【ecvtさん版】
叶えられた願い(後編)

原案:toshi9
作  :ecvtさん




会社に向かう電車の中で俺は、この能力をある人に使おうと考えていた。
 
うちの銀行にはとびきりかわいい娘がいる。入社ニ年目の美坂唯だ。顔もスタイルも抜群、アイドルばりの容姿に加え、性格も悪くないので狙っている行員は数多い。だが、部署が全く違うため、俺は彼女と面識がない。今日も仕事が忙しいので直接彼女を捜し回るわけにもいかない。どうやって彼女に近づき、人形を触れさせようかと色々と考えを巡らせていると、
ちょうど美坂唯の上司、村下里佳子を見かけた。
そうだ……俺は髪の毛を抜くと、人形の中にセットした。

彼女は同期の出世頭で美人の才女だ。しかもスポーツマンで、毎日ジムに通っていて鍛えられたそのプロポーションは、とても三十七歳には見えないほど引き締まっていた。そしてその体は、黒いタイトスカートにスーツをビシッと着込んでいる。
飛んで火にいる夏の虫ってね……ようし、まずは唯の上司である彼女になって唯に近づき、それから美坂唯になるとしよう。

そう考えた俺は、人混みに紛れて、電車を降りた彼女の背後に素早く近づいた。

そして俺はこっそりと人形を村下里佳子の背中に触れさせた。
……失礼します

「えっ。」

その瞬間彼女の目が一瞬がカッと見開いた。それと同時に俺の視界が暗転し、気が付くと、俺は黒い女物のスーツに身を包まれて歩いていた。そう、俺は村下里佳子になったのだ。
俺の手にはいつの間にかあの人形が握られている。
そしてもう一人の俺は俺を追い越し、何食わぬ顔で駅の階段を上っていった。

ふふふ、やった、成功だ。
 
俺の頭の中に彼女の記憶が自然と流れてくる。
そう、俺……わたしは村下里佳子、同期の出世頭のエリートバンカーよ。今日は朝から重役相手に会議、その後スイスとアメリカの証券会社との電話会談……その前にあのデータをまとめないと……あぁ、エリート銀行員って忙しいわ……なんちゃって!

ふふふ、これでしばらくは俺が村下里佳子だ。

何だか女装して歩いているようで、駅から会社まで歩くのもにも妙な興奮を覚えた。

会社に着いた俺は、本来の自分のフロアでとまるエレベーターではなく、里佳子の部署がある別フロアに向かうエレベーターに自然と乗り込んだ。フロアに着いた俺は、見知らぬ女子行員に話しかけられた。

「おはようございます、村下主任。昨日の件ですが……」

え?誰だ、こいつ……美香ちゃんね、そうそう。「わたし」の部下の美香ちゃん、ふふふ……

「あら、美香ちゃん、おはよう。昨日頼んだデータだけど、まとめといてくれた?」

俺は里佳子の記憶を持っているため、反射的に俺の口からは里佳子の口調で言葉が出てくる。

「はい、主任のデスクに置いてあります」

「ぎりぎり間に合ったわね、いつもありがとう、美香ちゃん。だから好きよ」

俺は完全に里佳子になりきって彼女の口調を使い、そう答えた。

「そ、そんな、わたしなんて……では失礼します」

彼女は顔を赤らめながら嬉しそうに返事をすると、俺に一礼して去っていった。
……? 美香ちゃんかぁ……ちょっと童顔だけどなかなかかわいい娘だ。いいなぁ……

「さて……と、すぐにこの資料をプレゼン用にまとめないと会議に間に合わないわ……」

村下里佳子のデスクに着いた俺の口から自然とそんな言葉が漏れてきた。
パソコンを立ち上げ、彼女のパスワードをすらすらと入力すると、デスクに置かれたディスクを開いてみた。
へぇ、彼女はこんなに高度な仕事を任されてるんだな、ちょっとやってみるか。
やったことすらないこんな高度なことも、村下里佳子である今の俺には造作のないことだ、面白いようにすらすらと難しい処理が出来た。

