叶えられた願い(前編)
 作:verdsmith7


ようやく長い授業が終わり放課後になりました。
「宮崎さん、これから皆で遊びに行くんだけど一緒に行かない♪」
帰る支度をしていた私に声を掛けてきたのはこれからカラオケに行く友人達でした。
「ごめんね、私今から帰って勉強しないといけないから」
そんな友達の誘いを断ってしまいました。
本当は皆と一緒に遊びに行きたいのですが受験勉強をしないといけないのです。
まだ先とはいえ受験勉強を少しずつやることになっていました。
「そうなんだ、じゃあ時間がある時に行こうね」
折角声を掛けてくれたのに申し訳ない気持ちになります。
早く受験が終わって遊びたいなと思いながら帰ろうとしました。


「おい、いい加減に教えてくれない。こんなに頼んでるだろ」
「そんな事言われても・・・」
廊下を歩いていると物騒な言葉が聞こえてきました。
見ると大人しそうな女の子が金髪の女の子が何かを頼まれているようでした。
頼んでいるという表現は正確ではありません。
怒った表情で壁追い詰めるその様は脅しているという感じでした。

彼女の名前は高橋江奈と言います。
クラスの中どころか学校の中でも評判は良くありませんでした。
成績は悪くいつも赤点を取って順位は最下位です。
本当は彼女と関わりたくないのですが学級委員という立場上どうしても注意しないといけないのです。


「ちょっと貴方達何をしているの!?」
私は声を張り上げました。
「ち、余計な奴が来やがった!あ、こら!まだ教えて貰ってないだろ!逃げるな!」
脅されていた女の子は上手く逃げる事ができたようでした。
恐らく宿題か何かを無理やり聞こうとしていたのでしょう。

「ち、もうちょっとだったのに。全く余計な時に来やがって」
高橋さんは怒りながら私にも聞こえるように舌打ちをしました。
「こら、何をしようとしてたのか分からないけど校則に違反した格好は駄目だって前から言ってるでしょ!」
今まで何度も注意していましたが一向に直す様子はありませんでした。
もうだいぶ温かくなったのに彼女は暑そうなニットを着て見ているこちらが暑くなりそうに思えました。
足元はルーズソックスで底の厚いローファーを履いています。

そのメイクも派手で最悪な事に学校で禁止をしている化粧までしています。
彼女はこの学校では典型的な不良ギャルとして有名でした。
見た目だけではありません。
他の生徒としょっちゅう喧嘩をしては騒ぎを起こしていました。
それ以外にも異性との噂も絶えませんでした。


「何だよ、お前には関係ないだろ!」
ムッとした表情で注意した私に逆切れしてきます。
さっきの件もあり私に対して怒っているのは確実でした。
「私だってこんな事はしたくないんですよ。あなたがきちんとした格好でいれば・・・」
「ふん!優等生のお嬢様は大人しく勉強でもしてればいいんだよ。じゃあな!」
そう言って私が言い終える前に捨て台詞を吐いて立ち去っていきました。
「もう人の話を最後まで聞かないで・・・はあ、もう生き加減にして欲しいわ」
大きなため息をついてしまいました。


家に帰ると早速勉強を始めました。
学校での高橋さんとのやり取りもありましたが問題なく目標の所まで勉強できました。
「はあ、やっと終わった。今日は疲れたな」
このペースで勉強を続ければ問題なく志望校にも合格できそうでした。
でも最近は本当に勉強漬けの毎日になっていました。
友達とも中々遊べず可愛い服を見に行く機会さえありません。

何気なく机の上に置いていた鏡を見ました。
普段から皆に可愛いと言われていましたが個人的にはちょっと地味に感じていました。
高橋さん程でなくてもお洒落をした方が良いのかもしれません。
化粧をしてちょっと女らしさを意識した服を着てみたい。
それにあの胸だけはちょっと羨ましいと思っていました。

そんな事を考えていると突然持っているスマホから音が鳴り響きました。
中身を確認するとそれはメールの着信音でした。
しかし、それは私の知人からのものではありません。
そこには『何でも願いの叶う妖精』と書かれていました。
「何これ?怪しい・・・」
『あなたの願いを何でも叶える妖精です。ご自由にお使い下さい』
その一文と共に送られてきていました。
送り主も分かりません。
「やだ、また変なメールが来たの?早く消そう・・・あ!」
もちろんすぐに削除しようと思いました。
ところが私は間違えてそのメールを開いてしまいました。


眩しい閃光が部屋中を覆いつくしました。
「私を呼んでくれてありがとうございます。お礼にあなたの願いをなんでも叶えてさしあげます」

その言葉共に突然私の目の前に現れたのは小さな女の子でした。
ですが見た目は小さな女の子だが背中には羽が生えています。
そして信じられない事にその羽で宙を浮いていました。
「え、あなたは誰!?」
私はそう問いかけました。
「私は願いを叶える妖精です」
「妖精さん?」
そんなファンタジーな生き物なんていないだろうと思いたかったのですが現に私の目の前でふわふわ浮かびながら喋っています。
「はい、で、願いは何にしましょうか?」
「え、いきなり言われても・・・」
昔ランプの魔人に願い事をするアニメを見た事がありました。
この状況はそれと同じなのでしょうか?



「何でもいいですよ。適当に願いを言って頂けたら私が叶えます。さあ言って下さい」
私が戸惑っていると早く願いを言ってくれといわんばかりに妖精さんが急かしてきました。
そもそもこんな小さな妖精にそんな力があるのか疑問でした?
私は正直この突然現れた妖精さんに半信半疑でした。

「じゃあちょっと恥ずかしいけどもう少し胸を大きくしたいの」
コンプレックスだった小さな胸を大きくする事を言ってみました。
正直お金や素敵な彼氏が欲しかったですが、あまり期待していなかったので私のささやかな願いを言いました。
「ふむふむ、かしこまりました。他に何かありますか?」
妖精さんは私の無茶な願いをすんなり聞いてくれました。
それどころか他の願いまで叶えてくれるようです。
「え、他の願いも大丈夫なの?そうね、それじゃあ今よりも学校で人気になりたいの。無理よね?」
でも無理を承知でお願いしてみました。
「人気者になりたいと・・・えーと、どんな感じにですか?」
妖精は困った表情になったのでこれは難しい願いだったのかなと思いました。
なのでもう少し具体的に優しく説明してあげました。
「私ちょっと内気な所もあるからもっと活発になって皆と仲良くしたいの」

ダメもとで言った事なので断られるのも仕方ありません。
ところが妖精さんはそれすらも嬉しそうに聞いてくれました。
「全然大丈夫ですよ。貴方の前にも願いを聞いた人がいますのでいっぺんに叶えてあげます」
「本当、それじゃあよろしくね。」
「願いは以上ですね。それでは私は色々準備をしますのでゆっくり休んでて下さい。きっと気に入りますよ」
自信満々にそう答えると妖精さんは姿を消してしまいました。
何事もなかったように消え去ってしまったので私は幻でも見ていたかのようでした。
疲れていたから変な幻覚でも見えてしまったのかと思いました。

「あれ、なんだか眠くなってきちゃった・・・」
突然強烈な眠気に襲われました。
やはり疲れていたのかもしれません。
妖精さんにお願いした事が少しでも叶えば良いなと思いながら眠りにつきました。
その後の事はほとんど覚えていません。
ふわふわとまるで浮かんでいるような感覚になった事だけ記憶しています。


