闖入者
 作:toshi9


「いってらっしゃい、あなた」
「ああ、行ってくる。奈々子も気をつけてな」
「ええ、じゃあね」

結婚して1年、まだ新婚気分の抜けない日野本令和(ひのもとよしかず)と奈々子。
玄関で見送る令和にキスをする奈々子、そんな奈々子をそっと抱きしめて家を出ていく令和。
それはいつもと変わらない幸せを感じる一日の始まりだった。
だがその夜……



「遅くにすみませーん、宅急便でーす」
ドアホーンが鳴る。
宅急便が来たらしい。
「令和さん、宅急便ですって」
「こんな夜に宅急便か、あ、注文したコスプレ衣装かな」
「また注文したの…ったく、いいかげん買うのやめてよ」
「まあまあ、奈々子のコスプレ姿って素敵だろ。何着ても似合うし、そんなお前を見るのが楽しみなんだ」
「それは認めるけど・・」
怒った表情を見せながらもまんざらでもない奈々子だった。

その時、再びドアホーンが鳴る。
「はい、はーい」
玄関を開けた令和の目の前には、緑の作業着を着た男が立っていた。
「こちらです、ハンコください」
「ああ」
令和に大ぶりな箱を見せた配達員は伝票を取り出す。
差出人欄にはAnazomの社名が入っていた。
「あれ? 俺が注文したのってAnazomだったっけ」
そう思いながらハンコを押そうと手を伸ばす令和。だが、その手をぎゅっと掴まれる。
「お、おい、何を」
令和の手首をつかんだ配達員は有無を言わずに強引に部屋の中に入ってきた。その後から若い男が続く。

「よ、よしかずさん」
「き、貴様たちはなんだ」
「すまないな、あんたたちに俺たちの実験に付き合ってもらいたいんだ」
「実験だって? 入ってくるなり何を言ってるんだ。宅急便の配達員が何の実験をしようと言うんだ」
男は令和の問いに答えず、持っていた宅急便の包みを開いた。中には虎猫屋のミニ羊羹にそっくりなものが並んでいる。色違いで何種類かあるようだ。
「羊羹?」
実験という言葉に対して出されたのはミニ羊羹だった。そのギャップに、令和は呆れたような表情を浮かべる。
「この羊羹が何だというんだ」
「あんたたち二人でこれを食べるんだ」
「はぁ?」
「ぐずぐずするな、どうだ、おいしそうだろう。食べて感想を聞かせてもらえればいいのさ」
「ちょ、ちょっと待て、今ここでこの羊羹の味見をしろと?」
「まあそんなところだ」
「まさかこんな時間に押しかけ嗜好調査? いや、実験だと? こんな強引な事をして、お前らおかしいだろう」
「この実験を街中でやるわけにもいかないんでな」
「ほんとうに変なものじゃないだろうな」
令和の問いに、男はにやりと笑う。
「なあに、毒じゃないさ。それどころか甘くておいしいはずだ。さあ、食べてみるんだ」
「断る、帰れ!」
「そうか、こんな事はしたくないが・・」
男はそう言うと、若い男に合図をした。
それに答えるかのように、若い男は懐から大ぶりな少し変わった形のナイフを取り出し、令和に向けた。

「よしかずさん、言う事を聞きましょう」
大型ナイフに驚いた奈々子が、おびえた表情で令和を促す。
「くっ、わかった食べよう」
そう言って、令和は羊羹に手を伸ばした。
「ぐずぐずするな」
「貴様ら、いったいどこの会社の人間だ。訴えてやる」
「ふふふ、そんなことを教えるわけないだろう。なにしろこれは匿名性の高い実験だからな」
男はにやっと笑いながら言う。
「早く食べてみるんだ。言っただろう、毒じゃない。おいしいぞ」
「しかたない。これを食べたらすぐに出ていくんだぞ。さあ、奈々子」
ダイニングに座って包装を開くと、令和は奈々子にも食べるよう促しながら羊羹の1本を手に取ると、包装をむいて食べ始めた。
確かにそれは小豆の味が絶品でおいしかった。
「1本全部食べるんだぞ」
男に言われて、二人はそれぞれ1本食べてしまった。
確かに味はおいしい。味は……

