入れ替えられた悪の女幹部(後編)
 作:verdsmith7


「そ、そんな・・・、ヴァニラ様があんな奴に」
エリンは目の前で繰り広げられている光景に絶句していた。
その日いつものようにヴァニラの元を訪ねようと部屋に向かったエリンは扉の中から声が聞こえてくることに気付いた。
どうやら男女が何か話をしているようだが、それはとても穏やかな内容ではないことはすぐ分かった。
「このヴァニラ様の手も足も今じゃ俺の物だ。どうだ元ヴァニラ様、かつて馬鹿にしていた部下に身体を入れ替えられた気分は?下っ端の身体はどんな感じだ?」
まるで相手を馬鹿にするかのような声を出しているのは明らかにエリンが毎日会っているヴァニラの声だったが、言葉の内容は尊敬するヴァニラのものとは思えなかった。
確かに最近苛立っていたり部下を怒鳴ることもあったが、こんなに相手を馬鹿にする事は言わなかったはずだ。
「はは、ずっとこの胸を触りたかったんだ。見ろよこの大きさ。それにこんなに柔らかいんだぜ。うわ、ぷにぷにだ」
喜びながらヴァニラはまるで男のような口調で部屋にいる別の人物に話しているようだ。
(ヴァニラ様どうしたのかしら?)
エリンはヴァニラの様子が気になり部屋の中へ入ろうとドアをノックしようとしたが、ヴァニラと会話しているもう一人の男性が話し出したことで手を止めた。
「ダラン止めて!ああ、私の胸なのに・・・」
男性の声もエリンはよく聞いたことがある。
ヴァニラによく叱られていたダランのようだ。
しかし、ダランは男口調で喋るヴァニラとは逆にまるで女性のような喋り方をしている。
(ヴァニラ様、ダランなんかと二人で一体何をしているの?)
エリンは部屋の前で聞き耳を立てていたが、辺りを見回すと偶然その周囲には人はいなかった。
本来なら誰かを呼びに行くべきだったのかもしれないが、ヴァニラの事が気掛かりなエリンはとにかく中で二人が何をしているのか知りたかった。
息を飲みながら扉を開けると小さな隙間から中を覗き込んだ。
「そろそろ俺の身体に少しは慣れてくれたか、元幹部のヴァニラ様?いや今は下っ端の最弱戦闘員のダランだったな」
部屋の中では、なんとヴァニラが制服と下着を脱ぎ恥ずかしげもなく胸と股間を露わにしていた。
豊満な胸とくびれがはっきり分かるお腹は、その美しい顔と合わさりまさしく美女に相応しい。
同性であるエリンですら惚れてしまいそうなヴァニラの身体だったが、部屋にはなんとあのダランの姿があったのだ。
(何でヴァニラ様とダランがあんな事を?!)
一瞬ヴァニラとダランが男女の営みをしているのかと思ったエリンだったが、どうやらそうではないらしい。
ヴァニラはダランに対して好意を抱いているどころか、能力の低さで頭を悩ませていたはずだ。
それなのに急に男女の仲になるなどエリンには信じられなかった。
しかし見ていると、どうも二人の様子がいつもとおかしい。
嬉しそうにダランに迫るヴァニラとは逆に、ヴァニラに迫られているダランはなぜか嫌がっているようなのだ。
ヴァニラの裸を前にして股間を大きく立たせたダランだったが、その表情は困惑しているようにも怯えているようにも見える。
「ほーら、そんなに男のチン〇おっ立てて自分の裸に興奮しちゃったのか?とんだ変態だな。いやダランならお似合いの反応か」
「何言ってるの!?私がヴァニラよ、あなたがダランでしょ!」
(え、どういうこと?)
そして一通り豊満なヴァニラの胸を触り終えたヴァニラ(ダラン)は何もできず股間を大きくさせるだけのダラン(ヴァニラ)に近寄ると、無理矢理着ていた服を脱がせてしまった。
服を脱がせるとヴァニラ(ダラン)は自分の物となった女の股間に指を入れ、もう片方の手をかつての自分の身体であるダランの大きくなった男の象徴を掴むと大きく動かし始めた。
「あうう、止めてよお願い」
大きくなった股間を掴まれたダラン(ヴァニラ)は情けない声でそうヴァニラ(ダラン)にお願いした。
しかし、男の身体で恥ずかしがりながら男の快感を感じているダラン(ヴァニラ)を見ていたヴァニラ(ダラン)は興奮したのかニヤッと笑うと、その願いを聞き入れるどころか更に手の動きを強めていった。
「はあ、はあ、どお、男の快感も病みつきになるでしょ?」
男女の交際経験が多少あるエリンにとっても、ヴァニラの行動は明らかにおかしいものだった。
それほど仲が良いわけでもない異性のあそこを嬉しそうに握る女性などほとんどいないはずだからだ。
それなのに普段から敬っていたヴァニラの身体が、今まで馬鹿にして卑下していたダランの股間を嬉しそうに動かしているのだ。
できればエリンはそんな光景から目を背けたかった。
「凄い、あなたのチン〇どんどん大きくなっていくわ。もうビンビンね。ふふ、それに私のここもだいぶ濡れてきちゃったみたい」
「はあ、はあ。言わないで!私の、俺の口でそんなはしたないこと!・・・お、お願いだ」
(ダランの話し方が変わってる。さっきまでダランがヴァニラ様みたいだったのに)
まるでヴァニラとダランは身体で感じる度に口調が変わっていっているように見えた。
今はもうどっちが本物だったのか分からないぐらいにお互いの口調になっている。
もうダラン(ヴァニラ)は抵抗することもせず、ヴァニラ(ダラン)の成すがままに股間を動かされていた。
一方ヴァニラ(ダラン)も片方の手を自分の股へ入れ激しくその中で手を動かし女の快感をかみしめていた。
他人から見れば、ヴァニラがオナニーをしながらダランを気持ち良くさせているようにしか見えないだろう。
(こ、こんな事って・・・)
入れ替わったばかりの二人が絶頂を味わうまでにそれ程時間は掛からなかった。
「俺もうだめだ。イク!出る!ああー!」
「私もだめー。ああーん!」
ダランとヴァニラの股間から大きく液が飛び散っていく。二人は絶頂を味わってしまったのだ。
「はあ、はあ。も、もう勘弁してくれ・・・」
何とか息を整えようとするダラン(ヴァニラ)だったが、ヴァニラ(ダラン)はまだ終える気はないようだ。
「うふふ、話し方もだいぶ前の私になってきたわね。そうね、もう少し気持ちよくなったら自由にしてあげる」
そう言ってヴァニラ(ダラン)はまたダラン(ヴァニラ)の股間を握り動かした。
「うふふ、これからも私の部下としてよろしくねダラン」
確かに見た目は憧れていたヴァニラと見下していたダランだった。
しかしエリンは確信してしまった。二人の中身が入れ替わっていることを。
(そんな!?ヴァニラ様があんな奴と入れ替わっていたなんて・・・)

