広幸:「……へっ?俺?」
 

俊行兄さんと紗結香(さゆか)に見つめられた広幸は、自分の顔を指差しながらそう答えた。
 

亜彩美(あさみ):「あ……広幸君なら……」

広幸:「ちょ、ちょっと待ってよ。俺が亜彩美さんに乗り移られるの?」

俊行:「ああ、そうだ」

広幸:「わ〜っ!ストップストップ!そんなの全然面白くないじゃないか。俺って損な役回りばかりじゃない!?」

俊行:「いいじゃないか。紗結香に乗り移る事出来たんだし」

広幸:「乗り移ったって何も楽しんでないじゃないか……あ、そ、その……だ、だから……」

俊行:「んん?何か言ったか?」
 

俊行兄さんに睨(にら)まれたので、広幸はアタフタしながら言葉を選ぼうとした。
 

紗結香:「ほんとね。まだ親知らずを抜いてもらっただけだもんね。ふふ」

広幸:「あ、あの……」

俊行:「我慢しろよ。別にお前を取って食おうと言ってるわけじゃないんだから」

広幸:「だって……」

紗結香:「それじゃあまた今度、私の身体を貸してあげるから」

広幸:「こ、今度?」

紗結香:「それならOKでしょ」

広幸:「…………」
 

複雑な表情をする広幸。
嫌じゃないけど……嫌じゃないけど、何だか損した感じがする。
それに、他人に乗り移られるのってあまりいい気がしない。
もしかしたら、本当は紗結香もこんな気持ちで広幸に乗り移られたのだろうか……
 

亜彩美:「あ、嫌ならいいのよ。別に絶対したいって訳じゃないし。
      ゼリージュースの存在を知って、ちょっと興味が湧いただけだから」

広幸:「い、嫌じゃないけど。でも……」
 

広幸は俯いて答えを出すのに苦労していた。
そんな広幸を見て、紗結香がいいアイデアを思いついたようだ。
手をポンと叩いて、何か閃いたような表情を見せる。
 

紗結香:「あっ!そうだ。それならあれを使ったらいいんじゃない?」

広幸:「え?あれって?」

紗結香:「パイン味の……黄色のゼリージュースよ。あれならお互いの身体を交換できるわ」

俊行:「ああ、そうか。そうだな、亜彩美さんがそれでもよければ」

亜彩美:「ねえ紗結香、それってどういう事?」

紗結香:「あのね、ゼリージュースの中に、パイン味のものがあるのよ。それを二人で飲むと
      お互いの身体を入れ替えることが出来るの。それを使ってお姉ちゃんと広幸君の身体を入れ替えれば?」

亜彩美:「お互いの身体が入れ替わるの?じゃあ私が広幸君で、広幸君が私に?
      そんな事が……そう……わ、私は……それでも構わないけど……」
 

そう言って広幸の顔を見る。
すでにゼリージュースのパイン味(黄色)の効果を知っていた広幸は、元気な声で
 

広幸:「それ、全然OKです。何も問題はありません」
 

と、本当に嬉しそうな笑みを浮かべながら答えたのだった――
 
 
 
 
 
 
 
 

ゼリージュース!(黄色)「兄弟と姉妹」
 
 
 
 
 
 
 
 

白衣の下に何もつけていなかった広幸に軽装を買って着替えさせた俊行兄さん達四人は、
電車に乗って紗結香のアパートに戻った。

ゆっくりと休む間もなく、俊行兄さんが小さめの冷蔵庫に冷やしていた黄色いゼリージュースを二つ取り出す。
 

俊行:「これを二人で飲むんだ。そして、身体が透明になったらお互いの身体を重ねる。
    そして、少し時間が経った後に離れるんだ。初めは服を脱いでいた方がいいだろうな。
    それから、完全に身体を重ねる必要はないから。ある程度重なっていればOKだ」