「食べたぞ、これで満足か?」
「そうだ、な……」
男たちは食べ終えた令和と奈々子をじっと見ている。
やがて二人の身体に異変が訪れた。
「な、なに? 体が……」
「あ、あなた、身体が痺れて動かない」
「お前、毒じゃないと言ったじゃないか…ぐあっ」
「言ったさ、毒じゃないと。死にはしない。だがな」
男がそう言って令和の腕をつかむと、シャツ越しに令和の腕はぐにゃりと押しつぶされてしまう。
「ふふふ、どうやら第一の実験は成功のようだ」
柔らかくなった身体を支えきれずにその場にしゃがみこむ令和。妻の奈々子も力を失ったかのようにその場にへなへなと倒れ伏し、気を失ってしまった。

「ふふふ、さてと」
両手の指を広げてポキポキと鳴らした男は令和の服をはぎ取った。若い男も気を失ってしまった奈々子の服をはぎ取ると、彼女を床に仰向けに寝かせた。
美しい裸体が男たちの目に晒される。若い男の表情にはいくぶん興奮の色が表れていた。だがリーダーの男は寝転がされた二人を冷静な目で眺めるばかりだ。
「お、おれたちに何を」
「言っただろう、実験をするのだと。やれ」
男がそう言うと、若い男は一瞬躊躇する。
「大丈夫だ、死にはしない、血も出ないはずだ。さあ、やれ」
その言葉に、若い男は意を決して奈々子のなめらかな腹にナイフを突き立てた。
「やめろ、奈々子に手を出すな」
「そうだなあ、やめようかな」
「頼む、やめてくれ」
「やっぱりやめた」
「そ、そうか、やめてくれるのか」
「やめるのをやめてやるぞ、ははは、続けろ」
男がからかうような口調で答えると、若い男は奈々子の腹に立てたナイフを下腹部近くまで切り下ろした。不思議なことに皮膚を切り裂いているにもかかわらず、男の言葉通り切り口から血が出ることはなかった。

「ふむ、間違いなく効いているようだな。第二の実験も成功だ。では第三の実験を始める。おい」
「りょーかい」
若い男は自分も羊羹の1本を食べてしまうと服を脱ぎ始めた。その逞しい身体が露わになる。
すっかり裸になった若い男は自分の腹にナイフを突き立て、下腹部に向かって切り下ろした。やはり血は出てこない。
「へぇ〜、本当に痛くないんだ」
自分の腹を切った男は、横たわった奈々子に近寄った。そして彼女の切り口を確かめると、自分の腹の切り口とその切り口をくっつけるように奈々子の身体に自分の体を重ねた。

「や、やめろ、奈々子に何をする」
「黙って見ていろ」
男が声を上げる。
その時、奈々子の背中から抱きつくように乗しかかっていた若い男の身体が一瞬ぶるっと震えた。
「はじまったようだな」
若い男の身体はやがてぐにゃりと変形しながら縮み始めた。そのごつい体の中身が変形しながら切り口から奈々子の中に潜り込み始めていたのだ。
男の身体は徐々に奈々子の中に浸入していく。それと同時に、華奢な奈々子の身体がむくむくと膨らんでいく。
奈々子の上にのしかかっていた男の身体がどんどん小さくなっていくのと反対に、床に横になった奈々子の身体はごつい男のような体形に変化していた。
だが奈々子の体形に次の変化が訪れる。
ごつかった身体の線が徐々に柔らかくなっていく。その全身は再び元の細く華奢なものに戻っていった。
一方の縮んで干からびたようになっていた若い男の身体もむくむくと膨らみ始め、少しづつ元の大きさに戻っていく。まるで奈々子の身体の中から何かが再びその中に戻ってくるかのように。
やがて二人の身体はすっかり元のスタイルに戻っていた。

