交換条件


作:まぐりょ



「もっと腰を低くしてっ」
「は、はいっ」
「ほら、もっと足を広げて」
「あっ、はいっ」

唯子はバスケ部顧問の新嶋に個人練習を受けていた。
レギュラーになれるかなれないかの瀬戸際。
頑張ろうと思うのだが、必要以上に密着してくる新嶋の指導は、練習と言うよりはセクハラに近い内容だった。後ろから指導するフリをして太ももや胸を触ってくる。
嫌とは言えない唯子は、いやらしい手つきの新嶋を受け入れるしかなかった。
こうやっていれば、きっとレギュラーになれると――



「このままでいいのかな……」

練習が終わると、唯子は薄暗くなり始めた体育館の倉庫で一人悩んでいた。
これで本当にレギュラーになれるのだろうか?
単に弄ばれているだけのような気がする。

「はぁ……」

深いため息をついてしばらく、倉庫の扉が開いた。

「よお」
「あ……寺田君」

現れたのは、黒い制服姿の同級生、寺田だった。
男子バスケ部のレギュラー。
イヤミを言われることが多いので、少なくても唯子にとっては嫌なやつだった。
ツカツカと入ってきて、嫌な笑みを浮かべる。

「今日もみっちり個人練習受けていたよな」
「う、うん……」
「少しくらい上手くなれたか?」
「……ううん」
「だろうなぁ、ケケケ。あんな練習じゃ上手くなれる方が不思議ってもんだよ」
「…………」
「なあ広多」
「……何?」
「一回新嶋にやらせてやれよ」
「な、何を?」
「決まってるだろ。セックスだよセックス」
「なっ」

セックスと言う言葉に、純情な唯子の顔がさっと赤くなった。

「そしたら確実にレギュラーにしてもらえるぜ」
「そ、そんな事っ!」
「なりたいんだろ。レギュラーに」
「い、嫌よ。どうして私が新嶋先生とっ」
「広多のために言ってやってるんだよ」
「そんなの絶対に嫌っ。私は実力でレギュラーになりたいの。それにあの新嶋先生となんて……考えられない」
「そう言うと思ったぜ。へへ」
「な、何よ……」
「俺が何とかしてやるよ。任せとけって」
「な、何とかって……」
「まあまあ。俺、今日は広多の味方ってわけ」
「…………」


怪しい笑いを浮かべた寺田は、「冗談抜きで、いい方法を教えてやるよ」と言って唯子に帰り支度をさせると、誰もいない食堂の厨房へと誘った。

「て、寺田君。何もこんなところで話さなくても」
「他人には知られたくないんだ。実はさ、面白いもの持ってるんだよな」
「お、面白いもの?」
「ああ。それを使ってお前の代わりに、新嶋にセックスされてやるよ」
「な、何言ってるの?」
「何って、今言ったとおりだよ。実は前々から準備してたんだよなぁ」

そう言うと、寺田は学校のカバンからペットボトルに入った赤いジュースを取り出し、机の上に置いた。

「美味しそうだろ。これ」
「…………」
「これを飲めば、お前と同じ容姿になれるんだ」
「えっ?」
「お前に成りすまして、俺が新嶋とセックスしてやるよ。きっと、即レギュラーにしてくれるぜ」
「なっ……そ、そんな事出来るわけ……」
「それが出来るんだよなぁ。俺、一度お前になってみたかったんだよ。ちょうどいいだろ。俺の願いもお前の願いも叶えられるんだからさ」
「わ、私になる?寺田君が?」
「とりあえずさ、広多唯子が二人いるってのはまずいからお前はここで大人しくしててくれよ」
「う、嘘でしょ。そんな事出来るわけないっ」
「だったら試してみればいいじゃないか」
「試すって……嫌よそんなのっ!」
「そう言うと思ってたからさ……」

寺田はカバンからロープとガムテープを取り出した。

「夜遅くには迎えに来てやるから。それまで大人しくしててくれよ」
「い、嫌っ!」

身の危険を感じた唯子は逃げようとした――が、時すでに遅し。

「だ、誰か助け……」

男の寺田に抵抗できるはずもなく、唯子は口にはガムテープ、そしてロープで体を縛られ身動きを封じられた。

「ぅぅぅっ」

こもった声は厨房から外に漏れることはない。

「さてと」

寺田は更にカバンに手を入れると、何処から調達したのか唯子が着ている物と同じ女子生徒の制服を取り出した。
しかも下着まで用意してある。

「これさ、姉貴が高校のときに着ていた制服なんだ。ついでに下着も失敬してきたってわけ。姉貴の下着を着けるのって結構抵抗あるけどさ」

すべてを机の上に出し終わった後、ペットボトルを手にゴクゴクと飲み始めた寺田。
普通のジュースとは異なり、見た目はゼリーの様。
手のひらで押しながら口に流し込んでいると言う感じだ。

