雌の身体

 作:verdsmith7


まだ外が暗い時間に私は起きて作業着を着た。
そして牛達がいる牛舎に向かった。
私は高校に通いながら父親の手伝いで牛達の世話を今日もしている。
牛舎に近づくと強烈な臭いが漂ってきた。
今は慣れているからいいが、遠方に何拍か泊って帰った時には鼻がおかしくなりそうな時がある。それぐらいの臭いなのだ。
普段牛を飼っていると言うと大体の人は広い牧草地で牛が放し飼いにされているような光景を思い浮かべるが、実際には牛達は一日中牛舎で生活している。
餌を食べるのも、トイレも、睡眠も全部ここで行われる、だから毎日牛や牛舎の管理をしなければならない。
牛舎にやって来た私は早速ピッチフォークという熊手のような形の道具を使って牛達の尿や糞で汚れた寝藁を片づけた。
段々と空も明るくなってきたがまだ朝日は昇ってこない。
片づけが終わると新しい寝藁を用意し餌もやり終わった。
仕事が落ち着き私は帰ろうとした。しかし私はまだ暗かったせいか地面が濡れていることに気付かなかった。
濡れた床に足を突っ込んだ私の身体はツルっと滑っていくのを感じた。
次の瞬間私は牛舎の天井が見えていた。
一瞬世界がゆっくりと動いたような気分になった。
天井はゆっくりと遠ざかり私は床へと近付いていくのが分かった。
そしてドンッという衝撃と共に私は意識を失ってしまった。
次に気付いた時、私はゆらゆらと揺れていた。正確には私は体重がなくなったかのように空中に浮いていたのだ。
下を見ると私の身体が横たわっているのが分かった。
自分の身体が別の場所にあると知って、私は今の自分の身体を確認した。
私の身体は血が止まったかのように青白くなっている、それどころか半透明になっているのである。それはテレビで見たような幽霊にでもなったかのようだった。
「え、私の身体がそこにある。という事は私死んじゃったの? とにかくあの身体に戻らないと!」
私はようやく事の重大さに気付いて、早くあの身体に戻らないといけないと本能で感じた。
私は必死で自分の身体に戻ろうと手を回したり水中でするように泳ぐように動いてみたが、私の身体に近付けないでいた。
すると急に突風が吹いてきて私はその風に流されてしまった。
自分の身体に近づく処か離れていく、そして飛ばされた先には私が世話をしている牝牛が立っていた。
「だ、だめ。ぶつかっちゃう!」
私の叫び声はまるで聞こえていないかのように牝牛は何も反応せず餌を食べている。
そうこうしているうちに私はその牛に迫っていた、そして私はそのまま体当たりをしてしまったのだ。
ぶつかった牛は急にフッと力が無くなったように倒れ込んでしまった。
「ううー」
ぶつかった私はどうなったのか。
見ると手が牛の身体にゆっくりと沈み込んでいるのが分かった。
まるで沼にはまりこんでいくかのようにズブズブと牛の身体に入っていく。
「やだ、早く出ないと」
私は力いっぱい手を引っ張るがまるで牛の身体に吸い込まれていくように私の身体は更に沈み込んでしまった。
「嫌! 私の身体はあっちなの、牛の身体になんか入りたくない!」
私の身体は牛舎の通路に横たわったままになっている。
あそこに行かないといけないのに・・・
今、私はどんどん牛の身体に入り込んでいってしまっている。もう手と足は完全に入ってしまい、あとは胴体と顔だけが残ってそれらが沈むのも時間の問題だった。
「モー!」
私が混乱していると牛の鳴き声が聞こえてきた。
鳴き声の方向を見ると、さっき私がぶつかった牛も半透明になって鳴いていたのだ。
牛はスッと立ち上がると、なぜかこの身体ではなく牛舎の外を目指して走り出してしまった。
「お願い戻って! これは貴方の身体でしょ!」
私は必死にその牛を呼び止めるが、牛は私の声を無視して走っていった。
もしかすると自由になれたと思ったのかもしれない。
しかし牛が走っていく先には別のものもあった。私の身体だ。
そして牛が私の身体の上を通ろうとした瞬間、なんと牛の足は私の身体に沈み込んでしまった。
私がこの牛の身体に吸い込まれるとの同じように、牛も私の身体に入っていく。
「やだ、それ私の身体!」
私は叫んだが無駄だった。
もう私は顔の近くまで沈んでしまっていた。
そして視界も牛の身体の中に入り込んでいく。私が最後に見たのは牛が私の身体に吸い込まれていく光景だった。
そこで私の意識はなくなった。

(私どうなったの・・・)
あの後どれくらい時間が経ったのだろうか。
私は深い眠りから覚めたような気分でいた。
さっき見たのは夢だったのでは・・・そう思った。
そして少しずつ私の意識ははっきりしていった。
何だかチクチクとする物の上にいるような気がした。
それはさっき私が用意した寝藁だった。私はその上で倒れていたらしい。
何で私はこんな所で倒れていたのだろうか・・・
そんな事を疑問に感じつつ身体を起こそうとした。
(う、重い、私こんなに重かったの?)
