雨の降る日に出会った男の子に
 作:verdsmith7


その日はいつもと変わらない朝だった。

窓には明るい太陽の光が差し込んでいた。

外では家の前を通勤や通学で通り過ぎる人達の音が聞こえてきた。

まだ目覚まし時計も鳴っていないが私は目を覚ました。



台所ではママが朝食の準備をしてくれていた。

重い目を擦りながら「おはよう」と言った。

洗面所で顔を洗いリビングで母親の用意してくれた朝食を食べた。

その間にテレビのニュースを見ていた。

天気予報では一日良い天気になると言っている。

「今日は傘はいらない清々しい晴れた一日になるでしょう」



私は一旦部屋に戻り学校へ行く支度を始めた。

この春から念願の高校へ入学して今はそこへ通っている。

と言っても高校へ通い初めてまだ間もない。

偏差値の高い学校ではあった。

入学できたとはいっても当然事業の勉強は難しい。

でも私にとってはそれ以上に中学生の頃の友人がほとんどいない事の方が重要だった。

少なくともそっちの方が私には精神的に辛かった。

家族は学校に行っていればその内クラスの子と仲良くなれると言ってくれた。

でも友人なんか簡単にできるだろうか。




それに高校で慣れない事は多い。

この制服を着る事もその一つだ。

中学の時の地味な制服と違い可愛いブレザーになった。

でも着慣れていないせいかあまり似合ってない気がした。

クラスの女の子の中にはもうこれをお洒落に着こなしている子もいる。

私も入学を機に美容室に行ってみたり化粧を勉強をしてみたりはした。

この下着もちょっと背伸びをして買ったものだ。

それに少しだけ着崩してみたり周囲には分からない程度にさりげなく化粧もしてみた。

「これで良いのかな?」

他の女の子がしているようにスカートを短くしてみた。

膝が見えている。

これ以上に短くしている子もいるが流石に今の私にはこれが限界だった。



中学生の時はこんなのはした事がないから自分が見てもよく分からない。

取り敢えず鏡を見て変な所がないかだけはチェックした。

多分普通よりは少し可愛くなれている気がした。

色々思う所はあったが今はそれで十分だと思った。




制服へ着替え終わった私は学校へ行こうとしていた。

身支度に少し時間が掛かってしまったので少し急いだ。

玄関でローファーを履いていた時だ。

突然雨音が家の中に響いてきた。

さっきまで明るかった空は急に暗くなってしまった。

すぐに雨の粒は大きくなっていき道路にはいくつも水たまりができてしまっている。

「もう天気予報じゃ降らないって言ってたのに・・・」

あっさり予報を外した天気予報に不満をぶつけながら私は仕方なく私は傘を用意した。

その間にも雨の音は激しさを増していった。

傘を持った私は改めて学校のスクールバッグを肩に掛けた。

そして傘をさして雨の降る中学校へと向かった。

「いってきます」

雨音にかき消されそうな声で私は母親にそう告げて家を出た。



歩いていると地面の水たまりどんどん数を増やし更に大きくなっていった。

私はなるべく水たまりに入らないように歩いた。

しばらく雨の中を歩いているとやがて前に男の子が歩いているのが見えてきた。

黒いランドセルを背負っている所からして小学生だろうか。

普段なら気にもせず追い越して学校へ向かうはずだった。

でもその時はそうはならなかった。

なぜか男子はこの雨の中を傘をささないどころかカッパも着ずに歩いていたからだ。

髪の毛や服はずぶ濡れになっていた。

そしてランドセルの中の本にも雨が入り込んでいた。


「ねえ、君、大丈夫?」
気が付くと私は傘を差しだしながらびしょびしょに濡れた男の子に声を掛けていた。

「え?は、はい、大丈夫です」

私の声に気付いた男の子は驚いたように振り返った。

顔を見上げてくる男の子の顔はとても幼く見える。