あれから何度もダラン(ヴァニラ)は、元の自分の身体であるヴァニラの身体を奪ったダランによって男の快感を味わされた。
幾度となく抵抗も試みたが、ダランの身体では力の差は歴然だった。
頭では数々の経験を積んで相手にどう対処するか分かっているはずなのに、それをダランの身体で行うには無理があった。
一方、実戦も経験でも劣るはずのダランは、ヴァニラの身体を得てまるで無意識にヴァニラの戦闘スキルを会得していた。
「ふふ、頭で考えるより先に身体が勝手に動いてくれるのって凄いわね。流石は幹部の身体といった所かしら」
それはヴァニラが長く苦しい訓練を経て身体に染み込ませたものだった。
ダラン(ヴァニラ)は後ろから身体を押さえつけられると、再び自分の股間が手に包み込まれていることが分かった。
「ク、クソ!あうう・・・」
そして再び男の身体で味わった快感と男にされてしまった屈辱感を同時に感じるのだった。
「はあ、はあ・・・」
しばらくしてまだ男の快感の余韻に浸っているダラン(ヴァニラ)にヴァニラ(ダラン)は言った。
「さあいつまでもボーっとしてないの。そろそろ訓練の時間でしょ。あなたみたいな下っ端はうんと頑張らないとね」
ヴァニラ(ダラン)は下着を履きながらダラン(ヴァニラ)に訓練へ行くよう促した。
さっきブラを外すのに手間取った時と比べて今度はすんなりとホックをしてブラを身に着ける。
それはまるで慣れた女性の手つきのようだった。
「それにしても女性のブラやショーツって落ち着かないわね。この締め付けられてる感じがまだ慣れないわ。いっそ下着を外して過ごそうかしら」
「そ、それだけは止めてくれ!」
ダラン(ヴァニラ)は慌ててブラを再度外そうとするヴァニラ(ダラン)を止めに入ろうとした。
するとヴァニラ(ダラン)は大きな声で笑った。
「ふふふ、冗談よ。ああ可笑しい。これがあの幹部のヴァニラだなんて」
「く!」
ダラン(ヴァニラ)は自分が茶化されているのだと知り、険しい表情になった。
だが、相手は全く悪びれる様子もない。
「ほら、あなたも早く着替えて訓練に行かないともう遅刻よ」
その時既に訓練の開始時刻を過ぎていた。

訓練場にダランが息を切らしながらやって来ると、既に他の戦闘員は訓練を始めていた。
ダランが到着すると一人の戦闘員が笑いながら周囲に聞こえるように言った。
「おいダラン、またヴァニラ様に叱られていたのか?」
それを聞いて戦闘員から笑いが巻き起こった。
ダラン(ヴァニラ)は歯を食いしばりその屈辱に耐えた。
本来自分がヴァニラで、彼らより位も高い彼女が今ダランとして皆の笑い者にされていたのだ。
ヴァニラにとっては屈辱以外のなにものでもない。いっそ「自分こそが本物のヴァニラだ!」と大声で言ってやりたいと思った。
しかし、そう思う度にヴァニラ(ダラン)が言ったことが脳裏をよぎった。
『もし、誰かに身体を入れ替えたなんて言ったら・・・』
そう言った時のヴァニラ(ダラン)の顔はかつての自分とは思えないほど冷酷で不気味な笑みを浮かべていた。
「ダラン!遅刻したのにボーっとしてるんじゃない。訓練を始めるぞ!」
そしてダラン(ヴァニラ)の訓練が始まった。
いつもならこんな訓練は朝飯前だったが、今のダラン(ヴァニラ)は幹部のヴァニラでなく戦闘員それも最弱と言われたダランの身体だった。
頭では理解していても身体が思うように動かせない。
「ほら、もっと身体を動かせ重心を意識しろ!」
訓練指導者が声を荒げて指導してくるが、そんなことダラン(ヴァニラ)にも百も承知だった。
結局その日の訓練は全てが上手くいかず終始身体を上手く動かせないまま時間だけが過ぎた。
「はあ、はあ、クソ!あの身体なら簡単にできるのにこんな身体のせいで・・・」
訓練場から他の戦闘員が去り一人になったダラン(ヴァニラ)は、かつての強靭な肉体も能力もない今の身体に悪態をついた。

「あ、あの・・・」
誰もいないはずの訓練場でダラン(ヴァニラ)は後ろから呼びかけられた。
「誰だ?」
振り返ってみると、そこにはかつてヴァニラを慕ってくれていたエリンの姿があった。
ダラン(ヴァニラ)は一瞬エリンなら自分達が入れ替わっていることを信じてくれるかもしれないと思ったが、声を掛ける前に踏み止まってしまった。
今の自分を見て誰が幹部のヴァニラだと信じてくれるだろうか。
そう思うとダラン(ヴァニラ)はエリンに背を向けて立ち去ろうとした。
「悪い。俺、急いでいるから・・・」
すると背中からエリンの声が聞こえてきた。
「あの・・・ヴァニラ様」
「え?」
ダラン(ヴァニラ)は一瞬聞き違いかと思った。
エリンが今の自分を見てヴァニラだと呼ぶはずがないのだ。
だから何と返答すれば良いか困ってしまった。
だが、一方のエリンはそんなダラン(ヴァニラ)の反応を見て確信した。
「やっぱりヴァニラ様ですよね?私見てました。二人がヴァニラ様とダランが部屋でしてたこと・・・だから私全部知ってます!ダランの姿をしてるあなたがヴァニラ様で、ヴァニラ様の姿をしているあいつがダランだってこと」
しばらくダラン(ヴァニラ)とエリンは二人で話し合った。
今のヴァニラは姿も話し方もだいぶダランのものに変わってしまっていたが、エリンは話をする内に中身がヴァニラだと思えるようになった。
エリンは姿や口調が変わっても、思考までは変わっていないヴァニラを確認できて安心した。
そしていよいよ本題に入った。
どうやって二人が入れ替わってしまったのかそれを知る必要があった。
「どうやってダランがヴァニラ様と入れ替わったのか覚えてますか?」
「いや、覚えてねえ。部屋であいつが俺の手を握った途端急に意識がなくなってよ。そしたら俺はダランになっちまってたんだ」
二人はダランがどうやってヴァニラと入れ替わったのか方法を探ることにした。
「取り敢えず入れ替わった方法を探らないと。私はあいつが今使ってるヴァニラ様の部屋を調べてきます。私なら怪しまれずに中に入ることができますから」
「分かった。エリン気を付けてくれよ。俺は自分の部屋を調べるから」
エリンはたとえダランの姿になっても自分の心配をしてくれる姿に、やっぱり中身は敬っていたヴァニラなのだと実感できた。
「すまねえエリン。今の俺にはエリンしかいないから・・・」
ダランの姿では頼れる人物はいないも同然だった。
今のダラン(ヴァニラ)にとってエリンの存在はとてつもない支えになっていた。
「大丈夫です。私に任せて下さい。きっと元の姿に戻りますから」
そう言ってエリンはダラン(ヴァニラ)の手を握った。
温かいエリンの手の温もりが伝わってくる。
それはエリンの体温を感じているというよりエリンの優しさに触れているようだった。
するとダラン(ヴァニラ)は自然とエリンの背中に手を回すと抱き寄せた。
エリンは何も言わず身体をダラン(ヴァニラ)に預けた。
その時のダラン(ヴァニラ)はエリンを自分を支えてくれる部下として接したかった。
しかし、その時心の中では別の感情が湧いてきてしまった。
(エリンのおっぱいが俺に当たってる。凄く柔らけえ)
そしてその思いは無意識の内にダランの股間へと流れ込み男性の象徴を大きくしてしまった。
しばらく抱き合っていた二人だがエリンが急に恥ずかしそうに言った。
「あ、あのヴァニラ様・・・。そ、その下のあそこが私に当たってます」
見るとダランの大きくなった股間がエリンの身体に触れていたのだ。
「す、すまねえエリン!」
ダラン(ヴァニラ)は慌ててエリンを離した。
「は、早く身体を元に戻しましょうね。あいつが部屋にいない時を見計らって探してみますね」
そう言ってエリンも顔を赤く染めながら恥ずかしそうに下を向いてしまった。
しかし、ダラン(ヴァニラ)はそんな恥ずかしがっているエリンを見るとこう思ってしまった。
(エリンってやっぱり可愛いな)
ダラン(ヴァニラ)は今の自分の部屋もといダランの部屋を何かないか探し回った。
しかし、出て来る物はゴミやエッチな雑誌ばかりだ。
「チクショウ!何も見つからねえ!」
部屋中を探し回り疲れた身体をベッドに横にさせると隣に置いてあったエッチな雑誌に目が行った。
表紙には裸の綺麗な女性が笑顔を振りまいている。
自分がヴァニラだった頃ならそんな物は没収していただろう。
しかし今のダラン(ヴァニラ)にとってそれは男性の単なるオカズでしかない。
疲労のせいか自然と女性の顔や胸や股間を食い入るように見てしまった。
「俺もちょっと前までこんなんだったのにな」
ダラン(ヴァニラ)は女性のヴァニラの身体だった時のことを思い出していた。
この雑誌に載っている女性に負けないぐらいの胸もスタイルもあった。
それはこのダランの身体とは比べ物にならないぐらいの身体だった。
ダラン(ヴァニラ)はそんな事を思い出し自然と大きくなっていた股間に手を置いた。
次にこんな姿になっても慕ってくれるエリンを思い浮かべていた。
優しい笑顔、そして自分の手を握ってくれた柔らかい肌を思い出していた。
そして自分の身体に触れた大きく柔らかい胸の感触をはっきりと思い出した。
するとダラン(ヴァニラ)の股間が更に膨らんでしまった。
流石に膨れ上がった股間に気付いたダラン(ヴァニラ)は慣れない男の一物に手を焼くしかなかった。
「また大きくなってきやがった。それより俺自分の身体やエリンを想像して興奮したのか?」
既に何度もヴァニラ(ダラン)に抜かされていたとはいえ、ダラン(ヴァニラ)の中身は女性だ。
だから自分の身体や同性であるエリンを想像して興奮してしまう自分を恥じてしまった。
「クソ!こ、こんなの!」
ダラン(ヴァニラ)はそんな自分の意思に反して大きくなっていく男の象徴を無理矢理手で押さええ込もうとした。
しかしダランの性欲はヴァニラが想像していたよりもはるかに大きなものだった。
「ああ、ダメだ、自分で触っても気持ちよく感じる。クソ!嫌なのにまたチン〇で気持よくなりてえ・・・」
ヴァニラ(ダラン)の手で触れられた時もその柔らかい手の感触が気持ち良かったが、今の自分の手で触れても気持ちが良いと思えてしまった。
そしていつの間にか自分の手で大きくなった股間を握りしめ前後に動かしていた。
「チクショウ。止めねえといけないはずなのに手が勝手に動いちまう。ああ、クソ」
ふと置いてあったエロ雑誌の女性が目に入った。
「はあ、はあ。この女のここに俺のチン〇を入れたら気持ちが良いんだろうな」
そんな言葉がダラン(ヴァニラ)の口から出てきた。
とにかく今自分の股間で大きくなっているモノを女の股間に入れたい、今はそれだけを妄想していた。
それはもう女性のヴァニラの思考でなく男性であるダランの性欲に他ならなかった。
やがて股間から溢れ出てくる妙な感覚が起こり始めた。
ダラン(ヴァニラ)はすぐにそれが男の絶頂が近づいているのだと理解した。
まるで最初から男だったかのように、どうすれば気持ち良くなれるのか分かった。
股間を握る手に力を入れ、左右に大きく動かした。
「またイッちまう、おおー!」
そして股間から白い液体が飛び散った。
まだ絶頂の余韻に浸っているダラン(ヴァニラ)は壁に貼ってあるヴァニラとエリンの写真に気付いた。
そして彼女達の胸に手を置き呟いた。
「はあ、はあ。次はこいつらとやりてえ・・・」
自然と呟いた言葉にダラン(ヴァニラ)は自分自身で驚いた。
「は!俺今何を言ってたんだ!?」
いつものヴァニラならあんな事は絶対に言わないはずだったからだ。

