Life 《1》

〜ゼリージュース・青色〜

作:JuJu
 
 
 
 
 

  chapter.1
 
 

「ふーっ、さっぱりした!」
 

 俺は真夏の汗をシャワーで落とした。
 妹の萌もシャワーを浴びたがっていたので、俺が上がったことを知らせなければならない。だがその前に、俺にはやるべき事がある。
 風呂上がりには、冷えきったジュースの一気飲み。これが俺の決まりだった。
 冷蔵庫のドアを開く。新製品だろうか、見たこともないラベルが目に付いた。小さなペットボトルに入った青いジュース。
  萌が買ってきたのだろう。
 

「二本あると言うことは一本は俺の分だな。風呂上がりに飲むように冷やしておくとは気が利くな」
 

 俺は決めつけると、ジュースを取りだし飲んだ。ゼリーの触感が俺の喉にまとわりつく。
 

「ゼリージュースだったのか!」

 
 俺はゼリージュースが嫌いだった。喉越しが嫌だ。
 風呂上がりの楽しみが奪われた!!
 

「くそ! 萌め、やりやがったな!」

 
  俺は萌への復讐のため、萌の分も飲むことにした。
 飲んでいる途中で萌が来ると計画か失敗するので、二本とも一気飲みだ。復讐の為だと思うと、不思議に喉越しも気にならない。
 

「ざまあみろ。もちろん、風呂から上がった事も知らせてやるもんか」
 

 復讐を果たした俺は、晴れやかな気分で自分の部屋に戻った。
  ネコのクロが帰って来ていて、俺を見つけるとガラス戸を叩いた。戸を開けて部屋に入れてやると、
  のどを鳴らして足元にすり寄ってきた。クロを抱き上げた。
 

「萌もこの位かわいげがあれば、いいんだがな。……ん?」
 

 俺は腕の肌の色が薄くなっている事に気が付いた。疑問に思っていると、腕ごしにクロが透けて見える程、
  俺の腕は透明になって行く。透き通った腕が溶け始める。手からクロがすべり落ちた。
 

「く……くろ……」
 

 口が回らない。手だけではない、全身が溶けて行くのが分かる。
 鏡を見る。巨大ゼリーみたいな、透明の塊がそこにあった。
 目も口も手も足もない巨大なスライム。
 床には俺の服が落ちている。
 俺の隣にはクロがいた。
 こんなになっても、そばにいるのが嬉しかった。
 頭をなでてやろうと手を伸ばすと、手の代わりに、ゼリーの塊から触手が突起した。
 これが今の俺の手か。
 触手がクロに触れると、触手はクロの頭を包み込むように広がった。クロは痺れた様に動かない。
  俺はクロの身の危険を感じてクロから離れようとしたが、獲物を襲う様に俺の体から触手が勝手に次々生えて、それらがクロを襲った。
 触手はクロを包み込み、俺の元にたぐり寄せる。俺の体の中にクロが入って来るのが分かる。
 俺は気を失った。
 
 
 
 
 
 

  chapter.2
 
 
 
 
 

 目を覚ますと、目の前に白いパンツに包まれた尻があった。
 よく見ると、妹の萌だった。こちらに尻を向けていたため、スカートからパンツが見えたのだ。
 

「(萌! なんて格好を見せるんだ!!)」
 

 俺はそう言ったつもりだったが、口からは「ニャーニャー」とネコの声が出るだけだった。
 ニャーニャー? 視点も萌のスカートの中がのぞけるほど低い。辺りを見回した。
  俺の部屋なのにやたら広い。さっきまでいたクロはどこに行ったのか?
 俺はクロを取り込んでしまった事を思い出した。自分の体を見る。俺はクロになっていた。夢ではなかったのだ!
 

「もー、光一お兄ちゃんたら。お風呂空いたら呼んでっていったのに、どっか行っちゃうし。服は脱ぎっぱなしなんだから」
 

 萌は俺の服を畳んでいた。
 

「世話の焼けるお兄ちゃんよねぇ? クロ? まったく、あたしがいなかったらどうするつもりなんだろ?」
 

 そうだ、萌のジュース、あれを飲んでから俺の体か透明になって……
 俺は萌に助けを求めるために萌の前に回り込んだ。
 萌は俺のパンツを畳んでいた。
 

「ニャー ニャー!!(萌! パンツはいいって、パンツは!!)」
 

 萌は俺に気が付いて俺の所に来た。しゃがんでいるため今度は股間のあたりが俺の目の前に来る。
  白いコットンパンツ。色気はないが、そこがまた純真そうでいい感じだ。
 ちきしょう。妹相手に何興奮しているんだよ、俺は?
 

「クロ、何かして欲しいの?
 そういえば、最近クロをお風呂に入れてないね。一緒にシャワー浴びる?」
 

 萌と一緒にシャワー?
 

