想ひ出のシャッター(序章)
ある日の夜のこと。
都内から少し外れた山奥にある古びた家に四十歳前後の男性が二人忍び込んだ。
「くそっ、金になるようなものは何もねぇーな。忍びこんで損したぜ。」
「ああ・・・・・。」
彼らは金品目的でここへやってきたのだが、金どころか物すらなく、さらには人が住ん
でいる痕跡すら見当たらなかった。
「今まで空き巣を続けてきて今回みたいなのところは初めてだ。こんなところはもう、
用済みだな。早く出よーぜ!!」
「ああ・・・・・・そうだな。ん、なんだ、これは?」
懐中電灯で照らすとそこにはカメラがあった。と、そのとき・・・・・・・・。
カシャッ!!!
シャッター音がなる。
カメラが何かの弾みで彼らの顔に向けて二連続でフラッシュした。すると・・・・・・・。
「おっ、おい!!秀徳!!なんだか顔が変わってるぞ!!」
「朔義!!おまえこそ!!違う顔になってるぞ!!」
「これはいったい?」
彼らはしばらく考え、やがて何かを思いついた。
「おっ、おい!!これは使えるかもしれないぞ!!」
「おお!!俺もそう思った!!これさえあればサツの目から逃れられるぞ!!」
彼らはそのカメラを手に取りカバンにしまい、外に出て近くにある黒のワゴン車を走ら
せて、その場を去っていった・・・・・・・・。
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そして・・・・その日から三日後のこと・・・・・。
地方に住む中学二年生の里香と梨菜の二人は修学旅行で東京に向かっていた。
「梨菜ちゃん、これから楽しみだね。」
「うん・・・・・・そうだね・・・・・・・里香ちゃん。」
これから起こるであろう悪夢を今の二人には知る由もなかった・・・・・・。
(前編へつづく)