広幸:「ふ〜ん。でも、身体が透明になったらさ、裸なんだからお互い何処にいるのか分からないじゃない?」

俊行:「そうだ。だからあらかじめ近くにいたほうがいいな」

広幸:「そっか……え!裸になって近くに?ということは……」
 

広幸がチラッと亜彩美の顔を見ると、
 

亜彩美:「ちょっと恥ずかしいわ」
 

と答えたのだった。
その当たり前の回答に驚く様子も無く、俊行はパイン味のゼリージュースを二人に手渡した。
 

俊行:「お互いに後ろを向いて裸になればいい事じゃないですか。我々は向こうに行ってますから」

亜彩美:「え、ええ。それはそうだけど」

紗結香:「後ろ向いてても恥ずかしいよね。男の子の前で裸になるんだもん」

亜彩美:「…………」

俊行:「すぐに透明になるから分かりませんよ、ええ。恥ずかしがる暇も無い!」

紗結香:「ねえ、私はここで見ていてもいいでしょ。だってもしお互いの位置が分からなくなったら
      困るからちゃんと指示してあげないと」

俊行:「そんなの声を出せば分かるじゃないか。別に問題じゃないだろ。それに透明になったら指示しようがないんだから」

紗結香:「ええ〜!どんな風に見えるのか一度見てみたいなぁ。まだこのパターンは
      会社でも見たこと無いのに」

俊行:「…………」

亜彩美:「いいわよ。私は」

広幸:「僕も構わないけど」

紗結香:「そう!それならここで見てるっ。俊行もどう?」

俊行:「俺は遠慮しとくよ。じゃあ早速飲んで。飲んだら服を脱いでくださいね。別に飲む前に脱いでもらっても構いませんけど」

亜彩美:「わ、分かったわ。はぁ……何だかドキドキする」

広幸:「じゃあ僕、飲みます」
 

そう言うと、広幸はゼリージュースのキャップをあけて飲み始めた。
パイン味のゼリージュースを、ペットボトルを押しながらゴクゴクと飲んでゆく。
 

紗結香:「ほら、お姉ちゃんも早くっ!」

亜彩美:「え、ええ」
 

亜彩美もキャップをあけると、広幸と同じようにペットボトルを押しながらパイン味の黄色い
ゼリージュースを飲んだ。甘酸っぱいパインの風味が口の中に広がってゆく。
 

広幸:「はぁ。美味しかった!」
 

先に飲み干した広幸が、紗結香や亜彩美に背を向けながら股間を隠すように服を脱ぎ始める。
 

紗結香:「へぇ。広幸君も恥ずかしいんだ」

広幸:「そ、そりゃ恥ずかしいに決まってるじゃないですか。目の前に美人が二人もいるのに」

紗結香:「あ〜、広幸君たらお世辞が上手いんだぁ」
 

そんな事を話しているうちに、広幸の身体がみるみる薄くなっている。
そして、ちょうど飲み終えた亜彩美も、広幸に背を向けながら服を脱ぎ始めた。
紗結香が着ているようなパンツルックとは違い、身体の線を強調する薄手の生地で出来ている
淡い水色の長袖セーターに、足首まで隠れる白いロングスカートという爽やかな格好。
 

亜彩美:「し、下着も取るの?」

紗結香:「取ったほうがいいんじゃない?取らなくても大丈夫だと思うけど。よく分からないわ」

亜彩美:「そ、そう……」
 

渋々背中に手を回し、白いブラジャーのホックを外す亜彩美。
しかし、その時にはすでに身体が透明になり始めていたのだ。
初めてみる透明な身体に驚きを隠せない。
 

亜彩美:「あ、やだっ!う、うそ……か、身体の色が……さ、紗結香っ!」

紗結香:「大丈夫よ。ほら、広幸君を見て見なさいよ。すっかり見えなくなったから」

亜彩美:「えっ?」
 

亜彩美が振り向くと、そこに広幸の姿は見えなかった。
床には広幸が着ていた服が散乱している。
 

亜彩美:「ひ、広幸君?」

広幸:「いますよ、ここに」

亜彩美:「ほ、ほんとに……いるんだ……」
 

姿は見えずとも、部屋の中で広幸の声がする。それを聞いて少しホッとした気分になったが、よく考えてみると
今、広幸に下着姿を見られていることに気がついた。
 

亜彩美:「あ、やだっ!」
 

思わずしゃがみ込んだ亜彩美。
 

紗結香:「何やってるのよ、お姉ちゃん。もう透明になってるんだから見えないって」

亜彩美:「えっ!」
 

紗結香の言葉を聞いた亜彩美が、自分の身体を見てみると、そこにはあったはずの
自分の身体がなかった。ホックがはずれ、肩紐で止まって中途半端にぶら下っているブラジャーと、
中身が無い白いパンティがあるだけだ。
 

