今日突然田舎のじっちゃんがやってきた。
お盆休みで親父もお袋も旅行中。家には俺一人しかいないっていうのに。




奥義

作:toshi9



「じっちゃん、何の用事だい」

「実はのう、わしも引退してかれこれもう20年になるんじゃが、そろそろお主にわしの奥義を引き継いでもらおうと思ってな、ほっほっほっ」

「何で親父じゃないのさ。いやだよ。小さい頃さんざん訓練だとしごかれて、こっちへ越してきてやっと開放されたと思っていたのに。もう忍術はたくさんだね」

俺のじっちゃんは昔忍者だった。腕は立ったらしいと親父は言っていたけれど、じっちゃんはその頃の話をあまりしてくれなかった。どうもいやな思い出があるらしい。
 俺は小さい時に、その頃にはすでに引退していたじっちゃんにしょっちゅう忍者の訓練らしきことをさせられて散々な目にあっていたので、またそんな目に会うのはもうこりごりだという思いしかなかった。

「あれには見込みがない。こればかりは素質がなきゃだめじゃ。お主にはそれがあるとわしは踏んでいるんじゃがな。それにこの奥義は普通の術と違って体力は必要ないぞ。お主なら少しばかり精神力があれば必ず会得できるぞい」

「精神力は・・・無いと思うぞ」

「はっはっはっ、大丈夫じゃ。それにこの奥義の素晴らしさを知れば自分から試さずにはいられないぞ。今は忍者が活動する時代でもない。これをどう使うかはお主の勝手じゃ」

「・・・・・・・・」

「ワシが現役だった頃は<魔人ファントム>と呼ばれて恐れられていたものじゃが、ドラゴンの牙様にお仕えしておった時に、月光仮面の奴に武運つたなく敗れてしまってのお」

「月光仮面て、誰?けっこう仮面なら知っているけど」

「ふっ、今ではもう誰も知る人もいない・・・過去の話じゃよ。その時以来奥義を使うのは封印していたんじゃが代々相伝していかねばならないでのう。そろそろと思ったわけじゃ。
 さて前置きは良いとして、まず奥義を見せてあげるとしようか」

 じっちゃんは忍者の装束に着替えると、古いポラロイドカメラを取り出した。そして2階の俺の部屋の窓を開けると、家の前の通りを制服姿で歩いているOLさんを撮った。観月ありさに似たきれいなお姉さんだ。
1分後に写真が出来上がると、じっちゃんはそれを床に置いた。

「さあ、よく見ているんじゃぞ」

 じっちゃんは掌を合わせて印を結びながらお姉さんの写真をじっと見てぶつぶつ何か呟いている。

 全く何が始まるんだか・・

 俺はそんなじっちゃんの様子を横からぼーっと見ていた。しかし眼の錯覚だろうか、少しずつじっちゃんが小さくなっていくような気がした。いや錯覚じゃない。じっちゃんはどんどん小さくなって・・・遂に10cm程の小人になってしまった。

 大きさだけは妖精みたいだけれど・・・じっちゃんじゃなぁ。

「かー!」

 小人になったじっちゃんは、忍び装束のままジャンプするとそのまま垂直に写真の中に飛び込んでいった。印画紙にぶつかると思いきや、じっちゃんの体は写真の中に何の抵抗もなく吸い込まれるように入って消えてしまった!

「じ、じっちゃん」

 思わず写真を覗き込むと、そこにはさっき撮った観月ありさ似の制服を着たOLのお姉さんの姿だけ。でも写っている彼女が・・・あわわ・・・動くはずのない、前を向いてた彼女がこっちに振り向くとニヤリと笑うじゃないか。

 ピカッ!

 写真が突然光り、その光の中から何かが飛び出して来た。

 それは制服を着た10cm位の小さなOLのお姉さん。

・・・妖精・・・みたいだ。

 手を腰の前で十字に組んだ小さなお姉さんは仁王立ちになって俺のほうを見ていた。

 むくっむくっむくっ・・・

 交差した手をゆっくりと回すと、10cm程だっお姉さんは今度はさっきのじっちゃんとは逆にだんだん大きくなってきて、気が付くと外を歩いていた制服姿のOLのお姉さんが畳の上に座り込んでいる俺の目の前に立っていた。見上げるとスカートの中のパンティストッキングに包まれた黒い下着が目に入ってしまった。
 制服のミニスカートからすらりとした足が伸び、腰がきゅっと絞れている。そして胸は窮屈そうにベストを膨らませている。素晴らしいスタイルのお姉さんだ。

「これが我が奥義、陰画移しじゃ」

「こ、声が・・じっちゃんか?」

「そうよ。驚いた♪」

 お、女性の声に!