里佳子の記憶を駆使して重役相手の会議も完璧にこなすことが出来た。
彼女のデスクにかかってきた多くの電話にも出てみたが、あらゆる外国語を駆使して銀行の重要な決定までも俺が村下里佳子として下してしまった。
ふふふ、これは面白い。まるで俺が超エリートバンカーになった気分だ。
気が付くと、もう昼休み近くになっていた。


里佳子としての仕事も一段落したので俺は、デスクに座りながらジャケットのポケットの中に入っているコンパクトをこっそりと取り出して自分の顔を映してみた。そこには同期のマドンナで同期一の才女である里佳子になった今の俺の顔が映っている。鏡を見詰めてにんまりと笑うと、鏡の中の里佳子もにやりと笑った。それは普段の聡明な彼女から想像できないようなだらしない笑いだ。面白がっていろんな表情をしてみると、鏡の中の里佳子がいろんな表情をしてくれる。笑った顔、泣いた顔、怒った顔。

ふふっ、あの知的な里佳子が今や俺の思いのままだ。そして今は俺自身がこの才女、
村下里佳子なんだ。
ようし、この里佳子で実験してみるとするか……

俺は里佳子になった自分自身の体を見下ろしてみた。するとジャケットを窮屈そうに盛り上げている大きな胸が俺の目に飛び込んできた。実際胸からは少し息苦しさを感じる。どうも大きな胸を無理やりジャケットの中に納めているみたいだ。その胸をジャケットの上から両手で弄りながら、『わたしが好きなのは森田くんなの』って心の中で念じてみる。

そうよ、入社した時からずっと思っていたの、わたしは森田くんのことが好き。

そう思いながらスーツのジャケットの上から自分の胸を撫で続ける。
すると心の中にどんどん切ないものが渦巻いてきた。

そうなんだ。他の誰でもない、わたしが好きなのは森田くんなんだ。

繰り返し心の中でそう唱える。

あ、ああ、あーん……森田くん、ああん、わたし森田くんに、祐一さんに抱いて欲しいの。は、は、はふぅ。

「うう、もうたまらん」

俺は体の奥から吹き上がってくる切なさにどうにも我慢できなくなり、女子トイレに駆け込んで個室に入るとスカートとそれにパンティストッキングとショーツを一緒に下ろした。覗き込んでも上からはそこがどうなっているのかよく見えない。けれど、そこには今や俺のものになっている里佳子のアソコがある。

俺はそこを指でゆっくりと撫でてやった。

「う……く……」

ああ、俺のもの、森田くんのもの……欲しい。

自分が里佳子を抱いているのを想像しながら、右手の人差し指と薬指で肉襞を押し広げると、中指を少しずつ沈み込ませていった。中のほうは既にじゅんと濡れてきていた俺のソコは難なく俺の中指を受け入れていく。

「う、う、くふぅ、いっ、さ、三時からまた会議があるのに……」

ゆっくりと繰り返し指を動かすと、奥のほうからとくとくと熱いものが込み上げてきた。それにつれて俺の指の動きも段々と激しくなっていく。

「あ、ああん、いい。森田くん……好き、森田くんのもの……欲しいの」

俺は里佳子になりきって自分のことが、森田祐一のことが好きなんだと心の中から思った。俺のものが欲しくてたまらないと。そうだ、里佳子に俺のことを心の中から好きなんだって思わせるんだ。

「そうよ、俺は、いえ、わたしは祐一さんのことが好きなの、く、くはっ、あ、あああ……」

そして俺は個室の中でいってしまった。



「はぁはぁはぁ……ふ、ふふっ、これでいい。」

これで実験が成功していれば、元に戻ったあと里佳子は俺のことを想っていると思いこむだろう。これを唯の体でやれば……そう、これが俺の計画だ。これできっと俺のことを意識してしまうハズだ。

うーん、それにしても女ってのはホント気持ちいいな。
アソコを綺麗に拭いた後、スカートをはき、ショーツとストッキングをなおして、個室から出ると、なんと今朝会った部下、美香ちゃんが驚いた表情で立っていた。

