GGG―鏡説明編―

作:村崎色




―鏡説明編T―


改良版グノー商品『鏡』。電話で詳しく聞いたところ、前回のグノー商品に一番近い形なのが『姿見』だと言う。確かに前回も姿見だったような気がしたが、商品が大きく、置き場所が必要なこともあり、それと今回とどう違うのかいまいち分からない。
 女性オペレーターは丁寧に教えてくれた。

 前回は自分と動きを合わせる、『特等席で見るストリップショー』みたいなものだったが、自分が動かなければいけないことがマイナスでもあった。それを今回は一切取っ払ったのだと言う。

 ……?よく分からないが、マイナスをすべて取ってくれるのなら願ったり叶ったりだし、グノー商品『鏡』は俺の中で良品にあることに変わりがない。
 俺はそのまま『姿見』を購入することにした。


 ……ちなみに、これも確認しておかなければならない。

――感覚リンク機能はありますか?

 電話を切る際に、女性オペレーターははっきりと俺に伝えた。


「はい、ございます」






……
………

      

 今日は日曜日。天気は快晴。こんな日は朝から白いスニーカーを履いて出かけよう!

「と、言っても向かう場所がないからラフな格好で大丈夫かな?……大丈夫だよね!」

 鼻歌を鳴らしながら、鏡で髪の毛を直して、化粧の具合を確認して、よし、大丈夫。小一時間で帰るように頭の中でスケジュールを立てて、鞄を持つ。……うん、忘れ物なし。

「ちょっとでかけてきます!」
 
 玄関ドアを開けて飛び出していく私。外は暖かくて気持ちの良い青空が広がってました。



 …
 ……
 ………

 妹、留美が外に出ていった後。俺は留美が覗いていた洗面台の『鏡』から抜け出した。その姿は妹と全く同じになっていた。

      

 グノー商品『鏡、姿見ver.』。対象となった鏡に映った姿と同一にさせる道具。

 変身というのはこういうことだったのか。

「あっ、あっあっ……。声も留美と同じになってる」

 見た目からなにまで妹じゃないか。これはなんだか楽しみになってきた。なにかしたくてうずうずするし、わくわく感が止まらない。
 さっそく出かけるのも良いが、せっかくだからこんなラフな格好より、妹の部屋でもっと似合う服がないか確かめに行こう。

 洗面所を後にする。……久しぶりにスキップしながら。





―鏡説明編U―


「げっ!」

 ドアを開けた瞬間、俺の母ちゃんとばったり鉢合わせした。

「あら?留美いたの?いま出掛けたんじゃないの?」

 そうだ。俺の姿は妹、留美なんだ。妹の口調を思い出しながら、母ちゃんに話しかける。

「うん。ちょっと忘れ物したから帰って来たの」
「そうなの?じゃあ部屋の掃除でもしてくれない?お母さん大変なの」
「わかった。やっとくね!」

 これ幸いとばかりに一気に階段を走り抜ける。妹の部屋に入り扉を閉めて準備万端。ようやくお楽しみの時間がやってきたのだ。



 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

「留美の部屋に入るのも久しぶりだなあ。ふーん。思った以上に綺麗にしてるな」

 ぬいぐるみに、化粧道具に交換日記。まさしく女の子という部屋だった。それでも俺の部屋より明るく見えるのはさすがである。

「さあて、では、開けさせて貰うかな?秘密の花園――」

 一際輝く、白いタンスとその隣のクローゼットに掛けられた洋服の数々。
 やはり、着替える為に入ったのだから、開けてみなくちゃ始まらない。
 ゆっくり、しかし心は高振りながら引き出したタンスの中には、下着やら昔の捨てられない服などが多数入っていた。服も様々な形がある。俺はじっくり見て楽しんだ後、その中から一着取り出した。
 妹が中学校時代に使っていた運動着だった。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

      

 鏡に映して運動着姿を楽しむ。留美の細い身体はまだまだ現役で運動着を使えそうだ。しかし、胸の当たりやブルマが若干小さく思える。

「……そうか。やっぱ成長してるんだな」

 ブルマが食いこんでる。パンティがはみ出るのを見て嬉しいような恥ずかしいような……。もどかしい気分になってしまった俺は勢いよく脱いでしまった。

「やっぱ苦しいのは嫌だな。今戦力にしてる服でなんかいいのはないかな――?」

 セーターやカーディガンは暑すぎる。せっかくならと、隣のクローゼットを開け、ハンガーにかかった服にしよう。

「留美は本当に服があるな」

俺の服のなさが逆に浮き彫りになってしまった。と、クリーニングから帰ってきたまま手をつけていないのじゃ、ビニール袋をつけた一着を俺は手に取った。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・