「な、なにが起こって‥な、ななこ、だいじょうぶなのか」
「ふふふ、第三の実験も成功のようだな。おい、どうだ気分は」
見ていた男が不敵な笑いを浮かべる。
男の声に、うつ伏せになった奈々子の身体がぴくっと動いたかと思うと、彼女は身体の上に乗しかかったまま気を失っている若い男を払いのけて体を起こした。
奈々子はぼーっと焦点の合っていないその目で己の両胸に垂れ下がる大きなおっぱいを見下ろしすとにやりと笑った。そしてその目が己の胸に釘付けになる。
あぐらをかいだ奈々子は両手を胸に伸ばすと、片手に収まらないその豊かなおっぱいを揉み始めた。
「大きいな、それに柔らかい」
「どうだ、女になった気分は」
「変な感じだ。男の俺にこんな大きなおっぱいがあるなんて、だが」
鏡に映っている胸を揉む自分の姿に視線を移した奈々子はにやりと笑う。
「俺って、美人で、えっちだな」
右手を胸から離し、大きく開いた股間にその指を伸ばした奈々子は、歓喜に顔をゆがめる。
「女の快感、前から味わってみたかったんだ」
「待て待て、第三の実験は成功した。続いて第四の実験に移る」
「しかたない。前金で引き受けたバイトだからな、やってくれ。それにこれから先の実験も楽しみだし」
奈々子はそう言って手を胸と股間から離して立ち上がると、男に背中を向けた。

男は若い男が使ったナイフを手に取ると、奈々子の後頭部に立てそれを腰まで切り下ろしていく。
やはり血は出てこない。
「むずむずするな」
奈々子が腕をさすりながら体を動かす。
その全身には大きなしわが浮かんでいた。
「どうだ、できそうか?」
「ああ、何かこう、脱ぎたいっていうか、脱げそうっていうか」
そう言いながら己の頭に両手をあてがった奈々子は、フルフェイスのヘルメットを脱ぐかのように頭を前に押し出した。
すると奈々子の頭部がすっぽりと脱げてしまった。そして脱いだ中から再び奈々子の顔が現れる。
両腕をさすり引っ張ると、奈々子は腕の皮もすっぽり脱げてしまう。そして彼女は上半身、下半身、両脚と、全身の皮を脱いでしまった。
脱いだ皮の中から出てきたのは奈々子だった。
彼女は床に脱ぎ捨てられた自分皮を薄ら笑いを浮かべて見下ろしている。そして再び自分の大きな胸を揉みしだいた。
「どうだ、俺の姿は」
「ああ、完全にコピーできたようだな。どこから見てもあの女の姿と変わらん」
男は脱ぎ捨てられた奈々子の皮にちらりと目を移す。
「ここの感じも……男にはない女の感覚だ、あん」
奈々子の皮を脱ぎ捨てて中から出てきた奈々子の様子を見て、令和は唖然とするばかりだった。

「な、なにがどうなっているんだ」
「あんたの奥さんはあっちだ」
男は気を失ったままの若い男に視線を移す。
「そこで胸を揉んでもだえているのはあんたの奥さんではなく、あのごつい男なんだよ。今では全身をお前の奥さんの皮からコピーしてどこから見ても女性そのもの、いや、お前の奥さんにしか見えないがな」
「そ、そんな」

動けない体で惑乱する令和の前で、奈々子の姿になった若い男は己のものとなった女陰を指で弄び続ける。
くにゅっと人差し指と薬指で陰唇を開くと、ゆっくりと中指を中に入れていった。
「あ、あう、いい、これは、いい、いいぞ」
胸を揉み、股間に指を這わす奈々子から歓喜の嘆息が漏れる。
「感覚も完全に女性そのもののようだな、第五の実験も成功だ。まだまだ実験はこれからだ。第六の実験に移る」