次の日妖精さんの言った通りいつもとは違う朝になりました。
チュンチュンと鳥が鳴く声で目を覚ましました。
でも、それは爽やかな朝とは程遠い重苦しい目覚めでした。
ぐっすり眠ったはずなのに眠気が全く取れていません。
昨日はむしろいつもより早く眠ったはずでした。
「あれ、うーん、体調でも悪いのかな?」
一瞬風邪でも引いてしまったのかと思いました。
体がだるい上に声も変だったからです。
喉から出る声はなんだかいつもより低くなっているようでした。
学校を休もうかもと思いましたが頑張って起き上がりました。
「うわっ、危ない!」
まだ視界がぼやけていたせいで危うく転んでしまいそうになりました。
それにいつもと違い身体のバランスを保つのも難しく感じました。

何か変だと思った私ですが気づいてしまいました。
「え、ここはどこ?」
やっと視界がはっきりした頃私は周囲を見回しました。
そこは見たことのない場所でした。

昨日はベッドで眠っていたのにいつの間にか床に布団を敷いて横になっていました。
その周りには漫画やお菓子が散らかって汚れています。
勿論私がそんな事するはずありませんでした。
漫画も読んでないしお菓子も食べていませんでした。
床も壁も天井も置いている物まで全部違います。
そこは私の部屋ではありませんでした

辺りを見回していると出しっぱなしのお菓子をまた踏んでしまいました。
床が散らばっているせいもありますが私の足元がよく見えないせいでした。
「な、なんなのこれ!?」
そこには私の視界を邪魔しているものがあったのです。
丸くて横に飛び出ているものでした。
それは私の胴体より少し上の部分から出ていました。
「こ、これって!?」
そこにあったのは大きな胸でした。
「こ、これ、私のなの!?」
自分で言うのも嫌ですが私の胸はこんなに大きくありません。
一瞬自分の胸が一夜にして大きくなったのかと思いました。
しかし、大きさも形も全く違います。
それに着ている服も全然違っていました。

私の身体がおかしい。
胸だけでなく腕や脚もいつもより太い気がします。
長い髪の毛もなぜか短くなっていました。

「か、鏡はどこ?!」
私は急いで鏡を探しました。
一体自分の身体がどうなっているのか気になったからです。
そして机の下に倒れていた鏡を見つけると急いで中を覗き込みました。
「え、え・・・た、高橋さん!?」
そこに写っていたのはいつも喧嘩をしていた高橋さんの顔でした。
彼女を見間違うはずがありません。

突然鏡に現れた彼女を探しすぐに後を振り返りました。
しかし、後ろを振り返っても誰もいません。
鏡の方へ振り向くと鏡の中の高橋さんも同じ動きをしてこちらの方を向きました。
私が手を振ると高橋さんも同時に手を振り返してきます。
私はどんどん鏡に顔を近づけていきました。
「え、わ、私!?私が高橋さんになってるの!?」
鏡に写っているのが自分だと気づきました。
「え、え、な、なんで!?」
高橋さんが困った表情でこちらを見つめてきます。



それはいつもの私の顔ではありませんでした。

「なんで私が高橋さんになってるの!?」
いつもよりも低い高橋さんの声になっていました。
そっくりというより本人と言っていいぐらいです。
顔だけでなくスタイル、声、髪型とすべてが一緒でした。
ぺたぺたと顔を触ってみました。
腕も足も全て一通り確認していきました。

その姿はあの高橋さんそのものでした。
「な、なんで、い、一体ど、どうなってるの!?」
慌てふためくと鏡の中の高橋さんも一緒になって動きます。
「なんで私が高橋さんに!?これは夢なの?あ、いたた!」
頬をつねったり頭に生えている短い金髪を引っ張ったりしてみましたがただ痛いだけでした。
少なくとも現実だと事が分かりましたが、それは私にとって非情なものでした。
なにせあの昨日まで「宮崎加奈」だった私が「高橋江奈」になっていたのです。
これが信じられるはずがありませんでした。

私は何度も何度も今の自分を確認しました。
ですがその度に元の身体との違いを知ることになってしまったのです。
今の私には同じ年の女子高生とは思えないほど大きな胸がありました。
足元が見えない程のサイズです。
どおりで起きた時から胸が重いと思いました。
手ですくい上げるように持ってみると重みが伝わってきました。
「こ、これが私の胸なの!?」
それは根本から完全に私と繋がっていました。
それに単に大きいだけでなくつやと張りもあります。
「あん!」
触れた瞬間変な声を出してしまい慌てて手で口を押えました。

胸だけでなくお尻や太ももも大きく身体全体がムチムチしています。
全体的に細い元の私とは違います。
でも太っているというわけではありませんでした。
これがスレンダーな元の自分とは違う高橋さんの身体でした。
女子からの人気は酷いですが男子に受けが良いのも納得でした。


私が今高橋さんの姿になっているのは分かりました。
でもどうしてこうなったのか理由が分かりません。
私は昨日の事を思い出しているとあの妖精さんの事が頭によぎりました。
『あなたの願いを何でも叶えます♪』
「もしかして昨日の妖精さんが・・・夢じゃなかったの!?でもなんで私が高橋さんに?!」
あの時高橋さんになりたいなんて当然言ってませんし思ってもいません。
こんなの絶対に何かの間違いです。
ですが、それを伝えようにも妖精さんは近くにいません。
そもそもどうやって出てきたのか・・・
「そういえば昨日メールが来たからそれを開けて・・・あ、そうだ、スマホがあったわ!」

私はスマホのあのメールの事を思い出しました。
あれがきっかけで妖精さんが出てきたのは間違いないでしょう。
だとすればもう一度スマホであのメールを使えば呼び出せるはずでした。

高橋さんも一応女子高生です。
なのでスマホぐらいは持っていたはずでした。
もちろん学校では禁止されていましたが彼女が気にすることはありませんでした。
「あ、あった!」
汚い部屋でやっとスマホを見つけることができました。
これで自分の家に連絡しようと思ったのです。
そして連絡を取りあのスマホを使えば何とかなるかもしれません。
高橋さんも同じ状況なら私の身体になって家にいるはずでした。
「あ、パスワードが!?」
不幸ながら高橋さんのスマホにはパスワードが設定されていました。
あの面倒くさがりな高橋さんがこんなセキュリティーを設定しているとは・・・
その後一応高橋さんがやりそうな簡単な番号を入力してみましたが結局開くことはできませんでした。
部屋の中も固定電話はなさそうなので連絡を取るのは諦めるしかありません。

どうやらここは高橋さんの住んでるアパートのようです。
一人暮らしなのか部屋は狭く必要最低限のものしかありません。
それにも関わらず部屋は散らかり放題で汚くなっています。


そんな事をしていると既にいつもなら学校に行く時間になっていました。
私は少し考えましたが生真面目にも学校へ行く事にしました。
時間もあまりないので急いで着替えることにしました。
流石にこのラフすぎるだらしない格好では外にも出られません。
一番必要な学校の制服は簡単に見つかりました。
床に他のごみと一緒に散らばっていたのです。
制服こそ私が持っているのとサイズこそ違いますが基本は同じです。
しかし、その下に履いている物は同じというわけにはいきませんでした。


