋がれたマコトの姿があった。管の先が激しく振動している。女である茜には、それが女性の性器に刺さっている事がすぐに理解できた。
 マコトは茜が入ってきた事に気がつく余裕さえなさそうだ。全身で汗をかき、眉をひそめ、涙を流し、まぶたを強く閉じ、体をふるわせている。これ以上大きく開けられないと思う程に開けた口をさらに大きくあけようとしながら、よだれと、悲鳴に似たあえぎ声を出していた。
 色っぽくも残酷な景色に、茜は声も出せずただ呆然と体を硬直させ、マコトの痴態を見ているしかなかった。

 *

 氷村が動かすたびに、チ○ポはよりマコトの感じる場所に当たり、そのつどマコトは快楽の叫び声を上げた。
「ここが一番刺激を与えるらしいな」
 氷村はマコトの一番感じる場所を見つけて満足したらしく、ホースから手を放した。
 それを聞いたマコトは自分の勝利を確信した。
(今が一番感じる場所だとすれば、これ以上強い刺激はもう来ない。
 辛くても、これならば何とか堪えきれる……)
 その時だった。
 マコトはア○ルに熱くて柔らかい物が当たるのを感じた。驚いている間もなく、熱い物はマコトのア○ルを押し広げ侵入して来た。
 マコトが振り向くと、氷村が二本目のホースを尻に差し込んでいた。ア○ルに当てられたホースは、一気にマコトの中に入れられた。
 マコトは驚いたが、同時にアソコの刺激にも負けない強い快感がア○ルから伝わって来た。
 アソコとア○ル。
 二つの穴に刺されたホース達は、互いに競い合うようにうごめきマコトに快感を送り続けた。
 二倍の快感。いや、快感が相乗して今までの何倍もの快感がマコトを襲った。
 まるで、体と心が分離したような気がした。マコトの心は必死に快感に堪えているのに、体はマコトの心を裏切り、さらなる快感を求めている。それどころか、この快感を受け入れよと、マコトの体はマコトに甘いさそいを仕掛けていた。
 愛液が、太股を伝わっていくのがわかる。
 胸がせつなくて我慢が出来ない。
 マコトは溜まらず、しゃがみ込むと両手で胸をつかんだ。立った乳首が手のひらに当たった。
 マコトだって女の体に興味はあった。女の体はどうなっているのか、女の快感とはどのような物なのか。プロテクトが外れたときから気になっていた。
 だか自分は男だと思って無視し続けていた。
 本当の俺は男だ。この女の体は作り物で、この胸もアソコも偽物だ。男にはそんなものはない。
 それなのに快感が、この体が作り物ではなく本物だと訴えている。
『お前は女なのだ。認めてしまえ。そうすれば男とは比べ物にならない、女の快感を与えてやろう』
 快感はそう言っていた。
 それでも、認めるわけには行かなかった。自分が女だと認めてしまえば、自分は作り物だと、誠の複製なのだと言うことも認めることになる。
 記憶も、肉体も、心も、すべて氷村に作られた偽物なのだと認めることになる。
 そんな必死なマコトの気持ちも、今や女の体の快感の前に崩れ落ちようとしていた。
 マコトの手は、いつの間にか胸を揉み始めていた。
 女の胸。それが俺の胸。自分の手によって思うがままに自在に形を変える。いじるたびに電撃のような快感がする。この胸が自分の物なのだ。自分の物だから好きなように出来るのだ。
 マコトは頭の中が真っ白になっていく。
 アソコとア○ル、それに二つの胸。計四つの快感がマコトを溶かしてゆく。
 計器の音も、いままでの規則正しい間隔を置いた音ではなく、ピーッと汽笛のように甲高く鳴り続けている。
 マコトの絶頂にあわせる様に二つのホースは同時に太くなり、細かく震え、マコトの中に熱い液体を噴射した。
「あああ……」
「絶頂を迎えたか
 安心しろ。これは何度でも射精する。キミが吐くまで永遠にな。
 やめてほしければ、プロテクトを解除した秘密を吐くんだ」
(これが女のイクと言う感覚なのか)
 マコトは思った。
(とにかく、これでしばらくは楽になる)
 だがそれは違った。
 本物のチ○ポならば射精すれば終わりなのに、この作り物のチ○ポは射精しても小さくはならず、射精する前と変わることなくうごめいていた。
 それに男ならば一度イけば快感はリセットされるのに、この女の体はイった時の快感が今も続いていた。それどころか、イった時の快感が消えずに体に蓄積されていて、新しい快感がそれに重なっていく。
 さっきのイった時の快感が最高の地点だと思っていたのに、それを超える快感の予兆が、マコトを襲い始めていた。
(そんな、今イったばっかりなのに……。
 俺はまたイかされるのか?
 さっきの快感よりも、もっと深い快感が待っているのか?
 氷村は何度でも射精を続けると言っていた。
 こんな状態が、果てなく続くと言うのか……)
 いつ終わるとも知れない快感の責め苦。氷村に話さなければ、永遠にこの責め苦が続くのだろう。
 女の体の快感。
 この快感にはどんなにあらがっても認めざるえない。
 お前は女なのだと。お前の心も体も作り物なのだと、記憶も命も作り物なのだと、快感は言っていた。
 わずかに残っていたマコトの理性も気力も、絶望により一気に消え去った。
「言え。いいかげん言うんだ。プロテクトの秘密を」
 遠くで誰か言っていた。
 氷村の声さえ、マコトには判別するだけの精神は残っていなかった。それでも微かに残った理性を総動員して、声の主を思い出した。
 そうだ。たしかこれは氷村の声だ。
「……ならば、これならばどうだ?
 話したら最高の快感を与えてやろう。今までとは比べ物にならないほどの、最高の快感だ。
 それならば話す気になるか?」
 体が震えた。
 マコトの中で、何かが弾けた。
(ほしい。もっと快感がほしい。
 でも、何を話せばいいんだ……)
 マコトは必死に記憶を探り、プロテクトの秘密を思い出そうとしていた。
(……思い出した。プロテクトの解除の秘密。それを話せば、最高の快感が待っているのか……)
 もはや、マコトは性欲を欲する肉の塊になっていた。
「は、話す……話す!! 話せば……最高の快感が待っているんだな……?」
 マコトの心のどこかで、話してはだめだと言っている気がした。だが無視した。更なる快感の前に、最後の理性は無力だった。
「そうだ。最高の快感を与えてやる」
 マコトは話す決心をした。
 いや、決心など必要なかった。体が勝手に記憶を引き出し、口が勝手に動いた。
「プロテクトの外し方は……」
「外し方は?」

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