僕はママ?(2)
「ただいまー」
午後になって、亮が学校から帰ってきた。
慣れない家事でへとへとになっていた亮のママは、ソファでやすんでいたのだが、亮の声を聞いて慌てて跳ね起きた。
「おっ、お帰りなさい亮」
「あーおなかすいた。ママおやつなにー?」
ランドセルを部屋に放り投げながら亮が聞く。
「おやつって、僕が、じゃなくてアタシが用意するの?」
「当たり前でしょ、ママなんだから。どうしたのママ今日変だよ?」
亮は母親をじっとみあげる。
「や、やーね、いつもどおりよ。そうだ、今日はカスガのショートケーキにしましょうか」
「えっ、そんな高いものを・・・」
「亮カスガのショート好きだったよね?」
亮の母親は、亮を見下ろす。
「あ、ああ、そうだけど、今日はもうちょっとさっぱりしたものが食べたいかなー、なんて」
「だめ、今日はカスガのスペシャルショートケーキに決定なの! これは”ママ”の決定です」
「わかったよ」
亮はため息をついた。
「じゃあ、亮、早速ケーキ二つ買ってきなさい」
そういうと亮に財布を手渡した。
「なんで、アタ・・、じゃなくて僕が」
「亮、あんたママの言う事が聞けないのぉ?」
「わかったよ、買ってくればいいんでしょ」
そういうと亮は、玄関を出て行った。
「ちぇ、あいつめ、もう母親の権利を使い始めたな」
玄関を出た後、亮はそうつぶやいた。
その後、亮が買ってきたケーキを二人で食べた。