俺の名前は神崎行宏。今年大学を卒業して、ある食品会社の研究所に就職したばかりの社会人一年生だ。
 研修が終わって俺が配属された部署は飲料の研究室だった。この研究室のメンバーは、今の所俺を含めて男性3人、女性3人の6人なんだけれど、実はもう1人在籍しているらしい。その人は今他所の会社に出向しているということで部屋にはほとんどいないらしい。たまにこっちに報告に来るらしいんだけれど、タイミングが悪いのか俺はまだその人に会ったことがない。

 ところで、うちの飲料で他所では絶対にできないと先輩方が自慢しているものに「ゼリージュース」がある。見掛けはペットボトルに入った普通のジュースなのに飲むとゼリーという不思議な代物だ。俺も今の知識では何でそんなことができるのかさっぱりわからなかった。けれども一つだけ言えることがある。それは、この「ゼリージュース」が『AIR』というゲームに出てくる『ゲルルンジュース』にそっくりだと言うことだ。





ゲルルンジュース・ラプソディ(前編)

作:toshi9





「ねえ先輩、そう思いませんか」

「さあなぁ、俺はその『AIR』というゲームってやったことないもんなぁ」

「ええ!知らないんですか。そのゲームのヒロインの一人神尾観鈴が大好きなジュースなんです。曰くドロリ濃厚ピーチ味!紙容器なのがペットボトルに入っているうちのゼリージュースと違うところなんですけれど、思いっきり似ているってインターネットで評判ですよ」

「ふーん、そうなのか。小野さんが聞いたらきっと喜ぶぞ」

「小野さんか、なかなか会えませんね」

「まあ出向しちまったきりまともに出社して来ないもんなぁ。そのうち机が無くなるぞって言ってやるかな、はっはっはっ」

『AIR』そして『観鈴ちゃん』にはまっている俺は、是非ゼリージュースを開発したという小野さんの話を聞きたかった。でもなかなか会うことができないまま、研究室に配属されて半年が過ぎようかというときにその事故は起きた。事故・・事故だよな〜これって。



 その日、俺は試作が遅れているサンプルの数を何とか揃えようと、一人土曜日に休日出勤して作業していた。そして試作に使う牛乳を冷蔵庫から取り出す際に、ふと冷蔵庫の奥にある小野さんのトレイが目に入った。

 そういえばあまり気にしていなかったけれど、小野さんの試作品って何が入っているんだろう。

 俺はふと小野さんのトレイの中身に興味が湧き、トレイごと取り出してみた。

 中に入っていたのは数本のゼリージュースだった。でもそれらは今発売しているものとは少し違っていた。

 今うちで販売しているのは巨峰味とグレープフルーツ味の2種類のゼリージュースだ。でもそこに入っていたのは今まで見たことの無い色のもの・・・赤、青、黄、黒、桃、白の6種類だった。ふーん小野さんいつの間にこんなもの作ったんだ。

 俺はその中でも桃色のゼリージュースが気になって仕方がなかった。

「おお!これぞそのまんまゲルルンジュースじゃないか。よし、美鈴にもちょっと見せてみよう」

 俺の妹、神崎美鈴は高校生コスプレイヤーだ。コミケやコスパに出かけて行ってはアニメやゲームのキャラクターの格好をしている。中でも神尾観鈴のコスプレは名前が同じ(漢字は違うけれどね)こともあって得意にしている。そう、俺たち兄妹は二人して『AIR』にはまっているというわけさ。
 俺も美鈴のコスプレを部屋で何回か見せつけられているけれども、確かに我が妹ながら良く雰囲気が出ているんだ。実は俺も密かに観鈴ちゃんのコスプレをしてみたいという願望を持っていた。でも自分の身長と体型ではとても無理だし、他人は勿論自分が見てもそれは気持ち悪いものだということはよくわかっていたので、その願望を表に出すことはなかった。その代わり美鈴のコスプレを眺めることで、その願望を満たしていたわけだ。