「ニャーニャー!(ばか! 一緒に入れるわけないだろう!)」
「だめだよ、きれいにしなくちゃ。もうすぐ香里ちゃんも来るし、クロも香里ちゃんの前できれいでいたいでしょ?」
 

 俺は首を振って拒否したが、萌は俺の体をつかむと、風呂場に連れていった。
  普通のネコは風呂が嫌いだと言うが、クロの場合は赤ちゃんの頃から入れていたせいか、風呂が好きだった。
  俺はこれ以上嫌がっても無駄だと観念した。
 風呂場の脱衣室。俺の目の前で、萌は恥じらいもなく服を脱いでいく。自然に目が妹の体に行ってしまう。
  わずかに膨らみかけた胸。妹もいつの間にか女として成長しているんだな。
 妹はスカートを脱ぎながら言った。
 

「今日のクロってなんかお兄ちゃんに似ているね?」
 

 ドキッ!
 

 どう言うわけだが、萌は時々勘が鋭い時があって驚かされる。
 

「いやらしい目つき、お兄ちゃん見たい」
 

 俺って妹を見る時、普段からそんな目つきをしていたのか?
 シュミーズを脱ぐ妹。
 

「ほら、その目! まあネコ相手に恥ずかしがっても仕方ないか」
 

 萌はパンツを脱いだ。俺をつかむと、風呂場に入る。俺にシャワーをかけてから、自分の体にシャワーを当てた。
  人間だった時はそんなに感じなかったのだが、ネコになってみると、意外と水の粒が大きいことに驚いた。
 萌は黄色いアヒルを型どったスポンジにボディ・ソープを付けると、自分の体を洗い始めた。
  アヒルのスポンジが萌の胸や足、尻や恥丘までまんべんなく這いずった。
  ただ、胸を洗う時は俺の方に胸を強調するように洗うのが謎だった。尻を洗う時は、わざわざ俺に背を向けて洗った。
  その姿は、まるで俺に自分の体を見せつけているようだ。
 

「ふふ。やっぱり今日のクロ。お兄ちゃんだよ」
 

 俺の体を洗い始めた。裸の妹に体を洗われている。萌の指が俺の毛皮の中に潜り込んで俺の皮をさする、
  その快感を楽しんでいた。俺が気持ちよく萌に体を預けていると、萌がしゃべり始めた。
 

「あたしね。本当はお兄ちゃんの事、ずっと好きだったの」
 

 ゲッ! もしかして、俺がクロじゃないって事がばれていたとか?
 あわてて萌の顔を見たが、萌は上の空だった。
 どうやら、独り言らしい。
 

「お兄ちゃんも、お兄ちゃんだよ! あたしがこんなに好きなのに、まだ気が付いていないなんて。
 もちろん、あたしがお兄ちゃんが好きだって事は、誰にもに気づかれない様に注意してきた。だから、それはそれでいいんだけど。
 兄妹で恋愛なんて、お兄ちゃんに迷惑ががかるだけだものね。
 でも、もう我慢の限界。
 好きだよの一言さえ言って貰えないのは……やっぱりつらい。
 お兄ちゃんのことを考えると……切ない」
 

 始めて、萌が俺に恋愛感情に持っていることに事に気が付いた。
 

「でもね。もうすぐ願いがかなうの。
 あのねクロ、あたし凄い物買っちゃったの! 誰にでもなれるジュースだよ?」
「ニャ!?(なに!?)」
「そのジュースを飲むとね、好きな人になることが出来るんだって。
 もちろん、あたしだってインチキだと分かっているよ?
 ただのジュースだって事ぐらい。
 嘘でもいい、信じて見たい。
 おまじないみたいな物よ」
 

 それ、本物だって。
 それで俺はクロになったんだ!
 

「今日のクロはちゃんとあたしの話聞いてくれているんだね?
 本当、お兄ちゃんみたい。
 あたしがこんな想いしているせいかな?
 クロにそんな目で裸を見られていると……なんだか体が熱く……おかしいよね、ネコ相手に」
 

 俺も妹だからと自分に言い聞かせて感情を抑えてきたが、裸の萌を見て、俺の雄の部分は充血している。
  俺のことを愛していると告白された為だろうか、俺の体は萌を女として意識していた。だめだ。
  たとえ思うだけでも、妹相手にそれはいけないんだ。
 でも……ネコの今なら……。
 俺のためにも、妹のためにも。
 俺はおそるおそる妹の胸に顔を近づけると、乳首を舐めた。
 

「なに? くすぐったい!」
 

 ネコの舌はザラザラしているので痛がると思っていたのだが、意外とくすぐったそうに笑っている。
 まだ女としての感度は無いようだが、俺はそんなことはどうでも良かった。妹の乳首を舐め続けた。
  乳首は少しずつ堅くなり、勃起してきた。突然妹が一瞬ビクっとふるえた。
 