男は、己のものになった女体をむさぼり弄び続ける若い男を尻目に、奈々子の皮に手を伸ばすと、それを広げた。
「ふむ」
吟味するように皮の全身を眺めると、ナイフを首の部分に当ててさっと横に切り裂く。
ぺらぺらの薄い紙のようになってしまっていた彼女の皮は、首の部分からたやすく切り離されてしまった。
「奈々子!」
「心配するな、お前の奥さんはあっちだと言っただろう。さてとお前、奥さんのことは好きか?」
「当たり前だ、俺は奈々子のことを愛している。奈々子に何をしたんだ。早く奈々子を元に戻せ」
「わかったわかった」
男は切り離した奈々子の頭の部分を取り上げると令和にかぶせてしまった。
「うぷっ、何を」
「見てみろ」
男が指さした鏡には男の身体をした奈々子が映っていた。困惑しているその顔は奈々子の顔なのに身体は男。その股間にペニスがぶら下げっている。
それは今の令和の姿だった。
「な、なにをした」
「どうだ、愛する奥さんの顔になった感想は。ふむ、第六の実験も成功だな」
「何がどうなって……」
だが言葉とは裏腹に、令和は興奮していた。
自分の顔が愛する奈々子の顔になってしまったのだ。
彼の思いのままに、奈々子が表情をゆがめているのだ。
その事実に、鏡を見つける令和の股間のペニスは徐々に鎌首をもたげ、膨らんでいった。

「ほう、こいつこんな時に興奮しているのか。少し趣旨は違うが、おい、それを鎮めてやれ」
「わかった。おい、手がいいか、それとも……いいや、俺ももっと女の悦びを味わってみるか」
立ち上がった奈々子の姿になった若い男は、令和にまたがると令和の怒張したペニスを手に取って、自分の股間にあてがい、そしてゆっくりと腰をおろしていった。中指を動かし続けてぐしょぐしょになっていた彼女の股間の女陰が令和の硬くなったペニスを飲み込んでいく。
「うひゃあ、いいぞ、これ」
すっかり令和のペニスを咥え込んで腰を動かし始める偽の奈々子。その大きな両胸が、その長い髪が揺れる。
「ああ、いい、この奥まで入ってくる……突いてくる感じ、ああん、感じる」
「この中の感じ、これは奈々子の、本物の……あああ」
奈々子の顔で快感にもだえる偽奈々子。
そして奈々子の顔で、ペニス全体を包む快感に顔を上気させる令和。
令和の目の前で奈々子の胸がゆっさゆっさと揺れていた。その乳首がつんと盛り上がっていく。
「や、やめろ、お前は奈々子じゃないんだ、奈々子じゃ、はぁはぁ」
「もっと、もっとぉ」
鏡には二人の奈々子が腰を密着させている姿が映っていた。男の身体の奈々子とその上で体を上下に動かし続ける女体の奈々子が。

「ほら、愛する奥さんがお前のペニスを欲しがっているぞ。最後までイカせてあげないといけないだろう」
「いや、そんな、だが、ああ、気持ちいい……イキそうだ」
偽の奈々子を相手にイッてはいけないと思いながらも快感に苛まれ続ける令和。だが彼の腰に足を絡めた奈々子の潤んだ目と目が合った瞬間、令和も興奮を抑えきれなくなっていた。
身体を回転させて、上下逆になると、自分から腰を動かし始める。
「奈々子、好きだ」
「あたしをイカせて、もっと、もっとぉ」
「ななこぉ」
そして令和は、奈々子の顔で、奈々子の中で果てた。偽の奈々子の中で。

「ふふふ、どうだ感想は」
「ああ、女ってこんなに感じるんだな。これの感触がこんなに良いものだとはな。腹の奥がまだうずいている」
偽の奈々子は自分の下腹部を撫でながら、股間から抜けた令和のペニスをもう一方の手でそっと握りしめる。
「あんなに躊躇していたが、このバイトを受けてよかっただろう」
「ああ、女の身体は最高だぜ」
「さあ、次の実験に移るぞ。お前はシャワーで身体を洗ったら何か着ろ」
「そうするよ」
立ち上がった偽の奈々子はそう言うと、シャワールームに消えた。
やがてシャワーの音と、女の嬌声が聞こえてくる。

「やれやれ、まだ足りないのか」
残ったリーダーの男はぐったりとした令和の頭から奈々子の頭の皮をはいだ。その顔は令和のままだった。
「ふむ、一部の皮をかぶせるだけでは中身は変わらないというわけか。では第七の実験だ」
男は、令和の首にナイフを刺すと、さっと切り裂いた。
朦朧とした意識の中で何か言おうとした令和が言葉を発する前に、首が胴体から切り離されてしまう。首からは血は全く出ない。
男は令和の首を、首から上を無くした奈々子の皮の首の部分にくっつけた。
へこんで平たくなっていた胴体が、徐々に膨らみを取り戻していく。
令和の姿はさっきまでと全く逆になっていた。
今度は頭は令和のままだが、その身体は奈々子になってしまたのだ。