「お兄ちゃん?どう?」

 留美が話しかけるような口調で話しかけて一回りする。スカートがふわっと舞い、しなやかに垂れた。
 くはあ!!自分でやって自分にダメージを受けている!!それくらい鏡に映る妹が可愛く見えた。

 俺のことを熟知している妹だ。こんなことだってきっとやってくれる……。

「お兄ちゃん、留美のこと、どう思ってるかな?」
(……な、なんだよ、留美。改まって?)
「答えて!!私のこと、好き?」

 鏡に向かって叫ぶ留美。それに真剣に答えようと思う。

(――留美は身近すぎて、俺は自分の気持ちに気付かなかった。でも、留美は俺になくちゃいけない大事な人だったんだ。――好きだ。世界中で誰よりも)
「ほんと!?……私も、お兄ちゃんのこと好き、大好き。兄妹じゃなくて、一人の男性として、お兄ちゃんのこと、愛してる」
(る、留美!!)

 ぎゅううううぅぅぅ!!!

「ああああん、恥ずかしいいいいぃぃ!!」

 ベッドにダイブし、抱き枕を抱いてごろごろ転がる。
 俺がやっても似合わない光景でも、妹がやってると思えば可愛く思える!
 妹が俺のことを好きだったらいいのにな、いいのになぁ〜

「はぁ……」

 ゆっくりベッドから起き上がり、再び姿見の前に立つ。今ので相当熱くなった留美の顔は、真っ赤にゆだっていた。
 ワンピースを脱いで下着姿になる。その姿だって愛しく思える。胸に手を添えると、ゆっくり揉み始める。




 妹が俺のこと好きだったらなあ……
 そしたら、俺が優しく愛撫してあげられる。





―鏡説明編V―


 パンティを脱ぎ、ブラを取り外し、盛り上がった乳房が小ぶりに揺れる。上から眺めるように乳房なんて見たことない。新鮮さがまた感情を高ぶらせる。素っ裸の留美の姿。綺麗になった女性の姿。留美の乳房を乱暴に掴んで揉み始める。

「……留美のおっぱい。男と違う。軟らかい」

 強弱だけでまったく感覚が違く、強く揉まれた方がより快感だった。

「これが女性の感じ方なのかな?おっぱい揉まれる感覚なんて味わえないからな」

 また、揉むだけではなく、押したり引っ張ったりして乳房の形を変えて楽しむ。

「はあ……。乳首勃ってきちゃった。留美もこうすれば気持ち良くなるのか?」
 
 遊んでいるつもりでも、女性の肌は敏感に感じ取り、快感を生み出す。

「じゃ、じゃあこれは?」
 
 下から持ち上げるようになぞっていき、重力に逆らえなくなったら指から離れてプルンと揺れた。だが、その際に乳首が爪に引っ掛かった。身体が気付く前に神経が反応し、乳首から全身に電撃が流れた。

「あんっ」
 
 思わず出した自分の甘い声に、驚いていた。

「言葉が勝手に出ちまう。……可愛いな、女って」



 とろ〜
 足の付け根から水が垂れてくる。

(これが、留美から流れ落ちた愛液なんだ)

 指ですくって口に持っていく。

「ん……」

 お世辞にもおいしいとは言えない。どちらかと言えば味もない。でも、鏡にうつる厭らしい留美の表情が見られればそれで良い。一通り舐めた指を今度こそおま○こに宛がう。
 ちゅぷっと入っていった指に温かさと湿り気が感じられた。

「んん……。濡れてる。すごい。びしょびしょ」

 聞いたことがある。男は感じるところが外に出てるけど、女は中にあるから、思った以上に濡れちゃうって。

「そうなんだ……。留美、感じてるんだ。俺に揉まれて、気持ち良くなってるだ。もっともっと、気持ち良くさせてやるからな。クリトリスも触ってやるな。身体が疼いて仕方無いなら、慰めてやるからな。――留美、留美!!」

 ベッドに座りこみ一心不乱にオナニーをしている俺。
 その時、まったく音のしなかった部屋の扉が勢いよく開けられたのだ。


・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

ここで、本人、留美に戻ろう。
小一時間で戻るはずだった留美だが、未だ本屋で立ち読みをしているところだった。

      