あれから何とか入れ替わった手掛かりがないか調べてみたものの、ダラン(ヴァニラ)とエレンは何の進展もなく時だけが過ぎていった。
ダランになったヴァニラはダランの部屋をくまなく探したが何も出てこなかった。
エリンもヴァニラ(ダラン)の隙を見ては部屋に何かないか探し回ったが手掛かりはなかった。
仕方なくヴァニラは戦闘員のダランとして訓練をする日々を送っていたが、元の身体との落差を思い知らされる毎日を送っていた。
「クソ!元の身体ならこれぐらい朝飯前なのに・・・」
今の自分の身体に愚痴を言っては自室に戻ると、まるで本物のダランがしていたように自分の股間を握った。
こうしている時が一番辛い現実を忘れられるような気がしたのだ。
「はあ、はあ。今日もやっちまった・・・」
ダラン(ヴァニラ)はダランの身体でオナニーをする事に屈辱を感じていた。
無理矢理ダランの身体と入れ替えられその身体でオナニーなどするなど、ヴァニラの身体の時なら寒気がしただろう。
だが、入れ替わった後にヴァニラ(ダラン)に味わされた快感が頭から離れなくなっていたのだ。
あの日の気持ち良さをもう一度味わいたい、そしてヴァニラのあの手でやってもらいたいという思いが日に日に強くなっていった。
「ああ、あの白い柔らかい手でまたこうやって握ってもらいてえな」
そうやって自分の股間を動かしていった。
あの後ダラン(ヴァニラ)とヴァニラ(ダラン)が接する機会はなかった。
今はお互いを演じている、いや自然にそれぞれの人物として振る舞っていると言っていいだろう。
エリン以外に誰もダランとヴァニラが入れ替わっていることなど気付いていないのだから。
ダラン(ヴァニラ)も何度かヴァニラ(ダラン)に接触しようとしたが、下手に動けばまた前のように力でねじ伏せられるのが目に見えていた。
今はエリンと協力して何か手掛かりが出るまで下手に動かない方が得策だと思ったのだ。

夜、ヴァニラ(ダラン)は部下と別れて自室で一人になると嬉しそうに自分の胸を見下ろしていた。
そしてゆっくりと自分に付いている大きな胸を制服の上から優しく撫で上げると嬉しそうに言った。
「うふふ、一仕事終えた後のヴァニラ様でやるオナニーは最高ね」
組織から支給された制服の上から胸を触り、自分の股間に慣れた手つきで手を入れていく。
その姿は威厳のある幹部のヴァニラではなく、単なる破廉恥な痴女にしか見えなかった。
ヴァニラ(ダラン)は鏡を見ながら毎日こうやって女のオナニーを楽しんでいた。
女の快感を得ると共に鏡で普段は絶対見られないヴァニラの痴態を見るとゾクゾクと興奮したのだ。
しかし、ヴァニラの身体を得たダランにも不満がないわけではなかった。
「この制服はいい加減飽きたわね。動き辛いし肩は凝るしもう少しオシャレな服を着たいわね」
そう言うとヴァニラ(ダラン)はニヤッと笑った。
翌朝ヴァニラ(ダラン)は部下の戦闘員全員を呼び出した。
幹部の集合命令に何事かと部下達が向かって行く。
「一体何を始めるつもりだ?」
ダラン(ヴァニラ)も彼らと共に集合場所へと歩いていた。
するとエリンも道中で一緒になることができた。
「エリン何か知ってるか?」
「いえ、私も今朝急に集まるように言われたので」
集合場所には既に大勢のヴァニラの部下が集まっていた。
「今朝はヴァニラ様より諸君に新しい方針が伝えられる。謹んで聞くように」
ヴァニラの姿が現れるとざわざわと皆が動揺し始めた。
姿を見せたヴァニラ(ダラン)の格好は今まで着ていた堅い制服ではなく肌を大きく露出させたエッチな見た目の衣服を身に着けていたからだ。
胸元を見せつけるだけでなくへそを出したトップスが着られ、下はズボンではなくミニスカートになっていた。
その格好は威厳があるというよりも、男達を誘惑するために作られた物にしか見えなかった。
また、アクセサリーも以前は全くしていなかったがピアスや腕輪をしていた。
まるでその姿は別人のようであったが、本当に別人だと知っている者はこの中で2人だけしかいなかった。
唖然として見ていると、ゆっくりヴァニラ(ダラン)は部下たちの前へと歩み出した。
ヴァニラ(ダラン)が一歩足を地面に着ける度にその豊満な胸は上下に揺れ、男達はその揺れを自然に目で追ってしまっていた。
ダラン(ヴァニラ)もその大きくはみ出た胸の谷間に目が釘付けになった者の一人だ。
目の前の人物がかつての自分とは思えないぐらいの変わりようにダラン(ヴァニラ)は呆然とするしかなかった。
横を通りすぎる際、ヴァニラ(ダラン)は明らかにダラン(ヴァニラ)に微笑えむと誘惑とも挑発ともとれるウインクをしてみせた。
そして以前は薄いメイクだったが、今通り過ぎた時に見えた顔には前よりもメイクは派手になっている事が分かった。
突然のヴァニラの変わりように一同が驚いているとヴァニラ(ダラン)は口を開いた。
「前の作戦を皆覚えてる?」
最初に出てきた言葉は、前の作戦のことだった。
本物のヴァニラが指揮していた作戦だ。
「お、おい。まさか前の作戦の事で叱るために呼ばれたのか?」
もしやヴァニラは前の作戦の失敗の反省をさせる為に自分達を呼んだのではないかとそわそわし始めた。
なぜなら以前はそういう事をよくやらされていたからだ。
今回もそうなると誰もが予想した。
しかし次にヴァニラから出てきた言葉は意外なものだった。
「前の作戦は大失敗だったけど。あれはもう忘れましょう。なぜなら指揮していた私に一番の責任があるんだから部下の貴方たちの責任じゃないわ。だから次の任務を頑張ってほしいの」
ヴァニラは深く部下達に頭を下げる。
そして頭を上げるとニコッと笑った。
その方向にはダラン(ヴァニラ)の姿があった。
ダラン(ヴァニラ)はそれを拳を握って聞いていた。
以前の作戦の失敗は全部指揮していた自分にあると言われていた事は明白だった。
どうせなら今から部下達の前に出て「あのヴァニラは偽物で私が本物のヴァニラだ!」と言ってやりたいと思った。
しかしヴァニラ(ダラン)の話はまだ続いた。
「皆私の格好に驚いているようね。これは今までの私と違うことを皆に知ってもらいたいからよ。それにあなた達が着ているその無個性な服も近いうちに新しい物に変えるわ。男性はもっと格好よく女性はセクシーで可愛い制服にね。じゃあ心機一転皆頑張って頂戴」
その後は司会を進めていた男により、ヴァニラから提示された新しいルールを次々と告げられた。
一通りの話が終わると部下たちは語り始めた。
「ちょっと意外だったけど俺好きだな、ああいうヴァニラ様も。前はよくピリピリしてたしな」
意外なことに他の戦闘員達には好印象だったようだ。
二人の例外を除いては。