「はぁ。イチゴ味でなかなか美味かったな。さてと、上手く出来るかなぁ」

嬉しそうに――いやらしく笑った寺田は、恥ずかしげもなく制服を脱ぎ始めた。
カッターシャツやトランクスなど、身に着けているものすべて。
逆に唯子は、目の前で脱いでゆく寺田の裸を見まいとギュッと目を閉じていた。



しばらくして――

物音がしなくなった事を不思議に思った唯子がゆっくりを目を開けた。

「…………」

先ほどまでいた寺田の姿は何処にもなく、床には寺田が脱いだ制服や下着が落ちているだけ。
裸のままで何処かに行ったのか?
そんな事をするはずがない。
では一体何処に?
そう思っていると、体に異変を感じ始めた。
まるで何かが入り込んでくる感じ。

「んんっ!」

動かない体をモゾモゾと揺らし、その感覚から逃れようとした唯子。

気持ち悪い。
そう思った。

しかし、しばらくするとその感覚もなくなった。
額からうっすらと汗がにじんでいる唯子が鼓動を高ぶらせ、大きく呼吸をしていると目の前に薄っすらと人影が見え始めた。

「……っ!?」

先ほどの体の異様な感覚の事もあり、幽霊かと思った唯子は怖くなってギュッと目を閉じた。
どれくらい経っただろうか?
まだ体が震えているが、充血した目をそっと開けてゆくと、目の前には女性の素足があった。
幽霊にしては、やけにはっきりと見える足。
恐る恐る上に視線を上げてゆくと――



「んううっ!!」

信じられないことに、裸の唯子がニヤニヤしながらこちらを見ていたのだ。

「怖かったか?そんなに怖い思いをさせるつもりはなかったんだけどな。へへへ」

唯子と全く同じ声を出すと、机の上に置いていた下着を穿き始めた。

「…………」

何がどうなっているのか分からない唯子は、ただ目の前で服を着始めた唯子をじっと眺めるしかなかった。
パンティを足に通し、陰毛をつまんで楽しんだ後スルリとお尻まで引き上げる。
形のいい胸を下から持ち上げて揺らし、少し乳首の感触を確認した後、ブラジャーを不器用に着けた。

「女の体って、俺が予想していたよりもすげぇ敏感!というか、もしかしたらお前の体が敏感なのか?」

白いブラウスにワインレッドのプリーツスカート。
赤い濃淡のストライプになったネクタイにスカートと同じ色のブレザー。

目の前には、縛られている唯子と全く同じ姿をしたもう一人の唯子がいた。

「どうだ、これでも疑うか?誰が見ても広多唯子にしか見えないと思うけどなぁ」

クスクス笑った――不思議なジュースを飲んで唯子に化けた寺田は、縛った唯子の前にしゃがみこんで話しかけた。
唯子も頭の中の整理が出来たようで、今の状況が理解できていた。
このままでは寺田に体を使われ、新嶋とセックスされてしまう。
他人に自分の裸体を見られてしまう。

「ふぐぅ!んんんっ!んんぅっ!」

必死にもがく唯子だが、きつく縛られた縄は全く外れず、逆に体を締め付けようとしていた。

「そんなにもがくなって。さっきも言っただろ。やることやったら元に戻ってやるからって」
「ううううっ!ふううっ、んうううっ」

唯子に化けた寺田は、元々唯子本人が持っていたカバンを手にすると、

「じゃあ待っててね。私、新嶋先生にレギュラーになれるように話してきてあげる。ついでにセックスして楽しんでくるからっ。クスッ!」

そう言って唯子の口調を真似すると、唯子が履いていた黒い靴を履いて職員室へと走っていった。
一人取り残された唯子はしばらくもがいていたが、時期にあきらめたようで涙を流しながらかなり暗くなってしまった厨房でぐったりと動かなくなってしまった。