私はいつものように身体を起き上がらせようとするが、身体が重すぎてなかなか上がらない。
今度は全身に力を込めて立ち上がろうとした。
手と足を床に立たせて重い身体を力いっぱい引き起こした。
何とか四つん這いにまでなったが、その時私は両手を床から引き離せないことに気付いた。
(え、私なんで立てないの?)
人間は二足歩行できるようになっているはず、しかし今の私の身体は元からそんな事が無理だと思えるぐらい身体が言う事を聞かなかった。直立ができないのだ。
四つん這いになったまま私は途方にくれていた。
改めて私は周囲を確認する。そして気付いた。今、私がいる場所はさっきの牝牛がいたはずの場所だった。
私の周りに囲いがある。まるで私を逃がさないようにしているようだった。
私はそこから出ようとした、手を上げて跨いでいこうとする。
しかし手はほとんど上がらず、それどころかバランスを崩して転倒しそうになってしまった。
何が起こっているのか理解できない。私の頭は混乱し始めていた。
私は助けを呼ぼうと声を出した。
「モー! モー! (誰か助けて、出られないの!)」
一瞬私は自分の口から出ている声に凍り付いた。
それはいつもの私の可愛い声ではなかった。
(な、何で私言葉は話せないの。それにこの低い声って・・・)
私は自分の身体を確認しようとした。だが身体がいつものように動かない。
仕方なく私は頭を下げて自分の手足を確認する。
(何これ? 私の手足に毛がこんなに・・・)
私の手足は毛に覆われていた。今までの私なら毛の処理を怠る時はあったが、それを考えても異常だった。
(これ、人間の身体じゃない・・・これじゃあまるで動物みたい)
私は偶然近くに置かれていたシャベルに近寄って自分の姿を確認した。
それは完全に牛の顔だった。
「モー! モー! モー! (いやー! 何これ! 何で私が牛になってるの!?)」
今の自分の姿を確認した私はパニックになっていた。
私の姿も声も全部牛になっていたのだ。
さっきまで牧場に住んでる女子高生だった私は一瞬で牛になっていたのだ。混乱しないはずがなかった。
牛舎に牛の鳴き声が響いていった。
そんな私の鳴き声に反応したものがもう一つあった。私の身体だ。
私の身体はゆっくりと目を開けると、顔を上げて周囲をキョロキョロと見回し始めた。
そして立ち上がろうと身体を上げた。
だが、それは四つん這いだった。まるで馬や牛のような格好を私の身体がしている。
やがて四つん這いになっているのが疲れたのか、ペタンと座り込んでしまった。
「モー! (ねえ、私の身体返して!)」
私はありったけの声で呼びかけた。すると私の身体は私の方を見ると不思議そうな顔でジロジロと眺め始めたのだ。
しばらく私の顔を見るとまるで興味をなくしたかのように自分の身体を確認し始める。
手をブラブラとさせ何かをしようとしているようだ。
するとその手が私の身体の胸に触れてしまった。
「モーモー(ちょっと何やってるの?)」
私の声を気にせず、私の身体はぺちぺちと胸を触り始めた。
私の身体はジッと胸を見つめ手を胸に当てている。
そして今度は当てていた手を見ると、開いたり握ったりし始めた。
自由に手が動くと知った私の身体は、その手を胸に使い始めた。
最初は慣れない人間の手のせいかぺちぺちと胸をはたくぐらいだったのだが、やがて服の上からさするような動作になっていった。
そして手の使い方に慣れたのか、私の胸をついに握り始めたのだ。
「モーモー! (やめて、私の身体で変なことしないで!)」
私は必死で止めるよう鳴き続けるが、私の身体はそれに構う素振りすらみせず私の胸を揉み続けている。
服の上から私の身体の胸を掴んだり放したりしていた。
ふと私はいつも光景を思い出した。もしかすると私の中に入った牛が乳しぼりを自分でしようとしているのかもしれないと。
毎日私達は牛に乳搾りをしていた。それを私の身体でやっているのでは・・・
私の身体が勝手に自分で胸を揉んでいる、それはもう痴女のようにしか見えない光景だった。
最初はただ揉んでいるだけだったが、次第に私の身体の表情が変わり始めた。
顔が赤くなり始め、息も段々と激しくなっている。つまり興奮していたのだ。
ここからでも分かる私の身体が汗をかきながら気持ちよくなっている姿を。
段々と動かす手も激しくなっていった。
「あ、あ、あ!」
私の身体は遂に喘ぎ声を上げ始めた。
口からはヨダレを垂らし快感を感じているのが分かる。
「モーモー! (私の身体でそんな声出さないで!)」
私の身体が興奮するのと並行して手の動きが早くなっていくのが分かった。
まるで少しずつ身体の使い方が分かってきたかのように手を自在に操っている。