それからヴァニラ(ダラン)は部下の前ではもちろん任務の遂行の際にもその衣装を着て出るようになった。
最初は驚いていた他の組織のメンバーだったが、時間が経つにつれて誰も咎める者はいなくなった。
元々組織でも数少ない幹部の一人だったヴァニラに対して文句を言える人物は少なかった。
それに以前はピリピリと怒りっぽい所があったヴァニラが急にフランクに接するようになった事で、部下達の張りつめていた緊張もほぐすこととなったのだ。
今では皆が口をそろえてヴァニラ様は前より良くなったと言っている。
それを聞く度にダラン(ヴァニラ)は歯を食いしばった。
悔しい・・・プライドの高いヴァニラを痛めつけるのにこれほど苦痛なことはなかった。
ヴァニラの身体の笑顔を見る度に悔しさと興奮が入り混じっていた
エリンもその焦りを感じ取っていた。
だから少しでも本物のヴァニラの力になりたいと思い遂に思い切った行動に出た。
ヴァニラとダランが入れ替わった後もエリンは以前と同じようにヴァニラ(ダラン)と接していた。
それは何か入れ替わりの原因を突き止めるためであった。
内心では今のヴァニラ(ダラン)を憎んでいたのだ。
憧れのヴァニラの身体を奪ったダラン、それが今ヴァニラの身体で地位で好き勝手にしているのだ。

ダラン(ヴァニラ)とエリンが何とか元に戻る方法を相談していると、何とヴァニラ(ダラン)が二人に声を掛けてきた。
「二人とも楽しそうに何やってるのかしら?もしかして付き合い始めたのかしら?」
笑みを浮かべながらそう二人に話す。
「いえ何もないです。最近ダランが訓練が上手くいってないのでアドバスをしていただけですから」
「まあいいわ。ダラン話したいことがあるから一緒に来なさい。この後総統に呼ばれてるから早くしなさい」
話したいことが何なのか皆目見当もつかなかったが、行かないわけにはいかなかった。
「ヴァニラ様大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
ダラン(ヴァニラ)とエリンはヴァニラ(ダラン)に聞こえないように話した。

「お、俺の身体で勝手なことしやがって!」
部屋に到着するなりダラン(ヴァニラ)はヴァニラ(ダラン)に怒鳴った。
かつてヴァニラだった時と同じく部下に怒鳴るように声を荒げた。
「そうやってすぐ怒るから部下達の士気が下がったのよ」
「五月蠅い、とっとと俺の身体を返しやがれ!」
ヴァニラにとってそれは図星だった。
しかしそれで納得できるはずがなかった。
「何で返す必要があるのかしら?もう私の方があなたより人望もあって士気も高くて任務でも結果を出してるのよ。もういいじゃない、私がヴァニラであなたがダランの方が良いと思うけど」
ニヤニヤと笑いながらそうダラン(ヴァニラ)に告げた。
「クソが!俺はこんな身体一刻も早くおさらばしたいんだ!」
ダラン(ヴァニラ)はヴァニラ(ダラン)の言葉を必死に否定しようと大声を出した。
しかし、ヴァニラ(ダラン)はダラン(ヴァニラ)の怒りを無視して話を続けた。
「そうかしら?そう言ってる割りにその身体で毎日オナニー楽しんでるんでしょ」
それを聞いてダラン(ヴァニラ)は動揺してしまった。
エリンでさえそんな事知らないはずだ。
「ど、どうしてそれを?!」
「だってその身体私のだったんだから、その身体のことはよく知ってるわよ。だけどあなたの方がダランにぴったりみたいね」
ヴァニラ(ダラン)はダラン(ヴァニラ)の股間を指さすと笑った。
そこには大きく膨れた股間が立っていたからだ。
「こ、これはお前の身体が勝手に・・・」
「うふふ、でもその身体を使ってるのはあなたでしょ。やっぱりその身体に慣れていてくれたみたいで嬉しいわ。そうだ、私の新しい制服気に入ってくれた?私こういうの着てみたかったんだ。最初は恥ずかしかったんだけどね」
間近で見るとその際どい格好で目のやり場に困ってしまう。
胸元は大きく開き大きな胸の端がチラチラと目に入り、ミニスカートからは長くて綺麗な脚が伸びている。顔を見ればヴァニラ本人がほとんどしなかったメイクをして、元から美しかった顔がよりいっそう美女の顔を際立たせていた。
今のダラン(ヴァニラ)にとって、元の自分の身体のどこを見ても直視できないぐらいに女として魅力的だったのだ。
「ふふ、どうして目を逸らすの?」
ダラン(ヴァニラ)は意識しているわけではなかったが、制服から飛び出そうとしている胸元に目線をチラチラ移していた。
その度に目線を逸らそうとするが、すぐに目は胸を追いかけてしまう。
「ちょっとー、人が話しているのに何でこっちを見ないのよ。しかも私はあなたの上司なのよ」
目の前のエッチな戦闘服に身を包んだ自分の身体を見てなぜか興奮していたのだ
「お、お前がそんな服を着てるからだろ」
「うふふ、だってこんな素敵な身体部下達に見せびらかさないなんて勿体ないじゃない」
そう言ってダラン(ヴァニラ)にヴァニラ(ダラン)の胸元や下着を見せびらかした。
「ふふ、本当はダランも気に入ってくれたんでしょ?ほら、あなたの下の方が正直みたいね」
見るとダランの股間はさっきより更に大きくなっていた。
「え、こ、これは・・・うう、チクショウ!」
本能に抗えず情けない姿を見せてしまったダラン(ヴァニラ)はもはや否定さえもできなかった。
できる事といえばモジモジと大きくなった股間を手で押さえることだけだった。
「ねえ、ダラン?」
今度はヴァニラ(ダラン)が上目遣いで近寄りながらそう言った。
「お、俺はダランじゃ・・・」
ダラン(ヴァニラ)は最後まで話す前に言葉を止めてしまった。自分の口を暖かい物で塞がれてしまったからだ。
それはヴァニラ(ダラン)の唇だった、そしてダラン(ヴァニラ)今かつての自分にキスをされていることに気付いたのは少し間が空いてからだった。
最初は自分が何をされたのかすら分からなかったが、自分の口の中にヴァニラ(ダラン)の舌が入りようやく事態を飲み込めた。
絡んできた舌はまるで相手が自分の身体であったことを忘れさせるように濃厚だった。
いつの間にかダラン(ヴァニラ)も自分から舌を絡みつかせていた。
二人の口から舌の絡みつくイヤらしい粘着質な音が聞こえてくる。
「んん」
するとダラン(ヴァニラ)の頭の中で変化が起こり始めた。
ずっとヴァニラの事が好きであったこと。
ヴァニラの部下として配属されて嬉しかったこと。
しかし結果が伴わずヴァニラに叱られ何とか見返したいと思っていたこと。
そして次第に優しいエリンを好きになっていったこと。
「ん!んんー!」
咄嗟にヴァニラ(ダラン)を突き放す
「はあ、はあ。な、何だこの記憶は?」
「思い出してきたかしらダラン?」
ダランと言う呼びかけにも抵抗がなくなっていた事はこの時理解できていなかった。
まるで自分が自分でなくなっていくような感覚に理解が追いつかなかった。
「お、俺に何をしたんだ?」
やっと口から出た言葉がそれだった。
その間にも自分がヴァニラだったという記憶が段々と薄れていくのが分かった。
「ち、違う!俺はダランじゃない!俺がヴァニラ様だったんだ・・・」
必死で自分のアイデンティティを守ろうとするダラン(ヴァニラ)だったが、ヴァニラ(ダラン)は情け容赦なく次の行動に出た。
「うふふ、何言ってるの、あなたはダランでしょ」
「お、俺は・・・うぷ!」
今回は唇を塞いだのはヴァニラ(ダラン)の唇ではなく、大きな胸だった。
自分の胸元にダラン(ヴァニラ)の顔を押し当てたのだ。
必死でダラン(ヴァニラ)はもがくが、力では勝てずそのまま胸元に顔を当て続けてしまう。
「んん、んんー!」
胸元に顔を押し当てられ、顔に柔らかい胸の肌が当たっている。
そしてそこからとても良い匂いがしてきた。
それは女性の体臭ではなくもっと甘い感じがした。
「ふふ香水を付けてきたのよ。あなたのためにね」
顔を包み込む柔らかい感触と甘い香りで、ダラン(ヴァニラ)は必死で保っていた理性を遂に失い始めた。
「ぷはっ!はあ、はあ」
胸の隙間から顔が離れようやく空気が口に入ってくる。
「どう私の胸気持ち良かったかしら?」