「昔、この術を駆使してスパイ活動、破壊工作何でもこなしたもんじゃ。女を使ったこともあるのう。その時は仕事抜きで気持ち良かったぞぃ。しかし、祝十郎に見破られてな。それ以来封印した。どうじゃ、お主、この奥義引き継いでみんか」

「うん、面白そうだな。ぜひ教えてくれよ」

「ふふ、いいわよ。あたしがおしえてア・ゲ・ル」

「・・・ところでじっちゃん」

「なあに和也クン」

「靴脱いだら」

「・・・・・・・・」



・・・・・・・・・・・・



 俺は早速じっちゃんから奥義の伝授を受けた。確かに集中力は必要だけれど、コツさえ掴めば難しいものではなかった。でも藤丸家の血筋と本人の素質の両方が備わって初めて可能らしくて、他人では絶対真似できない術らしい。

 伝授の儀式の最後にじっちゃんから使用上の注意?も教えられた。

「よいか、決して世間を騒がせてはならんぞ。わしら忍者の掟じゃ。この奥義を使ってヒーローや怪盗をやろうなどと考えぬことじゃ。忍者は影の者、それを忘れてはならんぞ」

「それからのう、陰画撮りの道具は自分に合った物なら何でもよいぞ。最初にわしがそれに念を送れば良い」

 ポラロイドでなくても良いらしいので、俺は結局愛用のデジカメを使うことにした。プリントアウトの手間はかかるけれど、何かと便利だ。
 そして、さらにじっちゃんのレクチャーは続く。

「撮ったものに姿が写っていれば、誰にでも姿を変えることが可能じゃ」

「体力は元の自分のままじゃが、感覚は体の元の持ち主と同じになるぞ。慣れるまでよく考えて行動することじゃ」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 じっちゃんは俺に一通りの奥義の伝授を終えると、親父たちが帰ってくるまで居たらという俺の声に耳を貸さず、すぐに田舎に帰って行ってしまった。

 不思議な奥義を習得した俺は、これを使って何をやろうかといろいろ考えた。

(世間を騒がせなければ自分の欲望に走っても良いんだな)

 実は俺には密かな願望があった。じっちゃんが親父ではなく俺を選んだのはそれを知っていたのかもしれない。じっちゃんがあんなかわいいお姉さんになったのは強烈だった。俺はその姿に内心ドキドキしてしまった。

(こんなきれいなお姉さんがじっちゃん?)

 俺もいつかあんな風に女性になってみたかったんだ。憑依でも変身でも入れ替わりでも何でもいい。とにかく女性になってみたい。そしてその願望はこの奥義を使えば、これからいくらでも実現できるんだ。

 愛用のデジカメで撮ってしまえば、さっきのような制服の似合うOLさんや看護婦さん、婦警さん、いつでもなりたい放題だ。レースクイーン、アンミラや神戸屋のウェイトレスもいいな。海に行ってスタイル抜群の水着ギャルになるのはどうだろう。浜辺で腰振って、男を悩殺してみたり女子更衣室にも堂々と入ったりして。
レオタードもいいよな。新体操やバレリーナ、エアロビのインストラクターとか。でも演技なんてできないからだめだよな。

 演技といえば、誰か女の子に成りすまして暮らしてみるのも面白そうだな。うまく入れ替われるような女の子っていないかな。
 ・・・うーん、そういえば隣りの麻美って明日からテニス部の夏合宿だったな。よし、親父とお袋が帰ってくるまであいつに成りすませるか試してみるか。

 麻美は、お隣りの風野家の一人娘だ。同い年の、俺とはいわゆる幼馴染の仲って奴だ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 翌日俺は、お隣りの家から出ていく麻美の後を追って行った。

 麻美はうちの高校の女子の夏制服を着ている。半そでの白いブラウスにモスグリーンのミニのプリーツスカート、胸には赤のリボンタイ、紺のソックスを穿いた麻美は、ツインテールにした髪を風になびかせて颯爽と歩いて行く。その姿は本当にかわいい。