「クロ……。あたしの想い。手伝ってくれるの?」
 

 俺が驚いて、妹の顔を見ると「クロ……やめないで!! もっと舐めて!!」と言った。
 乳首を女の敏感な物へと開発してしまったようだ。
 妹の声はあえぎ声に変わっていた。
 萌は俺をつかむと、俺の頭を自分の胸に押しつけた。
 俺は舐めるのを再開する。
 吐息に混じる「お兄ちゃん」と言う声が俺をヒートアップさせた。
 妹が俺を持つ手を離した。
 俺は妹の足の辺りに落ちる。
 妹を見ると、息が荒く、潤んだ目をしていた。
 初めての女の快感を味わっているのだろう。
 俺も興奮していた。
 俺が妹の女としての快感に目覚めさせてやった。
 禁断を犯して罪深いような、誇らしいような、いとおしくて仕方ないような、彼女を壊してしまったような、様々な気分が混じりあった。
 目の前にある妹の恥丘は一本の筋しかなかったが、そこから透明な汁が滲んでいた。
 俺は妹のスリットを舐めてみる。粘りけのある、ちょっと塩辛い味がした。
 

「ひゃう!」
 

 突然スリットを舐められた妹は、驚いたらしい。
 妹はうつろな目をしながらも、何かをいいたそうだった。
 スリットを舐めると、透明な汁が溢れてくる。俺はクロの手を使い、割れ目をこじ開けてる。ピンク色の世界が広がっていた。
 俺は中に舌を入れた。
 舌を入れることに夢中になっている時、萌が言った。
 

「クロ、ごめんね。
 本当はお兄ちゃんにして欲しかったの。だけど、兄妹だからしちゃいけないの。
 だから、今日はクロをお兄ちゃんだと思いながらエッチな事したの。
 今日のクロならば、エッチな事をしてくれる様な気がしたから」
 

 謝るなら俺の方だ。
 そこまで思っていてくれた妹を、騙して、ネコになった事を利用して、妹を犯してしまった。
 彼女は永遠に、兄に犯されたことを知らないだろう。
 俺は卑怯だ。
 俺は申し訳ないと思いつつも、彼女の桜色に染め上がった割れ目を舐めずにはいられなかった。
 心では後悔しているのに、俺の体はその懺悔をスパイスにしてさらに盛り上がり、快感を求めていた。
 俺はクリトリスも、膣の中も舐めた。
 

「あうん! お兄ちゃん。……好き」
 

 萌はのけぞりながら、わずかに震えていた。
 頂点に行かせてしまったらしい。
 妹は俺を力一杯抱きしめた。
 

「ありがとうクロ」
 

 ボーっと遠くを眺めるようにしている。
 まどろむ様な目で俺を見ている萌。
 俺は気恥ずかしくなって、ここにいられる気分ではなかった。
 前足で戸を叩くと、萌が四つん這いで風呂場の戸を開けてくれた。
 体が濡れていて嫌な気分だったが、俺は風呂場を出た。
 出ては見たものの、行くべき場所もなくしばらくうろついてると、尿意が襲ってきた。
 玄関のそばにあるクロのトイレに行って、おしっこをした。
 おしっこと一緒に、意識まで流れる様な感じがした。俺は失った。
 
 
 
 
 
 

  chapter.3
 
 
 
 
 

 俺は意識を取り戻した。
 ひんやりした床の上に密着して寝転がっている感覚。スライムにもどってしまった。
 俺の隣にはクロがいた。
 クロは気絶しているのか、ぐったりと寝ていた。
 どうやら、おしっこをすれば、取り込んだ体から抜け出れるらしい。
 俺はクロが心配だったが、またクロを取り込んでしまわない様に、近づかない事にした。
 呼び鈴が鳴った。俺は習慣で玄関の方に進んだ。ノブがゆっくりと回りドアが開くと、女の子が入ってきた。
 

「萌ちゃんこんにちは、おじゃまいたします」
 

 入ってきたのは、萌の親友の香里ちゃんだった。
 活発な萌とは正反対なおとなしい性格の子だった。例えるならお嬢様タイプか。家によく遊びに来るので、俺もよく知っている。
 

「キャー!!」
 

 俺の姿を見て驚いたのだろう、タイミングが遅れるのが、この娘らしい。
 香里ちゃんは気を失った。
 俺は慌てて、倒れる体を支えるために香里ちゃんに近づいた。
 しまった!
 そう思った時、俺の体から生えた、ゼリーのような透明の触手は香里ちゃんを襲っていた。
 やめろ! 香里ちゃんは萌の親友なんだ! 手を出すな!
 だが触手達は俺の意志を無視し、俺とは別の生き物のように伸びていく。
 触手達は空中をさまよっていたが、一本の触手が香里ちゃんに触れると、ほかの触手も一斉に香里ちゃんを目指して突進する。
 後を追うように、本体である俺の体から新しい触手が無数に生え、次つぎ香里ちゃんに巻き付いては、たぐり寄せる。
 香里ちゃんの長い黒髪が乱れる。
 まだ気を失ったままなのか、それとも、触手によって眠らされたのか、彼女は身動きをしなかった。
 俺の体は勝手に全身を薄く伸ばして、香里ちゃんを包み込んでいった。
 まるで、獲物を呑み込むヘビの様だ。
 人間を体の中に取り込んむなんて!
 俺や香里ちゃんはいったいどうなってしまうんだ!?
 俺の意識は遠のいて行った。
 

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