ランドセルがなければ幼稚園児だと間違えたかもしれない。

だから私は余計に心配になった。

「傘を忘れちゃったのかな?ねえ、途中まででよかったらお姉さんの傘に入らない?そのままだと風邪を引いちゃうよ」

「はい、傘を忘れちゃって・・・」

聞けば歩いていたら急に雨が降り出したとのことだった。

男の子も朝の天気予報で傘はいらないと思ったらしい。

でも途中で激しい雨が降ってきてしまい・・・




男の子の通う小学校は私が向かっている高校の途中だった。


「あ、同じ方角なんだね。それじゃあ、一緒に行こうか」

「は、はい、ありがとうございます」

男の子は何度も私に感謝してきた。

こんなに喜んでくれたのなら声を掛けた甲斐があると思った。

そして私は男の子を傘の中に入れてしまった。

「ねえ、君は何年生なの?」

「一年生です」

「あ、私と同じだね。私も今年から高校に通い始めたんだよ」

「お姉さんは高校生なんですね」

新しく学校に通い始めた者同士だった。

少し親近感がわいた。


「学校はどう?」

世間話として聞いてみた。

でも反応が悪い。

どうしたんだろう。

すると男の子は重くした口を開いた。

「えっと、実は僕、その学校に友達がまだ少なくて・・・」

どうやら学校でまだ友達があまりいないようだ。

それを聞いて今の私と同じ境遇だと思ってしまった。

つい親身になってしまう。

「そうなんだ、でも私もまだ友達があまりできてないの。本当はもっといたらいいんだけどね。だから私達同じだね。早く友達ができたらいいね」

「あ、あの、お姉さんは美人だからすぐ友達ができると思います」

男の子は少し照れながらそう私に言ってくれた。

私も容姿を褒められて少し嬉しくなった。

男の子に美人だと思えてもらえてるのなら少しは日々の努力の成果があったのかもしれない。

「ふふ、ありがとう、でも大丈夫だよ、君にもきっと友達はできるよ」





「い、いや僕なんか・・・できればお姉さんに代わってほしいぐらいです」

男の子は少し自信がなさそうだった。



「私も代われるなら代わってあげるんだけどね」

私は何気なくそう言った。

でもそんな事はできない。

男の子の代わりなんてできない。

「ふふっ」

男の子は私の言葉を聞いて急に笑い始めた。



「ありがとう、お姉さん。じゃあ、代わってもらいますね」

そう言うと男の子はニヤッと笑い傘をさしている私の手をぎゅっと握った。

それはとても冷たい手だった。

「え?」

小さな男の子の濡れた手が私に触れると異変が起きた。

男の子の手と私の手が重なる。

しかも男の子は強い力で私の手を握っていた。


「トクン」となぜか私の胸が高鳴る。

次に下から見上げてくる男の子と目が合った。

そして視線が重なった。

すると意識が突然朦朧とし始めた。

身体中の力が抜けていく。

「あれ私どうしたんだろう?」

冷たい男の子の手がなおも私の手を握っていた。

しかも私の体温は冷たい男の子に流れ込んでいくようだった。

私はもうふらふらになっていた。

歩くことも立つことも難しい状態だった。

辛うじて傘とバッグを持っていたがもう限界だった。

「はあ、はあ、だ、だめ、もう、た、立てない・・・」

言葉すら上手く話せなくなっていた。

そして私はそのまま男の子に寄りかかってしまった。

私もなんとか踏ん張ろうとした。

でも足元はもちろん身体に力が入らない。

「ご、ごめんね、私、もう、立てなくて・・・」

私は男の子に支えられながらそう謝った。

「ふふ、大丈夫だよ。ほら僕がお姉さんの代わりをしてあげるよ。だから傘を渡してね」

不思議なことに私はその言葉に安心してしまった。

持っていた傘を男の子に差し出した。

「うん、ありがとう・・・」

そして私は持っていた傘を渡してしまった。

「あとは僕が代わってあげるね」