「む……村下主任……森田祐一って男の名前……不潔よ、好きだったのに!」

「い、いやっ、違うのよ、美香ちゃん……これは……」

やばい、このままじゃ、エリートであるわたしの評判が落ちてしまう……ん?好きだったのに!?
涙目で後ずさりした後振り返り、駆け足でトイレから去ろうとする美香を呼び止めようと手を出した時、偶然にも手に持っていた人形が美香の肩に触れた。次の瞬間、目の前にから美香が消えた。

「え?え?」

俺は立ち止まって振り返ると、そこにはおびえた表情の里佳子が立っていた。
困惑した俺は、急いで洗面台の鏡の前に立った。俺は洗面台の鏡に映る姿を凝視した後、顔に触れてみた。鏡には不思議そうな顔をしながら自分の顔に触れている美香の姿が映っていた……
そう、俺は美香になっていたのだ。
うふっ、わたしは、佐倉美香。あぁ、あの聡明な村下主任があんな事するなんて……不潔よ!わたしというかわいい部下がいながら……なによ、がざつで横暴な「男」なんかを想像して一人でHするぐらいなら、今すぐわたしとHしてほしかったわ……えーん……!?

なんと、美香はレズだったのだ!しかも相当の「男」嫌いであるらしい。
でも今その「男」に体を乗っ取られているなんて知ったら卒倒してしまうだろうな……
こんなにかわいいのにレズかぁ……そうだ……「男」を代表してこの可哀想な娘の願いを叶えてやるとしますか……ふふふ
ある企みを思い浮かべて、俺は美香の顔でにやりと笑った。

「あの、美香ちゃん……?」

「なんですか?村下主任」

俺は振り向いてそう答えた。

「あ、あのね……さっきまでのわたしは、どうかしてたのよ、このことは黙っててくないかな?」

里佳子はうろたえながら、俺にそう話しかけてきた。

「わかりました。ちょっと場所を変えて話しませんか?」

俺は美香の記憶から人目に付かずに話せる倉庫部屋に里佳子を誘い込んだ。

「どうしてトイレであんな事……森田…祐一さんのことを好きだってことですか?」

「えぇ、自分でも訳が分からないけど、急に彼がいとおしくなって思わず……」

おぉ、実験成功だ。

「へぇー、彼のこと好きで好きで我慢できなくなって、それでこんな事してたんですか?いつも男なんて興味ないって言ってたのに。だからわたし……」

「……」

里佳子は黙って俯くばかりだった。

「いやらしい、森田さんに こぉんなことしてもらいたかったんですか?」

にやりと美香の顔で笑った俺は、里佳子のアソコにぎゅっと指を押し当てた。

「あんっ、いやっ、やめなさい、美香ちゃん……」

「あら?主任がさっきされていたことですよ、森田さんのこと想いながら、ね……主任に憧れていたのでわたしショックで……」

俺は里佳子にちょっと目に涙を浮かべながら意地悪を言ってみた。

「どうしたら黙っててくれるの? あんっ……」

俺は里佳子のアソコをさらに激しく攻めたてた。

「黙っていてもいいですよ。彼、かっこいいですもんね、そういう気持ちになるのも仕方ないと思いますよ。でもそのかわり、ここでわたしとHして下さい、わたし、ずっと主任のことが好きだったんです!」

俺は上半身裸になると、里佳子をガバッと抱きしめ、押し倒した。

「えぇ!?ここで……そんな……」

躊躇している里佳子が目をそらした瞬間、俺はあの人形を里佳子に触れさせた。
その瞬間、俺の視界が暗転し、視界が回復すると、俺の上に美香がのしかかっていた。
そう、俺は再び里佳子になったのだ。
俺は里佳子の顔でにやりと笑った後、さっきとは逆に美香に覆い被さった。