「おーい、美鈴」

「なあに、お兄ちゃん」

「これ見てみろよ」

「なあにこれ」

「うちのゼリージュースの試作品なんだ。この桃色の感じってアレにそっくりだと思わないか」

「ゲルルンジュースね。そう言えばゼリージュースってもしゲルルンジュースが現実にあったらこうなるんだろうなって仲間内で評判なんだ。へぇピーチもあるんだ。まさにゲルルンジュースって感じね」

「ちょっと二人で飲んでみないか」

「ええ?大丈夫なの」

「殺菌済みだから問題ないよ。俺たちが味見をして、後でコメントを小野さんに教えてやればきっと喜ぶから」

「ふーん、その小野さんていう人が作っているの。お兄ちゃんも早くおいしいものを作ってね」

「う!まあ・・・まだこれからさ」

 俺は桃色のゼリージュースをグラスに出してみた。香りを嗅ぐとやっぱりピーチの匂いがする。

「ほらやっぱりピーチの匂いがする」

「じゃあいただきま〜す」

「あ、ちょっと待って、お兄ちゃん」

「えぇ?何だよ」

「やっぱりこれを飲むのは観鈴でなくちゃね」

 美鈴は自分の部屋に戻ると服を着替えてきた。それはクリーム色のパフスリーブのブラウスに紺のジャンパースカート、白いストライプの入った赤いネクタイ、靴下も紺のハイソックスに換えていた。腰まで伸びた長い髪は白いリボンでポニーテールにまとめている。そう、それは観鈴ちゃんの制服姿そのものだ。

「どお、お兄ちゃん」

「おー、ナイスアイデアだ」

 ピンクのゼリージュースを手に持って観鈴ちゃんの格好をした美鈴を見ていると本当に観鈴ちゃんがそこにいるような気がしてきた。さあ、飲んでみよう。

「ゲルルンジュース。これはね、ぎゅぎゅってして飲むの」

 美鈴がそう言いながらジュースを口に持ってくる。ははっ。

 二人ほぼ同時にそれも口に入れてみる。

 うん、ぷるぷるしておいしいな。さすが小野さんだ。

 俺たち二人は本当にゲルルンジュースを飲んでいるような気分だった。

 俺はペットボトルに残っているジュースを直接、美鈴はグラスに出したものをストローで飲んでいった。それは香りもピーチだったけれど、味も舌に感じる感触もピーチそのものだった。少し力を入れないと出てこない様はまさにゲルルンジュース。うん、評判になるはずだ。

 飲み干すと、まさに満足感でいっぱいだった。舌で味わい、目の前には観鈴ちゃんがいる。

 でもにこにこしていた美鈴の様子がそのうちおかしくなってきた。不思議そうに顔をしかめていたけれど、突然叫び始めた。

「あ、熱い、顔が・・熱いよ」

「おい、美鈴、どうした」

「お兄ちゃん、顔がおかしいよ。熱くて熱くて」

 美鈴が床に倒れこむ。俺のせいか。その様子にうろたえながら、自分にも同じような感覚が湧き上がるのを感じていた。顔が、何だこれは、熱い。その感覚はどんどん強くなっていく。でも自分のそれをこらえながら、横たわる美鈴を抱き起こした。

「美鈴しっかりしろ」

 美鈴の顔はピンクにはれていた。まるでゼリーか何かが顔に覆い被されているみたいだ。俺は美鈴の頭を片手に抱えてじっとその顔を上から見つめる。何が起きているんだ。そして美鈴の顔の上のゼリーがするっと動いた時、俺も突然意識が朦朧とし、そのまま気を失ってしまった。

 気を失う間際、俺は自分の顔から何かが美鈴の顔に落ちていくのを感じた。




 どれ位時間が経ったのだろう。窓からは夕日が差していた。下からは包丁のとんとんという音が・・ああ、お袋帰ってきているんだ。
 そんなことをぼんやり考えながら、俺は体を起こした。

 誰かが俺の横でうつ伏せに寝ている。男?誰だ、こんなところで寝ているなんて。
 俺は体を起こして横にいるそいつが誰なのか確かめようとした。そいつの肩に手をかけたその時、ふと言い知れぬ違和感を感じた。何だろう。何かよくわからないけれど不安が心をよぎった。かまわずそいつの肩を揺するとぴくっと肩が動いた。