すると急に意識が薄れていった。

その間にも雨は降り続けていた。

聞こえてくるのは傘に当たる雨の音と男の子のくすくす笑う声だけだった。



「ねえ、大丈夫?」

突然上から女の人の声が聞こえてきた。

「君、大丈夫?」

何度もその言葉聞こえてくる。

でもそれが自分に掛けられている声だとは気付けなかった。

やがて意識がはっきりとしてきた。

重い目を開けて見上げると女の人が心配そうに見下ろしていた。

その時は一瞬鏡を見ているのだと思った。

しばらくその顔を見続けていた。

「ねえ、君、本当に大丈夫?」

女の人にそう言われてハッと我に返った。

心配そうに見て来るその女の人はさっきのお姉さんだと気付いた。

そして今僕はお姉さんに抱えられていた。

しかもお姉さんは片手で傘とバッグを持ちながらもう片方の手で僕を支えてくれていた。

「は、はい、大丈夫です。ごめんなさい」

慌ててお姉さんから離れた。

申し訳ないというよりお姉さんにあれだけくっついていた事が恥ずかしかった。

さっきまで自分が何をしていたのか思い出せない。


「本当にごめんなさい」

「大丈夫ならいいのよ。それにお礼を言いたいのはこっちの方だから」

謝る僕になぜかお姉さんはそう言ってのけた。

でもどうしてだろう。

大切な事を忘れている気がする。

「どうしたの?」

「えーと、僕何か忘れているような気がして・・・」

「ふふ、なら思い出してみたらいいわ」


そんな簡単に思い出せるはずはない。

でもお姉さんにそう言われたから取り敢えず僕は思い出そうとしてみた。

僕の身体はびしょびしょに濡れていた。

そうだ傘を忘れて雨で濡れちゃったんだ。

そうしていたらお姉さんが来て傘の中に入れてくれたんだった。

「どうやら思い出せたみたいね。ふふっ、よかったわね」

僕が思い出せた事を知ってお姉さんも嬉しそうにしてくれた。


「ねえ、さっきは急に倒れそうになってたけど身体は大丈夫?」

お姉さんが傘をさしながら上から心配そうに声を掛けてくれていた。

どうやら怪我もしていない。

「はい、大丈夫です」

「そう、良かったわ。じゃあ、このまま学校へ行きましょうか」

こうして僕とお姉さんは同じ傘の下で一緒になって学校へ向かい始めた。


少し歩いた時だ。

僕は妙な感覚に陥っていた。

周りの建物はこんなに大きかっただろうか。

もう少し低かった気がする。

気になるといえば隣にいるお姉さんもそうだ

そして気のせいかさっきと雰囲気が変わった気がした。



「これが私の身体か♪」

雨音にかき消されそうだったが確かにそう言っていた。

その時のお姉さんは妙に嬉しそうだった。

なぜか手や腕を眺めていた。

どうしてそんな所を見ているのだろう。

確かに細長くて綺麗な腕や手をしているけど。

今見る必要はないだろう。


すると今度はスカートの端を持った。

途端にスカートの中の下着が見えてしまったので僕は慌てて別の方を向いて見ていないフリをした。

「うーん、初めて履いてみたけど。やっぱり落ち着かないな。でも慣れないとね」

お姉さんの言動はどこかおかしかった。


でも僕はそんなお姉さんをどきどきしながら見ていた。

正直同じ傘でこうやって一緒に歩けるだけで嬉しい。

美人のお姉さんの横顔を見られるだけでも嬉しかった。

時折短いスカートの中から見える白い下着が見えるとお姉さんの変な行動は全部どうでもよくなった。


「ふんふん♪」

お姉さんは鼻歌を歌い始めた。

傘をさしていないもう片方の手で髪をくるくると巻いていた。

お姉さんの髪は長くて綺麗だ。

その綺麗な髪を指で巻いている姿が可愛かった。

するとお姉さんは自分の髪の匂いを嗅ぎだした。

その姿にまたドキッとする。

髪の臭いが気になるのだろうか。

「ふふ、長くて良い香りね」

本当にお姉さんはどうしたのだろうか。