「わかったわ、そんなに私のことを想ってくれてたなんて……上司としてすごく嬉しいわ……」

俺は自分のシャツのボタンを外して胸をはだけ、美香にキスをしながら彼女の服を脱がせ始めた。

「嬉しい、やっとわかってくれたんですね、私の気持ち……それにこんなに積極的に主任の方から……あぁ、主任……」

ふふふ、これは面白い、目の前にいる里佳子の中身が、美香が忌み嫌う「男」であるとも知らずにこんなにも嬉しそうに……
俺と美香は濃厚なレズSEXに溺れていった……

「やっぱり主任は最高です、男なんてがさつで乱暴で……」

ふふふ、だからその里佳子の中身は「男」である俺なんだって!……本当に面白い。

「ふふっ、でもこのことは内緒よ、バレないようにこの部屋からは別々に出ましょうね。」



……はぁ、もう最高……人形を持って用具室から出た俺は、歩きながらこの体でのレズSEXの余韻に浸っていた。あ、そういえば、この体になったのは唯に近づくためだったっけ、すっかり忘れてたよ……そんなことを考えながら歩いていると突然、トイレから出てきた誰かと出会い頭にぶつかってしまった。

「すいません、すぐ拾います!」と、ぶつかったであろう女子行員の声が聞こえた次の瞬間、俺の視界が暗転した。

視界が開けると、俺は里佳子の黒いスーツではなく、女子行員の制服に身を包まれていた。そして手にはあの人形が握られていた。ふと視線を上げると、里佳子が財布を持って俺に差し出している。

「へ? どうなったんだ?」

俺の口から出る声は、女の声であるのは確かだが、美香のものとは明らかに違う。

「はい、これ、あなたのでしょ。ごめんなさいね、わたし、ボォーっとしてて……」

里佳子はそう言って俺に財布を渡すと、スタスタと廊下を歩いて去ってしまった。

困惑しながらも、俺はすぐにこの体が出てきた女子トイレに戻り、洗面台の鏡に自分の姿を映してみた。すると、鏡には困惑した表情でしてこちらを見つめる見覚えのある女子行員が映っていた。俺の部下の青山沙紀だ。
いつもクールに仕事をこなす美人だがそのクールさがたまに鼻につくことがあるのも確かだ。俺が手を挙げると鏡に映る彼女も手を挙げ、両手で胸をすくい上げると、鏡に映る彼女も恥ずかし気もなく自分の胸をすくい上げた。面白くなった俺は鏡に向かってウインクをした後、人差し指で乳首の先をコリコリといじくってみた。すると鏡に映る彼女も同じ行動をとった。すると胸から気持ちのいい快感が溢れ、思わず「あぁ…っ」と、声を漏らしてしまった。
調子に乗った俺は、ベストとシャツのボタンを全て外し、ブラジャーを下に降ろして鏡に向かってウリウリしたあと、乳首をいじくったってみた。

「あぁっ、気持ちいい……」

ふふふ、普段クールな彼女が俺の前でこんなことするなんて……

俺が鏡を見ながら沙紀の体で遊ぶのに没頭しているとガタッという音と共に個室から誰かが出てきた。

「ちょっと何やってんのよ沙紀、一体どうしたの?」

なんと個室から出てきて俺のことを沙紀と呼んだのは美坂唯だった。

「え!?ええ……なんでもないのよ、唯。ちょっと痒くて……」

げっ!一人じゃなかったのか!慌てて身なりを整えながら、反射的に俺はそう答えていた。

そしてこれまでの経緯を思い出そうと沙紀の頭を検索すると、彼女の記憶が俺の中に流れ込んできた。

俺……わたしは青山沙紀、「親友」の唯とランチに行く前にトイレに入って、先に外に出て唯を待ってようと思って廊下に出ようとしたら……

そういうことか、つまり、俺は図らずも美坂唯の親友という立場を手に入れることが出来たというわけだ。へぇ、唯は青山沙紀と親友だったのか。まぁ、計画とは違うが、結果的に村下里佳子になったことによって美坂唯の親友になることが出来たようなのでよしとするか。上司よりは親友の方が近づきやすいしな。さて、このまま沙紀の体で遊ぶのもいいけど、この人形の呪いにはタイムリミットがあったんだった。そろそろ目的の唯にならないとな、うん。
ぶつぶつと考え込みながら独り言を話す沙紀を見て