次に私は下着を探しました。
下着を変える必要はないと思われるかもしれませんがそうはいきません。
こんなエッチな下着で学校に行ったら何を言われるか分かったものではないからです。
「何よこれ!?派手なのばかりじゃない!?」
やっと見つけたたのは今着て着るのとあまり変わりがない校則違反になりそうな派手な下着ばかりでした。
そもそも学生がこんなのを着ていいのかと疑うレベルです。
辛うじて大切な部分だけが隠せそうなエッチなものばかりです。
中には生地が薄くて下が丸見えになっているものまであります。
これらの下着に共通しているのは大事な所を守るよりも異性を誘惑する為のものばかりという事でした
私はとりあえず一番まともそうな下着を探しました。

色は派手で嫌でしたが少なくとも他のよりはマシでした。
こんな薄くてエッチな下着履いたことがありません。
それしかありませんでした。
それに下着を履かないという選択は当然できません。

「なんで私がこんなのを・・・」
恥ずかしい思いをしながら身に着けました。
履いているのは高橋さんの身体ですが、中身は私です。
まともな下着を買いに行っていたら学校へ遅刻するでしょう。
下着を買いに行ったから遅刻をしたなどとはとてもじゃありませんが言えません。

「うう、きつい。」
ブラをすると胸が締め付けられるようでした。
ブラジャーも私が持っているのよりも遥かに大きいのですがそれでもサイズが合っていなようで呼吸が苦しくなります。
やっとの事で身に着けると胸の重みがブラを装着した事で少しだけ和らぎました。
見ると胸のラインは服にはっきり浮かび上がりその大きさを物語っています。

その後も高橋さんの身体で制服に着替え身だしなみをできる限り整えました。
あの高橋さんがきちんと制服を着ているのは違和感が自分でもあります。
いつもは短くしているスカートを高橋さんが丈を長くして普通に着ています。
そして着心地は最悪でした。
鏡でチェックを何度もしました。
そこにはいつも喧嘩をしていた相手の顔が写っていました。
でも、どれだけ格好をきちんとしてもこの金髪だけはどうする事もできませんでした。
勿論黒く染める時間もありません。
校則違反の金髪になっている事に罪悪感を抱きながらとりあえず学校へ向かうことにしました。
「はあ、これも履かないといけないのね・・・」
それは高橋さんがいつも履いている厚底ローファーでした。
他に履けるものはハイヒールやロングブーツだけでした。
こうして私は高橋さんの身体で学校へ向かうことになってしまいました。



こんな気の重い登校は初めてでした。
「うう、凄く歩きにくい」
厚底のローファーもそうですがこの重くて大きな胸のせいでバランスが上手く取れません。
手足の長さも違う為かいつものようにスムーズに動きませんでした。
アパートを出るとまず私が今どこにいるのか調べました。
そもそも私は高橋さんの家がどこにあるのかそれすら知りません。
だからここからどうやって学校へ行けばいいのか分からず彷徨うことになりました。


しばらく歩いていると私は視線を浴びていることに気付きました。
その視線は私の派手な金髪ではなく高校生とは思えない程の大きな胸に向けられていました。
胸のラインが服の上からでもはっきりと浮かび上がっていたのです。
「は、恥ずかしい、み、見ないでよ・・・」
こんなにジロジロ見られては恥ずかしくてたまりません。
仕方なく私は鞄を胸元で持って隠すことにしました。

「よかった、ここは通ったことがある道ね」
やっと知っている道に出る事ができました。
少し時間は掛かりましたがいつも見慣れている学校の近くにまで来ています。
あとはいつも通り学校の教室へと向かうだけでした。

すると私の前を歩いている同じ教室の友人が目に入りました。
「あ、おはよう」
私は元気よく挨拶をしました。
ですが、友達の反応はありません。
声が聞こえなかったのかと思い今度はもっと近くて大きな声で言ってみました。
「おーい、おはよう!」
安心した私はつい何も考えずいつものように友達に挨拶をしてしまいましたがここで私は気づくべきでした。
今の自分の姿がいつもと違うことに・・・

「え!?」
私に声を掛けられた友達から返ってきた返事は私の期待したものではありませんでした。
まず私が見たのは友達の戸惑いの表情でした。
「え、お、おはよう・・・」
友達の顔は明らかに困っているようでした。
それにどこか余所余所しい感じもします。
そしてなぜか目を合わせてくれないのです。
私がこのまま続けて言葉を掛けようとしましたが、友達の方からこう言われてしまいました。
「ごめんね、私、その急いでるから!」
そう言うと私から逃げるように慌てて走りだしてしまいました。
「え、なんなの?」



「ごめんね、今日日直の仕事があるから!」
「ちょっと先生の用事があるから!」
その後も知っている人に話しかけましたが誰も私の話を聞いてくれませんでした。
それどころか早々に立ち去ろうとしているようでした。
いつもなら周りから私に話しかけてきてくれます。
でも今日は一人も私に声を掛けてくれる人はいませんでした。
「え、なんで?」
私は寂しい気持ちになりながら席へ着きました。
仕方なく授業が始まるまで教科書を読んでいました。

すると隣から呼び声が聞こえてきました。
それが私に向けられた言葉だと理解するのに少し時間がかかりました。
「あの、高橋さん・・・」
「え、私!?」
やっと声を掛けてくれたと思いました。
ですが自分の事を「高橋さん」と呼ばれていました。
確かに身体は高橋さんですが私は正真正銘「宮崎加奈」なのです。
でもそれを言う事はできませんでした。
この姿では理解してもらえないはずです。
なにせ自分でも信じられないぐらいでした。

「えーと、何か用?」
私は言いたい事をぐっとこらえて質問してみました。
すると友達は申し訳なさそうに言いました。
「そこ、宮崎さんの席なんですけど・・・」
いつも通りの席に座ったはずでしたが今は私は高橋さんです。
そして周囲は私を高橋さんだと思い込んでいる現状では私がここに座っていれば変に思われるでしょう。
自分の席のはずなのに私は嫌いな高橋さんの席へ移動するしかありませんでした。

「ご、ごめん間違えちゃった。お、教えてくれてありがとう」
私は高橋さんのように軽く謝りながら席を移動しました。
本当は嫌なのに彼女のように振舞う自分が凄く嫌でした。
「はあ、高橋さんか・・・」
それに周りの人達から自分のことを「高橋さん」と呼ばれるのも嫌でした。
私は高橋さんじゃないのに・・・

結局私の身体は教室に来ることがないまま朝礼が始まってしまいました。
朝の出席確認が始まり先生が一人ひとり名前を呼んでいきます。
「高橋!」
先生が私の方を見ながら「高橋さん」の名前を呼びました。
「・・・はい」
私は渋々「高橋さん」として返事をしました。
「お、今日は珍しく早く来たんだな。偉いぞ。それに格好も随分落ち着いてるな。やっと真面目になったのか。頑張れよ!」
先生が感心したように私のことを見てきます。
でも褒めてくれているつもりだったのかもしれませんが私にはちっとも嬉しくありませんでした。

そしていよいよ元の私の名前が呼ばれました。
「宮崎!」
ここで本当は返事をしたかったのですが、この姿のままでは当然できません。
「うん?おい、宮崎いないのか?」
私は先生が呼び終えるのをひたすら我慢しながら待ちました。
「先生、宮崎さんまだ来てません」
友人の一人がそう言ってくれたおかげで先生はやっと呼ぶのをやめてくれました。
「なんだ、宮崎はまだ来てないのか。こっちも珍しいな病欠か?家からは連絡はないんだが」
「宮崎さん大丈夫かしら?」
皆も私の事を心配してくれていました。
でも、本物の私はここにいるのに気づいてくれませんでした・・・