「止めてくれ、どうしてこんなことを・・・」
必死でわずかに残った理性を繋ぎとめようとしたがヴァニラ(ダラン)はそれを軽く吹き飛ばす。
「実は私、あなたの事好きだったのよ。だから私もっとあなたと気持ちよくなりたいの」
「え!?」
ダラン(ヴァニラ)はその言葉にドキッとしてしまった。
一瞬相手が元の自分の身体である事すら忘れて、相手の言葉を鵜呑みにしてしまう所だった。
しかし次のヴァニラ(ダラン)の言葉がダラン(ヴァニラ)の最後の理性を踏みにじった。
「だからダラン、私をあなたの好きにしていいのよ」
甘い声でヴァニラ(ダラン)はダラン(ヴァニラ)を誘うと服を脱いでいった。
ブラを外すと服からはみ出そうだった大きな胸がポロンと飛び出し、ショーツを外すと綺麗な女性の股間が露わになった。
「ねえ私のおっぱい吸ってよ」
ヴァニラ(ダラン)は大きな胸を両手で持ち上げ、ダラン(ヴァニラ)に見せびらかした。
まるで魚を釣る餌のように大きく揺らし相手を誘う。
大きく色白で綺麗な胸が揺れる。
そしてダラン(ヴァニラ)がそれに飛びつくまでそれほど時間は掛からなかった。
「おお!凄い俺があのヴァニラ様の胸を!・・・チュウチュウ」
ダラン(ヴァニラ)の胸に吸い付くと大きく口で吸い込み始めた。
甘い香水の香りとヴァニラの身体が香る女の匂いがダラン(ヴァニラ)を更に興奮させた。
「あん!気持ちいい、お願いダラン私のおっぱいもっと吸って」
ヴァニラ(ダラン)は胸を吸われてイヤらしい喘ぎ声をあげた。
そしてわざとダラン(ヴァニラ)に聞こえるよう耳元で言ったのだ。
「はあ、はあ。ねえダラン、私ともっとしたい?」
「はい!したい、したいです!」
もはやヴァニラの精神も記憶も残されていなかった。
あったのはダランとしての性欲だけだった。
「ほら私のここに入れて」
「おお!俺のチン〇がヴァニラ様の中に。ああ、なんて気持ちよさだ」
そしてダラン(ヴァニラ)はかつての自分の女の股間に男の象徴を入れてしまった。
「ねえ、ダラン。私は誰か言ってみて。そしたら私が腰を振ってあげるわ」
「はい、組織の幹部のヴァニラ様です!」
それを聞くとヴァニラ(ダラン)は嬉しそうに腰を動かした。
「じゃあ、逆にあなたは誰?」
「俺はあなたの部下のダランです!」
「うふふ、よくできました。じゃあ、いっぱい楽しみましょうダラン。彼女が来る前にね」