「ちょっと、一体どうしたのよ?沙紀、おかしいよ」

と唯が心配そうに俺の顔をのぞき込んで聞いてきた。

「ううん、何でもないの、そんなことよりも唯、ちょっとこの人形預かってくれない?」

「そんなことよりって……それに何だか気味が悪いわ、その人形。」

「これ、村下主任の物なの。唯の上司でしょ。実はさっき廊下でぶつかった拍子に落としていったみたいで……でもなんだか気味悪い人形でしょ、唯から村下主任に返しておいてくれないかな。唯、わたしがこういうの苦手なの知ってるでしょ、お願い、ね、親友でしょ」

「もう、沙紀はいっつも強引なんだから!いいわ……沙紀は普段クールなくせに、こういうのは前から苦手だっ……ひっ!」

親友の頼みを断りきれずに人形に触れた唯が突然ブルブルッと震え、俺の視界が暗転した。そして視界が回復すると、俺の目の前には沙紀が立っていた。
そう、俺はついにあこがれの美坂唯になることが出来たのだ。

「唯?どうしたの?震えてたけど……」

沙紀は、「親友」の唯になった俺の心配をしてくれている。そして俺の手にはいつの間にかあの人形が握られていた。よし、これでしばらくは俺が美坂唯だ。

「……ううん、大丈夫よ、何でもないの。人形はわたしが渡しておくわね。」

「いいよ、やっぱりわたしが渡しておくわ、なんでこんな使いっ走りみたいなこと事、親友の唯にやらせようとしたのかしら……」

ちっ……余計なことを……俺の影響下から逃れた沙紀は、何だか先程までの自分に言動に違和感を感じているようだ。

「い・い・の!わたしが渡しておくから、ね!そんなことより、ランチいこっか!沙紀」

「そ、そうね、じゃあよろしくね、唯。本当にごめんね。」

俺は沙紀になるべくさっきまでのことを考えさせないようにごまかすと、沙紀とランチに向かうのだった。

うふっ、私は美坂唯。二十五歳のOL、彼氏とは別れたばっかりでさみしいな、でも親友の沙紀と遊んでるからいいもん!なんちゃって、ふふふ

俺は自然と頭に流れ込む唯の記憶を楽しみながらランチに向かった。巨乳の唯は歩きながらも胸がゆっさゆっさとブラジャーの中で揺れる。道行く男性のニヤけた視線が心地良い。

「唯ったら、なに自分の胸に見とれてるの?」

「え? やだぁ、そんなことないよぉ!」

ついつい俺は自分の胸に見とれてしまっていたようだ。

「そうよね、そんなハズないか!ごめん!」

「まったく沙紀ったらぁ!」

その後も俺は年下のOL、美坂唯になりきって、部下ではなく「親友」の沙紀と一緒にランチを楽しみ、OL、唯として沙紀との話に花を咲かせたのだった。
話が一段落したので、やっぱり俺は沙紀にあることを聞いてみることにした。

「ねぇ、さっき、ランチに行く前、なんでいきなり鏡に向かって自分の胸揉んだりしたの?」

「え?あぁ……あれは……」

クールな沙紀の顔が急にかぁっと赤くなった。

「何だかわからないけど、あの時急に自分の姿に違和感を感じて、自分の顔が魅力的に感じて……そしてなぜだか自分の胸にすごく性的な興味を持ってしまったの……自分でもよくわからないのよ……」