それは私が自分でオナニーをしているのと変わらないぐらいだった。
私は今自分の身体がオナニーしている姿を見ているのだ。私はそれを不気味に感じた。
それ止めようにも身体は自由に動かず私は囲いで閉じ込められている。そして私は言葉も話せないのだ。
ただじっと私は自分の身体のオナニーが終わるのを待つしかなかった。
その内私の身体は敏感な所が分かったのか、私の身体は親指と人差し指で服の上から乳首を摘まんでしまった
「き、き、気持ち、いい。ああ、あうう。」
突然私の身体の口から言葉が出てきた。
まだたどたどしいが、それでも私にも分かる言葉となっていた。
私の身体は胸を突き上げ身体を震わせ快感を得ていた。
どうやら私の身体のオナニーは終わったようだ。
「はあ、はあ。気持ち、良かった」
少しして私の身体は自分の身体を再度確認し始めた。
そして何かを思い出したかのようにすっと立ち上がったのだ。もちろん二本の足で。
「私、帰る、家に・・・」
外人がカタコトで喋るかのような日本語で私の身体は言った。
そして家がある方向にスタスタと歩いて行ってしまったのだ。
「モーモーモー! (ちょ、ちょっと私を置いていかないで、その身体返して!)」
私は遠ざかっていく自分の身体に訴えたが、足音はやがて消えてしまった。

私は今の自分に起こった事に嘆き悲しんでずっと泣いた。
だが、いくら私がいくら泣いても誰も私の声を聞いてくれる人はいない。聞いたとしても今の私は言葉を話せないのだ。
そんな時、私の耳に誰かの足音が近づいてくるのが分かった。
「さあ、今日も頑張るか」
それは私のお父さんだった。
「モーモー! (お父さん。私なのよ気付いて!)」
私は今牛の鳴き声しか出せないのを忘れ、夢中でお父さんに気付いてもらおうと鳴き声を出した。
「今日は随分興奮してるな、すぐ終わらせるから我慢しな」
私の鳴き声にお父さんは牛がいつもより少し興奮しているぐらいにしか思っていなかった。
無理もない。この牛達の中に自分の娘がいるなんて分かるはずもなかった。
それでも私はお父さんに向かって鳴き続けた。
そしてお父さんは私の側にやってくるとバケツを私の下に置いて準備を始めた。
私はお父さんが私に何をしようとしているのかすぐ気づいた。
そう、いつものように乳絞りをするのだ、それも私に!
「モーモー! (やめて私は乳牛じゃないの! 私よお父さん気付いて!)」
私は身体を動かしたりして、できるだけ抵抗したが無駄だった。
「こら、すぐ終わるから大人しくしな」
父さんは私についているむき出しの巨大なおっぱいを握った。
「モー(あ、ダメ、触らないで!)」
私のおっぱいにお父さんの手が触れているのが分かった。
そしてお父さんはおっぱいを触れている手に力を入れていったのだ。
「モーモー(お父さん、やめて私ミルクなんか出したくない)」
私の願いも空しく、お父さんは私のおっぱいからミルクを出し始めた。
自分のおっぱいからミルクが流れでいくのが分かる。そしてちゃぷちゃぷと下に貯められていく音が聞こえた。
そして私は乳絞りをされて嫌だという感覚から別の感覚が溢れてくるのが分かった。
「モーモー(やだ、私お父さんにミルクを出されて気持ちよくなって、ああん)」
私はそれまで味わったことのない感覚を味わってしまった。お父さんに乳を搾られて私は気持ちがいいと思ってしまったのだ。
「おう、急に乳を搾ったら大人しくなってきたな。そんなに出してほしかったのか、ほらほら」
お父さんは私が気持ちよくなっている事に気付いたのか、更にミルクを出し続けた。
「モー(あん、ダメ、何だか気持ちよくなって、今までのことがどうでもよくなってきちゃった)」
そしてしばらく私はお父さんにミルクを出され続けた。

疲れのせいか私はそのまま眠ってしまった。
目が覚めて私は周囲を確認する。外はまた昨日と同じように明るくなる前の早朝だった。
そして自分が牛舎にいることを理解すると、私がまだ牛の身体のままなのだと理解した。
できれば悪夢を見ていただけだと思いたかった。
そんな事を考えていると誰かの足音が近づいて来るのが分かった。
それは昨日までの正真正銘本来の私の身体だった。
「ふーん、これが前の私だったんだ」
私の身体は私を不思議そうに眺めていった。
その言葉は昨日までの片言な日本語ではなく流暢な日本語に聞こえた。
「モーモー! (返して、私の身体を返してよ!)」
私は必死で自分自身に懇願した。
「ふふ、何を言ってるのか全然分からないよ。でも私になれて良かったわね。おっぱいが小さいって悩んでたからこんなにおっきなおっぱいが手に入って嬉しいでしょ〜」
私の身体はニヤニヤと笑いながら言った。
(え、何でそんなことが分かるの?)