「にょわ!!」
 いきなり凄い声をあげたので、まわりのお客や店員が一斉に留美の方を向いた。「すみません」と頭を下げて、留美は小さくなる。

(なに、今の?なんか、乳首を触れられたような気がしたんだけど)

 本を読んでいるふりして辺りを見回すが、留美の後ろにぴったり張り付いているお客はいない。むしろ、触られたのであれば、逃げる姿や留美自身がすぐに気付くはずだ。しかし、今回誰もいなかった。

(気のせいよね)

 再び視線を本に移した途端だ。

「んああ!!」

 留美が甘い声をあげる度にお客が視線を向ける。留美は本を置いて場所を放れた。その間にも触られている感覚は収まらない。

(どういうこと?誰もいないのに、おっぱい触られてる)

 ぐねぐねと形を変え、強く揉まれだり弱く触られたりしているのに、目に見えて留美の周りに誰もいない。

「あんっ」

 その間にも留美の声は甘さが増す。身体が熱くなる。早く帰って、こっそりオナニーでもやりたい。


 留美が帰ると、お母さんがなにやら驚いた顔をしていた。

「えっ?留美、いつ外に出たの?」
「ふえっ?ちゃんとでかけてきますって声かけたじゃん」
「その後帰って来たじゃない」
「帰ってきてないよ!今までずっと外にいたもん」

 留美の言葉をお母さんは半信半疑に聞いていた。

「そうかしら?ちゃんと部屋の掃除終わらしてからお外行ったんでしょうね?」
「部屋の掃除……?」
 留美は二階に目を向けて、ゆっくりと上り始めた。音が立たないようにして二階へ辿り着き、耳を澄まして私の部屋の物音を聞いてみる。

「―――――」

 誰かいる。少し怖い気がするけど、私の部屋に侵入した人物を許せなかった。

「私の部屋でなにしてるの――」

 勢いよくはいった私は、目を疑った。
 部屋の中で、留美―わたし―がオナニーをしていた。





―鏡説明編W―


 扉を開けると、中で留美がオナニーをしていた。

「えっ?私がいる?どういうこと?」

 飛び込んできた本物の留美が、素っ裸でベッドの上で身体を弄んでいる俺を見て驚いていた。

「留美……帰って来たのか?」
「まさか、お兄ちゃんなの?」

 声は留美だが喋り方から留美が俺に気付く。ようやく事態を呑みこんだ留美が急に慌てだし、無造作に散らばっているワンピースを片づけ始めていた。

「や、やめてよ!なんで私の姿になってるの!!?はやく元に戻ってよ」

 物凄い険悪な目つきで睨んでいる。
 妹愛人化計画はこれにて劇終。本当にありががとうございました……。俺の一つの野望が今静かに幕を閉じた……。
 では、もうばれてしまったのなら仕方がない。次の欲望が幕を開ける。妹に厭らしく睨むと、俺は再びオナニーを開始した。

「ちょっと!なにしてるの!?」
「あと一回逝きたいんだよ。折角帰って来たんなら、留美も一緒にやらないか?」
「いやだ!どうして私の前で……早く出てってよ」

 顔を真っ赤にして怒っている。だが、それ以外になにかあると俺は勘付いた。

「ふうん、そう?やらないんだ」

 ふと軽く乳首を弾く。すると、

「あんっ」

 妹の身体が俺以上に跳ねた。
 そうか。『鏡』にはリンク機能があったんだった。じゃあ留美は俺がオナニーしている間ずっと外で敏感に反応していたんじゃないか?ひょっとしたら、今の俺以上にオナニーをしたいと思っているかもしれないな。

      

「相当留美も感じてるじゃないか。俺がいっぱい触ったからなあ。今も身体は疼いてるんじゃないか?身体の隅々まで触って留美の感じる場所を突き止めたんだぜ?まったく、厭らしい身体になっちまったな。その感度は俺の遥か先を行ってるぞ」
「うるさい!そんなこと言わないで!」

 図星か?悔しくて涙を滲ませているのがたまらない。

「だから、俺が触ると留美も感じるんだぜ?別々の部屋にいようが同じ部屋でやろうが同じことだって。それにもし俺が夢中になって母ちゃんが入ってきたら、困るのは留美の方だろ?見つかれば家族会議だ」
「うぅ……」

 立場は完全に俺の方が上だった。当然か、姿という人質が取られている以上、留美は俺に従うしかないのだ。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