「ふーん、そうなんだ、わたし、すっごくびっくりしちゃった」

「お願いだから、誰にも言わないでね、確かに自分の意志でやったんだけど、あの時のわたしはどうかしてたのよ、ね」

「もちろん誰にも言わないわ、わたし達、親友でしょ」



よし、里佳子に続いて沙紀にも記憶の方は残っているようだな、ふふふ

会社への帰り道でも俺は、歩きながらゆっさゆっさと揺れる自分の胸に釘付けだった。触りたいけどこんな人前では出来ないし……早く触りたい!俺はこっそりとシャツのボタンを一つ外して自分の胸の谷間をチラチラと見ながら会社に向かったのだった。

ランチを終えて会社に戻ると俺は、適当に理由を付けダッシュで女子トイレの個室に向かった。
そしていきなり全裸になって自分の体を十分に観察して堪能したあと、里佳子の時と同様に俺のことを想いながらオナニーにふけったのだった。

あぁぁ、もう指じゃ物足りない……いつの間にか俺……唯はトイレットペーパーの芯を丸めて濡らし、アソコに挿入する激しいオナニーをしていた。

「あああぁ、祐一さぁん……イ、イクゥ……」

唯の体でのオナニーを堪能した俺は、ニヤニヤしながらあの人形を取り出した。

さて、これで唯の記憶にも自分の意志で俺の事を想ってオナニーしたっていう記憶が残ってるハズだ。この人形から髪の毛を抜いて……

ん……そうだ、せっかく唯になっているんだし、俺のモノって実際どんな風に感じるか唯として味わってみるのもいいな。ふふふ、よし今晩俺を誘ってみるか。



その夜、唯である俺の誘いに喜び勇んでのった本来の俺と、唯である俺は、二人で飲み屋に向かった。
酔っ払って眠ったふりをしていると、いつの間にか俺は自分の背中におんぶされてしまっていた。これは唯の行動にあわせてるんだから、唯は普段こうやって男を惑わせているのだろう。

「ん、うーん」

俺は目を覚ましたふりをして、起きてみた。ようし、唯のテクニックで俺を口説いてみるか。

「気が付いたかい」

「う、うん」

「美坂くんってお酒好きなんだな。でもちょっと飲みすぎだぞ」

「ふふっ、祐一さんと一緒にいられて嬉しかったの……ねぇ」

「ん?」

「好きよ、たまらないわ」

俺はおんぶされたまま、背中からぎゅっと俺を抱きしめた。

「わたしの胸って大きいでしょ、どう?」
 唯の巨乳が、今の俺についている大きな乳が、おぶっている俺の背中に押し付けられてぐにゅっと変形するのを感じる。

あん、こうしていると、何かいい気持ちだ。

俺をおぶったもう一人の俺は、背中に胸を押し付けた途端びくっと震えたが、何事も無いように歩き続けていた。

にしし、我慢してるな……

俺がこんなに誘っているのに紳士ぶって……ってこいつは俺自身か。

「もう、あるけなぁーい。祐一さん、わたしのマンションまで送っていってね。」

俺は俺におんぶされたまま美坂唯のマンションに入った。だいぶ酔いの残っている演技をした俺は、ベッドにばたんと寝崩れたふりをした。
この行動も唯が男をおとすときに使っている手のようだ、自然と演技ができる。