高橋さんの身体になって同じ学校同じ教室なのにそこは全然違って見えました。
誰も私に話しかけて来てくれませんでした。
色々説明したいのに話を聞いてくれなくては何もできません。
皆ンあの不良の高橋さんに関わりたくないのが手に取るように分かります。
時間だけが無情に過ぎていきました。



すると休み時間に下半身から妙な感覚が起こり始めました。
「も、もしかして・・・」
考えてみれば起きてから一度もトイレに行っていませでんした。
むしろ考える余裕すらもなかったのですが遂に我慢の限界が来てしまったようです。

生理現象だから仕方ありません。
嫌がって止められるものでもないので私はやるしかありません。
スカートを下してショーツも下げようとしました。
できれば他人の身体でトイレなんてしたくありません。

しかし、視線を下に向けると胸が大きすぎて下半身がよく見えませんでした。
「もう、よく見えないじゃない!はあ、はあ、よかった、間に合った・・・」
なんとか脱ぎ終える事ができた私は便座に座り終複雑な気分で終わるのを待ちました。
たとえ嫌いな人の身体でも漏らしてしまってはどう相手に顔向けしていいのか分かりません。
生理現象とはいえ申し訳ない気持ちになります。
ずっと我慢していたせいか解放された気分です。
他人の身体でトイレをするとうのはあまりいい気分ではありません。

一通り出すものを出すと私は溜息を洩らしました。
「またこれを履かないと・・・」
おろした派手な下着をまた嫌々履きました。

その時外から話し声が聞こえてきました。
トイレに誰か入ってきたようです。
「ねえ、今日の高橋さん変だよね。格好もそうだけどなにかおかしいよね」
話題にされているのが自分の事だと気づきました。
「私挨拶されちゃったんだけど絶対変だよね」
私は真面目に挨拶をしただけでした。
なのでその言われようはショックでした。
更に二人の会話は続きます。
「気を付けないとね。きっと何か企んでるよ」
「そうだね、あの高橋さんだもんね」

二人がトイレから出ていくまで私は個室から出ていく事ができませんでした。
しばらくしてやっと静かになるとやっと私は外に出ることができました。
個室から出て鏡を見るとそこには高橋さんが写っていました。
今私の身体は高橋さんなわけですから当然なのですが突然高橋さんの姿が見えると、やはり驚いてしまいます。
「はあ、これが私だなんて・・・」
高橋さんの声でそう呟いていました。
「早く元に戻りたい」
これ以上高橋さんとして過ごしたくありません。
いつものように友達と楽しく過ごしたいと思いました。

「それにしても胸が重くて疲れた。大きいのも大変なのね」
この身体で朝から過ごしていましたがだいぶ肩がこっていました。
元の身体とは比較にならないこの大きくて重い胸のせいです。
それにここを見ようとする男子達の視線が気になって身体を縮めていたせいもあります。

シャツのボタンが弾け飛んでしまいそうになっていました。
もういくつかボタンを外した方が楽なのは間違いないのですがどうしてもそれをしたくありませんでした。
なるべくいつもと同じように身なりを整えておきたかったのです。
ですが、いくら私がこの身体で身なりを整えても周囲は気づいてくれません。
皆が私を怖がっているか性の対象として見てきます。
大人しい子は私を怖がって避けて、エッチな男子は私の胸を見ていきます。
それが凄く嫌でした。
お昼になると私は購買部のパンを買べることにしました。
いつもなら母親が作ってくれたお弁当を皆と一緒に食べます。
でも今日はお弁当もなければ一緒に食べてくれる友人も周りにいませんでした。
どうせ一人で食べるならと私は高橋さんがいつもするように学校の屋上で食べました。



その日私の身体は最後まで学校に現れませんでした。
先生に聞いても「体調が悪い」ぐらいしか教えてくれませんでした。
私はどうしても自分の身体がどうなっているのか知る為に家にプリントを届ける事にしました。
普段の高橋さんなら絶対にこんな事はしないので周囲からは疑いの目を向けられたのは言うまでもありません。
ですが、強引にでも行く事にしました。

一日しか帰ってなかったのに久しぶりに戻ってきた気分でした。
私は自分の家の前にいました。
恐らくこの中に自分の身体がいるはずです。

いつものように家の扉を開こうとしましたが寸前の所で止めました。
とりあえず私は高橋さんとしてインターホンを鳴らしました。
もし母親にこの姿を見られたらどう思われるでしょうか。
学校での一連の出来事が頭によぎりました。

「あら、どちら様ですか?」
出てきたのは私の母親でした。
そして私の身なりを見るなり疑わしい目を向けてきました。
少なくとも娘を見る母親の目ではありません。
「あの私、じゃなくて加奈さんの具合はどうですか?」
「加奈のお友達なの?」
正直母親が私に気づいてくれるのではと期待しましたが無駄でした。
私を怪しんでいるのがよく分かりました。
いきなり自分の家に派手な金髪の知らない女の子が来れば怪しむでしょう。
少なくとも高橋さんの見た目はかなり大人しくて良い子には思えません。
たとえ私の母親でも変わり果てたこの姿を自分の娘だと信じてくれないでしょう。
なので私は『良い』高橋さんを演じることにしました。

「は、はい、加奈さんの、友達です・・・このプリントを届けに来ました」
私は力なくそう答えました。
そして先生から預かったプリントを渡すとやっと母親は警戒心を解いてくれました。
「ごめんなさい。今日はちょっと体調が悪いみたいだったの。多分かぜだと思うけどさっきはちょっとうなされてたみたいなの」
そんなに酷い状態なのだろうか。
「じゃあ、これは渡しておくわね」
そう言って母親は私からプリントを受け取ると家の中に入ってしまいました。

結局元の自分の家に入ることすらできませんでした。
そして私はまた高橋さんの住んでるアパートに帰らないといけません。
しかも自分の家から反対方向なので凄く長く歩き続けました。
慣れない高橋さんの身体だと凄く疲れました。
歩きにくい厚底のローファーに大きく揺れる胸が邪魔してきます。
そしてそんな私を見ていく人たちの視線によって疲弊していきました。
それらが合わさって私は酷くくたびれていました。

幸か不幸か高橋さんの住んでいるアパートの部屋には誰もいません。
どうやら意外にも高橋さんは独り暮らしをしているようです。
なので部屋に入れば周囲の目を気にする必要がないのは気が楽でした。
やっとのことで部屋に入ると今朝目を覚ました高橋さんの部屋に行きやっと一人きりになることができました。
ですが、同時に汚い部屋を見て更に溜息が出ました。


嫌いな相手の身体で今日一日過ごしました。
一刻も早く元の自分の身体に戻りたい思いだけが強まっていきました。
しかも今の自分の姿はいつも顔を合わせれば喧嘩をしていた嫌いな相手の身体です。
少し会うだけでも嫌なのにそんな相手の身体で一日中過ごせばもうくたくたになるのも当然でした。

せめて少しはリラックスをしたいと思いお風呂に入る事にしました。
足を曲げないと入れない小さな浴室ですが入らないよりマシでした。
浴室の鏡に写る姿は裸になっている高橋さんでした。
流石に最初の頃よりはこの姿を見ても驚きは少なくなりました。
ショートの金髪に大きな胸、むちむちの身体と裸になると元の身体との違いがより鮮明に分かってしまいました。
「早く戻りたい・・・」
そんな事を呟いた時です。
突然浴室に明るい光が現れました。