少し時間が経ってエリンはヴァニラの部屋の前に来ていた。
エリンは部屋を探すなら今しかないと思い部屋に忍び込んだ。
ヴァニラ(ダラン)は今総統に呼び出されて部屋にいないはずだ。
机の引き出しや棚を開け入れ替えた道具や手掛かりはないか探していると、急にエリンの後ろから声が響いた。
「悪い子ね。私の部屋で何をしているのかしら?」
そこには総統に会いに行ったはずのヴァニラ(ダラン)がいた。
「ヴァ、ヴァニラ様!?総統に会いに行ったのでは?!」
「うふ、そんなに慌ててどうしたのエリン?総統ならそこで会ったわよ」
「え?嘘?」
総統は中々部下の前どころ幹部の前にすら中々姿を現さない人物だった。
それが今日に限ってヴァニラを訪ねてきていたのだ。
「それより私の部屋で何をしていたのかしらエリン?」
エリンは必死で言い訳を考えた。
「あの、私ヴァニラ様の部屋が少し汚れてたので勝手に掃除してしまいました。すみません勝手なことをしてしまいました」
「あら、そうだったのね。ありがとうエリン」
ヴァニラ(ダラン)は笑みを浮かべてエリンに感謝をした。
どうやら気付かれてないようだ。
するとヴァニラ(ダラン)は袋から何か衣服を取り出した。
「そういえば女性用の服も作ってもらったの。エリン着てくれない。」
ここで下手に断ると不信に思うかもしれない。
「え!?これを、ここでですか?」
その服も今ヴァニラ(ダラン)が着ている服に負けず劣らずエッチな服だった。
「いいじゃない。女同士だし。それとも嫌かしら?」
ここで断ればヴァニラ(ダラン)が不審に思うかもしれないと思ったエリンは、仕方なくその服を着ることにした。
「わ、分かりました」
顔を赤くしながらエリンは衣服を脱いでいった。
目の前にいる人物が男だと思うと着替えなどしたくもなかったが、エリンはヴァニラの為だと思い服を脱ぎヴァニラ(ダラン)の差し出した服を着ていった。
「ふふ、凄く似合ってるわよ。着心地はどうかしら?」
「は、はい。とても動きやすいですけど・・・」
露出が多い分身体が動かしやすいのは当然だった。
股に服が食い込んでくるのも履き心地が良いとは言えなかった。
本心ではこんな破廉恥な服すぐにでも脱ぎたいというのがエリンの素直な感想だった。
「良かった気に入ってくれて。実は今度から部下の女の子達にはその服を皆で着てもらうことにしたのよ」
その服は今ヴァニラ(ダラン)が着ているものよりは露出は少なめだったが、身体のラインと太ももが丸見えのエッチな服だった。
「な、なんですって?!」
エリンのそんな反応を見てヴァニラ(ダラン)は嬉しそうに語った。
「まあエリンが気に入らなくても決まってたことなんだけどね」
このまま会話をしても意味がないと思ったエリンは部屋を出て行ることにした。
ヴァニラ(ダラン)がいては部屋の探索もできないので部屋にいる必要もなかった。
「じゃあ、私はこれで失礼します!」
そう言ってエリンは部屋を出ようとしたがヴァニラ(ダラン)はそれを止めた。
「待ちなさい。まだヴァニラ様を元に戻す方法見つけてないのに帰っても良いの?」
意地の悪い笑みを浮かべてヴァニラ(ダラン)はエリンに話した。
「き、気付いてたの?!」
既にエリンが二人の入れ替わりに気付いていた事を知られていたとは、エリンにとって予想外だった。
「うふふ、ずっとね」
「・・・どうして気付かないフリをしていたの?」
エリンは後ずさりしながらヴァニラ(ダラン)に聞いた。
「だってその方がエリンが私にヴァニラとして接してくれるでしょ。バラしたら今までみたいに接してくれないじゃない?」
ニヤニヤと笑いながらヴァニラ(ダラン)はそう告げた。
そして手を伸ばしエリンに無理矢理キスをしたのだ。
「!」
それは二人の唇が触れるくらいのソフトなキスだった。
「うふふ、エリンの唇美味しかったわ。どうエリンは憧れのヴァニラ様のキスは美味しかった?」
エリンは唇を離すとキッとヴァニラ(ダラン)を睨みつけた。
たとえ身体が憧れのヴァニラであったとしても中身は別人だ。
そう思うとヴァニラの身体を奪ったダランを許せなかった。
「あんたはヴァニラ様じゃない!偽物よ!ヴァニラ様を元に戻すまで諦めないんだから!」
エリンからそう聞かされるとヴァニラ(ダラン)はゆっくりとドアの方に向かった。
「あら、この身体ならエリンと仲良くなれると思ったのに残念ね。まあいいわ。なら本人に直接聞いてみるといいわ。どっちがヴァニラでどっちがダランかをね。さあ、入って来なさい!」

ドアを開けるとそこにいたのはダラン(ヴァニラ)だった。
「ヴァニラ様!?助けて下さい!」
しかし必死で助けを求めるエリンを見ていたヴァニラ(ダラン)は笑みを浮かべるとエリンに言った。
「違うわよエリン、彼はダランなんだから」
「今更何言ってるの!?あんたが入れ替えたんでしょ、あっちがヴァニラ様なの知ってるんだから」
だが不思議なことに当のダラン(ヴァニラ)はエリンが何を言っているのか理解できていないようだった。
「エリンさっきから何を言ってるんだ?見て分からないか、俺はダランだろ」
ダラン(ヴァニラ)の様子が前と違っておかしいとエリンはすぐ気づいた。まるで入れ替わる前のダラン本人のようにしか見えない。
しかしダランは今ヴァニラの身体になっていることは間違いないはずだ。
「どういうこと?あ、あなたヴァニラ様に何をしたの・・・?」
「ふふ、ダランの身体に相応しく記憶も精神もダランにしてあげたのよ。だからもう正真正銘私がヴァニラで彼がダランってわけね。エリンも以前と同じように私達に接してね」
「な、なんて酷い!ヴァニラ様の身体だけでなく心までも弄んで!」
かつて敬っていたヴァニラの身体を入れ替えただけでも許せなかったが、更に記憶や精神までもダランに染め上げられてエリンはショックと怒りで頭がいっぱいになった。
できるなら力づくでダランからヴァニラの身体を取り戻したかった。
自然とエリンの拳はプルプルと震え出した。
しかし、ヴァニラ(ダラン)はそれをすぐに察知するとエリンの耳元でこう囁いたのだ。
「私に歯向かえばどうなるか分かってるわよね。あなただけでなく本物のヴァニラ様も大変なことになるのよ。それでも良いの?それにあなたの力で私に勝てるかしら?」
それを聞いたエリンは理性でなんとか力を込めた拳をなんとか抑えた。
今ここで下手に動けばエリンだけでなくダラン(ヴァニラ)も危うい。何せ今ダランはヴァニラの力も地位も全て持っているのだから。
「ヴァニラ様、エリンと何を話しているのですか?さっきから俺の話題を出されているようですが」
自分が幹部のヴァニラだった記憶などもはやないのだろう、目の前のヴァニラの身体のダランを本物のヴァニラ、自分をダランと信じて疑っていないようだった。
エリンは必死でダラン(ヴァニラ)に本物のヴァニラだと伝えようとしたが・・・
「違う、あなたはダランじゃ・・・・」
「ダラン、実はねエリンはあなたの事が好きだったのよ」
エリンの説明を遮るようにヴァニラ(ダラン)はダラン(ヴァニラ)へ語った。
それを聞いたダラン(ヴァニラ)はパーッと明るい笑顔になった。
「本当なのかエリン?!」
ダラン(ヴァニラ)はエリンが自分に好意を持っていると思い込み嬉しさを爆発させた。
「な、何を言ってるの?私は・・・」
「だからそんなエッチな服も着てくれたのよ。あなた大好きだったでしょそんな格好」
先程エリンに着させた服をヴァニラ(ダラン)は掴んでダラン(ヴァニラ)へ見せた。
「本当だ。俺がエリンにこんな服着てほしいなと思っていたデザインの服だ」
「ふふ、ダランとエリンの為に特別に私が作らせたのよ。エリンもかなり気に入っているみたいよ」
全てデタラメだったが、ダラン(ヴァニラ)に信じ込ませるには十分だった。
「嬉しいよエリン。俺の為にしてくれて」
嬉しそうに迫るダラン(ヴァニラ)を前にエリンは恐怖を感じた。
「い、嫌!」
部屋から逃げ出そうとするエリンをヴァニラ(ダラン)が静止する。
するとヴァニラ(ダラン)はダラン(ヴァニラ)へ聞こえないようそっとエリンへと耳打ちをした。
「うふふ、逃げたらあなたも、そこにいる本物のヴァニラ様も反逆者として総統に報告するわよ。でももしエリンが私の言う事を聞いてくれたら記憶だけは戻してあげてもいいわよ」
「本当なの?」
ヴァニラ(ダラン)の言うことなど信じられるはずもなかった。
しかし、このまま断ればダラン(ヴァニラ)は一生ダランとして生きていかなければならないと聞いて心が揺らいだ。
そしてそんなエリンの反応を見たヴァニラ(ダラン)は更に付け加えた。
「断るなら本物のヴァニラ様の記憶は二度と戻る事はないことは保証してあげるわ。一生ダランとして生きていくことになるわよ。それが嫌なら今から彼とエッチをしなさい」
「・・・分かったわ」
静かにエリンはそう語るとヴァニラ(ダラン)は嬉しそうにダラン(ヴァニラ)へ伝えた。
「ごめんねダラン。エリンたら緊張しちゃってるみたいなの」
ダラン(ヴァニラ)はそれを聞いて「何だそうだったのか」とホッと一安心した。
エリンは険しい顔になったままダラン(ヴァニラ)にキスをすると、ダラン(ヴァニラ)の服を無理矢理脱がせた。
「はは、エリンは意外と激しいんだな。ヴァニラ様が見ている前なのに」
エリンはダラン(ヴァニラ)のそんな言葉を無視し身体を重ねた。
全てはダラン(ヴァニラ)の記憶を元に戻すためだった。
「ふふ、すっかり仲良くなったみたいで嬉しいわ」
そんな二人を見てヴァニラ(ダラン)はニヤニヤと笑みを浮かべていた。
ダラン(ヴァニラ)はエリンの股間に男の象徴を持っていくと優しく告げた。
「好きだよ、エリン」
ダラン(ヴァニラ)のそんな言葉にエリンは恥ずかしそうに言った。
「私もです。ヴァニラ・・・いやダラン」
エリンの言葉を聞いてダランは男の一物をエリンの股間へと挿入させた。
「はあ、はあ。あん!気持ちいいです。もっと私の中で動かして下さい」
必死でエリンはヴァニラの為に身を捧げた。
二人はお互いに腰を大きく振り相手を求めた。
もうエリンには相手がヴァニラなのかダランなのかさえどうでもよくなっていた。
「はあ、はあ。エリン出すぞ!」
「うん、ダラン私に出して!」
ダラン(ヴァニラ)は自分の股間から暖かい物がエリンの中へ流れ込んでいくのが分かった。
そしてエリンもそれを受け入れた。
「うおおー!エリン愛してる!」
「ああん!」