亜彩美:「…………」
 

声が出せない亜彩美に、紗結香が
 

紗結香:「ほら、早く脱がないと広幸君が待ってるわよ」
 

と言ったのだ。
 

亜彩美:「すごい……こんな事ってあるの?」

紗結香:「お姉ちゃん」

亜彩美:「あっ、そ、そうね……」
 

慌ててブラジャーを外し、パンティを脱いだ亜彩美だが、身体がゼリー状になっているので少し脱ぎにくかったようだ。
二人の服が床に落ちている。でも紗結香の目の前には、二人の姿は見えない。
しかし、二人はそこに存在しているのだ。
 

亜彩美:「ひ、広幸君、何処?」

広幸:「ここです」
 

意外に近くに聞こえた広幸の声。
すでに目の前まで近づいていたのだ。
 

広幸:「じゃあ、このまま前に進みますから」

亜彩美:「あ、え、ええ……わ、私はこのまま立っていればいいの?」

紗結香:「いいよ。身体が重なればいいんだから」

広幸:「それじゃあ……」
 

広幸が亜彩美の声が聞こえる方に足を進める。
すると、何かにぶつかったような感覚を覚えた。
しかし、それは人にぶつかるというよりも、もっと柔らかい何かに当った感じ。
いや、当たったと言うよりは、プニュッと触れたと言ったほうが正しいだろうか。
それほど微妙な感触。

その微妙な感触を、亜彩美も感じていた。
何かが肌に触れた感じ。
でも、それが広幸だとは思えなかった。

広幸はそのまま前へと進む。
よく分からないが、明らかに亜彩美の身体に入り込んでいる感覚がある。
亜彩美も同じように、広幸が身体の中に入り込んできているという感覚があった。

そして、何となく身体が重なり合った感じがした。自分の身体の中が何かに満たされたような雰囲気。
きっと身体の全てが重なっているわけではないと思うが……
その場に立ち止まった広幸は、
 

(このまま十数えて……)
 

そう心の中で呟いた。
そして、数え終わると、更に前に歩いてゆく。
身体が離れてゆく時にプルンと剥がれるような抵抗を感じた二人。
無言の状態が続く中、お互いの身体が徐々に現れ始め、うっすらと色づいてゆく。
 

紗結香:「あ、戻り始めたよ。色がついてきた」
 

その言葉に、お互い背中あわせに立っている二人が俯いて自分の身体を見つめた。
確かに色がついてきて、そこには見覚えのある身体が徐々に見え始め……なかった。
広幸にとっては、自分の身体には無かったふくよかな二つの胸が、そして、亜彩美にとってはのっぺりとした
胸板の向こうに、男性の象徴が見え始めていたのだ。
 

亜彩美:「えっ……こ、これって……も、もしかして……」
 

そう発した声も、明らかに違う。
自分の声よりも低い……そう、広幸の声に似ている。
 

広幸:「…………」
 

広幸はただ俯いて、殆ど色が戻った身体を見ているだけだ。
 

紗結香:「ふふ。上手くいったのね!」

亜彩美:「や、やだっ!は、恥ずかしいっ!」
 

広幸の身体になった亜彩美は、広幸の声で思わずその場にしゃがみ込んでしまった。
その仕草は、端から見ていると気持ち悪い。
そして、亜彩美の身体になった広幸は、ごくりとツバを飲み込んでふくよかな亜彩美の胸を
じっと見つめているのだった。
 