しばらくしてお姉さんは満足したのか髪を手放した。

そして顔を左右に振ると長い髪がフワッとなびいた。

また僕はその姿に見惚れてしまっていた。


お姉さんの行動は次第にエスカレートしていた。

でも僕は助けてもらってる側だからそれを口に出す事ができない。

それに僕はお姉さんのそんな行動が気になって仕方がなかった。

お姉さんは今度はなぜか無言で胸元を見ていた。

今度は何をするんだろう。

僕はそれが気になった。

お姉さんはあれからしばらく自分のふっくらとした胸を見続けている。

横から見るとその大きさが分かる。

高校生という事もあるだろうが結構大きい。

できれば僕もお姉さんの大きな胸を見たいが流石にそんな事はできない。

横目でチラチラと見るので精一杯だった。



お姉さんは僕が見ている前でおもむろに胸を触り出した。

「ふふ、柔らかい♪」

「え!?」

それを見て僕はさりげなく見る事を忘れて一気に食いついて眺めてしまった。

最初は撫でるように触っていた。

ふっくらした胸の形に添って手が上から下に動かした。

お姉さんはその間ずっとくすくすと笑っていた。



「お、お姉さん?」

流石の僕もお姉さんの行動に驚いてしまい声を出してしまった。

「ふふ、君も触ってみたい?」

僕は断ることができなかった。

僕はお姉さんに連れられて人のいない建物に入った。

広い空間部屋だったがだいぶ使われてないのか荒れている。

お姉さんは周囲を見回して誰もいない事を確認すると持っていたバッグと傘を置いた。

そして嬉しそうに僕の方へと近寄ってきた。



「これで二人っきりになれたね」

その言葉に興奮と不安を覚えた。

ここではお姉さんの声と雨の音しか聞こえない。


「ね、ねえ、お姉さん、なんでこんな事を?」

僕はおそるおそる聞いてみた。

流石の僕でも分かる、これが普通じゃない事ぐらい。

「ふふ、これはお礼だよ」

「お礼?」

お姉さんは一体何のお礼をしようとしているのか分からなかった。

むしろ僕の方がお姉さんに傘へ入れてもらったぐらいだ。

「そんな事よりも今はさっきの続きをしようよ♪」

そう言ってお姉さんは僕の目の前で着ていてブレザーを脱いでしまった。

お姉さんの突然の行動に僕は「え!?」と驚くことしかできなかった。

「これから触ってもらうんだから、邪魔だもんね」

お姉さんの肌と生地の間がいっそう薄くなった。

白いシャツの上からでもお姉さんの白い肌が見える。

それにお姉さんが身に着けているブラジャーも薄く見えた。

別に全部脱いだわけじゃない。

でも僕にとっては凄く刺激が強かった。





「ねえ、早く触ってよ。それとも私の小さな胸なんか触りたくないのかな?」

お姉さんは上目遣いをすると悲しそうな表情でそう言った。

それを見た途端僕は凄く悪い事をしてしまった気になった。

「ご、ごめんなさい、あの、ぼ、僕、お姉さんの胸触りたいです、い、いや、触らせて下さい!」

お姉さんは僕の返事を聞くとさっきまでの表情が嘘のようにニヤッと笑った。

僕の心臓は激しく鳴っていた。

でも一瞬躊躇した。

僕の手は雨で濡れてしまっていたからだ。

「別に濡れていいよ。それに今の君になら触ってほしいな」

僕はゆっくりとお姉さんの胸をシャツの上から触った。


恐らくその時の僕は顔を真っ赤にしていたと思う。

興奮しすぎて正直分からなかった。

だってあのお姉さんの胸を触っているのだから。

お姉さんの胸は僕の小さな手よりも大きかった。

そしてお姉さんの胸は凄く柔らかかった。

「あ、あ、や、柔らかい・・・」

触らせてもらって僕はそんな感想しか言えなかった。





「あの、こ、これもお礼なんですか?」

声を押し殺しながら今の僕はそう聞くしかできなかった。

なぜならお姉さんは目の前で着ている服を全部脱いで裸になってしまっているからだ。

胸はもちろん股間まで何も着けていない。