「どうやら第七の実験も成功のようだ。さて、こいつが目覚める前に第八の実験といくか」
男は自分も羊羹を1本食べると自分の腹にナイフを立てる。やはり血は出てこない。それを確かめた男は、首を切り離されて横たわったままの令和の胴体の背中をナイフで切ると、そこに自分の切り口を重ねるように寝そべった。
男の身体が令和の身体に潜り込んでいく。
立ち上がった男の姿は、首から上は元の男のままだが、肢体は細身ながらも若々しい筋肉質の令和の姿に変わっていた。
「ふむ、忘れていた感覚だ。若い身体とは良いものだな」
男は体をさすって力こぶを作ると、今度は自分のモノになった股間のペニスを握りしめる。

「う、うーん」
「気がついたようだな。では第九の実験だ」
男は意識が朦朧としている令和の体を起こしてその白く華奢な腕を取ると、己の股間のペニスを握らせた。そして、前後にさすらせる。
「うっ、うぅ、これはいい」
男のものになった若いペニスがみるみる硬くなって鎌首をもたげていく。
「な、なに!?」
令和は意識を取り戻すと、自分の手に生暖かく硬いモノが握られているのに気がついた。
それは良く知っている感触。だが、それをありえない角度で握っている。
「これ、俺の……」
「気がついたようだな、そうだ、これはお前のものだったモノだ」
「そんな、俺の身体? 俺の体は?」
「自分の身体をよく確かめてみるんだな」
そう言われた令和は、自分の胸にふくよかなふたつの膨らみが盛り上がっているのに気がついた。
胸から下の腰がきゅっとしまり、へその横には見慣れたほくろがある。さらにその下にあるはずのモノは無かった。代わりに翳った股間にあったのは少し口を開いた細い溝。それは何度もセックスして良く知った身体だった。

「これ、奈々子のほくろ。まさか俺は奈々子になったのか」
「ちょっと違うな、鏡を見るんだ」
鏡に映っているのは、顔は令和自身のままだったが、首から下は奈々子の身体になってしまった自分の姿だった。
「さっきと逆? どうしてだ、なんでこんな姿に」
「後で教えてやろう。さあて、おまえの手でしごかれて、俺もそろそろその気になってきた。俺のコレをお前の中に挿れてやる。ああ、俺のモノというか、これは元々お前のモノだがな。しかし……身体が女とは言え、その顔ではやはり興醒めだな」
そう言うと男は令和の顔に再び奈々子の顔の皮をかぶせてしまった。奈々子の顔をかぶされて、令和の身体は全て奈々子の姿に変わってしまった。

「どうだ、これでお前は完全な女だ。お前のかわいい奥さんの姿になったというわけだ」
「俺が奈々子になってる? そんな」
鏡に映る己の裸の姿を見て狼狽する令和。
男はそんな彼の背中から胸に手を伸ばす。
「ここはどうだ、感じるだろう」
そう言いながら乳首を指でいじる男。令和の乳首がみるみる盛り上がっていく。
「あうぅ」
「そうだ、その表情だ。かわいいぞ」
令和の身体をくるりと回転させた男は口を寄せて、膨らんできた乳首を舐め始める。
「あう、胸からこんなに、あううう」
舐められている快感を必死でこらえようとする令和。だがその頬が赤く染まっていく。
「ふふふ、感じているようだな。その表情、たまらんな。どうだ、男が感じる女の快感は」
「女の快感って、なにを、あ、いい」
首を振ってこらえようとする令和。だがその股間はじくじくっと奥から濡れていた。
「そろそろ良いようだ。さあ、お前の中に挿れるぞ」
そう言って、男は令和の股間に己の硬くなったペニスを押し付ける。
それはパクっと口を開いた令和の股間にずぶずぶと入っていった。
股間の中に生暖かく硬い異物が強引に押し入ってくる感覚は、令和に強烈な快感をもたらした。

