幼馴染の一日交換(後編1)
作:Tira


「まあ。勇二君、そんな事までしなくていいのよ」
「いや、香澄ちゃんが全然直そうとしないので」
「もう、香澄。自分の制服なんだから直しなさい」
「いいじゃない。将来のフィアンセが直してくれるんだから」
「フィアンセ?」
目を丸くした母親が香澄を見ると、「ち、違うっ!わた……お、俺はフィアンセになんて絶対にならないからなっ!」と勇二が全面否定した。

「そんなに否定しなくてもいいじゃない。私と勇二の仲なんだから。ねっ!」
「だ、誰があんたなんかと……あっ。そうじゃなくて、俺なんて吊り合わないからさ」
「ううん。私は勇二のことが大好きだよ。お母さんも勇二とならいいでしょ」
「そんな話、まだ早いわよ。お菓子があったから一緒に持ってきたの」
「わ〜い!」
「ダ、ダメダメ!お菓子なんて食べたら太るだろ」
「いいじゃない。私はお菓子が大好きなんだから」
ベッドに腰掛け、いち早くお菓子の袋を開けた香澄は二人の前で頬張った。
まだベッドの上には食べかけのお菓子があったにも関わらず。
「そう言えば香澄、ダイエットしてたんじゃないの?」
「いいのいいの。今日は特別だから」
「お母さんは別に香澄が太っていると思わないからいいけど、自分で決めたことなんだからね」
「分かってるってお母さん。ほら、勇二も早く食べなよ」
「はぁ〜」
半ば、諦め顔の勇二(香澄)は絨毯の上に座ると、お菓子の袋に手を掛けた。
「今なら幾ら食べても大丈夫だよ。だって……ねっ!」
「もう。女の子なんだから静かに食べれば?はしたない」
「そんなの気にしない気にしない」
「じゃあ……お母さんは買い物に出るから留守番はお願いね。勇二君、ゆっくりしていってね」
「……はい」
母親の信頼しきっている目に、勇二(香澄)はため息をついた。
いつも外面だけイイ子ぶっている勇二のせいだ。
小さいときから、香澄の母親の前では「素直で優しい男の子」を演じている。
そんな勇二に、香澄はよく苛立つ事があった。
「ねえ、それ以上食べるのは止めてよ。私の体が太っちゃうじゃない」
「大丈夫さ。だって今日便所に行ったらすげぇ大きなのが出たんだぜ」
「や、やだっ。勝手にしないでよっ」
「だってさ。出したいものは出したいんだから。便秘になったら嫌だろ?」
「だ、だからって……女の子なんだよ……」
「香澄も俺の体で便所に行ったんだろ?」
「それはそうだけど……」
「朝、勃起してただろ」
「…………」
勇二(香澄)はまた顔を赤らめた。
「触ってみたか?」
「そ、そんなの触るわけないよ」
「触らないとションベンできないのに」
「わ……わざと触ったんじゃないもん」
「何、真っ赤になってるんだよ。見ている俺が恥ずかしくなるって」
相変わらずお菓子を頬張る香澄(勇二)は、手の甲で口を拭くとジュースを一口飲んだ。
「ああ、上手い」
「ちょっと。だからそんなに……」
そこで声が止まった。
視線が香澄の胸に集中する。
「ま、まさか……ブラ、付けてないんじゃ……」
「あ、ああ。面倒だからつけるの止めた」
「ちょ……」
「ついでにこっちも」
「なっ!何考えてるのよ馬鹿っ!」
ベッドに腰掛ける香澄(勇二)は、ほっそりとした白い足を大きく開くと、股間のホットパンツを恥ずかし気も無く横にずらした。
すると、いつも穿いているはずのショーツが見当たらず、黒い縮れた陰毛とリアルな女性の性器が露わになったのだ。
「別に家にいるだけなんだから構わないだろ。それにこうやって直にホットパンツを穿くと興奮するんだ。女には分からないだろうなぁ」
「分かりたくないわよっ!早くショーツを穿いてっ」
「へへ。香澄に見られたら何だか興奮してきたな。ほら、乳首が勃ってる」
両手でTシャツを延ばすと、生地越しに固くなった乳首が浮き出ている。
自分のはしたない姿を見せられた勇二(香澄)は、ずっと赤面したままタンスから下着を取り出した。
「すぐにこれをつけて。お願いだからもう止めてよ。私の体、早く返して」
「だから、俺にだってどうしようもないんだから。薬が切れるのを待つしかないだろ」
「もう……嫌だよ」
両手で顔を隠し、女座りした勇二(香澄)。
本来の姿なら可哀想に思えるのだが――。
「俺の体でそんな風にへしゃげるなよ。気持ち悪いだろ」
「誰がさせてるのよっ。私だってこんな声で……こんな体でしたくないわよ」
「じゃあさ、早く元に戻れるようにセックスしようぜ」
「誰が自分の体とセックスするのよ。気持ち悪いっ」
「だってさ、薬をくれたあの人がそう言ってたじゃないか。二十四時間経過するか、互いの体が同時にオーガズムに達してしまえば元の体に戻れるって」
「……だからって嫌よ」
「早くこの体に戻りたいんだろ?」
「嫌って言ってるでしょ」
「そっか。俺、ちょっとトイレに行って来る」
「えっ!ちょ、ちょっと……」
「仕方ないだろ。お前の体がションベンしたいって言ってるんだ。ここでお漏らししてやろうか?」
「そ、それは……」
「じゃあ行って来る。ついでにオナニーするからちょっと待っててくれ」
「なっ、それはダメッ!」
勇二(香澄)はとっさに立ち上がると、部屋を出ようとした香澄(勇二)の手首を握り締めた。
「だったらしようぜ」
「だから、嫌だっ……あっ!」
「やっぱりな。多分そうだろうと思ったんだ」
「は、離して。いやらしいっ」
「そう言うなよな。さっきも言ったけど、男の体も捨てたもんじゃないんだからさ」
「やだっ!」
香澄(勇二)はすばやく後ろに回りこむと、勇二(香澄)が穿いているゆったりとした七分丈ズボンのゴムを引っ張り、中に右手を差し込んだ。


(最終話)へ


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