電気のついている職員室。
ガラガラと扉を開けた唯子――寺田が顔を覗かせた。
室内を見渡し、新嶋がいることを確認するとニヤリと笑って新嶋の下へ歩いていった。

「新嶋先生」
「ん?おお広多か。まだ学校にいたのか」
「はい。新嶋先生、ちょっと相談したいことがあるんです」
「なんだ?」
「ここじゃちょっと……」

恥ずかしそうな表情で俯き、新嶋に目配せする。

「周りに人がいると話せない様な事なのか?」
「……はい」
「……じゃあついて来い」

ガタンと椅子を鳴らせた新嶋が、唯子を後ろに職員室を出る。

「新嶋先生」
「なんだ」
「ここでいいです」
「…………」

職員室から少し離れた廊下。
2階へ伸びる階段の前だった。
生徒も帰ってシンと静まり返っている。

「相談したいことってなんだ」
「はい。私をレギュラーにしてほしいんです」
「はっ、そんなことか」
「私をレギュラーにしてください」
「お前がもう少しうまくなればな。お前以外にもレギュラーになりたいやつは大勢いる」
「だから私、レギュラーになりたいんです」
「じゃあ俺が毎日個人練習してやるよ。お前だけなんだぞ、個人練習してやっているのは」

そういうと、新嶋はニヤリといやらしい笑みを浮かべた。

「私、早くレギュラーになりたいんです。そのためなら……」
「そのためなら?」
「私に付いてきてください」
「何処に行くんだ?」

唯子は無言で階段を上がり始めた。
少し上がったところで、新嶋も上がり始める。
ちょうど下からスカートの中を覗き込むような格好で、新嶋の目には寺田の姉が穿いているというパンティが惜しげもなく披露されていた。
わざと見せびらかすように、そして気づいていないような歩き方をする唯子に、新嶋の股間は徐々に膨れ上がっていった。

「新嶋先生……」

新嶋を招いたのは、2階にある女子トイレだった――




「あっ、あうっ……す、すご……いっ」
「はぁ、はぁ、広多っ。お前が自分からこんな事を申し出るなんて思わなかったぞ」
「あっ、こ、これでレギュラーにして……んっ。くれますよね」
「あ、ああ。お前は明日からレギュラーだ。うっ」
「んっ、に、新嶋先生っ。あっ、いいっ。すごくいいっ」

女子トイレの個室に入った二人。
新嶋が便器に座り、唯子はその上にまたがっていた。
胸を曝け出しながら上下に揺れる唯子は、新嶋の首に両手を回して喘ぎまくっていた。

(お、女ってこんなに気持ちいいんだっ……ああ、脳みそがとろけそうだ)

そう思いながら新嶋に身をゆだねる。
新嶋も、まさか寺田が唯子に化けているとは思わないだろう。
本人だと思って、必死に腰を振っていた。

そして絶頂。

新嶋のチンポから大量の精子が噴出した――



その後、服の乱れを整えた二人は1階の職員室前に戻っていた。

「約束ですよ」
「分かっている。お前を明日からレギュラーとして扱ってやるよ」
「ありがとうございます。でも、嘘ついたら校長に言いますよ」
「ふん、誰がお前の言うことなんて信じるんだ」
「だって証拠写真もありますし」
「なっ!?」

いつの間に撮ったのか、唯子の携帯にはセックス真っ最中の二人の様子がしっかりと撮られていた。

「お、おいっ!」
「誰にも見せませんよ。新嶋先生が約束を守ってくれるなら。クスッ」
「ま、待てっ!」
「じゃ、さようなら!」
「おいっ!」

新嶋の制止を振り切った唯子は、ひとまず学校を後にした――



――その後。

チャラチャラジャジャン――

「誰だ?この番号は」

安雄は始めてみる番号に戸惑いながらも、携帯の通話ボタンを押した。

「……もしもし」
「あ、安雄?」
「あ……ああ。あんた誰?」
「私、広多唯子」
「広多?どうして俺の番号知ってるんだ?」
「今から会えない?」
「えっ……」
「まだ両親、帰ってきてないでしょ」
「どうしてそんな事を……」
「もうすぐ着くから」
「お、おい。ちょっと待ってくれよ」
「じゃあね」
「ひ、広多??」