紗結香:「あ〜。広幸君たらいやらしいんだぁ。じっとお姉ちゃんの胸見てるぅ」

亜彩美:「えっ!」

広幸:「あっ、いやっ。そ、そんな事ないですっ」
 

慌てて亜彩美の声で言い訳をした広幸が、サッと天井を見た。
 
 
 

広幸(亜彩美):「やだ。広幸君が私の身体になってるんだったわ。やっぱり恥ずかしいわね……」

紗結香:「どっちみちこうやって裸を見られるんだから、初めから見せ合っていればよかったのに」

広幸(亜彩美):「そんな事言ったって……」

紗結香:「とにかく服を着たら?」

広幸(亜彩美):「あ、そ、そうね。服を着なくちゃ」

亜彩美(広幸):「それじゃあ僕が亜彩美さんの服を着ます」

広幸(亜彩美):「……そ、そうね……そう言えばそうだわ」
 

亜彩美の服を手にとろうとした広幸(亜彩美)は、慌ててその服を手放した。
 

亜彩美(広幸):「それじゃあ僕がそれを」

広幸(亜彩美):「え、ええ。あの……ひ、広幸君?」

亜彩美(広幸):「はい?」

広幸(亜彩美):「わ、悪いんだけど……前を隠して歩いてくれない?幾らなんでもそうやって堂々と歩かれたら……」

亜彩美(広幸):「あっ……す、すいません……」
 

そんなことは全然気にしていなかった広幸は、両手で股間を隠した。
 

広幸(亜彩美):「あの……む、胸も……」

亜彩美(広幸):「え……あ、はい」
 

そう言われた亜彩美(広幸)は、右手で股間を隠し、左腕で胸を隠す。
偶然とはいえ、広幸は亜彩美さんの胸と股間を堂々と触っているのだ。
左腕で二つの胸を隠しているのだが、手のひらは右胸を掴んでいる形になっている。
その柔らかい胸を掴んでいる手に、思わず力が入ってしまう。

(あ、亜彩美さんの胸……や、柔らかい……)
 

ムニュっとした柔らかい感触を手のひらに感じた亜彩美(広幸)は、足元にある
亜彩美の服を着始めた。

恥ずかしそうにササッと移動した広幸(亜彩美)も、同じように床に落ちている広幸の服を着始める。
二人とも何だか恥ずかしそうだ。
特に亜彩美にとっては、初めて穿くトランクス。
広幸の筋肉のついた足を通し、パンティを穿くように引き上げたのだが、ムスコをどのように配置すればよいのか
分からない。右に寄ったり左に寄ったり……
そんなことをしている間に、自然とムスコが充血し始めた。
 

広幸(亜彩美):「あ……やだ。ど、どうしよう……」

紗結香:「どうしたの?お姉ちゃん」

広幸(亜彩美):「そ、その……ト、トランクスが上手く穿けないのよ」

紗結香:「はぁ?」

亜彩美(広幸):「僕が穿かして上げますよ」
 

既にパンティをブラジャーを身につけた亜彩美(広幸)が二人の会話に割り込んでくる。
さすがに慣れているので早いものだ。
 

広幸(亜彩美):「あ……で、でも……」

亜彩美(広幸):「僕、何となく分かります。亜彩美さんが言っている事」
 

元男の広幸。
ちゃんと心得ているようだ。
 

広幸(亜彩美)がモジモジしている前に歩いていくと、何のためらいも無く
トランクスの中に手を突っ込んで、ムスコの位置を修正する。
 

広幸(亜彩美):「やんっ!」

亜彩美(広幸):「あれ……あ、亜彩美さん?」

広幸(亜彩美):「よ、よく分からないけど勝手にこうなっちゃったのっ!!」

亜彩美(広幸):「ぼ、僕は……べ、別にいいですけど」
 

亜彩美(広幸)が握ったムスコは、かなり硬くなってしまっていた。
それを柔らかくて温かい亜彩美(広幸)の手で握り締めているのだ。
さらに硬さを増し、ムクッと勃ってしまっている。
 