見えてはいけない所まで見えてしまっていた。



「いいえ、これはお姉さんからのお願いよ。私ね君の全部が欲しいの、だから全部ちょうだい♪」

お姉さんが何を言っているのかはよく分からなかった。

そして僕にとっては凄い事が起こる事は分かった。

でもお姉さんの裸は直視できない程綺麗だった。

できれば写真や動画に撮っていつでも見たい。

でも今の自分にそんな度胸はない。


「緊張しなくて良いのよ。これはお姉さんがお願いしている事なんだから。それともこんな事をするのは嫌?」

またお姉さんは悲しそうな表情になった。

しかも今度は胸を僕の腕に直接当ててきていた。

「い、いえ、むしろ、や、やりたいです」

「ありがとう、じゃあ君のを全部もらうわね♪」

お姉さんは慣れた手つきで僕の服を脱がしてしまった。

さっきお姉さんが服を脱いでいた時はだいぶ時間が掛かっていたのに・・・




ブリーフを下すと僕の股間は既にだいぶ大きくなっていた。

正直お姉さんにこれを見られるのが恥ずかしい。

でも僕はお姉さんと一つになりたかった。

お姉さんは僕の上に跨ると股間で大きくなっているものをお姉さんの中へ入れてしまった。

「ああ、入ってくる。私の中に君の思い出も記憶も全部が・・・ふふっ、これが全部私のなのね♪」

お姉さんは喜んでいた。

僕も同じぐらいに嬉しかった。

お姉さんがあんなに喜んでくれているから。

でもどうしてだろう。

僕はお姉さんの顔や裸を見て不思議な気分になった。

今日初めて出会ったはずなのになぜかいつも見ていたような気がした。

そんなはずはないと分かっている。

それでも懐かしい気分になった。


僕はお姉さんの胸を揉みお姉さんは僕にありったけのキスをしながら腰を振ってきた。

それは僕のさっきの疑問を全部吹き飛ばしてしまった。

今僕が感じているのはお姉さんと一緒に気持ち良くなっている事だけだ。


「はあ、はあ、お姉さん、ぼ、僕、もう限界です」

「ふふ、いいわ、全部ちょうだい!」

「う!ああ!」

遂に僕はお姉さんの中に出してしまった。

そして僕の中にある余計なものも消えていく気がした。

全てを出し終えたら急にまた力が抜けていった。


「それじゃあ私の代わりをよろしくね♪」

お姉さんは僕の頭を撫でながらキスをしてくれた。

そして僕はお姉さんの胸の中で意識を失った。




「ねえ、大丈夫?」

またあの声が聞こえる。

僕は重い目を開けた

すると頭上から制服を着たお姉さんが見えた。

「あれ、お姉さん、ここは?」

「ふふ、君眠っちゃってたんだよ」

僕は周囲を確認した。

服は濡れていたがちゃんと着ている。

外を見ると雨は上がり天気はすっかり晴れていた。

あれだけ雨を降らした雲はもう全然見えない。

僕達はここで雨宿りをしていた。

そして僕は眠くなって寝てしまっていたらしい。

お姉さんがそう教えてくれた。



「さあ、そろそろ学校に行かないと遅刻しちゃうわよ」

僕とお姉さんは外へ出た。

雨はすっかり止んでいた。

もう傘は必要もないだろう。

一瞬だけできればもう少し早く雨が止んでくれたらと思った。

でも僕はお姉さんを見てすぐに考えを直した。

お姉さんと僕は手を握りながら学校へ向かった。

お姉さんの手は僕よりも大きくて柔らかかった。

一緒に学校へ向かうこの時間が凄く幸せだった。

ずっと続けばいいのにとさえ思った。

でもやがて学校に着いてしまった。

だからお姉さんとのお別れが凄く寂しかった。

「あの、お姉さん、また、学校へ行く時一緒に行っていいですか?」

僕は緊張しながらそう聞いた。

「いいよ、また一緒に学校へ行こうね」

それを聞いて僕は途端に嬉しくなった。

またお姉さんに会えるかもしれない。

それだけで僕にとっては幸せだった。

「やった!ありがとう、お姉さん。絶対だよ!またね♪」