「あ、あうん」
入った瞬間、ビクッと背中をのけ反らせる令和。その腰をがっしりと両手で掴んだ男は、腰を前後に動かした。
「ひ、ひい、なんだこの感じ、やめて、やめてくれ」
「やめてくれ? いいのか?」
男はなおも下半身を前後に動かす
押し付けては離し、離してはまたぐっと押し付ける。
そのたびに女陰の奥から吹き上がる快感に、令和はいつのまにか両腕、両脚を男にからめ、自分で腰を押し付けていた。
「ああ、いい、やめ、やめ、いや、やめないで」
「そうか、では最後までいくぞ」
男の腰の動きが激しさを増す。
「どうだ、お前のモノだったこれでお前は果てるんだ」
「いい、もう何が何だか、でも、いい、あああ、いきそう」
「う、出る、いくぞ、うおっ!」
「あ、ああ、いい、いく、いい、あああああ」
その瞬間、怒張しきったペニスから熱いほとばしりが令和の女陰の奥の子宮に向かって勢いよく噴出される。そして、それを受け止めた令和は背中をのけ反らせて果ててしまった。

「ふうふう、若い身体というのはいいものだな。まだいけそうだが、実験を進めないとな」
令和の女陰からペニスを抜いて立ち上がる男。だが令和は気を失ったまま起き上がることができない。
そこに真っ赤なビキニ姿の奈々子が入ってきた。
「いいもん見つけたぜ、どうだかわいいだろう」
そう言って偽の奈々子はしなっとポーズをとる。
「そんなもの着てないで普通の服を着ろ。で、第十の実験だが、記憶のほうはどうだ」
「ああ、段々この女の記憶がわかるようになってきた」
「そうか、第九の実験も第十の実験も成功だな。第十一の実験に移る」
男は両手で自分の顔をつまむと掌でこね始める。
その顔は徐々に変化していくと、やがてすっかり令和の顔に変わってしまった。
「ほう、あの男の顔に変わったのか」
「この男の身体の皮に顔が馴染んだんだ。これで俺の顔はこの男の顔になった。第十一の実験も成功だな」
「で、そっちはどうするんだ。女は二人いらないだろう。俺はこのままがいいぞ」
偽奈々子の言葉に、すっかり令和の姿になった男は横たわったままの奈々子の体になった令和に目を向ける。

「そうだな、ではこういうのはどうだ。第十二の実験だ」
男は、奈々子の体になった令和の口に新たな羊羹を強引に入れた。さっき食べられていたものとは違う色だった。
「さあ、食べるんだ」
その言葉に、令和は無意識にその羊羹を食べてしまう。
「そっちにも食べさせろ、元のお前の姿をしたその身体にもな」
「今度は何をするんだ?」
「まあ見ていろ、この実験も面白いぞ」
偽奈々子も若い男の身体になった奈々子の口に羊羹を押し込む。
羊羹を食べさせると、男は奈々子の姿をした令和の身体を両手で揉み始めた。するとその身体が徐々に縮みはじめる。変形していくその身体を、男は身体のある部分の形に集約していった。

「どうだ面白いものだろう」
「人間の身体がこんなに小さく変わるのか?」
「変わるのさ。そっちもやってみろ」
男は横たわったままの若い男の身体を指さす。
促された偽の奈々子が若い男の身体を揉むとその身体も縮みはじめ、ある部分に集約されていく。
「ふふふふ、できたようだな」
奈々子になった令和と若い男の身体になった奈々子のいた場所には、身体のある部分だけが残されていた。
令和になった男は奈々子が若い男の姿からさらに変わり果て、変形したそれを持ち上げると、己の股間に盛り付けた。
「お前もこれをつけてみろ」
偽令和は令和が変形してしまったモノを取り上げると、偽の奈々子に差し出した。
偽の奈々子もそれを自分の股間にぺたりと貼りつける。
装着された元の令和と奈々子が変わってしまったそれは、もともと偽物たちについていたものと混ざり、同化していった。
股間に装着されたモノを手でさする偽令和、そして己の女陰を手で撫で指を中に出し入れする偽奈々子。