「う、うーん」

 そいつも眠っていたようだが、俺に肩を揺すられて目を覚ましたようだ。その時俺は再び違和感を感じた。何だこの腕。むき出しになっている自分の腕がいやに細い。肩から手を離し自分の手をまじまじと見つめると、指がいやに長く細くなっていた。

「え、これって俺の指か?」

 そうしている間に目を覚ました男が寝返りを打つ。

「あふっ、いつの間に寝ちゃったんだろう。顔が熱くなって、それから・・」

 その声は紛れも無い男の声。でもこちらを振り向いたその顔は・・・

「美鈴!お前いったいどうしたんだ」

 あれ?声が変だ。いやに甲高い。

「え!お兄ちゃん何て格好しているの。そんな趣味あったんだ」

 え!

 座ったまま自分の体を見下ろすと、めくれ上がった紺色のスカートから、紺のハイソックスを穿いた脚が太股も顕わに目の前に晒されていた。

 これって俺の脚?

 自分の着ているもの、それはさっきまで美鈴が着ていた観鈴ちゃんの制服だった。それも俺の体にぴったりとフィットしている。

 胸に手を当ててみるとそこには決して大きくは無いものの二つの盛り上がりがあり、穿いているジャンパースカートをめくってみると、今自分が白のショーツを穿いているのがわかった。ショーツはぴったりと股間に張り付いていて、そこはのっぺりとしていた。そう、股間の俺のものは無くなっていた。

 俺、女になっちゃったのか!

 あわててクローゼットを開けて鏡に自分の姿を映してみると・・映っているのは確かに俺だった。でも華奢な体に観鈴ちゃんの制服があつらえた様にぴったりで、それは俺の体ではなかった。髪も長い髪を白いリボンでまとめている。・・・一体何が起きているんだ。

 そうだ、美鈴は?

 美鈴のほうを振り向くと、ズボンの中に右手を差し入れてブルブルと震えていた。

「いやぁ!何で私にこんなものが」

 ふと気が付くと、美鈴が着ているシャツとズボンはさっきまで俺が着ていたものだった。どうも体型もどこかで見たような・・・これってもしかしたら。

 俺は美鈴の左手を取るとじっとそれを見た。そこには見覚えのある、この間研究室で火傷した痕があった。そうだ、これって俺の体だ。じゃあ今の俺の体って・・

「美鈴、俺の体に見覚えあるか?」

「何言ってるの、お兄ちゃん。でも何か華奢になったわね。背も私より低いし」

「俺のこの体、女なんだよ」

「何馬鹿なこと言ってるの。でもそう言えば何か胸が膨らんでるね。パットまで入れたんだ。どれどれ」

 美鈴がえいっとばかりに俺の胸を掴む。その瞬間摘まれた痛みと共にくにゅっと胸を揉まれた感触が胸から伝わってきた。

「や、やめろよ、痛いじゃないか」

「何この感触、良く出来てるね」

「馬鹿、本物だよ、これ」

「うーん信じられないな」

「ほら、これ見ろよ」

「俺は美鈴の目の前でスカートを捲り上げた」

「あ!あたしのショーツ。お兄ちゃんの変態!」

「良く見ろ、ここ何も無いだろう」

「そういえば、それにあるほくろ、私のと同じだね」

「ま、まさか」

 俺はその時ある仮説に到達した。

「体が入れ替わった?」

「お兄ちゃん、何変なこと言ってるの。でも私もおかしいんだ。股間にあるこれって、まさか・・」

 もう一度美鈴が股間をごそごそとまさぐる。

「ああ、多分俺のものだ」

「い、いやぁ〜」



(作者より)
 ここで、行宏と美鈴の入れ替わりのプロセスについて説明しよう。ゼリージュース(ピンク)は顔をゼリー化して本人の意識と共に他の体に移し変える働きがある。ゼリー化した行宏の顔が美鈴の上に落ちた瞬間、ゼリー化した美鈴の顔は床に落ち、一方意識を無くした行宏の体が丁度その上に顔の部分が来るような格好でうつ伏せに倒れ込んだ為、それぞれの顔がお互いの体に定着したのだ。(はぁはぁ、ちょっと苦しいですね)



