プレコーシ ぼくとお姉さんの入れ替え物語
作・JuJu

#11

「さあ、お風呂に入りましょう」
 美穂さんにそういわれたものの、目隠しをしているぼくには、お風呂場のある方向さえわからなかった。
「わたしの後をついてきて」
 美穂さんの手がぼくの手に触れたのを感じた。ぼくが歩けないことに気がついたのか、美穂さんはぼくの手を取ると、ゆっくりとお風呂場に導きはじめた。
 目隠しをしているぼくは、美穂さんに手を引かれるままに歩いた。足の裏の感触が、柔らかい毛が並んだ布の感触から、冷たくて堅い感触に変わったことと、空気が浴室独特の湿ったものになったことによって、ぼくは浴室に入ったことを知った。男の時にはこんなこと気にもとめていなかったのに、美穂さんの体になってから、なんだか感覚がとても敏感になった気がする。
 美穂さんの使っているシャンプーの香りが漂っていた。その匂いが、姿見に映ったバスタオル一枚だけの美穂さんの姿を鮮明に脳裏によみがえらせた。
「あっ……」
 突然、体に巻いていたバスタオルがはずされたので、おどろいて声を出してしまった。
「目隠しをしているんだから、かまわないでしょ?」
 ぼくは、わずかに頷いた。
「イスを置いたから、座って」
 ぼくはいわれるがままに座った。
 目隠しをしているために、目の前にいるはずの美穂さんの姿も、お風呂場の中の様子も、まったくみえない。せっけんの匂いや、お風呂場独特の反響する音だけが、世界を作っていた。
「じゃ、はじめるね」
「お、おねがいします……」
 スポンジがぼくのふとももに当たったと思うと、そのまま肌を這い回りはじめた。
 美穂さんの肌の感触は、いままで知らない不思議な感覚がした。でもそれは、とても気持ちが良かった。だからぼくは、その感触に集中することにした。世界は、美穂さんの肌に満ちた。
「ついでに、体も洗ってあげるね」
 美穂さんは楽しそうにいった。
「え?」
 ぼくは美穂さんの肌の世界から引き戻された。
「そんな。痴漢につけられたものを落とすために、脚だけ洗うはずじゃ……」
「いいからいいから、遠慮しないの。それに今日は歩き回って、だいぶ汗もかいたでしょう」
 ふとももを洗っていたスポンジが、足全体を這いはじめた。目隠しをして視覚を遮っているせいか、スポンジの感触を大げさに感じてしまう。この感触が、美穂さんの体の感覚なんだと考えると、美穂さんの肌の感覚をいまぼくが感じているんだと思うと、熱い血がこみ上げてくる。いま、ぼくの顔は、真っ赤になっているとおもう。
 いつの間にか後ろに回った美穂さんが、背中を洗い始めた。うなじから、両肩、背中、そしてスポンジはさらに下降し、腰に進む。ついに、ぼくのお尻まで洗い始めた。
 やわらかいスポンジで触れられると、全身どの部分でも、そこからくすぐったいような、それでいてしびれるような、そんな快感が生まれた。
 やがて美穂さんの操るスポンジは、ぼくの胸を洗い始めた。
「あ、そんなところ……!!」
「胸だってちゃんと洗わないとね」
 スポンジが、ぼくの大きなおっぱいを揉むように動いた。
 さらにスポンジは、おっぱいの先端を洗い始めた。
 美穂さんは、丁寧になんども乳首をスポンジで洗った。
 体を洗ってもらっていたときにも快感があったが、それらとは比べものにならないほどの刺激が乳首から襲ってきた。まるで電撃のような、それでいて甘いような、そんな誘惑がぼくを襲う。
「はう……ん」
 ぼくは思わず、声を上げてしまった。上げてから、自分の口から出た色っぽい声に驚いた。恥ずかしくなる。
「修太くん、かわいい声を出して。気持ちいいんだ。
 そうだよね。初めての女の子の快感だもの。わたしの体って、けっこう感じるでしょう? 我慢せずに声を出していいんだよ」
 美穂さんはそういったが、男がこんな声を出すなんて恥ずかしくてたまらなかった。それに、美穂さんにこんな痴態は見せたくなかった。だからぼくは下唇を噛んで、押し上げてくる声をどうにか我慢した。
 快感に堪えているうち、やっと胸はすんだらしく、スポンジは下に降りていった。
 今度はお腹やおへそをなでるように洗った。
 それが終わると美穂さんのスポンジは、女性の一番大切な場所に当たった。
「そ、そこはっ!!」
「いいからいいから」
 お姉さんが持ったスポンジは、ていねいにやさしく股間を前後していく。
「あっあっあっ……」
 胸の快感には堪えたものの、今度の快感には堪えきれなかった。声が、口から勝手にあふれでた。あえぎ声がお風呂場に響いた。
「あああん……。だめです、そんなところ……。はあんっ」
 ぼくは両手で股間を守った。
 だが、ぼくの抵抗に対して、美穂さんはぼくの手をつかむと、強引にはずしてしまった。その力強さに、男の腕力を感じた。
「わたしが良いっていっているんだから、良いのよ」
 その声は、興奮しているように感じた。
 突然、目隠しのために頭に巻いてあったタオルがはずれた。絞め方が緩かったのだろうか?
 驚いてはずれたタオルをさがそうとしたが、さがすまでもなくタオルはすぐにみつかった。タオルはぼくの姿になった美穂さんがに強くぎっていた。タオルは自然に外れたのではなくて、美穂さんの手によってはずされたのだ。
「美穂さん、タオル、どうして……?」
「ごめんなさい。もう、これ以上我慢できないの」


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