「うっ、いいな、これ。こうするだけで、何かこみあげてくる」
「ああ、さっきまでと比べものにならない。いいぞ」

二人が股間に装着したもの、それは、チン〇とオマン〇だった。
偽令和のペニスは少しさすっただけで今までの2倍の大きさになり、偽奈々子の女陰は指先でクリト〇スを少し撫でただけで愛液がぬらぬらと湧き出ていた。そこから感じられる快感もそれまでの2倍以上に感じられたのだ。
「気持ちいいな、これ」
「俺たちのチン〇とマン〇に同化した二人の意識が、二人分の快感をもたらしているのさ」
「へぇ、でも中身が逆じゃないのか? このオマ〇コの中身はあの男なんだろう」
「こっちのチン〇の中身はあの女だ。だがこれでいい。性が逆だからこそ快感が強烈に感じられるのさ」
「そんなものかい」
「では、最後の実験といこうか」
偽令和は偽奈々子の腕を取ると、ぎゅっと抱きしめた。
「あん」
「そうしていると女そのものだな、かわいいぞ」
「だって、抱きしめられただけで感じてしまって」
顔を赤らめる偽奈々子。
「なんか、この女の記憶がお前に愛して欲しいって……」
「ふふふ、俺のここも興奮しているようだ」
「女の入れられるって、どんな感じなんだろうな」
「今すぐわかるさ。さあ」
抱きしめた偽奈々子に偽令和がキスをする。
「ああん、感じる」
己の舌を偽令和の口に入れる偽奈々子。二人の舌が濃密に絡み合う。
「いいぞ、これはいい」
興奮する偽令和は偽奈々子の乳を揉み、そしてその股間に手を伸ばして愛撫する。既にぬらぬらと濡れているソコは口をすぐに開いていった。
「こんなに勃っている感覚は久しぶりだ。さあ、挿れるぞ」
「あ、ああ、あうっ」
偽奈々子の女陰の中に己のペニスを押し込む偽令和、それは何の抵抗もなく入っていく。
偽奈々子のほうは挿れられる感覚に酔いしれていた。
ついさっき奈々子の顔の令和に突かれた感覚とも違う、今まで感じたことのない、体の内側を、奥の奥を突かれる感覚。
挿れられては出され、そして出されては再び挿れられる。
それが繰り返されるごとに偽奈々子の頬が赤くなっていく。
その顔は歓喜に震えている女性の表情そのものだった。
「かわいいぞ、俺のこれももうすぐ……うう、いいぞ、いきそうだ」
そこから感じられる快感はけた外れに大きい。
そう、その快感はそれぞれ2人分の快感なのだから。

一方の本物の令和と奈々子は、偽物たちが身体を愛撫し始めた時、奇妙な感覚を覚えていた。
真っ暗で何も見えない、ただ誰かの声だけが聞こえる。
突然奈々子は体全体をぎゅっと掴まれ、上下にこすられる感覚を感じたのだ。
「何なの、やめて、離して」
それは偽令和の手が己の股間に伸び、股間に盛られた奈々子が変形したペニスを前後にこすり始めたのだ時のことだった。
奈々子の全身に快感が走る。身体全体をぎゅうっと抱きしめられている感覚、そして己の中から湧き上がってくる快感が全身を硬く膨れ上がらせていた。
その快感は奈々子を装着している偽令和にも伝わっていく。
「す、すごいぞ、こんな快感は久しぶり、いや、初めてだ」
「俺のほうも、ああ、これ、いい」
偽奈々子が股間に伸ばした指を前後に動かすと、本物の令和は体全体をなでなでと撫でられる感覚を感じていた。快感が全身を包み込んでいく。やがて汗がどっと噴き出ていた。
「あ、ああ」
突然、令和は口の中に大きな棒状のものを差し込まれたような感覚を覚えていた。
苦しく、そして痛い。
だが体の奥から今まで以上の快感が吹きあがってくる。のどぼとけのあたりにソレが当たるといっそう気持ちがいい。
「やめてぇ」
「やめろ」
二人が叫ぶ、だがその悲鳴は声にならない。