僕はお姉さんと約束してもらった嬉しさでいっぱいだった。

いつもは憂鬱だった学校へ行く事が少し楽しみに思えた。

だってそうすればまたお姉さんに会えるかもしれない。

「こちらこそ、ありがとう。元お姉さん♪」

お姉さんは僕の事をなぜか「元お姉さん」と言っていた気がした。

でも多分お姉さんが言い間違えたのか僕の聞き違いだろう。

それにその時の僕はお姉さんと一緒にいられた事嬉しくてそんな事を気にしている余裕はなかった。


そう言ってお姉さんは立ち去ってしまった。

相変わらず嬉しそうにスキップをしていた。

するとスカートの中の下着が見えてしまった。

そしてお姉さんが振り返ると僕が見ていた事に気付くとにこっと笑った。

「・・・」

少し時間が経って僕も校舎の中へと向かった。




あの日から少し月日が過ぎた。

今日もいつも通り小学校に行っている。

でも僕は本来ここに来るはずじゃない気がした。

それに女子トイレや女子更衣室へも何度も入ってしまった。

そして便器に座ってズボンを下してやっと気付く事が続いた。

そうする度に悔やんだ。

どうして僕は男子トイレや更衣室じゃなくて女子の方を使ってしまうのかと・・・

やがて鏡を見て僕の顔を見た。

「僕は男の子なんだ・・・」

この身体と中身が違う気がする。

そんな違和感を抱くようになっていた。

そして僕は妙な夢を見るようになっていた。

夢の中で僕はお姉さんの姿になっていた。

そして学校へ行く途中毎回出会うのだった。

ランドセルを背負った僕にだ。

そして次に僕とお姉さんは入れ替わっていた。

お姉さんになった僕は笑うとこう言った。

「お姉さんの身体をやっと手に入れたよ。さあ今度はお姉さんが僕になる番だね」

「やめて!お願い!私の身体を返して!」

「ふふ、嫌がってもだめだよ。お姉さんは僕になるんだからね♪」

そう言って無理矢理キスをされた。

そして僕はいつもの僕になっていた。



その日は雨が降っていた。

僕はいつも通り学校へ行く準備をしてランドセルを背負った。

そしていつもの時間に玄関を出るとお姉さんが嬉しそうに傘を持って待ってくれていた。

僕はその中に入ってお姉さんと一緒に学校へ向かった。

毎朝こうやって学校へ行ける事が本当に嬉しかった。


「お姉さん、ちょっとお願いがあるんだけど・・・」

僕はお姉さんにそう頼んだ。

「うん、いいよ、何かあるの?」

お姉さんは僕の話を聞こうと屈んでくれた。

そのタイミングを見計らって僕は傘を持っているお姉さんの手を掴んだ。

しばらく沈黙の時間が続いた。

雨が降る音と傘に当たる音だけが聞こえた。

「な、なんで!?」

「ふふっ、安心して、この身体は私が責任を持って使うから。だからこれからもその身体で私の代わりをよろしくね、お姉さん♪」

お姉さんは不気味に笑いながら僕の手を傘から離してしまった。

そしていつもと同じように手を繋いで一緒に学校へと向かった。

でもその時のお姉さんの手はとても冷たかった。


小学校へ到着するとお姉さんは傘をさしたまま僕の背まで屈んだ。

いつものように間近に迫り笑顔で僕を見てくる。

でも僕にはその笑顔が違って見えた。

するとお姉さんは僕にキスをしてきた。

しばらくしてやっとお姉さんは唇を離してくれた。

「じゃあね、また明日も一緒に学校へ行こうね♪」

「うん、約束だよ!」

僕はさっきのキスが嬉しくて学校へ駆け出していた。

そして明日もお姉さんと学校に行ける事が楽しみになった。

だからたとえ明日も雨でも全然苦にならない。

だからその時僕は雨音の中でお姉さんの最後の言葉はほとんど聞こえていなかった。

「ふふっ、これからもよろしくね、元お姉さん♪」















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