確かに私は自分の胸が他の友達より小さいと愚痴をこぼしたことはあった。
だが、それを誰か聞かせたことはなかったはずだ。
急に私が黙ってしまったせいか目の前の私はまたもやニヤッと笑った。
「まだ、私の言葉分かるわよね。昨日この身体でエッチな事してたらどんどん貴方の記憶が流れてきたのよ。だから貴方の事はもうほとんど分かるようになったの」
まるで私が喋るかのように目の前の私は語り続けた。
服もしっかり着て、道具を持ち、まるで人間のように振る舞っている。
「まさか私が人間の雌になるなんてね。私、嬉しくって嬉しくって」
「それにしてもここって臭いわね。貴方の綺麗な家と違って汚いし寝床も藁だし。でもいいわ、こんな所でもこっちの方がまだ落ち着くもの」
そう言うと急に私の身体は座り込んで服を脱ぎ始めた。
そして裸になってしまった。
「ふふ、私ずっとここで毎日おっぱいを搾られてたでしょ。だからこの身体でも乳を搾らないと落ち着かないんだ」
私の身体はポロンと出ている胸を鷲掴みにしてグニュグニュと弄り始めた。
柔らかい胸が手に揉まれてプルンと揺れている。
「ああ、気持ちいい。でもこのおっぱい小さいしまだミルクは出ないのよね。その身体の時はよく出してたから物足りないの。だからこっちを触っちゃおうかしら」
私の身体が指さしたのはは私の秘所にあるクリトリスだった。
股を開いて私に見せつけるようにしている。
(その身体は昨日までの私の身体だったのに・・・)
かつての自分の身体を奪われ、更にはオナニーまでされている。そう思うと私は悔しさかなかった。
「モーモー! (いい加減にして私の身体を返して!)」
私が怒っているのに気付いたのか私の身体は股に手をはわせたまま私に言った。
「うふふ、怒ってもしょうがないでしょ。私だって元に戻せないんだから。それにこうなったら仕方ないよね、お互いに楽しみましょ」
そう言って私を見て笑うと、クリトリスへ指を突っ込みクチュクチュと音を出してかき回した。
「あん、その身体だとこんな事できなかったから凄く気持ちよく感じるの。はあ、はあ、人間の雌って本当良いわね」
昨日と同じように息をあげオナニーをする。
それは昨日以上に快感を感じているのは一目瞭然だった。
「あ、んんん」
私の身体を腰をがくがくを震わせやがて液体を飛び散らせた。
「あああん!」
虚ろな目で私の身体は言った。
「はあ、はあ。うふふ、こんな素敵な身体をくれてありがとう」

絶頂を味わった私の身体は裸のまま私に近づくと私の大きなおっぱいを触った。
「モーモー(な、何するの?)」
私の元の手が私のおっぱいを触っている。
優しく私の手が私のおおきなおっぱいに触れていく、そしてその暖かくて柔らかい手が私のおっぱいを握った。
そして少しずつ力を入れ始めた、すると私のおっぱいが暖かくなっていくのが分かった。
「モーモー(だ、だめ私また気持ち良くなってる・・・)」
「どう、元の身体におっぱいを触られる気分は?気持ちいいでしょ、その身体私のだったんだから気持ちの良い所は知ってるのよ。これは私に貴方の身体をくれたお礼よ」
昨日お父さんに触れられたように私は私の身体におっぱいを触られていった。
しかも昨日より気持ちよく感じるのだ、私は牛としての快感を感じてしまっていた。
「モーモー! (やだ、私牛になんかなりたくない!)」
頭ではこの牛の身体を否定しても身体は本能に正直だった。
気持ちの良い感覚が、私に新しく付いた大きなおっぱいを通して伝わってくる。
「モー(あ、あ、だめ、もっとして・・・)」
そんな私の表情を見た私の身体は乳を搾りながらこう言った。
「ふふ、これからも牝牛として頑張ってミルクをいっぱい出してね」
私の身体はそう言って私のおっぱいからミルクを出し続けた。