「じゃあ俺は帰るからな、ちゃんと休むんだぞ」

「だめ、きて、祐一さん。わたしずっと祐一さんのこと好きだったんだから、早くきて」

「君がそんなこと言い出すなんて。ホントにやっちまうぞ」

「……えぇ、わたしを無茶苦茶にして」

もう一押しか……俺はシャツを露わにして胸をぎゅっと寄せて見せた。

「おい、からかうのはよせ、本当に襲っちまうぞ……」

「いいわよ、もうじらさないで早くわたしの中に挿れてちょうだい。アソコが疼くのよ」

俺は唯のパターンから外れ、ワザと唯が普段言いそうもない事を言わせ、いやらしくガバッと股を開いてウインクして見せた。

「ゴクッ・・・・・・・・・」

目の前の俺はじっと俺のことを見詰めると、ガバッと俺のふっくらとした唇に自分の唇を押し当ててきた。そして次の瞬間思う様に吸ってくる。

俺も俺の唇を吸い返すと、今度は舌を俺の口に入れて俺の舌に絡めてくる。

「ぷはっ」

「は、はぁーん」

こいつ、やっとその気になってくれたぜ。それにしても……なんて気持ちいいんだ。

唇の触れ合う感触、絡まった舌の暖かさ、ふぅ、全くくらくらする。女の体でキスをされるって、ほんとにいい。

ぐったりとベッドに体を横えたまま、俺は身に着けている唯のタイトスーツを1枚1枚剥がされていった。上着を脱がされスカートのホックを外され引き下ろされる。

ふふっ、俺って女の服を脱がせるのが上手いじゃないか。

服を脱がされながらも、俺は半ば夢心地の中で、でも半ば冷静にそんなことを考えていた。

一方もう一人の俺のほうは、俺からブラウス、パンスト、そして黒いブラジャーにショーツと次々に着ているものを剥ぎ取っていった。

そう、今やベッドに横たわった俺はすっかり裸だ。

ちらっと裸にされてしまった自分の体に視線を落とすと、横たわっていながらもしっかりと釣鐘の形を保っている唯の張りのある巨乳が眩しい。そしてその先には、きゅっと閉じた自分の太もも。

「た、たまらん……」

今から俺は俺に抱かれる……勿論それは望むところなのだが、いつの間にか俺の思考パターンに戻っていたために自然とそんな男っぽいセリフを口にしてしまった。いかん……

「ああっ」

もう我慢できなくなった俺は、一人で自分の胸をさすり始めた。目の前の俺は、手早く服を脱ぎ始める。そして裸になると、俺の上から覆いかぶさるように俺に抱きついてきた。

逞しい腕で体をぎゅっと抱きしめられる。

俺も自分の白く細い両手を俺の胸に絡めて抱き返す。

「好き、抱いて、もっと抱いて」

俺がさらに強くぎゅっと抱きしめてくる。……ああ、気持ちいい。

俺の太い手が俺の体中を弄る。

その手の動きに従って体中から湧き上がってくる心地よさに、もう一人の俺の行動を心の中で冷静に観察して俺は、唯の思考に引きずられていつしか翻弄され始めていた。

「あ〜ん、い、いい、気持ちいいよ」

ぺろっと乳首を舐められる。

「いひぃ」

何時の間にかすっかり隆起していた俺のピンク色の乳首にぺろぺろと俺の舌が絡まる。

「あひっ、あ、ああ、あくぅ」

 じゅん。

その瞬間、俺の体の奥から、何かがぬわっと溢れ出してくるのを感じた。

いい、いいよ、気持ちいい。俺ってこんなに上手かったんだ。

仰け反る俺の股間に俺が顔を埋める。
 
そ、そこまで、は、恥ずかしい。

ぴちゃぴちゃと俺の股間を舐める音が聞こえてくる。

「や、やめ……クンニなんて、そんな……あうっ」

いくらなんでも俺が自分の股間を舐めているのを見るのはさすがに恥ずかしい。だが「やめて」と言おうとした瞬間、俺の体がぶるっと震えた。

くぅぅ、いい、いいよ。

「俺のも頼む」

俺の股間を舐めていたもう一人の俺は、体を回すと俺の目の前に自分の股間のものを突き出してきた。

こんな角度で自分のものを見ることになるなんて。それにこれを俺が舐めるのか。男の俺が……。

だがここでやらなければ、俺のことが好きだって、これを舐めたいって思い込まなければ、唯に俺のことが好きだって思い込ませられない。

自分のことをもっと唯って思い込むんだ。そう、俺のことが好きで堪らないんだって。
俺は……わたしは祐一さんが大好き。

コレを大きくして、硬くして、そしてわたしの、唯のアソコに……入れて……みたい。

わたしはソレに手を添えると、ゆっくりと口の中に含んでいった。

その生暖かい感触が口の中を満たしていく。不思議と嫌悪感は感じなかった。

それどころか、どんどんと いとおしさが込み上げてくる。
 
舌を使うと、口の中でソレはどんどんと大きさと硬さを増していく。

ああ、早く……。

またじゅんと股間から溢れ出してくるのを感じる。

「よし、そろそろいくぞ」

そう言って体勢を変えた祐一さんがわたしの両足をぐいっと押し広げた。そしてぴんと固く張り詰めた己のモノを、ぱっくりと開いてしまったわたしの股間にあてがう。その様子を見詰めていると、きゅんと切なさが込み上げてきた。