「新しい身体は気に入りましたか?」
その言葉と共に出てきたのは昨日の妖精さんでした。
私の方を見ると満足そうにそう質問してきたのです。
「やっぱり妖精さんが私を高橋さんにしたの?!」
「はい、私があなたの願いを全部叶えてあげました」
「いや、なんで私が高橋さんの姿になってるのよ!?それに人気にもなってないわ!これは一体どういうことなの!?」
私は浴室に響く声でそう妖精さんに怒りました。
「ええ、あんなに皆から注目されてたじゃないですか。それに胸も大きくなりましたよ。どこが不満なんですか?」
この妖精さんは願いを曲解しているようでした。
冗談ではありません、こんな事で願いが叶った事になっては私は一体これからどうすればいいのでしょうか。
せめて元の身体にだけでも戻してもらないと、そう言おうと思いました。
「おや、おかしいですね。今の所願い通りにいっているはずですが・・・では、もう少し様子を見ましょうか。また来ますのでそれまで新しい身体を楽しんで下さいね」
「ま、待って!早く元の身体に・・・」
私が呼び止めるも妖精さんはまた消えてしまいました。

「私どうしたらいいの?」
妖精さんに取り残された私は高橋さんの身体で呆然とするしかできませんでした。




翌朝再び学校に行く準備をしました。
今日こそは元の自分の身体に会ってなんとかしたいと思っていたのです。
学校に来なかったらせめて自分の家にスマホだけでも取りに行こうと思いました。

身なりをチェックします。
相変わらずこの金髪は派手なままでした。
できれば黒く染めたいのですがそんな余裕はありません。
そもそもこの身体でずっと生活する気もないのです。
早く元に戻れば・・・

それと部屋もある程度は掃除をしたつもりでしたがそれでもまだまだゴミが散らばっています。
早く自分の綺麗で広い家に帰りたいと思いました。
ここには大好きな両親もいません。
「早く戻りたい・・・」

そして重い足取りで学校今日も行きました。
流石に昨日のように道を迷う事はありませんでしたが、それでもまだ慣れたわけではありません。
この厚底のローファーは相変わらず歩きにくいですし、この大きな胸も慣れませんでした。

「おはよう」
私はなるべく挨拶をしようとしましたが、周囲は相変わらず私を避けて返事を返してくれませんでした。
昨日のトイレの話もあったので私はそれ以上何かをする気になれませんでした。

「おはよう♪」
するとひと際明るい声が教室に響きました。
周りの友人達が一斉に騒ぎ始めます。
一体何があったのかと皆の視線を辿りました。
「わ、私!?」
現れたのはまぎれもない私の身体でした。
その顔、その声、その身体はまぎれもない私の身体です。

しかし様子は完全に変わっていたのです。
「宮崎さん、ど、どうしたの!?」
「雰囲気変わった?」
友人達が私の身体の変わりように驚いていました。
「ちょっとイメチェンしたんだ♪」
私の身体が嬉しそうにそう言いました。
それはちょっとのイメチェンと言うにはあまりの変化でした。

「ふふ、おはよう、高橋さん♪」
ウインクをしながら私にそう挨拶していきました。
「え、え!?」」
私は驚きを隠せませんでした。
嬉しそうに私に挨拶をしてきたのは私の身体だったからです。
私の身体が勝手に動いていました。
それだけでなく私に挨拶までしてきたのです。

私の身体は優雅に歩いて席へと向かいました。
ですがその格好は・・・
中身が見えそうなほどスカートを短くし時折中の下着が見えています。
顔には私がほとんどしないメイクまでしていました。
そしてアクセサリーをじゃらじゃらと身に着けています。
それはまるで以前の高橋さんのようでした。
その変わりようから最初見た時に自分の身体だと気づけないほどでした。
「うふふ♪」
しかも短いスカートのなのにも関わらずわざとらしく下着をチラッと見せながら歩いています。
男子達の視線がそこに行っているのがここからでも分かりました。



「あ、あの、ちょっと来てください!」
私は我慢できず好き勝手に振舞っている自分の身体を教室から連れ出していました。

私達は体育館の中の倉庫にやって来ました。
次の授業で使うクラスはなくしばらく二人っきりで話せそうです。
「どうしたの高橋さん?私をこんな所に連れて来て♪それにそんなにジロジロ見られたら恥ずかしいわ♪」
「いい加減にしてよ!あなたが高橋さんなんでしょ!」
あまりのぶりっ子に少し苛立ってしまいました。
正直下手すぎる私の演技にも腹が立ちます。
私は絶対にあんな言動はしません。
「えー、加奈何言ってるのか全然分からないな♪」
こんなに私が怒っているのにまだ揶揄うようにそう言ってきます。
「ちょっとふざけないでよ!」
「ふふふ、あはは、あー、あたしの身体がそんな顔するの面白いな」
突然私の身体が高笑いを始めました。
その喋り方や振る舞いは明らかに以前の高橋さんでした。
「やっぱり、あなた高橋さんなのね!」
「はは、そうだよ。あ、でも今はあたしが宮崎加奈になるのか」

そして私の自慢の長い髪を指でくるくる巻いて遊び始めました。
その態度も気に入りませんでしたがやっと二人で話すことができました。
「ふふ、やっぱり思った通りお前宮崎かよ♪あたしの身体になっても相変わらず地味なんだね。折角派手なあたしになれたんだからもう少し可愛い格好で来ればよかったのによ。あたしみたいにさ♪」
「それより、わ、私の身体でなんて格好をしているんですか!?」
「お互い様だろ、お前こそあたしの身体でそんなだっさい格好してるじゃん」
今私達が着ている服装はいつもと逆転していました。
高橋さんの身体になった私は髪こそ金髪でしたがそれ以外の身なりは整っていました。
逆に私の身体になった高橋さんは酷いものです。
まるで私が派手なギャルになったようでした。
そんな姿を見たくもない私は無性に腹を立てつつも話をつづけました。
「格好のことはどうでもいいです!それより早く元の身体に戻らないと!ちょっとスマホ持ってますよね。早く貸して下さい!」
私は高橋さんから強引にスマホを渡してもらうと早速中身を開きました。
ですが、昨日の送られてきたメールは見つかりませんでした。
「え、う、嘘、なんで!?」
私はここで一気に希望を失ってしまいました。
あのメールを読めば何とかなると思っていたのでそれがない現状どうすることもできません。
つまり私から妖精さんを呼び出せなくなってしまいました。

「おーい、スマホそろそろ返してくんない。まあ、それが嫌ならあたしが前に持ってたやつでもいいけどさ」
「ちょっと私は今元に戻る方法を考えているんですよ!高橋さんもせめて一緒に考えて下さいよ!」
私は隣で鬱陶しく呑気にしている高橋さんに遂に怒鳴ってしまいました。
高橋さんに考えてもらった所でどうしようもないのは分かりますがあまりにも何も考えてくれないので我慢の限界だったのです。
「うーん、面倒だからあんたが勝手に考えておいてよ。」
「ちょっと真面目に考えて下さいよ!このままだと私達ずっとこのままかもしれないんですよ!」
あまりにも真剣に考えていないので遂には怒鳴ってしまいました。