一方的に話をされ、一方的に切られた感じ。

「な、何なんだよ、一体」

そう呟いた安雄は、携帯を机の上に置いた。
安雄は寺田と同じクラスで親友と呼べる仲。
どうやら寺田は唯子に化けたまま安雄の家に上がりこむ様子。

ピンポーン

5分ほどして、家のチャイムを鳴らす音がした。

「……はい」
「私、広多よ」
「あ、ああ」

ドアを開けると、あつかましく家の中に上がりこむ。

「お、おい……」
「親が帰ってくるまで、あまり時間が無いよな。さっさと済ませようか」
「な、何を?」
「へへ。この体、最高なんだぜ」
「へっ?お、おいっ!」

唯子は安雄の部屋に上がりこむと、早速制服を脱ぎ始めた。
安雄はそんな唯子に唖然としながら、目のやり場に困っている。

「本人の体じゃないからな。何やってもOKさ」
「ほ、本人の体じゃないって?」
「あのさ、実は……俺、寺田さ」
「は?」

この後、寺田は安雄に分かるように丁寧に説明した。
もちろん最初は信じなかった安雄だが、ありえない唯子の行動とそのしゃべり口調に寺田だと信じたのだった。

「どうだよ、この体は」
「すげぇな。マジで寺田なのか?」
「容姿は完璧に広多唯子だけどな」
「へぇ〜」

ニヤニヤしながらベッドの上で裸体を広げる唯子に、安雄は感心しながら勃起した。

「女子バスケ部の広多唯子だぜ。お前も結構気に入ってただろ」
「あ、当たり前だろ。女子バスケ部の中ではベスト3に入る女の子なんだから」
「好きにしていいんだぜ」
「あ、ああ。でもさ、何だか……」
「ためらってるのか?そんなにチンポでっかくして」
「えっ……ま、まあな」
「とりあえず服を脱げよ」
「…………」

そう言われて服を脱いだ安雄。
長くいきり立ったチンポが天井を向いて苦しそうだ。

「遠慮しなくていいんだぜ。さっき新嶋とやってきたところなんだからさ」
「えっ!新嶋と?」
「ああ、この体を借りる代わりに、広多をレギュラーにさせるって約束させたんだよ」
「そ、そんな事してたのか」
「だから……んっ。やった後だからすぐに感じるな。ほら、この胸に触ってみろよ。広多と全く同じ胸なんだぜ」
「……ああっ!」

ためらっていた安雄だが、すでに新嶋とセックスしたことを聞くと吹っ切れたようだ。
唯子に化けた寺田の体を触りまくり、舐めまくった。
そして――


「あっ、あうっ。や、やっぱり女の体は……す、すげぇ」
「はぁ、はぁ、はあっ」

安雄は唯子の片足を持ち上げながら、ズンズンと膣にチンポをめり込ませた。
膣からあふれ出した愛液が安雄の太ももに流れ出てとてもいやらしい。
抱きかかえるように持ち上げた安雄が、更にチンポを押し込んだ。

「すごく締め付けてくるな。これが広多のアソコなんだ」
「あっ、あっ。イイッ!すげぇイイよ」
「俺だって気持ちいいって」
「はぁ、あっ、ああっ。に、新嶋のチンポより奥まで突いてくるっ」
「そうか?はぁ、はぁ」


うれしそうに喘いでいる唯子に、今度は正常位で攻める。


「はぁっ!あっ。た、たまんねぇっ。たまんねぇよぉ」
「はぁ、はぁ、はぁ。そ、そんなに締め付けるなよ。イッちまうだろ」
「だ、だって……広多の体が勝手に……あっ、すげぇ……あ、ああっ」
「だ、だからそんなに……や、やべぇ……イキそうだっ」
「あっ、あうっ。お、俺も……そんな……か、感じがっ……ああっ、はぁっ」

パンパン、ネチネチといやらしい音を響かせた二人は、その後同時に絶頂を迎えた――




――そして次の日。

「なあ、また広多とやらせてくれよ」
「そうだなぁ。レギュラーになれた事だし、新嶋の弱みも握ってやったからな」
「広多のアソコってすげぇ気持ちよかったんだ」
「へぇ〜。俺もお前のチンポで突かれて気持ちよかったけどな」
「ならさ、また頼むよ」
「広多がいいって言ったらな」
「言わせろよ。そんなの簡単だろ」
「実はさ。俺、別の女になりたいと思ってんだ」
「別の女!?そりゃ大歓迎だ。誰になるんだ?」
「へへ、そりゃ秘密さ!」


寺田はあの日、自分の体に戻ると学校で縛っていた唯子の縄を解いた。
ぐったりしていた唯子は泣きながら怒りを露にし、先生や親に言いつけると言い出した。
しかし、携帯に撮った新嶋の弱みを見て、更に寺田の話を聞くと少しは怒りも収まったようだ。
その夜は何とかやり過ごした寺田。

次の日、新嶋は突然唯子をレギュラーにすると部員たちに話した。
驚く部員たち。もちろん唯子自身も。
こうして唯子は自分の体を寺田に使われていやらしい事をされたのと引き換えに、レギュラーの座を手に入れる事が出来たようだ。
怒っている素振りを見せながらも、レギュラーになれたことには素直に喜んでいる様子。
寺田の事は今もまだ秘密にしているらしい。

その後、寺田は別の女性の姿を手に入れた。
もちろん、その体を使って安雄とセックスを楽しんでいるのであった――


おわり

inserted by FC2 system