ぐにゅ
奈々子が変化した、硬く膨れ上がったペニスが令和が変形している濡れた女陰に侵入してくる。
むりむりと強引に押し入ってくる感触だった。
「あ、あああ」
「いや……、なに、どうしてこんなに……身体が熱い」
興奮して全身がほてり、硬くなっているのを感じる奈々子
「オレどうしたんだ全身が汗で濡れて、いや、汗じゃない。これ、うわ、何だ、何かが俺の中に入って……やめろ、いたい、いや……いや」
むりむりっと、ぱっくり開いた自分の口から何か熱く硬いものが強引に入ってくる。
最初は痛みを感じたものの、やがてそれは身体全体に震えるような快感をもたらした。
全身から汗が噴き出す。咥え込んだ口からぬらぬらと粘液が出続け、その硬いモノがさらに身体の奥に入っていくのを感じていた。
「気持ちいい、とっても……気持ち……いい」
「もしかして、俺の中に入ってくるこの硬いのは奈々子なのか」
「令和さん、あたしが入っているここって、令和さんだったのね。令和さんの中って、暖かい」
「お前が俺の中に、気持ちいいぞ、あ、ああ」
「あたしも、あたしの身体が熱い、身体全体が硬くって膨らんでいるような、いい、あたしも……いい、いく、何かあたしの中から出る」
偽令和と偽奈々子が交合し続ける一方で、その股間では結合した本物の令和と奈々子も快感をむさぼっていた。
腰を動突き動かす偽令和、腰を振ってそれを奥に奥に受け入れる偽奈々子。
そして……
「「「「あああああああ」」」」
4人は同時に果てた。


「さて、実験はこれで全て終わった。最後まで全部成功だ。良い報告書が書けそうだな。報告書を提出すれば俺たちはひとまずお役御免だ。お前はどうする? 何ならこのまましばらくここで暮らしてもいいぞ」
「お、いいなそれ。だんだんこの女の記憶が鮮明になっているんだ。なんかあんたのことが好きになっているんだ。こうしていると『あなた、愛してる』って言いたい気分なんだ」
「ははは、実は俺もそうなんだ。本物の妻にそんな事を言われたことなんか無かったが、そんな風に言われるのもいいものだな。俺がお前の旦那で、そしてお前は俺の奥さんといわけだ。楽しませてくれよ」
「ああ、その身体で俺を愛してくれよ」
キスをして再び絡み合う二人、それは本物の令和と奈々子がしてきていたものと何ら変わらなかった。



いつもの朝が来る

「いってらっしゃい」
「あ、行ってくるよ奈々子」
「今日は早いの?」
「いや、組織に寄って報告を提出してくる。少し遅くなるかもな」
「早く帰ってきてね」
「ああ、なるべくな」
そう言ってそっと奈々子にキスする令和。
なんな令和を手を振って送り出す奈々子。
隣の家に住む老人が新婚気分の抜けない二人を微笑ましく見ている。
だがその中身は全くの別人に変わっているのだ。

家に残った偽奈々子は、ひとりになるとドレッサーの中に入っていた様々なコスプレ衣装を取り出す。その中からバニーガール衣装を取り出して着替えると、鏡の前に立った。
「かわいいな、オレ」
偽奈々子はじっと鏡を見つめてしなしなとポーズをとり、そして鏡の前で股間を大きく広げる。そしてうずく股間にそっと手をあてがうと、高まる感情を抑えきれずにバニースーツの内側に指を滑り込ませる。
なぞられる指に、股間に同化した令和もまた全身を濡らして快感に浸かっていた。
(な、なんだ、これ、俺の中に入ってくる、だめだ、やめろ、いや……入れて、もっと、ああ)
バニースーツの中の指を前後に動かし続ける偽奈々子。クチュクチュと股間が音をたてる。令和は出し入れされる指に、全身を快感に苛まれていた。
「(あ、あああ、いい、いく、いくぅ〜)」
やがて絶頂に達した二人は同時に果てた。
その後も偽奈々子は様々なコスプレ衣装に着替えてはオナニーにふけって偽令和の帰りを待つのだった。

一方そのころ、出かけた偽令和は電車の中でミニスカートの女子高生を眺めて、股間を膨らませていた。
偽令和のズボンの中で、全身を怒張させた奈々子が聞こえない悲鳴をあげる。
(熱い、なんだか、あたしの中から何か出てきそう、やめて、いや、こんなの、いや!)


(終わり)
















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