 
「あんたたち何騒いでいるの、美鈴、ちょっと夕飯の支度手伝ってよ」

 いつの間にかお袋が2階に上がって来ていた。そして俺に向かって話しかけている。でも今美鈴って・・・

「お母さん、私こっちよ」

「ゆきひろ、何馬鹿言ってるの。あんたも早くお風呂に入りなさい」

 お袋が今度は美鈴に向かって彼女が俺であるかのように話しかける。

「お袋、俺って誰に見える」

「またコスプレとやらをやってるの、美鈴。止めなさい、女の子が俺なんてはしたない。ほら早く着替えて手伝ってよ」

 お袋はそれだけ言い残しまた台所に下りていった。

「美鈴」

「お兄ちゃん」

「どうやらお袋には俺たちがすっかり入れ替わっちまったように見えたらしいな」

「でも私にはお兄ちゃんはお兄ちゃんに見えるよ。顔だけだけど」

「うーんよくわからないけれど、俺たちにはお互いの顔が元の顔に見えても、俺たち以外の他人には全く入れ替わっているように見えるみたいだな。これって何なんだろうな」

・・・美鈴〜

「お母さん呼んでるよ。どうしよう」

「仕方ない。俺が行くよ」

「じゃあお兄ちゃん着替えなよ」

「え、どうすればいいんだ」

「そりゃ、わたしの普段着に着替えるんでしょう」

「げっ、お前のか」

「だってその体私のだもん」

 美鈴は俺を自分の部屋に連れて行くと、Tシャツとデニムのミニスカートを取り出した。

「そ、それを着るのか」

「だっていつもわたしが着ているのってこれだよ」

「そ、そりゃそうだが・・」

 仕方なく観鈴の制服を脱ぐ・・あ、てことは

 そう俺はブラジャーとショーツ姿になってしまった。堪らなく恥ずかしかった。

「お兄ちゃん、かわいいね」

「馬鹿、何言ってるんだ。早く寄越せよ」

 顔は俺なのに体は華奢な女の子の体。ブラジャーもショーツもぴたりと体にフィットしている。鏡に映る自分の姿を見ていると妙な気分になりそうだった。急いで服を着込んでみたものの、それもやっぱり何とも奇妙なものだった。でも不思議と馴染んでいた。Tシャツもミニスカートも美鈴のものなのに、今の俺にはぴったりだった。

「うへぇ、何か恥ずかしいな」

「なかなか似合っているよ、お兄ちゃん。ところで台所の手伝いなんてお兄ちゃんできるの?」

「まあ何とかやってみるさ」

「じゃあ私、お風呂に入るね」

「おい美鈴、お前」

「まあいいじゃない。ちょっと興味深々だな、お兄ちゃんの体」

「・・・変なことするなよ」

「いやだぁ、するわけないじゃない」

 美鈴はにこにこしながら階段を下りていった。うーん大丈夫かな・・・さてと、俺も行くか。

 台所に行くと、お袋は当然といったように俺に声をかけてきた。

「美鈴、遅いわよ。早くお皿を出して」

「え、ああわかったよ」

「ほら、言葉!あんたまださっきの続きやってるの。もう少し女の子らしくしなさい」

 こんな格好をしてお袋の前に出るなんてこっちは恥ずかしくてたまらないのに、お袋は俺のことを完全に美鈴と思い込んでいる。不思議だ。

 夕食の支度の手伝いは失敗しながら何とか美鈴としてこなすことができた。まあお袋には「あんたそんなに不器用だったかね」なんて言われてしまったが、無事夕食を迎えることができた。一方の美鈴はTシャツにボクサーパンツ姿で真っ赤な顔をして風呂から上がってきた。のぼせたのか、それとも・・・うーん何かいやだな。