「別にいいよ、あたしはあんたのこの身体気に入ったからこのままでも構わないよ」
嫌がっている私を目の前にしているというのに平然とそんな事を言ってのけてきました。
「な、何を言ってるんですか!?」
私が昨日からずっと悩んでいるというのに冗談にもほどがあります。
「そっちこそなんだよ?あたしの身体じゃ不満なのかよ!」
高橋さんはムッとした表情で私にそう言ってきました。
「そういうわけじゃ・・・」
正直嫌でしたがここで高橋さんを怒らせても意味がありません。
それに私は昨日からずっとこの身体で苦労しているのですから嫌がって当然です。

「でもな、ちょっとこのおっぱいが小さいんだよな」
唇の端を吊り上げながら私の胸を揉み始めました。
揉んだというよりも平らな胸を撫でた方が正しいかもしれませんが・・・
「もう人の身体で遊ばないで下さい!そういえば昨日はどうして休んだんですか!?」
「決まってるじゃん。新しい身体で色々やってたのさ。たとえばオナニーとかな♪」
「な!?私の身体でなんてことを!?」
それはあまりにも予想外の答えでした。
昨日母親からは具合が悪いと言われていたのでてっきり入れ替わって倒れていたのではないかと思っていました。
私の心配をよそに高橋さんは呑気に私の身体で学校を休んでそんな事をしていたなんて・・・
「いやー、他人の身体でやるのも新鮮で面白いよね。実はまだじんじんしてるんだ♪」
そう言って高橋さんは私の身体で股間をさすりました。
「ひ、酷い!」
「あんたもあたしの身体でもやったんだろ?」
「そんな事するわけないでしょ!」
私は怒りながら反論しました。
あまりにも怒鳴りすぎた為に声が遠くの方まで響きました。
「へー、ふーん、あんたまだやってないんだ♪」

私は本気で飛びかかろうかと思いました。
このままでは高橋さんに私の身体を滅茶苦茶にされてしまうかもしれません。
もう我慢できず拳を握りしめ近寄ろうとした時です。
「あ、声がしたから来てみたけど、やっぱりいた。宮崎さんもうすぐ授業始まっちゃうよ」
もう授業が始まるのを友達が伝えにきてくれたようです。
でも実際には私の身体になってる高橋さんに言いに来たようですが・・・
「うん、今から行くよ。じゃあね、高橋さん♪」
そう言って私の友達と高橋さんは私を置いて行ってしまいました。



お昼休みになった頃やっと私は少し冷静になりました。
早くなんとかしないといけません。
しかし、とてもではありませんが高橋さんは協力的とは言えませんでした。
むしろ私の身体で嬉しそうにしている始末です。
こうなったら自分でなんとかするしかありません。
そして元に戻るにはあの妖精さんを説得する必要があります。

色々考え事をしていたら凄く疲れてしまいました。
少し一人になりたかった私は教職員しか使わないトイレにやってきました。
扉は全て開いているので予想通り誰もいません。
私は安心して一番奥の個室に入っていきました。


しばらくしていると誰かがトイレに入ってきました。
昨日と同じように同じ教室の友人なら正直嫌でした。
それに先生だとしてもここは教職員用のトイレなので見つかったら面倒です。
仕方なく私は入ってきた人物が個室に入ったタイミングで見られないように出ようとしました。

「ふふっ、ここなら誰にも邪魔されないね♪」
嬉しそうな声が隣から聞こえてきました。
聞こえてきたのは私の声でした。
正確には私の身体になった高橋さんです。
どうしてこんな所に?
私が不思議に思っていると
「さあてゆっくりと楽しむかな♪」
嬉しそうにそう言うと何やらがさがさと動き始めました。
少なくとも用を足そうとしている感じではありません。
そして何か良からぬ事をしようとしていると直感しました。

最初に聞こえてきたのは服が擦れる音でした。
そして肌が擦れる音も聞こえてきます。
隣の個室に私がいることに気づいていないのかその動きは激しくなっていきました。
それと一緒に息が荒くなっていくのが分かります。
「ふふ、やっぱりこの身体は気持ちいいな。四六時中楽しめちまうよ」
最初何を言っているのか理解できませんでした。
いやむしろ理解したくありませんでした。
「昨日は散々楽しませてもらったけど今日もたっぷり楽しむとするか。あん♪」

それは高橋さんが私の身体でエッチをしている音でした。
「はあ、はあ、くうう!」
エッチな声がここまで聞こえてきます。
息を荒くしてがさがさと動く音が嫌でも耳に入ってきます。
止めた方がいいのかもしれません。
でも私は注意するべき所なのにもかかわらずそれをずっと聞き続けてしまいました。

「あんん!」
なぜかは分かりませんが自分の喘ぎ声が凄くエッチに思えました。
そしてそれにつられて自分もエッチな気分になっていました。
私は変態ではないですし、むしろ普通だと思ってます。
ですが、なぜか私は自分の痴態にどきどきしていました。
この薄い壁の向こうで私の身体がエッチな事をしている、そう思うとなぜだか興奮していたのです。
もしかしたら高橋さんの身体のせいで興奮しやすくなっていたのかもしれません。
身体が勝手に反応しどんどん変な気分になっていきました。
しかも私自身も変だと分かっているのに壁に身体を引き寄せ耳を当てじっくりその音を聞いていました。
もっとあの声を聞きたいと思いました。

「はあ、はあ、どうせまだやった事ないんだろうな。たっぷりあたしが開発してやるよ」
高橋さんが私の身体で勝手にオナニーをしている、私の身体で勝手に・・・
段々とくちゅくちゅと水気を帯びた音が響いてきました。
恐らく私の大事な所を弄っているのでしょう。
「やばいよな。他人の身体でこんな事するなんて♪でもこいつの身体結構気持ち良いんだよな♪」
私は次第に身体を無意識の内に動かしていました。
落ち着きなく身体を揺すり次第に手を動かしていきました。
その手は今の私の身体についている大きな胸へと動いでいきました。
「ふふ、可愛いおっぱいだね♪あたしのに比べたら全然子供だけど、でもちゃんと感じる所は感じるんだな。ああー、良い。どんどん気持ち良くなってきた♪」
私は高橋さんの胸を触っていました。
大きくて柔らかくて気持ちの良い高橋さんの胸を・・・
制服の上から胸のラインをなぞるように手で触りその感触を味わいます。
「はあ、はあ、学校の中でこんな事して私とってもエッチな女の子なの。ああん!おっぱい気持ちいいよ!」
私の真似をしているのでしょうか、でも全然似ていません。
それに私は絶対そんな事は言いません。

高橋さんはずっと私の身体で好き勝手にしていました。
だから私も高橋さんの身体でやってしまうのに抵抗はあまり感じませんでした。
背徳感を抱きながら私は高橋さんの身体でオナニーを続けていったのです。
隣の高橋さんと声がシンクロするように私もスカートの中に手を入れていました。
既にあそこは濡れ濡れになっていました。
私は開いている穴にゆっくりと指を入れていきます。
「はあ、はあ、これが高橋さんの・・・」
隣に聞こえないように小さな声でそう言いました。
暖かくて湿った高橋さんの中を感じていたのです。
そして高橋さんが私の身体でしているように私も高橋さんの身体を弄っていました。

