叶えられた願いV 【その2】 作:toshi9 朝丘美紀はビーチバレー界のアイドルで「プリンセス・ミキ」という愛称で老若男女を問わず人気が高い。電車に乗り込んでドアの横に立つと、俺に気がついた数人の男女が、ひそひそと俺を見て会話を交わす。中には携帯で俺を撮ろうとしている大学生らしき男もいた。 「ねえねえ、あれってビーチバレーの朝丘美紀じゃない?」 「うん、本物って初めて見るけどかわいいね。でも背が高〜い」 そんなひそひそ声が俺の耳にも入ってくる。窓の外を眺めるふりをしながら、俺は「本物だって? お前が見ているのは本物じゃないぞ」って心の中で笑っていた。でも何か気持ちいいぜ。 俺は注目される心地よさに浸っていた。 「あいつら中身が俺だとも知らないで。まあこんなにかわいい朝丘美紀が男に体を乗っ取られているなんて誰も考えないだろうけどな。でもちょっとうざってえな」 段々と車内の注目が集まり、ざわざわと声が高くなってくる。 だがそうこうしているうちに、電車がお台場の東京テレポート駅に着いた。 「やっと着いたか。よ〜し、今から朝丘美紀としてビキニを着てビーチバレーのコートに立つんだな。くふふ、楽しみ」 「踊る○捜査線」のテーマメロディの発車チャイムが奏でられる中をスポーツバッグ片手に改札を出ると、俺は試合の行われるお台場のテレビ局近くの砂浜に設けられたビーチバレー会場に向かった。 「こんにちは〜」 俺は会場に着くや、スタッフに挨拶した。 「遅いですよ、朝丘選手」 「ごめんごめん、電車が混んじゃって」 「早くしてください、飯田選手はとっくに着替えてアップしてますよ」 飯田選手とは、朝丘美紀のパートナーだ。ちなみに抜群のコンビネーションを誇る二人は「朝飯ペア」と呼ばれている。 試合前はいつも早めに来て二人で一緒にウォーミングアップをしている。 頭の中の朝丘選手の記憶によると、そういうことらしい。 「ふふふ、でもウォーミングアップなら一人でもできるよね」 俺はビーチ横に特設された選手専用のロッカールームに入ると、スポーツバッグの中からビキニ水着を取り出してそれに着替えた。小さめのパンツがお尻を、ブラジャーが大きな胸を締め付ける。 姿見には水着を着た長身でスレンダーな朝丘美紀が映っている。 「ちょっと恥ずかしいけど、美紀がんばる!」 鏡の前でガッツポーズを取った。いつも朝丘美紀がやってる仕草だ。 ううう、自分でやっているとは言えかわいいぜ。 「それにしても、このパンツってなんでこんなに薄くて小さいんだ。これじゃ見えちゃうじゃないか」 パンツからはみ出したお尻の肉を両手でパンツの中に押し込んだ。いつもと違うお尻の肉の柔らかさが指に、手の平に伝わってくる。 鏡にはテレビでは見ることのできない悩ましい仕草をした朝丘美紀が映し出されている。 「くぅ〜、もうたまらん。何てかわいいんだ、美紀ちゃん」 俺はスポーツバッグに人形を入れて選手ロッカーに押し込むと、自分の体を思う様抱きしめた。 「俺が朝丘美紀、これが今の俺なんだ、ああん」 手を全身に這わせ、水着のブラジャーの上から胸を揉む。そして水着のビキニパンツの中に右手を突っ込んで股間にもぞもぞと指を這わせた。 「あ、あん」 水着の下にはいたアンダーショーツと下腹部の間に少しずつ指を下ろしていくと、指先が柔らかな感触の溝にたどり着く。くにっとしたその中に中指を差し入れてそこにある突起をいじくると、ピクッと体が勝手に反応した。 「あ、これ……いい」 さらに突起をいじると、体がピクッピクッと反応する。中指をゆっくりと溝の奥に向かって突っ込んでは抜き出す。そして少し膨らんだ突起をころころといじる。何度もその行為を繰り返していると、どんどん悩ましい気持ちになっていく。 「あん、駄目、気持ち……いい」 姿見には水着のパンツに手を突っ込んでもぞもぞと動かし続ける、頬をほんのりと赤く染めた朝丘美紀が映っていた。 「うはぁ、いやらしい。いや、何て色っぽいんだ、俺、いいえあ・た・し」 くちゅくちゅと股間が少しずついやらしい音を立て始める。 