 俺はラケットとスポーツバッグを持って駅に向かう麻美に声をかけた。

「よ!これから合宿かい。軽井沢だったよな」

「うん。軽井沢に行くのは楽しみなんだけど、コーチが厳しいんだ。ばっちりしごかれそう」

「そうか、大変だな。何にもできないけれど、記念に写真撮ったげるよ」

 カシャ、カシャ

「ありがと、じゃああたし急ぐから」

「うん、がんばれよ」

 よしよし、陰画ゲットだぜ。

 俺は家に戻ると、早速デジカメをプリンターに繋いで写真をプリントアウトした。

 写真にはばっちりと制服姿の麻美が写っていた。

 ほんとにお前はかわいいよ。でもこれから俺がお前をやらせてもらうぞ。

 写真を床に広げるとじっちゃんに教わった通りに印を結んで、写っている麻美の姿に集中する。精神を集中していくに従って彼女の姿は徐々に大きくなっていった。いや俺が小さくなっているんだな。
やがて俺と写真の麻美が同じ位の大きさになると、俺は写真に向かってジャンプした。そして、プールに飛び込むように写真に飛び込んでいった。写真にぶつかることはなく、まるで本当にプールにでも飛び込んだような気分だった。
写真の中はふわふわと水の中を漂っているようだ。そこで気がつくと、俺はさっきの麻美と同じ格好になっているのを肌で感じていた。

 胸にさわってみたいという衝動を抑えて上を見上げると、手の届く所に薄い膜のようなものが張っていた。

 まずこの中から出なくっちゃね。

 再びジャンプすると、頭の上の膜を突き破り、俺は地上に戻った。

 両手を十字に組んでそれからゆっくりと回していくと、自分の体が徐々に大きくなって元の大きさに戻るのがわかった。いや元の俺にじゃないな。少し背が低い元の麻美の大きさだ。そう、今俺の部屋の中には駅に行ったはずの麻美が立っていた。

 俺は頭のてっぺんから足のつま先まですっかり麻美になっていた。半そでの白いブラウスから出た腕は白く細いし、胸には赤のリボンタイ、その下には二つの膨らみが盛り上がっている。ブラウスの下にはモスグリーンのミニのプリーツスカートを穿いている。スカートからスラリと伸びる両足を撫でてみると、男とは違うむちっと張りのある生のふとももだ。髪に触れるとツインテールに分けられている。
そして、胸に巻かれているブラジャーの感覚とトランクスと違うピチっとしたショーツの感覚を肌で感じていた。

 鏡を覗くと、うん麻美だよ。

 にこっと笑いかけてみる。

 麻美がこっちに笑いかけている。

 くるりと回ってみると制服のプリーツスカートがひらひらと舞い上がり、ちらりと白いショーツが顔を覗かせる。

 うーん、いいねえ。

 写真と同じようにスポーツバッグもちゃんと持っている。中を開けるとテニスウェア・・・白いポロシャツにスコート、ヘアバンド、フリルのたくさん付いているアンダースコート、そして下着やピンクのパジャマ等普段だったらとても触れられないものがぎっしりと入っていた。

 ちょっと着てみようかな。

 俺は女子の制服を脱ぐと麻美のテニスウェアを着込んでいった。

 下着はこのままでいいか。アンスコはっと、ひゃーフリルがいっぱいで恥ずかしいな。ポロシャツはボタンが逆なんだな。スコートのホックを止めてっと。細い腰だな、でも、うん、ぴったりだ。ヘアバンドはこうか?

 よし、出来上がりっと。

 下に降りてお袋の大きな姿見で見てみるか。

 とんとんと階段をその姿のまま降りていってお袋の部屋に入り、ラケットを持って姿見の前に立つ。

 鏡の中には、テニスウェアに身を包んだ麻美がいた。

 かわいい・・・これが俺?いや俺は今麻美なんだな。

 フォアハンドにバックハンド、或いはラケットを抱えてちょっと上目使いをしてみる。

 うーん、いいねいいね。

 今度は両手でスコートを持ち上げてみると、フリルの沢山付いたアンスコにぴたっと包まれた股間に目が釘付けになる。息が荒くなると膨らんだ胸がゆっくり揺れるのがわかる。鏡の麻美は目元をぽっと赤く染めている。

 段々胸のふくらみと何も無い股間が気になってきたぞ。ちょっと触ってみようっと。

 右手で右胸を軽く揉み、左手でアンスコ越しに股間をじわりと撫でてみると、男では有り得ない感触。ぷにゅぷにゅした胸の感触とのっぺりした股間の感触が手のひらから不思議な感慨をもたらした。