「いい?絶対後ろ向かないでね」

 同じ部屋でオナニーをすることは許しても、けっして姿を合わせたくない、と言う交換条件をお兄ちゃんに出したら、頷いてくれた。今、同じ部屋でオナニーをしあう兄妹。まるでその姿こそ鏡のようだった。
 時々お兄ちゃんがピンポイントで電撃を送ってくる。自分だけに意識を集中していると、お兄ちゃんのフェイントで逝かされちゃう。そんな緊張感でやるオナニーは普段よりもずっと気持ち良く思えた。

「あっ、あっ、あっ……」

 小さく震えながら私が逝きそうになる。でも、急に私の肩にお兄ちゃんが手を置いた。この時を待っていたと言わんばかりの歪な笑みを私の顔で浮かべながら――

「留美」
「ひゃあ!お兄ちゃん、来ちゃダメ!」

 逝きそうになって必死に手を動かしているところを、誰かに見られるなんて死にたくなっちゃう。

「私、お兄ちゃんじゃないもん。留美だもん」

 少しでも慰めようとしているのか、お兄ちゃんが私の声真似をした。

「私の真似しないで!あ――」

 お兄ちゃんが唇を合わす。同じ顔同士がキスをする。まるで、今の私の表情を鏡で見ているかのように、お兄ちゃんは蕩けた目をしていた。

「そんなこと言っても、この声に気持ち良くなってるのわかるわよ。私はあなた、あなたは私。何処が感じるかも知ってるもの」

 お兄ちゃんが細い指を私の口に持っていく。まるで舐めてと言っているかのようだったので、私は黙って指を咥えて唾液で濡らした。
 たったそれだけでも十分気持ち良い。口から放れ、私の身体に沿って下の口まで到達した指は未だ渇くことを知らない。だから私の身体には唾液の線が引けていた。
 指は私のおまんこの中に入ろうとしていた。濡れた指は簡単に侵入し、精一杯伸ばしてある場所を触ろうとしていた。

「あっ、そこは――」

 いま、一瞬だけ触れた。それだけで身体全体が痙攣を起こした。

「奥にね、Gスポットがあるの。……ここ、クリトリスのさらに奥――」

 くいっと指を曲げた先。今度は芯を確実にとらえた。

「ひゃああ!!」
「ねっ、すごいでしょ?一瞬で、快感が押し寄せてくるでしょう?もう一回押してあげようか?」
「いや!いやいやいや!!」

 やめてお兄ちゃん!これ以上やられると私、ヘンになっちゃうよ!!


「やめない」


 お兄ちゃんはもう一度、強く押し込んだ。

「ひうっ!!」

 叫んだ私の声が一瞬で途切れる。途端に私は軽く逝ってしまい、失禁してしまった。布団が更に黄色くなる。シーツを伝って黄色い液が床に水たまりを作った。

「ああ。布団がびしょびしょ。……でも、お母さんに内緒で干せば夜までには渇くわよ?ちなみに掃除して布団干したって言えばお母さん、きっと喜んでくれるよ」

 満足そうに言うお兄ちゃんがさらに次の行為へ足を進める。

「じゃ、そういうわけで、この布団は濡らしていいので、二人で貝合わせしよう」
「かい、あわせ……?」
「そう。こうやって、おま○んことお○んこを擦り合わせるの」

 ぐったりしている私の足に絡ませ、おま○こ同士をぶつけさせる。

『あん!』

      

 二人で同じ声があがる。こんな行為知らない私は、クリトリスがクリトリスに擦られる絶妙な感覚に再び感度を上げられてしまう。

「すごい!これが貝合わせなんだ。……羨ましいよ。どうしてこんな楽しいこと、女性しかできないの?」

 女性の感覚のすっかり虜になってしまったお兄ちゃんは、宣言通り逝く為に必死に腰を動かし続ける。

「動かさないで……気持ち良くなっちゃう……」
「いいよ!気持ち良くなろうよ。私と、私と一緒に行こうよ」
「あ、また出る!出ちゃう!!」
「イクウゥゥゥゥゥゥ!!!!」

 同じ表情で逝った私たちは、しばらく放心状態で動くことができなかった。



 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 先に体力が回復したお兄ちゃんは満足したように身体を伸ばし始める。

「さて、気持ち良く逝ったところで、元の姿に戻るとするかな」

 これでようやくお兄ちゃんが元の姿に戻れる…………元の姿?
 重要な疑問が浮かんでくる。これこそ家族会議ものの大問題。

「お兄ちゃん、どうやって戻るの」
「あ」


劇終




(鏡一真編へ)





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