亜彩美(広幸):「と、とりあえずその位置で……ち、小さくなっても大丈夫だと……思いますけど」

広幸(亜彩美):「いやだ……そんな事言わないでよ」

紗結香:「え!?もしかしてお姉ちゃん、勃っちゃったの?おっかしぃ〜っ!」
 

紗結香に馬鹿ウケしたようで、お腹を抱えてケラケラと笑っている。
その様子を少し離れたところで聞いていた俊行兄さんの顔が、赤くなっているような気がした――
 
 
 

とりあえず二人とも着替えを済ませ、見た目は以前と変わらないように見える。
しかしその中身は入れ替わっているのだ。
広幸は薄い水色の長袖セーターに白いロングスカート身につけた亜彩美に、そして
亜彩美は先ほど買ったばかりの安物の白いTシャツに青いジーパン姿をした広幸に。
 

俊行:「さてと。二人とも着替えが終わったところでどうする?」

紗結香:「お姉ちゃん、広幸君の身体で好きな事してきなよ。男の身体でやりたい事、いっぱいあるんでしょ」

広幸(亜彩美):「そ、それはそうなんだけど、いざ男性の身体になったらどうしたらいいものか分からなくなっちゃったのよ」

紗結香:「何それ?訳わかんないよ」

俊行:「まあまあ。それならとりあえず広幸の身体で思い切りスポーツでもしたらどうですか?室内スポーツ場なら
    ここの近くにありますしね」

紗結香:「何が出来るの。そこって?」

俊行:「おいおい、前に一緒に行った事があるだろ」

紗結香:「そ、そうだっけ……へへ。忘れちゃったわ」

俊行:「まったく……まあ……バスケットボールやテニス、水泳にフットサル……」

紗結香:「でもそれって女性でもやってるよね。男性限定のスポーツじゃないよ」

俊行:「そ、そうかもしれないけど……大体のスポーツは女性だってやってるんじゃないかな。それが激しいか、そうでないか
    の違いだけだと思うけど」

紗結香:「それなら男性しか行けない所に行ってみたら?私みたいに」

広幸(亜彩美):「私みたいにって……紗結香ももしかして……」

紗結香:「あるよ、俊行の身体になった事が。でね、俊行の身体で好きなことしちゃった」

広幸(亜彩美):「うそ……信じられない……」

紗結香:「銭湯の男風呂入ってみたら?男ばっかりだよ」

広幸(亜彩美):「も、もうっ!何考えてるのよ。エッチなんだから」

紗結香:「そう言えば広幸君も女風呂に堂々と入れるよね。お姉ちゃんの身体で」

広幸(亜彩美):「え……」

亜彩美(広幸):「あ……は、はい……」
 

亜彩美(広幸)の顔が少し赤くなる。
その顔を見てクスッと笑った紗結香が更に話をすすめる。
 

紗結香:「一緒に入りに行こっか。私と女風呂に」

亜彩美(広幸):「あ……でも……」
 

とても痛かった。俊行兄さんと広幸(紗結香)の視線が。
だからわざと目を合わさないように俯いた亜彩美(広幸)。
 

俊行:「とりあえずここにいても仕方が無いし、外に出ようか。で、二人とも少し慣れたほうがいいな。
    広幸は慣れているとしても、亜彩美さんは初めて男になったわけだから……広幸の姿で女性の言葉を
    話すのはおかしいでしょう」

広幸(亜彩美):「え、ええ。それもそうね」

紗結香:「違うよお姉ちゃん。『それもそうだな』だよ。言ってみて」

広幸(亜彩美):「ええっ。で、でも……恥ずかしいわ」

紗結香:「そんなこと言ってたら誰とも話せないよ。ねえ!お・ね・え・ちゃん!」
 

と、亜彩美(広幸)を見ながらわざとらしく言うと、
 

亜彩美(広幸):「ええ。広幸君が女の子みたいに見えるわよ。私みたいに身体にあった話し方を
          しないとね。そうでしょ、紗結香」
 

と答えたのだった。
 

紗結香:「上手い上手い!広幸君、本当にお姉ちゃんみたいだよ、アハハハッ!」

広幸(亜彩美):「…………」

俊行:「広幸は慣れているだけさ。亜彩美さん、恥ずかしいなら僕と一緒に少し話しましょうか。
     それで慣れてもらえればいいと思います」

紗結香:「ねえねえ、それじゃあ二組に別れようよ。私と広幸君、それに俊行とお姉ちゃん。ねっ!
      そのほうが行動しやすくない?男同士、女同士でいいじゃない」