 俺、今本当に女の子やっているんだな。

胸の先端から、そしてアソコからじんじんしたものが込み上げてきた。

・・・・・うっ・・うっうっ・・ひゃん・・・あ、あーん・・気持ちいいよー



 

「さてと、そろそろ麻美んちに行ってみるか」

 散々麻美の体を楽しんだ俺は、本来の目的を実行してみることにした。二階の俺の部屋に戻ると女子の制服にもう一度着替え直し、着ていたテニスウェアを丁寧にたたんでスポーツバッグに入れた。脱いでいた麻美のローファーを持って玄関に降りると、腰掛けて履き直す。ショーツ越しにひんやりとしたフローリングの感触が伝わってくる。

 玄関ドアを開けようとして気がついた。・・・行く前に声を変えなきゃな。

「あ〜、あ〜、わたしは麻美、風野麻美よ。うん大丈夫。合宿が急に中止だなんてついてないなぁ。和也ぁどこ行っちゃったのぉ。和也もいないし、しょうがないからおうちに帰ろうっと」

 ローファーを履きスポーツバッグを持つと、俺は隣りの麻美んちへ行った。

「ただいま」

「あら、合宿どうしたの」

「うん、急に中止になっちゃて、まいっちゃう」

「そうなの、残念だったわね」

 俺は麻美になったつもりで麻美のおばさんと話した。

 おばさんは完全に俺を麻美だと思っている。よし気付かれないようだな。

 俺は勝手知ったる麻美の部屋に上がるとベッドに腰を降ろした。羽布団の肌触りが直接太ももに触れる。

 麻美、お前が帰ってくるまで麻美をやらしてもらうぜ。

 ふふふ、そう、今から3日間は俺が麻美だ。そう思うと思わず顔がにやけてしまう。

 さて、着替えてみようか。

 クローゼットを開けると、そこには麻美のスカートやシャツがかかっていた。勝手知ったる部屋とは言え、いつもなら自分では絶対に開けることのできない麻美のクローゼットだ。

 へぇ、あいつこんな物も持っていたのか。

 その中には、ひらひらの白いフォーマルなワンピースやスーツも入っていた。

 引き出しを開くと、まぶしい位白い麻美の下着の数々、ショーツにブラジャー、滑らかなスリップが俺の目の前に晒されていた。

 思わずドキドキしてしまったけれど、結局俺は普段麻美が着ているキャミソールとジーンズ地のミニスカートを取り出した。そして着ている制服を脱ぐと、それに着替えた。

 普段着の麻美の出来上がりっと。



・・・・・・・・・・・・・・・



 それから俺は麻美が帰って来るまでの3日間、さんざん麻美としての生活を楽しんだ。



「麻美、早くお風呂にはいりなさーい」

「はーい、ママ」

 麻美の新しい下着を取り出すと、風呂に入った。

 さっき着たばかりのキャミソールとスカートを脱いで下着だけになる。

 麻美の裸、見てもいいんだろうか、いいよな、へへへ俺今麻美なんだもん。

 ブラジャーを何とか外すと、ぷるっと麻美の胸が露わになる。・・・結構大きいな。
 ショーツをスルスルと脱ぐと、風呂場の鏡には一糸纏わぬ麻美が映っていた。

「どお、和也くん、これが麻美のすべてよ、なんちゃって」

 じっくりと麻美の裸を目で楽しむと、シャワーを浴びた。つるっとした肌がシャワーをはじいて、ほんのりとピンク色に染まっていく。シャワーの当る感触がとっても気持ち良かった。
俺はふとシャワーを乳首の先端に当ててみた。