 夕食が終わり、後片付けを済ますと、お袋に「美鈴、早くお風呂入っちゃいなさい」と言われた。思わず美鈴と顔を見合わせるが、美鈴がこっちの目を見てちょっと顔を赤くしながらもコクリと頷いた。いいってことか。

「じゃあ入ってくる」

 俺が着替えと取りに行くと、後から美鈴も付いて来てくれた。彼女が俺に渡したのは新しいショーツにブラジャーにピンクのパジャマ・・これに着替えるのか・・俺って。

「お風呂までは一緒に入れないから。お兄ちゃん、私の体なんだから優しく洗ってね」

 俺はその言葉に思わずドキッとした。俺が洗うのか、この体。あんなとこやこんなとこ・・

「でも変なことしないでよ」

「ば、馬鹿、そんなことするかよ。お前こそさっき風呂から出てきた時、やけに顔が赤かったぞ」

「あ、あれはちょっとのぼせたからよ」



 美鈴は取り敢えず俺の部屋に戻った。俺は一人で風呂場に入ると、脱衣所の鏡をじっと見詰めた。顔は俺なのに女の子している俺がそこにいた。Tシャツを脱ぐ。ブラジャーに包まれた胸が少し揺れる。スカートのボタンを外すと、バサっとデニムスカートが床に落ちる。再び俺はブラジャーとショーツだけの姿になっていた。今度は一人なのでじっと見放題だ。俺なのにこの体は女の子。ちょっとポーズをとってみる。へへ、何か俺ってかわいいな。さあて、これも脱がなくっちゃな。

 ブラジャーを外すと大きくはないが、十分自己主張している胸が今度は大きくぷるんと揺れる。お、俺のここにこんな・・。思わず手で触ってみると、ふにゃふにゃと柔らかい。美鈴、ごめんな。ショーツをするすると降ろす。何も無いその部分が俺の目の前に晒される。今やすっかり裸になった俺。確かに顔は俺なのに目の前にいるのは女の子・・・何だかおかしな気分だ。
 しばらくぼーっと見詰めていたけれど、こうしてもいられない。あんまり遅くなると美鈴に何を言われるやら。タオルで髪をまとめると、中に入った。

 お風呂の中でのことは・・・すべすべで、つるつると水をはじいて、気持ち良くって思わず・・・いや、止めておこう。でも妹の体とは言え、天国だったな〜



 風呂場から戻ると、美鈴とこれからどうするか話し合った。

「問題はあのゼリージュースだ。とにかく月曜日に小野さんに会って相談してみるよ。」

「でも会社にいつ来るかわからないんでしょう」

「出向している高原ビューティクリニックに直接行ってみる。お前は会社に行っても何もできないだろうし、月曜日は風邪ひいたって休んじゃいな」

「お兄ちゃん、学校はどうしよう」

「そうか・・じゃあ俺、学校に行ってくるよ。その後で寄ってみるか」

「あともう一つなんだけど」

「何だ」

「明日後楽園でコスプレフェスタがあるんだ。友達と約束しているし、私が行かないと駄目なんだ。お願いお兄ちゃん、一緒に行ってくれない」

 コスプレフェスティバル。美鈴と一緒に・・でも今は俺が美鈴なんだから・・・っていうことは。

「おい、それって俺にコスプレしろってことか」

「うん、明日は『AIR』の神尾観鈴、遠野美凪、霧島佳乃を3人でやるつもりだったんだ。だから私がいないと観鈴が欠けるってことで・・・

 そうか、観鈴ちゃんのコスプレ・・できるのか。

「よし、わかった。そういうことなら行ってやるよ」

「ありがとうお兄ちゃん」

 計らずも俺の念願はこうして叶うことになった。でも明日は一体どうなるのか。俺はうれしいやら心配やらでベッドの中で悶々とした一夜を過ごすことになった。


(続く)



                                        2003年3月13日脱稿


作者注:
 冒頭に出て来る、食品会社で売られているゼリージュースは普通のゼリー飲料で、TSゼリージュースではありません。念のため。
(「ゼリージュース!外伝(1)始まりはハーブと共に」参照)
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