「水泳部の先輩(その6)」
(ファシット・ファクトリー・シリーズ)


作:JuJu


 プールからの帰り道、俺と山本は並んで歩いていた。
 山本に叱られてから、これ以上エッチな事をすると山本と工藤先輩の関係が崩れるかもしれないと思ってしまい、
山本には触れていない。
 俺は山本の胸を触った先輩の細い手を見つめた。山本の胸の感触が今でも思い出せる。
 俺の性欲は一度山本の胸を触りたいとうずいていたが、プールから出てしまったし、もう山本の胸に触る機会はないだろう。

(まあ、山本の胸に触れたし、泳げるようにもなったんだし……)

 俺は自分を慰める様に思った。
 尿意を確認する。まだしばらくは先輩でいられそうだ。
 このまま先輩の家に帰り、先輩の体をイタズラする事で山本に触れない不満を解消する事にした。
 先輩の体を触る事を考えていたら、プールのトイレでした自慰行為の快感が蘇って来た。なんだかドキドキしてくる。
 こうしている間も、となりを歩いている山本は取りとめもなく何かを喋っている。俺は適当に相槌を打っていた。
 俺の頭は山本の話よりも、先輩の家に帰ってからの自慰行為で頭がいっぱいになっていた。
 それにしても、山本はいつまで俺についてくるのだろう。もうすぐ工藤先輩の家だ。
 山本と一緒にいられるのは嬉しいが、山本とならまた話せる。だが先輩の体をいじれるチャンスは今だけなのだ。
 俺の体も頭の中も、自慰の快感を求めて我慢できなくなっていた。
 工藤先輩の家に着いた。
 しかたない。俺は山本に帰るように言う事にした。


「絵里子……あの。絵里子の家って反対方向じゃなかった?」

「そうですよ?」

「あのね……、今日は私忙しいの。だから、ここでお別れ……」

「え!? それじゃいつものアレはどうなるんですか?
 先輩の部屋でいつもやっている、基礎体力をつける練習ですよ!!
 いつもしてくれるのに、今日だけしてくれないなんて納得できません!
 すっごく楽しみにしていたんです、してくれないのなら、その理由を教えてください!」

「り、理由!?」


 山本は怖い顔で睨み付けていた。
 とても適当な理由を言ってごまかせる様な雰囲気ではない。


「それは……。
 ……わかったわ。私の部屋に来ていいわよ」

「よかったー」


 山本は深い息を吐いた。心から嬉しそうだ。
 しかし、先輩の家でも練習か。
 山本って結構練習熱心なんだな。
 絵里子の指導する自信はなかったが、絵里子の言うとおり、工藤先輩がいつもやっいる事ならば、体が対応するだろう。

 ……それにしても先輩の体、いじりたかったなぁ。

 俺は工藤先輩の家の門を開けて、玄関を開けようとしたが鍵がかかっていた。


「え?」


 どうしよう。玄関の鍵はどこにあるんだろう? ここで慌てると山本に怪しまれる。早く戸を開けなくちゃ。
 そう思うと、先輩の手が動いてカバンの中に手を入れた。手の先に鍵の感触がした。先輩の手はそのまま玄関の鍵を開けた。
 やった。ありがとう先輩の体!
 俺達は家の中に入った。
 家を締め切っていた為だろう、家の中は先輩の匂いがした。


「ただいま……」


 俺は言ったが、返事はなかった。それはそうだろう。留守なのだから誰もいるはずがなかった。
 入ったのはいいが、先輩の部屋がわからなかったので山本にこう言った。


「えっと、飲み物でもよういするから、先に私の部屋に行っててくれないかな?」

「はい……」


 山本はなぜか顔を赤く染めていた。
 山本は階段を上がって二階に行った。階段を上る時、山本のパンツが見えた。ラッキー。
 山本は階段を上った後踊場の右側のドアを開けた。
 ふーん? あそこが夏美の部屋なんだな。
 山本が部屋の中に入って行くのを確かめてから、俺は台所に向かって冷蔵庫を開け、適当にペットボトルを取った。
 お盆の上にコップをのせて、先輩の部屋に行った。
 先輩の部屋なんて入るのははじめてだ。
 ドキドキしながらドアを開ける。
 部屋の中を覗く。だが、先輩の部屋を観察するどろこではなかった。
 山本が上着のボタンに指をかけて、服を脱ごうとしていたからだ。 着替えでもするつもりなんだろうか?
 すでに胸元がはだけて、ブラジャーが見えた。山本は俺が入って来たのを見ても、気にもとめずにさらにボタンをはずしていた。


「絵里子!!」


 僕は慌てて叫ぶ。
 もうすこしで、ジュースが載ったお盆を落とす所だった。
 驚いたようにこちらを向く絵里子。


「先輩、なに驚いているんです?」


 あ、そうだった。今は俺は先輩なんだ、確かに女同士だから着替えを見られても平気なんだろうが……でも中身は俺なんだ。
 そんなに堂々と目の前で服を脱がれると……。


「とにかく、早く服を着て!」


 先輩の家に来たら先輩の体をイタズラする気だった。だから性欲が溜まってしかたない。
 もし今、目の前で着替えられたら、もう自分の性欲を抑えられそうにない。


「え〜? どうしてですか?
 ……あっ、そっか!」


 山本は言った。


「今日の先輩は男の人の役ですものね!
 あたしを脱がせるつもり気だったんですね?
 わかりました」


 山本はボタンをとめた。
 よかった。
 何を言っているのか分からないが、とにかくこれで、なんとか我慢ができそうだ。
 そんな、安心した俺に山本は近づいて、胸を突き出しながら言った。


「じゃさっそく、脱がせてください」

「脱がす?」

「先輩にイタズラされちゃって、あたしの体、ほてっちゃって……」
 山本はかすかに顔を赤らめて、上目遣いで言った。

「……だから、早くあたしの服を脱がせてください!」




(つづく)

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