「はあ、はあ、気持ち良い、高橋さんの中・・・」
高橋さんが隣でやっている事と同じ事を私もしていました。
隣のくちゅくちゅという音に合わせて私も指を動かしエッチな音を出しました。
今トイレの中には私と高橋さんのイヤらしい声と音だけが響いていました。
「宮崎のおっぱい可愛いな。ふふ、乳首が興奮して勃ってきやがったぞ」
私も片方の手で高橋さんの胸を触り、そして揉みました。
びりびりとした感覚が沸き起こっていきます。
服の上からでも高橋さんの乳首が固く大きくなっているのが分かりました。


「あんん、加奈のおまんこ気持ち良い。感じちゃう♪」
また高橋さんは私の真似をしました。
しかも私の声でエッチに喘ぎながら・・・
でもそれが可愛いと思えてしまいます。
高く綺麗な声であんなにエッチな声を出されたら誰だって興奮しないでしょう。
私もそれを聞きながら股間に入れた指を激しく動かしました。
「はあ、はあ、そ、そろそろ行きそうだな。あんん!」
同じく私もいきそうでした。
最後までやってはいけないという思いは高橋さんのエッチな声に全部かき消されていました。
「んん!い、いく!いっちまう!」
私ももういきそうでした。
「だ、だめ、いっちゃう・・・」
そう思った時にはもう終わっていました。
「あんん!」
「ふんん!」
高橋さんのひと際大きな声が聞こえました。
一方で私も声を押し殺して気づかれないように最後を迎えました。
高橋さんの股間から液体が溢れ出ていきます。
私と高橋さんの二人の声が重なり合いながら全てが終わったのです。
私はしばらく高橋さんの身体で興奮が覚めるのを身体をぴくぴくさせながら待ちました。


 

ようやく少し落ち着いた私は個室から出ることにしました。
いけない事をしてしまった自分に後悔しつつ扉を開けます。

「随分楽しそうじゃないか♪」
そこにいたのは嬉しそうな笑みを浮かべた私の身体でした。
「え、なんで!?わ、私がいるって気づいてたの!?」
「あれだけ喘いでいれば誰でも気づくよ。まあ、おかげであたしもだいぶ興奮させてもらったけどね♪あたしの声も案外いけるな♪」
自分では声を出さないようにしていたつもりでした。
ですが、どうやら全部聞かれてしまっていたようです。
その表情から全てを知っているという感じが伝わってきました。

「ねえ、あたしの身体で何をやってたの♪」
そう言って私が入っていた個室に押し込められ鍵まで掛けられて逃げられないようにされてしまいました。
眼前に私の顔が迫っていました。
元の私とは思えない意地悪な笑みを浮かべています。
目と鼻の先にいつも鏡で見ている自分の顔がありました。
メイクもしているのでいつもより色気もあるように感じました。

「ご、ごめんなさい」
目を合わせることもできず私は謝ることしかできませんでした。
「別にあんたを責めるつもりじゃないよ。あたしもあんたの身体で昨日散々やりまくったんだからね。」
「え、人の身体で何をしてたのよ!?」
学校を休んでいるから心配していたがそんな事をしているなんて信じられませんでした。
心配していたのに自分の身体で好き勝手にされていたと聞かされてショックを隠せません。
「お互い様だろ♪お前だってあたしの身体でさっきまで楽しんでたんだから♪」

「あ、あれは・・・」
それは否定のしようがありませんでした。
「ほら、あたしの身体でこんなに濡らしちゃってるじゃん。」
スカートの中に手を入れて下着の上から指でなぞってきました。
さっき興奮していたせいでだいぶ濡れていました。
「や、やめて、そんな所さわらないで」
「恥ずかしがることないじゃん。それは元々あたしの身体なんだからよ」
自分の身体でないとは言え恥ずかしいことには変わりありません。
でも高橋さんはやめてくれませんでした。
「なあ、折角入れ替わった者同士なんだ一緒に楽しもうよ♪」
「いや、ああー・・・」
高橋さんはどんどん身体をくっつけて来ます。
そして私の背中に回り込んでしまうとぎゅっと強く抱きしめられてしまいました。
密着され身体をこすりつけられていきます。
「あたしの身体柔らかくて気持ちいいな。それに良いケツだ。ぷりぷりしてるぞ♪」
いやらしく撫でるようにお尻を触ってきます。
私は暴れて抵抗しようとしましたが、高橋さんは耳元でこう囁いてきました。
「別にいいんだぜ。その代わりあたしもこの身体で好き勝手にさせてもらうから。そうだな、最初にこの黒髪を金髪にでも変えてやるかな♪」
その気になれば高橋さんが私の身体でなんでもできてしまいます。
そして私の身体に遠慮なんてしてくれないでしょう。
「そ、それだけは、やめて!・・・はう!」

突然後ろから胸を鷲掴みにされ私は変な声を出してしまいました。
「ふふ、じゃあ、あたしの言う通りにするんだね」
私はそれに従うしかありませんでした。



「ほら、早く脱ぎな♪」
今私は個室で服を脱いでいました。
目の前には私の身体になった高橋さんがいます。
もちろんしたくてこんな事をしているわけではありません。
私の身体になった高橋さんに命令されて仕方なくやっているだけです。
「ふふ、顔を赤くして随分可愛い顔するじゃないか。あたしも興奮してきちゃった」
「な、なんでこんな事するの?!」
「あたしの身体になったあんたがどんな反応するのか見たいのさ♪」
イタズラな笑みを浮かべながら私にさっさと着ている服を脱ぐように迫ってきます。
その間嬉しそうに私の事を眺めていました。

「さあ、もたもたせず早く全部脱ぐんだよ」
言われた通りブラジャーを外すと大きな胸が飛び出てきました。
ショーツも脱ぐと冷たい空気が股間を冷やしていきます。
今の私はもう何も身に着けていません。
「ふふ、我ながら良いおっぱいしてんな。このおっぱいだけは名残惜しいな。ほれほれ♪」
そう言って私の大きな胸を触ってきました。
当然私は抵抗すら許されません。
高橋さんが満足するまで好きにさせなければなりませんでした。
「んん、あんん・・・」
私はできる限り我慢しました。
ですが高橋さんの行動は更にエスカレートしていきます。
「うわっ、あたしのおっぱいふわふわじゃん。その身体でいる時は大きすぎて鬱陶しかったけど、こうやって見ると綺麗なデカパイだな♪」
「あんん、そ、そんなに触らないで下さい・・・」
しかも高橋さんの身体は敏感なのか少し触られただけでも反応してしまいます。
今も胸を手で撫でられているだけなのに不思議な感覚になっていました。
「あたしのおっぱいすっかり気に入ってくれてるみたいだね。そのおっぱいで男にパイズリをするとすっごく喜んでくれるよ。今度試してみな♪」
「ぱ、パイズリ!?そ、そんな事私がするわけないでしょ!」
高橋さんはこの身体で今までたくさんのエッチをしてきた事を私に教えてきました。
今までやってきた男性との数にそのいかせ方などです。
正直そんな事知りたくもありません。
むしろ私がそんな汚れた身体にされた事を知らされ嫌悪感が増す一方でした。

「さあて、そろそろ本気でやろうか♪」
「や、やだ!そんなに、強く、も、揉まないで、あんん!」
高橋さんは私の顔でまた意地悪そうな笑みを浮かべると今度は胸を両手で揉み始めました。
ぎゅっと力を入れてくる為に流石の私でも耐えられませんでした。
感じたくないのに感じてしまいます。
それも今までの私の身体では感じた事のない気持ち良さでした。
「はあ、はあ、も、もう、いい加減に・・・んん!?」

