作:Tira
南 紀子(みなみのりこ)さん 作:あさぎりさん |
何となく自分の意識がおかしい。
自分の行動が、まるで他人にさせられているように思えてくる。
そんな風に感じたのは、1週間ほど前の事。
そう、友達と学校から帰る途中、美砂子と一緒に、その日に発売された大好きなアイドルのCDを買いに行ったときの話。
「もう売り切れてるかな?」
「まだ大丈夫よ」
「あ、急ごっ!あと3分でバスが来ちゃうよ」
「ほんとだ。走って行こっ!」
私達はそんな会話をしてバス停へと駆けていった。
その時は本当にCDが買いたかったから。
今までリリースされたCDは全て買ってきたほど好きだったアイドルグループ。
それなのに――
「あ、待って美砂子」
「何?」
「私、やっぱり買うの止めとくよ」
「えっ!どうして?」
「何となく買いたくなくなっちゃって。急いで家に帰りたいのよ」
「何か用でもあるの?」
「そう言うわけじゃないけど。ゴメンね、美砂子」
「あ……紀子……」
美砂子が表情を曇らせて私を見ていた。
そんな美砂子に軽く手を振った私は、バス停とは逆方向に走って、見知らぬ公園へと辿り着いた。
砂場では小さな子供達が楽しそうに遊んでいる。
少し離れた木陰にあるベンチに座った私。
「……どうしてこんなところに来ちゃったんだろ?」
確かに自分でここまで走ってきたのだが、どうして公園に来たのか分からない。
それに、美砂子と一緒に買いに行きたかったCD。
どうして断ったの?
「私、何してるんだろ?」
自分の行動が理解できない。
そう思いながらも息が整ったところでベンチから立ち上がり、公園の隅にある公衆トイレに入る。
アンモニア臭が漂う小汚い個室。
その個室に入り、洋式便器の便座に座った私は、ふぅとため息をついた後、
おもむろに胸を揉んでみた。
白いセーラー服の上から、柔らかい胸の感触を楽しむ。
「んっ……こんなところで一人エッチするなんて、私、どうしちゃったの?」
スルスルとスカートの中にてを忍ばせ、パンティの横から指を入れる。
まだ濡れていない秘部を、指の腹でやさしく刺激すると、ピクンと身体が震えて気持ちいい感触が脳に伝わってくる。
すると、徐々にそこが湿り気を帯び始め、指先にはぬるぬるとした透明な液が纏わりつき始めた。
「あっ、んっ……気持ちいい……」
セーラー服の中に手を入れて、ブラジャーの中にある胸を直接揉んでみると、
胸の突起がプクッと膨れて硬くなり、こりこりとした感触を指先に感じる。
「あふっ……んんっ……んっ」
私の足が自然と開き、指がアソコを激しく刺激する。
「んっ!んっ!……やだっ……わ、私っ……こんなところでっ……あっ……だ、誰かに聞こえちゃうっ……」
私はそう言いながらも、指を止めるつもりはなかった。
誰かに見つかる事なんて考えない。
ただ、そう言ってみたかっただけなのだ。
一心不乱に指を動かし、その快感に酔いしれる私。
すごい量の愛液が出てきて、パンティがしっとり濡れると私はあっという間に絶頂を迎えてしまった。
「あっ、あっ、あっ、イクッ!」
ビクンビクンと身体を震わせた私は、公衆便所の中で朽ち果てた。
ハァハァと息をしながら、尿意を催した私は便器に座った状態で小便をする。
「あ、あれ……」
全て出し切ったという満足感を感じると、急に意識が朦朧として、なぜか一瞬気絶したような感じになった。
「…………」
きっと、ほんの少しだけ気を失っていたのだろう。
とにかくトイレットペーパーで綺麗に拭き取きとると、急いでトイレから出た。
「どうしてあんな事したのかなぁ……」
本当に自分でもわからない。
公衆便所で一人エッチなんて……
この事は絶対に秘密にしなきゃ。
絶対に――
わたしの中に誰かいる(南 紀子編)…おわり
あとがき
裏ゼリージュースの空色を使った超短編。
ゼリージュースを使った人の事を書かずに、使われてしまった人の体験を書きました。
この「体験談シリーズ」はしばらく続きます(多分
それでは最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
Tiraでした。