立っていられなくなった俺は、床に座り込んでいた。 体の奥から少しずつ染み出してくる液体が、青いパンツの生地にうっすらとしみを描いていく。 「ああん、小坂さん、あたし小坂さんのことが……初めて電車の中で見た時からずっと好き。この試合もあなたに見ていて欲しいの。お願いもっとあたしのことを見て。あなたの為ならあたし、つらくても苦しくてもがんばれるんだから」 そう念じながら、俺はパンツの中の指を動かし続けた。 「くふぅ、いい、あ、ああん……はぁはぁはぁ」 かわいい吐息が荒く変わっていく。 もう少しでいきそう。 ビキニ水着のパンツを愛液で濡らしながら指を激しく動かしていると、突然ロッカールームのドアがコンコンとが叩かれた。 「朝丘さ〜ん、公式練習10分前ですよ〜」 「え? は、はーい」 何とか返事したものの、俺はもう息もたえだえだった。 「もう試合か。いけない、何とかごまかさなきゃ」 立ち上がった俺はビキニの上からスポンサーロゴの入ったパーカーと黒いスパッツを着ると、恐る恐るロッカールームを出て試合会場のビーチに向かった。歩くとべとべと濡れたままの股間の感触が気持ち悪いが、新しい水着に着替える時間は無さそうだった。つまりこのビキニを着たまま試合をするしかない訳だ。 ロッカールームからビーチに向かう途中、じろじろとあちこちから見られている視線を感じて小走りになってしまう。実際、周囲を見回すとぎらぎらとした目つきで俺を見ている男があちこちにいた。しかもその視線は俺の股間に集中していている。 「まさか濡らしていることに気がついて? いやまさか。でも……もしかしたら」 スパッツを上から着ているので水着が愛液で濡れていることはわからないと思うのだが、不安に駆られた俺の足取りは小走りから全力疾走に変わっていた。 「美紀、遅いぞ!」 ビーチに着くと、俺の着ているビキニと同じデザインの水着を着た女の子が腕組みして待ち構えていた。 ええっと、この子はっと…… 「弥生、ごめ〜ん」 俺はぺろっと舌を出して答える。 彼女は朝丘美紀のパートナー、飯田弥生だった。 「もう時間が無いんだから、早くウォーミングアップしましょう」 彼女は俺のお尻をぺちっと叩くと砂浜に砂浜に引っ張り込んだ。そして俺の背中にぴたりと背中を合わせてストレッチを始める。肌と肌が密着してドキドキする。向かい合わせになって両腕を組むと、胸の谷間に顔が迫ってさらにドキドキする。 「どうしたの、ほら次いきましょう」 ぼーっとしている俺に少し怪訝な顔を見せながらも、彼女はストレッチを続けた。そしてストレッチが終るとボールを使って二人でスパイクやレシーブの練習をする。 「公式練習終了です。ゲームスタートしま〜す」 係の女の子が声をかける。 同時に審判と記録員が所定の場所に入る。 テレビカメラがコートを向く。 「なにしているの、早く脱いだら」 「え? うん」 俺は恐る恐るパーカーとタイツを脱いで青いビキニ姿になった。 「美紀ったら今日はもう汗びっしょりじゃない。体調大丈夫なの?」 「う、うん、平気」 愛液で濡れていたパンツは、汗びっしょりになってもう目立たなかった。 ふぅ〜何とかごまかせたぜ。 そして試合が始まった。 飯田弥生が前衛で俺は後衛だ。 俺の前に立つ飯田選手は、後ろ手に回した手で後衛の俺に指サインを出す。 だが、俺にそのサインは見えていなかった。 何故だって? 指のサインよりも、中腰で俺に向かって突き出された、水着に包まれたお尻のほうに目が釘付けになっていたからだ。 こんなに近くからこんな立派なお尻を堪能できるなんて、何て幸せなんだ。 後ろからじっと凝視する俺。だが、突然飯田選手の声が飛ぶ。 「美紀、来たわよ」 突然の声にはっとする間もなく、俺に向かってサーブボールが飛んでくる。 「ぐげっ」 彼女のお尻に見とれていた俺の顔に、飛んできたボールがまともにヒットした。 仰け反るように背中から砂浜に倒れ込む。 「ちょ、ちょっと美紀、大丈夫!?」 駆け寄る飯田選手、その胸が俺の目の前に迫る。 