俊行:「……でも、お前達が何をしでかすか分からないからな」

紗結香:「大丈夫よ、私がついているから」

俊行:「それが心配なんだよ」

紗結香:「ええっ?信用できないの?」

俊行:「それなら亜彩美さんに聞いてみればどうだ?」
 

俊行兄さんが広幸の姿になった亜彩美に視線を移す。
その視線と目を合わせた広幸(亜彩美)は、返答に戸惑っているようだった。
 

紗結香:「ねえ、お姉ちゃん。いいでしょ」

広幸(亜彩美):「え……ええ。べ、別に構わないけど……」
 

渋々といった表情を見せる広幸(亜彩美)。
しかし、紗結香はその答えが聞けただけで十分なのだ。
 

紗結香:「じゃあ決まりね!俊行はお姉ちゃんの相手をしてあげてよ。私は広幸君の相手をするから」

俊行:「本当にそれでいいんですか?亜彩美さん」

広幸(亜彩美):「……いいわ、それで。元々私から言い出した事だし。でも広幸君。私の身体、
         傷つけたりしないでね」

亜彩美(広幸):「わ、分かってます、そんな事したら俊行兄さんに何て言われるか……」
 

ギロリと睨んでいる俊行兄さんに殺気を感じた亜彩美(広幸)。
 

紗結香:「それじゃあ早速外に出ましょうよ」

俊行:「そうだな。それじゃあ……何時に戻って来ようか?」

紗結香:「えっと……じゃあねぇ。みんなで夕食を食べたいから夜の7時にしましょうか?」

俊行:「ああ、それでいいよ。二人も構わない?」

広幸(亜彩美):「いいわ」

亜彩美(広幸):「私もいいわよ」

紗結香:「広幸君たら、さっそくお姉ちゃんになりきってる」

亜彩美(広幸):「だって今から外に出るんでしょ。私は亜彩美なんだから女性の言葉を使うの、
         当然じゃないの?そうでしょ、紗結香」

紗結香:「ええ。お姉ちゃん!」
 

紗結香は亜彩美(広幸)の腕に絡みついた。
仲のいい姉妹に見える……というか、そうにしか見えない。
 

俊行:「それじゃあ……行こうか、広幸」

広幸(亜彩美):「えっ!えっ……あ、は、はいっ」
 

こうして二組のペアに分かれた四人はアパートを出た。
中身は違えど、見た目は兄弟と姉妹だ。

その兄弟はとりあえず近くの室内スポーツ場へ、そして姉妹は電車に乗って街に繰り出して行った――
 
 
 
 
 
 

ゼリージュース!(黄色)「兄弟と姉妹」…おわり
 
 
 
 

あとがき
ゼリージュースの青色を終えてから、黄色をどのような展開にしようかずっと迷っていました。
とりあえず、黄色を飲んでから入れ替わる過程を考えたのですが、
お互いが透明な身体になったら見えないじゃん!
と思い、無理矢理こじつけで入れ替わらせました(苦笑

そして、その後は広幸と亜彩美の二人で外に出すつもりだったのですが、それじゃあ
亜彩美の願いが叶えられそうに無いし、イマイチ盛り上がりに欠けるかも!
と思い、兄妹と姉妹のペアにしてしまいました。
まあ、これで二組の事について書くことが出来ますし、
姉妹のほうは……グフフ――
無理だと思っていた私好みの展開を少しでも入れられそう(^^

とりあえず2回に分けて、それぞれのペアに付いて書きたいと思っています。
やはり先に書きたいのは姉妹のほうですね(笑
でも、美味しい物は最後に取っておくのが好きな私ですから――

それでは最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございました。
Tiraでした。
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