ハァハァハァと自分の息が荒くなっていくのがわかる。

今からこれがわたしの中に入ってくるんだ。

「うっ」

押し当てられたものに力が込められる。するとそれはゆっくりと、肉襞を押し分けるように入ってきた。

「あひっ!」

「痛かったかい」

「ううん、いいの、気持ちいいの」

そう、痛みは無かった。それどころか、それが中で動かされる度にぴくぴくと快感が吹き上がってくる。

ああ、体の中がかき回されてるみたい。

湧き上がる快感に身も心も翻弄される俺……わたし。

「き、きもちいい〜」

「う、う、う」

祐一さんは、わたしに覆い被さったまま何度も何度も腰を突いてくる。その度に中でこすれる感触と体の奥で何かに当たる感触が快感をさらに高めていく。ああ、もう何も考えられない。

「あ、あん、あん、く、くぅ〜、い、いいよぉ」

わたしは体中を駆け巡る快感を思う様味わった。

「うぐっ、い、いくぞ」

「あ、う、い、いく……いく、いく、あ〜ん、いくぅ」

わたしの中の祐一さんのモノから、わたしの奥深くに向かって何かが勢いよく噴出していく。その瞬間わたしの中で何かが弾けた。

そうだ、わたしは……美坂唯は、たった今祐一さんと結ばれたんだ。

祐一さん……すき。

唯としての悦びに浸りながら、俺はそのまま気を失っていた。





翌朝目が覚めると、俺の姿は唯の部屋から消えていた。

「いやぁ、昨日はほんと気持ち良かったぜ。俺のものもなかなかのものだったな。さてと、取り敢えず元に戻るとするか」

唯になって俺と結ばれて、これで唯の中には俺とのセックスの記憶がしっかりと残されるだろう。ふふふ、会社で唯と会うのが楽しみだ。

俺は唯の顔でにやっと笑うとベッドから起き上がった。

「昨日は唯の体を鏡で楽しむこと出来なかったし、もうちょっと楽しませてもらいますか。」

タイムリミットの二十四時間までもう少しある事を確認した俺は、鏡の前で色々とポーズを取ったり、胸を揉んだりして楽しんだのだった。
そして唯の下着を物色したり、色々な服を着たり、いろんな事をしゃべらせたりして唯の体で遊んでみた。

「ふう、面白かった。お、もうこんな時間だ。タイムリミットも近いし、そろそろ会社に行く準備しないとな、女の子だと準備に時間かかるかな、ま、いっか、準備するのは俺じゃないし……」

なんてことを一人でぶつぶつ言いながら、最後に俺のお気に入りの下着を着てポーズをとり、ウインク!鏡に映る自分の姿を目に焼き付けた。
さてと、元に戻るとするか。俺……唯は人形から髪の毛を取り出した。
……?ってわたし、時間ないのになんでこんな事してるのかしら

「もうっ、遅刻しちゃう!昨日の化粧も落としてないし……うっとり鏡見てポーズなんか取ってる場合じゃないじゃない!」

唯はどたばたと会社に向かう準備を始めるのだった。

……気が付くと、俺は自分の部屋で着替えをしている途中だった。そして俺の頭の中に昨夜の男としての記憶がよみがえってきた。昨日の唯はすごく良かったなぁ……

会社に向かう途中、昨日俺が乗り移ったみんなの態度が以前とどう変わっているのだろうか?などと電車の中で妄想していた。

さて、今度は誰の人生を体験してみようかな。にしし……


                                    叶えられた願い 後編 (END)
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