「はあ、はあ。あれ?俺どうしてこんな事を・・・」
ダラン(ヴァニラ)は快感の余韻に浸りながら今まで自分が何をしていのか理解できていなかった。
しかし、自分の股間と繋がっていたエリンを見て何が起こったのか理解した。
「お、俺エリンとエッチしたのか?」
ヴァニラとして部下と肉体関係を持ってしまったことへの罪悪感を感じた。
それを見てエリンは涙を流しながら言った。
「良かったヴァニラ様。記憶が戻ったのですね」
「エリン、すまねえこうさせてくれ・・・」
そしてダラン(ヴァニラ)は本来のヴァニラとしての記憶が戻ったにも関わらず男としてエリンをそのまま愛してしまった。
「いいんです。ヴァニラ様の記憶が戻ったのなら。もうヴァニラ様が元に戻れなくても私がずっと側にいます」
エリンはダラン(ヴァニラ)をもう男性として受け入れた。
それを見ていたヴァニラ(ダラン)は嬉しそうに言った。
「うふふ、二人ともお幸せにね」


それから月日が流れた。
ヴァニラ(ダラン)は訓練を終えたダラン(ヴァニラ)に嬉しそうに言った。
「ダラン良かったわね。エリンおめでたなんですってね。おめでとう、あなたも遂にパパになるのね」
エリンはあの後ダランの子を身籠ってしまったのだ。
ダラン(ヴァニラ)はそれについて何を言わなかった。
「うふふ、そうだダラン私に付いて来なさい。今日はあなたに会わせたい人がいるのよ」
「会わせたい人?」
そう言ってダラン(ヴァニラ)は何の説明もないままヴァニラ(ダラン)に連れていかれてしまった。
「以上が実験の結果になります」
暗く大きな部屋で男は報告書を読み上げていた。
それはかつてダランの前で小箱を落とした男だ。
その男の前には別の男性が座って静かに報告を聞いていた。
服装からしてかなり身分の高い者であることはすぐ分かるだろう。
男は報告を聞き終えると静かに質問をした。
「今回の実験で肉体の交換をした上での相手の力や記憶の利用と、全て上手くいったわけか」
報告を聞き終え静かに話しを聞いていた男は最後の確認をした。
「はい、交換後新たな肉体に慣れるまでには少し時間が掛かりましたが、実験は成功です」
「うむ、博士よくやった。では次の作戦を実行するとしよう」
博士の言葉を確認し、無表情だった男に笑みがこぼれた。
男にとって欲しい結果が得られたということだ。
「はい、ありがとうございます」
博士はそう言って男に頭を下げた。
その時ドアからノックをする音が響いてきた。
「失礼します。ヴァニラとダランです」
「入りたまえ」
ダラン(ヴァニラ)が部屋に入ると部屋の中にいた男に視線が向かった。
「なぜ総統がこんな所に!?」
博士と話し、ダランとヴァニラの目の前にいたこの人物こそ組織の総統であった。
ダラン(ヴァニラ)はまさか総統がいるとは思っていなかったので驚きを隠せなかった。
一方のヴァニラ(ダラン)は事前に知っていたのか取り乱しもせず深々と総統に頭を下げた。
男は二人を部屋に入れると、博士に置いてあった機械の起動準備を指示した。
「すまんな、今の所完全に戻せる装置はここでしか使えなくてね。早くダラン君に渡した機械のように小型化できればいいのだが今日はこれで我慢してくれたまえ」
博士はダラン(ヴァニラ)とヴァニラ(ダラン)を装置へと繋げる為に部下を呼び寄せ機械の準備を始めた。
二人の頭にコードで繋がったヘルメットのような物を被らされ手足も動けないよう拘束された。
そして準備が整うと博士は機械のスイッチに手をかけた。
轟音と共に機械が作動するとダラン(ヴァニラ)は強い刺激が頭に伝わってくるのが分かった。
まるで強制的に頭の中を吸い取られている気分だった。
「な、なんだこれ!?頭が・・・」
見るとヴァニラ(ダラン)も同じように苦しそうにしていた。
そして機械の音がこれ以上なく大きな音を立てると一瞬二人は意識を失ってしまった。
動かなくなった二人を見て総統は博士に尋ねた。
「二人は無事元に戻ったかね?」
「はい、こちらも成功です。すぐに目が覚めるでしょう」
そう言って博士と部下は二人の拘束を外した。
しばらくすると二人は目を開けた、どうやら意識が戻ったようだ。
ダランは目を覚ますと胸と股間を触り始めた。
「懐かしいな俺の身体。それにやっぱり胸がないと動きやすいな」
ダランは自分の身体を確認すると懐かしい物でも見るかのように胸や股間を眺めた。
「ダラン君、調子はどうかね?」
男はダランにそう尋ねるとダランは嬉しそうに返事をした。
「はい、凄く良いです」
ダランの様子を確認した男は次にヴァニラの方へと歩みを進めた。
一方ヴァニラは目を覚ますと状況が理解できず辺りを見回したり、自分の身体を確認し始めた。
すると意外な物でも見るかのように自分の身体をまじまじと眺めた。
「は!?私は一体?この身体はもしかして・・・私、元に戻ったの?」
ヴァニラは自分の身体を確認すると大きくて重い胸が付いていることが分かった。
手で触るとプニっとした感覚が手から、指で突かれている感覚をその大きな胸から感じることができた。
「む、胸がある。それに声も高い。やっぱりこれ元の私の身体なのね」
元の身体に戻り嬉しそうにしていると総統が呼びかけた。
「ヴァニラ君どうかな、久しぶりの元の身体は?」
総統に声を掛けられヴァニラは自分がダランでなく元の身体のヴァニラとして総統から呼びかけられていることに気付いた。
そして落ち着きを取り戻したヴァニラは次にすべきことを理解した。
そう、今は元の身体に戻ったことを喜んでいる場合ではない。
「総統閣下!そうだ!信じられないかもしれませんが、ダランが、あいつが私の身体と自分の身体を入れ替えていたのです」
少しの沈黙があったのでもしかしたら信じてもらえないと思っていたヴァニラだったが、ようやく総統は口を開いた。
「勿論信じるとも・・・」
その言葉を聞けてヴァニラは安心した。
これで全て解決する、そう思った。
「良かった。早速ダランを捕まえて下さい。反逆の罪で是非とも極刑に!」
今まで身体を入れ替えられていた恨みを爆発させるようにヴァニラは総統へダランの極刑を懇願した。
「その必要はない。ダラン君に君と身体を入れ替えるよう命令したのは他でもないこの私だからだ」
総統の意外すぎる言葉にヴァニラは返答に戸惑ってしまった。
「・・・どういうことですか?そ、総統何故このようなことを?」
「新しい作戦の為だ。現在我々の最終目標である世界征服を邪魔する者達を倒すためだ。これまで何度奴らと交戦しても負け続けていた。それは圧倒的な戦闘力の差のせいだ。だから我々は奪うことにしたのだ奴らの強靭な肉体を。そのためにも入れ替え装置を作り実験しなければならなかった」
ヴァニラ達が闘っていた相手はとてつもない強さだった。
そして真正面からではとても太刀打ちできない、それはヴァニラが身をもって知っていた。
それを打開するために総統は今回の実験を行ったのだとヴァニラは確信した。
「そうだったのですね、では私達を入れ替えたのはその実験の為だったと」
「ああ、今回の実験は大成功だ。君達のおかげでな」
それを聞いてヴァニラは安心してしまった。
ダランが自分と身体を入れ替えたのが組織の実験ならもうこれで入れ替わっている必要はないはずだ。
そして総統の口から実験は成功だと告げられたということは・・・
「なら私はもう部屋に戻ってもよいでしょうか。ヴァニラとして部下の指揮を再び・・・」
これでまたかつてのように幹部として活躍できる・・・そう考えていた。
すると総統は今までの笑みを浮かべた顔から急に冷たい表情へと変わっていった。
「その必要はない」
少しの沈黙の後総統の口から出てきた言葉はダラン(ヴァニラ)にとって残酷なものだった。
実験が成功終えたのだからこのままダランと入れ替わる必要はないはずだ。
それにも関わらず総統は二人を元に戻そうとしないのはあり得なかった。
ダラン(ヴァニラ)はきっと何かの間違いだと思った。
「な、なぜですか?もう実験は終わったはずです」
「そうだ、だが君にこれ以上の成果を期待できなくなってしまったのだ」
総統からそう言われたヴァニラはショックでいっぱいになった。
今まで全てを組織に捧げてきた彼女にとってこれほど残酷な言葉はなかった。
「そんな私は今まであなたや組織の為に忠実に働いてきたではありませんか。それなのに・・・」
総統はヴァニラの言葉を聞きながら静かに答えた。
「君の頑張りは当然私の耳にも届いていたよ。だが、ここ最近は君の戦果は落ちる一方だった上に部下の士気を下がり続けていた。それに引き換え今の新しいヴァニラ君の方が部下の士気も高く私も今の彼女を気に入っているではないか」
総統からの自分への評価を聞いてヴァニラは黙り込んでしまった。
それにヴァニラの身体になっていたダランの方が評価されていることにも深い追い打ちをかけた。
「そ、そんな私を・・・私をどうするおつもりですか?」
総統の言っている事が本気だと知ると最後に自分達がどうなるのか知っておきたかった。
まさかこのまま用済みになるのではという不安がよぎる。
「大丈夫だ。ヴァニラ君の名も身体もダラン君が引き継いでくれる。それに今までの君達の武勲を決して忘れてはおらんよ。君達にはこれから新しい人生を与えてやろう」
「新しい人生?」
最初ヴァニラは総統が何を意味してそれを言っているのか分からなかった。
「今から君を再びダラン君の身体と入れ替える。安心するがいい、エリン君との子供が生まれることは知っているから夫婦として楽しく過ごせるよう少し休暇も与えよう。だが、一生これから君にはダラン君として生きてもらうよ」
それは総統からこれからダランとしての人生を歩んでいかなければならないと宣告されたも同然だった。
総統は無慈悲にもそう伝えたのだ。
「や、止めて下さい!私はダランになんかなりたくない!」
暴れるヴァニラを部下達が取り押さえると無理矢理あの大きな機械に拘束してしまった。
「最後に幹部のヴァニラ君として君とお別れができて良かったよ。ではダラン君、古いヴァニラ君に何か言う事はあるかね」
するとそれまで静かにしていたダランは嬉しそうにヴァニラに近づくと言った。
「ヴァニラ様今までありがとうございました。ヴァニラ様のこんな素敵な身体を頂いて。あとは俺が上手くヴァニラ様としてやりますので代わりに俺の身体をよろしくお願いしますね。ダランとしてこれから頑張って下さい、大丈夫これから俺が優しく指示を出しますから前と同じように」
その時のダランの笑顔は今までに見た事がないほど不気味だった。
「ではお別れも済んだことだし作業に掛かれ」
再びヴァニラとダランに装置が付けられ入れ替わりの準備が進めれていく。
総統が命令すると博士は機械に手をかけた。
「おやめください、総統。私は、ああ・・・」
ヴァニラは総統への最後の願いをしようとしたが機械が作動し意識を失った。
そして意識を失ったダラン(ヴァニラ)の側に総統が近づくと言った。
「これからも君達の活躍を期待しているよ」