「ひ、ひゃん、き、気持ちいい〜」

 あそこにもちょっと当ててみようかな。

 シャワーを股間に当ててみる。

 う、うーん、この水が中に入ってきて押し広げられるような感じたまらないなぁ。

 シャワーを徐々に近づけていくと刺激もどんどん強くなってくる。

「あ、あーん、いいよ〜、で、でも、だめぇこんなことしちゃ」

 右手で胸を撫で、左手でシャワーを股間に当てる。俺は麻美になったつもりでオナニーに耽ってしまった。

「くー、気持ちいい、麻美の体ってこんなに気持ちいいんだなぁ。ずっと麻美をやっていたくなっちゃうぜ」

・・・しかし麻美にばれたら・・・殺されるな。



 風呂から上がるとおじさんおばさんと夕食を食べた。何とか話を合わせることができた。

「麻美、後片付け手伝って」

「はーい」

「あら、今日は随分素直じゃない」

「へへ、たまにはね」

「そう、感心感心」

 麻美として夕食の後片付けを手伝った。

 おばさんと並んで一緒に食器を洗う。何か楽しかった。



 麻美の部屋に戻るとしばらく色々な服に着替えてみた。さっき見つけた白いドレスも着てみたけれど、まるで自分がお姫様になったみたいだった。スカートの裾を持ち上げてヒラリと舞うと・・ううう。可憐だ。
 ぴっちりしたスリムジーンズを穿いてみると、自分の腰から足にかけてのラインが一層くっきりと現れてとてもセクシーだ。着ているものが変わると鏡に映る麻美の印象ががらっと変わる。

 床に座って足を広げていくと簡単に180度に広がった。

 麻美って体柔らかいんだ。

「何やっているの、早く寝なさい」

「はーい」

 麻美のパジャマを着てベッドに入った。

 毛布を頭から被ると、いい匂いがした。

 これって麻美の匂いなんだな。そう、そして今の俺の匂い。俺は麻美・・・あさ・・・くー、くー

 そのまま枕を抱いて眠ってしまった俺には、寝顔も寝息も麻美のまんまだということに気付く術もなかった。

 俺は幸せだった。



 次の日の昼、制服に着替えて街に出かけてみた。

「あれ、麻美合宿じゃなかったの」

「うん、急に行けなくなっちゃって」

「そっか、じゃ一緒にショッピング付き合わない」

「うん、いいよ。行こう行こう」



「あ、これってかわいい」

「麻美これ着てみなよ」

「えぇ、恥かしいよ」

「大丈夫、麻美ってスタイル良いんだから」


 麻美として麻美の友達と一緒にデパートに行った。色々な服を試着したりして、とっても楽しかった。



・・・・・・・・・・・・・・・



 そして3日はあっという間に過ぎた。その間おじさんもおばさんも全く気が付かないで、俺を麻美だと思い込んでいた。

 まあ、無理もないか。

 今日は彼女が合宿から帰って来る。

「ママ、今日は学校で練習だから、行ってくるね」

「そう、気をつけてね、行ってらっしゃい」

 俺は学校で練習があるからとおばさんに言ってスポーツバッグを持って麻美んちを出ると、合宿から帰って来る麻美と再び入れ替わることにした。

 家に戻って元の俺の姿に戻ると、駅で麻美を待った。

「お帰り、合宿どうだった」

「あ、来てくれたの、ありがと。もうくたくた。早く寝ちゃいたい」

「そうか、お疲れ様」

 麻美をそのまま家まで送って行った。

「じゃあ、また明日」

「うん、ありがと、それじゃあね」



 翌日、麻美に会うと不思議そうにしていた。何となく両親と話がかみ合わなかったそうだ。でも、まさか自分の偽者が家で暮らしていたなんて思いもよらないようだな。

 そのうち彼女の姿でご対面してやるのも面白いかな。

 彼女の部屋で待っていて、入ってきたら「私が麻美よ、あなた誰」ってね。
・・・驚くだろうな。


 それにしてもじっちゃん、じっちゃんの言う通り素晴らしい奥義だよ。

 今度は誰に成りすましてやろうか。

 これから毎日楽しみだぜ。





(了)
                                 2002年11月29日脱稿


Ts・TS版の後書き

 この「奥義」はもともと平成14年9月20日に「エスプリ」に投稿したものですが、「エスプリ」の閉鎖に伴いtiraさんのご好意で他の2作品と共に「Ts・TS」に再掲載していただけることになりました。tiraさんどうもありがとうございました。そしてジョニーさんお疲れ様でした。
 さて、今回の再掲載に当りまして若干内容に手を加えてみました。エスプリ版で麻美になっての生活の描き方が淡白なのではないかという意見がありましたので、その辺りをもう少しだけ詳しく描いてみたつもりです。また主人公の名前も最初から出してみました。いかがでしたでしょうか。



エスプリ版の後書き

 古い!とても古いネタです。昔テレビで見た、短いシーンですが未だに印象に残っているのものを元ネタにしてみました。こんな変身ができればなどと昔思ったものですが、知っている人がいるのかどうか。
 作品そのものは祖父から忍術を受け継いで変身できるようになったある高校生の話としてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。もしかしたら作品の印象は変身というよりも変装に近いかもしれませんね。
 それでは、ここまでお読みいただきました皆様、どうもありがとうございました。


toshi9より
感謝の気持ちを込めて

 

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