「う、うん」 俺は立ち上がる振りをして彼女の胸に手を出した。 むにゅ 「ひあっ、ちょっと美紀、どこ掴んでいるのよ!」 「ごめんごめん」 「もお、とにかくドンマイ、さあ今度はきちっとお返ししましょう」 再び後ろ手で指サインを送る飯田選手。だがまたもやお尻に見とれた俺は、ボールを拾うのが精一杯だった。相手コートに力なく返されたボールは簡単にブロックされ、あっけなく2点目を取られる。 「もお、どうしたのよ」 「ごめ〜ん」 「しっかりしようよ」 ホイッスルが鳴り、再びサーブが飛んでくる。 俺がようやくそのボールをレシーブすると 弥生がトスを上げる。 「美紀、頼んだわよ!」 だが砂に足を取られてバランスを崩した俺は、ボールに手が触れることなく体ごと弥生にぶつかっていた。 「きゃっ」 抱き合うようにもつれて砂浜に転がる。 「うわぉ、もうたまらん」 「ちょ、ちょっとどうしたのよ、美紀、いやっ!」 俺は四肢を絡ませて、彼女に抱きついていた。 ピッ、ピー! ホイッスルがタイムを告げる。 「君たち、試合する気があるのか!」 主審がきつい目で俺たちを注意する。 「「ご、ごめんなさい」」 その後試合は再開された。だが試合結果は惨敗。絶妙のコンビネーションを誇る「朝飯ペア」とも思えぬひどい試合だった。 ゲームセットのホイッスルが鳴った後、力なく膝を砂浜に落とす飯田選手に俺は申し訳なさそうに近寄った。 「や、やよい……」 「知らない!」 彼女は泣きながら砂のコートから駆け去っていった。 「うーん、かわいそうなことしたかな。でも面白かったぜ。触り放題だったしな」 呆気に取られる周囲を尻目に、にんまりとしながら俺はロッカールームに向かった。 シャワールームで水着を脱いで汗を流す。勿論股間に残ったままの愛液もだ。 裸になって筋肉の引き締まった朝丘の体でシャワーを浴びるのは気持ちいい。股間を洗おうとにシャワーを強く浴びせるとまた心地良くなってしまった。手の平を当てると、改めて俺の体にあったモノが無いという感覚が伝わってくる。 「ああ、何か変な感じ。でもいい気持ち。これが女のシャワーを浴びる感覚か。風呂が長いって言うのもわかるぜ、ああん」 シャワーを満喫した俺は30分後、着替えを済ませてロッカールームを出た。 だがスポーツバッグ片手に出てきた俺を、マイクを持った女性レポーターとビデオカメラを構えたカメラマンが待ち構えていた。 「朝丘選手、ちょっとよろしいですか?」 「え?」 「今日は朝丘選手らしい動きが見られませんでしたね。何かあったんですか?」 「え? ま、まあちょっと」 「最近聞いた話なんですけれど、噂じゃ……」 レポーターは俺の答えを最後まで聞いているのかいないのか、次から次へと質問を繰り出す。 「くそ〜、うざってえなあ」 最初は丁寧に答えようとしたものの、終ることのない質問を段々うっとおしく感じてきた俺は、スポーツバッグから人形を出すと、マイクを持った彼女のもう一方の手に押し付けた。 「はい、どうぞ」 「は、いっ!?」 次の瞬間、俺は朝丘美紀にマイクを向けていた。 おっと、インタビューを続けなくっちゃな。 「朝丘選手、ほんとに今日はひどい出来でしたね」 「え? はあ、あたしどうしちゃったんだろう……」 無茶苦茶だった今日の試合に泣きそうな顔で答える朝丘美紀。まあ俺が悪いんだが、彼女はそんなこと知る由もない。さてと、今度は女性レポーターか、うししし。 内心テレビ局に早く行ってみたいと思いながらも、レポーターとして次々と朝丘美紀に質問を浴びせ続ける。彼女は最後は本当に泣き出していた。 「あ、泣かないで、ほらハンカチ」 「ぐすっ、ありがとうございます、ぐすっ」 「それじゃ次の試合はがんばってくださいね。あたしも応援してますから」 そう言って朝丘美紀にペコっとお辞儀すると、俺は傍らでビデオを撮り続けていたカメラマンに話しかけた。 「さてと、急いで局に戻らなくっちゃ。山田君、あたし先に帰ってるね」 俺はビデオカメラを持ったカメラマンにそう言うと、ビーチからほど近い某テレビ局に向かった。 (その3へ) |