エピローグ
政府が悪の組織に対抗する為に作ったチームは結成してから常に組織に勝利してきた。
しかし、その日ピンクは単身で悪の組織に闘いを挑んでしまった。
偶然通り掛かった町に組織が攻めてきたのだ。
「止めなさい!私が相手よ!」
いつもならピンク一人でも十分倒せる数だ。
しかし、組織の戦闘員の様子がおかしい。
「くく、まさかピンクが一人来てくれるとはな。ラッキーだったよ」
すると隠れていた戦闘員がピンクを背後から襲った。
それでもピンクの戦闘能力ならそんな不意打ちを防ぐことなどどうという事はないはずだった。
「ふん、不意打ちで私を倒すつもりだったの?だけどこんな攻撃ぐらいじゃ私は倒せないわよ」
「倒す必要はないさ。貴様の動きを一瞬だけでも止めることができたのだからな」
後ろから襲ってきた戦闘員を難なく倒したピンクだったが、真正面にいた戦闘員に隙を見せてしまった。
そして戦闘員はピンクの腕を掴んだ。
「キャア!何なの?」
悲鳴をあげるピンクだったが、しばらくすると気を失ってしまった。
そしてピンクの腕を掴んだ戦闘員も気を失った。
しばらくするとピンクが目を覚ました。
しかし、そのピンクは起き上がって自分の身体を確認すると先程とは違って不気味な雰囲気を醸し始めた。
「今まで散々邪魔されてきたが、いざこの身体になってみると悪くないものだな」
すると同じく気を失っていた戦闘員も目を覚ました。
目を覚ましピンクを見ると急になぜか動揺しながら表情で自分の身体とピンクの身体を見始めた。
「な、何で私がそこにいるの?それじゃあ私は一体?」
ピンクの身体を奪った戦闘員はかつてのピンクの言葉を無視し自分の身体でオナニーを始めた。
身体を素早く馴染ませるにはその身体でオナニーをすればいいことは知っていた。
それにピンクの身体で楽しみたいという思いもあった。
「さて早速この身体に馴染まないとな。あん!ふふ、ピンクの身体以外と良いわね。スーツ越しだと分からなかったけど結構スタイル良いし胸も大きい」
スーツ越しに伝わる完食は裸になって触るよりもなぜか興奮した。
あのピンクが淫乱な行為をしている、それだけでゾクゾクとした興奮を覚えたのだ。
「や、やめて私の身体で」
淫乱な行為を止めようとかつてのピンクが喚くが、ピンクの身体を奪った戦闘員にすれば邪魔でしかない。
「うふふ、もうあなたは用済みね」
そう言って戦闘員になったピンクの顔に強烈な一撃を与えた。
「っぐふ!」
まだ完全にピンクの身体に馴染んだわけではなかったがある程度の力は既に引き出せるようになっていた。
かつてのピンクの息はまだあるようだが、しばらくは起きないだろう。
「ピンク大丈夫か?」
そんな時ピンクの仲間達が駆け付けて来た。。
ピンクは自分を心配してくれている仲間達を見ると嬉しそうにこう言った。
「ええ、大丈夫よ。私が大方倒したから敵も退却したみたいだし。さあ私達の基地に帰りましょう♪」















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