私が後ろを振り返った瞬間言葉が喋れなくなりました。
正確には口が塞がれていたのです。
しかもそれは私の身体になっている高橋さんの唇によってでした。
ふわっとした感触が唇に広がっていきました。
私は私とキスをしていたのです。
「んん、んんー!?」
引き離したいのですが後ろから抱きつかれているので思うように身体を引き離すことができません。

更には私はキスをされながら胸まで揉まれていました。
自分の意志とは反対に身体は勝手に熱くなっていきます。
自分の鼻息が荒くなっていきます。
焦り、興奮、快感それらが私を覆っていました。
口の中では舌が絡みつかれていました。
しかもその絡みついてくるのは他でもない自分の舌です。
動いたりもがく程に複雑に絡んでしまいます。
目の前にいるのは自分の身体のはずです。
なのに私の鼓動はどんどん早くなっていきました。
身体がどんどんおかしくなっていくようでした。
「んん!」
「あたし毎日してたからね。だいぶ溜まってんだろ。大丈夫あたしが楽にしてやるよ♪」
普段の私なら絶対に言わない事をニヤニヤしながら言ってきます。
胸を握られた瞬間身体は反応してしまいました。
「あん!」
手で口を塞ぐも声は漏れてしまいます。
「あたしの身体で可愛い声を出すじゃないか。待ってな、もっともっと気持ち良くしてやるからさ♪」
「あうう、し、しなくて、いい・・・んん!」
もう片方の手の指が私の股間を撫でてきます。

こんな気持ちは初めてでした。
嫌なはずなのに高橋さんの身体は喜んでいました。
恥ずかしいはずなのにもっとしたいと思ってしまいます。
「ああ、あんん!」
「そうだろ、気持ち良いだろ。あたしの身体♪言わなくてもいいぜ表情で全部分かるからな。まったく涎まで流しやがって」
そう言って高橋さんは私が流した涎を舐めながらキスをしてきました。
ふわふわとした感覚に陥っていると良い香りがしてきます。
それは私の身体から漂っていました。
元の自分の匂いがこんなに良い香りだとは知りませんでした。
そして私はその自分の匂い嗅いでいたのです。
「ふふ、鼻を鳴らして何をしてるのかな?自分の匂い嗅いでるのかよ。お前意外と変態だな。まあ、これはお前の身体だ。好きなだけ嗅ぎな。ほらもっと吸えるように近づいてやるよ♪」
そう言って身体を近づてきたので私は喘ぎながら鼻でその香りを吸い込みました。
「はあ、はあ、私の身体、良い匂い、あうう!」
もう何も考えていませんでした。
ただ気持ち良くされて自分の香りを楽しむだけとなっていました。

「さあ、お待ちかねの時間だ。あたしの身体でたっぷり楽しみな♪」
そう言うと高橋さんは私の中に指をいれていきました。
元は自分の綺麗な指が私の中の奥へ奥へと入っていきます。
そして入り込んでいくにつれ高橋さんの身体が反応していきました。
「い、いや、ぬ、抜いて、あうう、そ、そんな奥に!はうう!」
股間から全身に広がっていく快感に私はどんどん覆われていきました。
「あたしの身体でだいぶ気持ちよくなってたみたいだね。もうびしょびしょになってるよ」
私の中だけでなく表面の肌も汗だくになっていました。
興奮した高橋さんの身体中から汗が流れ出ていました。
「そ、そんなに動かした、わ、私、へ、変に、な、なっちゃう!」
私の身体で高橋さんは激しく指を動かしました。
そして空いているもう片方の手で胸をむにむにと強く揉んできました。
「はあ、はあ、うう!き、気持ち、よ、よすぎて!」
胸も股間も快感の嵐でした。
高橋さんの身体はもう私の意志に関係なくびくびくと反応していきます。
もう私の我慢は限界に来ていました。
そして、その限界も超えてあとは最後を迎えるだけでした。
「い、いく!私いっちゃう!」
私の中で終わりが近づいていました。
興奮も快感も頂点を迎えようとしています。
「さあ、そろそろ終わりみたいだな。そうだ、私の身体でいっちまえ!」
「はあ、はあ、あんん!あうう!」
そう言って私の中で指を更に激しく上下させ続けました。
もう指が動いているのか私が動いているのかも分かりません。
ただ、もう止めることはできませんでした。

「ああんー!」
腰を突き上げ身体がビクッと反応した瞬間私の股間から勢いよく液体が飛び散りました。
股間がまだひくひくと唸っていました。
あまりの気持ち良さに意識が飛んでしまいそうでした。
「気持ち良かっただろ、あたしの身体♪いや、今は高橋さんだったな♪」


しばらくいった余韻が冷めないままになっていました。
まだ身体の火照りが取れません。
「さあて面倒だけど約束を守ってやるか」
私の横では約束通り高橋さんは私の身体で身なりを整えてくれました。
スカートの丈は長くし暑そうだったニットも脱いでくれたのです。
化粧も落としてくれました。
全部を終えると高橋さんはすっかり元の私の姿になっていました。
私はやっと安堵しました。
少なくとも見た目だけは元の私になってくれたからです。
これで私の評判も守られる。

「これが今のあたしか♪地味だと思ってたけどこういう格好も悪くないな♪」
高橋さんは私の身体で嬉しそうに今の自分の姿を楽しんでいるようでした。
私の方へ振り向くとイヤらしい笑みを浮かべました。
「じゃあ、今度はお前の番だな♪」
「え、私は・・・」
私は何を言われているのか分かりませんでした。
「あたしはちゃんとあんたのいつもの格好になってやったんだ。あんたもあたしになるのが筋だろ」
「そ、それはそうかもしれないけど、え、ちょ、ちょっと!?」
私は無理矢理座らされるとそのまま何もできないまま変えられていきました。

スカートの丈は短くされ、ボタンもいくつか外されてしまいました。
そして化粧を取り出すと私の顔にメイクをされていきました。
「ふふ、あたしがあたしの事可愛くするのも良いな♪」
こうなるともう私は高橋さんのなすがままになるしかありませんでした。
最後に私の身体で着けていたアクセサリーを今度は私の方につけていきます。

私はすっかり見た目までも元の高橋さんの格好になってしまいました。
学校で悪名高い「高橋江奈」になっていました。

「ほら、すっかりあたしになったじゃん♪」
そう言って手鏡を渡された私は恐る恐る鏡を見ました。
「ああ、私こんなになっちゃった・・・」
私の身体で嬉しそうにする高橋さんとは逆に私は高橋さんの身体で最悪な気分でした。
「うう、見えちゃう・・・」
他人の身体とはいえ下着を見られて嬉しいわけがありません。
スカートの丈が短くなったせいで中に履いているエッチな下着が見えそうになってしまい慌てて手で押さえました。
「こらおさえるなよ!それに見えたってあたしの身体なんだから気にしなくていいだろ」
「そ、そうかもしれないけど・・・」
このアクセサリーもじゃらじゃら身体にまとわりついて鬱陶しいです。

「じゃあ、あたしはあんたのフリをするから、あんたは私にちゃんと成りきるんだよ。さもないと・・・」
「わ、分かったわよ」
「分かってればいいんだよ。じゃあね、高橋さん♪」
そう言うと私の姿になった高橋さんは嬉しそうに走り去ってしまいました。















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