僕はママ?(3)

「ねえ、ママ、今日の夕飯は何?」

嬉しそうにケーキを頬ぼっていた母親に亮が聞いた。

「ゆ、夕飯?」

突如亮の母親の顔が曇る。

「うん」

「そ、そうね、今日は出前にしちゃおっか?」

「えー、だめだよ! 今月は家計が苦しいってママ言ってたでしょ?ちゃんと主婦としての自覚を持ってよ!」

亮は厳しい口調で言った。

亮の母親は、しばらく考え込んでから口を開いた。

「ごめんね、なんかママ、今日は変なんだ、料理のことをみんな忘れちゃったみたいなの・・・」

亮のママはシュンとした表情で言う。

亮はそんな母親の顔を見ると、つい顔を背けてしまった。

それからすぐに亮は顔をあげた。

「じゃあ、今日は僕が作るよ」

「え、いいの?」

ほっとした母の表情を見て、亮の顔に優しい笑みが浮かぶ。

「うん、今日は”僕”の大好きなハンバーグげを作ってあげるね」

「ほんと!? ありがとう!」

「いいって、そんな、こっちこそごめんね」

亮はすまなそうにいう。

「え、何が?」

「ううん、なんでもないよ」

そういうと、亮は冷蔵庫をあけて、たまねぎを取り出して刻み始めた。

「あれ、でも僕・・、じゃなくて亮は、いつのまにハンバーグ作れるようになったの?」

「ええ、まあ、いいじゃない。そんな事」

亮はしどろもどろになりながら答えた。

 

(4)へ


inserted by FC2 system