あれからしばらく月日が経った。
私は牝牛として毎日餌を食べてミルクを出す日々を送った。
もう自分が人間だったのかさえ疑問に思い始めていた。
もしかして人間だと思っていた日々の記憶は全部夢だったのではないかとさえ思えていた。
一方私の身体は以前の私と同じように家の牧場の手伝いをして学校にも通っている。
私の世話をする傍ら学校で何があったのか楽しそうに語っていた。
それを聞く度に私は涙を流した。
だが、その後はいつも私の乳を搾ってくれた。そうすると私はそれまで悲しんでいたのが嘘のように忘れて快感を味わえたのだ。
そんなある日、私の身体はとある人物を連れてきた。
それは私の幼馴染の彼氏だった。
「ここに来たのも久しぶりだな。小さい頃はよくこの中で餌やりとかしたっけ」
懐かしい声を聞いて私は身体起き上がらせた。
やっぱり私の彼氏が来ていたのだ。
前に見た時より身体は大きく、格好よくなっている気がした。
「モーモー(ねえ、私はここよ。そいつは偽物よ!)」
お父さんの時もそうだったが、彼氏に今の私の鳴き声を聞いても理解できるはずがなかったのだ。
もしかしたら知能も既に落ちていたのかもしれない。
「あれ、この牛よく鳴くな。どうしたんだ?」
彼氏は不思議そうに私を見つめるだけでとても何を伝えているのか気付きそうになかった。
「ふふ、格好いい男の子が来たから興奮してるんじゃないかな。これ私の家で飼ってる牝牛よ。ほら可愛いでしょ。そうだ、乳搾りやってみる? 大丈夫よ貴方がやれば簡単にミルクを出してくれるから、うふふ」
ニヤッと私の身体は笑う、そうしてかつての彼氏に乳搾りをされることになってしまった。
「こうやれば良いのか?」
彼氏は私の身体に聞きながらおっぱいを握ってきた。
「そう、いいわよ。それで力を入れて握ってみて」
私はかつて好きだった人におっぱいを握られ興奮していた。
ああ、私のおっぱいを見られて触られている、そう思うと身体が熱くなってきた。
そして彼氏は私のおっぱいを握り力を込めていった。
チューチューとミルクが流れていくのが分かる。
「モー、モー(彼が私のおっぱいを触ってミルクを出してる、嬉しい、気持ちいい)」
そして私のおっぱいから外に向かってミルクがどんどん出されていった。
「おー、いっぱい出てくるな」
「ほら言った通りでしょ」
私の身体はそう言って私の顔を見てニヤッと笑った。
その間、私は彼氏にミルクを出されている事に興奮しているだけだった。

私の乳絞りが終わると、突然私の身体は彼氏に向かって言った。
「ねえ私のこと好き?」
「ああ、好きだよ」
私の身体は彼氏の言葉を聞くと彼氏にキスをしていた。
それは私が本来するはずだったファーストキスだった。
二人は長い時間ずっと唇を合わせていた。
ふと私の身体が私を見ながら笑っているような気がした。
やがて唇の中からちゅうちゅうと舌が絡み合う音が聞こえてきた。
私はそれをただ眺めているだけしかできなかった。
「なあ、お前ってこんなに積極的だったのか?」
彼は突然そんな質問をした。
「うふふ、だって人間の雄って凄く美味しいんだもの、ねえもっとやろう」
その言葉に彼は股間を膨らませていったのが分かった。
「こ、こんな所でやるのか?」
「大丈夫よ、ここの藁さっき私が変えたばかりだから綺麗よ」
服を脱いだ二人はお互いに見つめ合った。
そして彼は私の身体の胸に吸い付いてしまった。
「ああ、人間のおっぱいって吸われるとこんな感じなんだ。あん!」
彼は私の身体の胸をちゅうちゅうと赤ちゃんのように吸っている。
そして私の身体は喘ぎ声をあげた。
「あん、もっと吸って!乳首を噛んで!」
彼も嬉しそうに私の身体の胸を吸って乳首を噛んでは、私の身体を喜ばせていた。
「ふふ、人間の雄のチン〇って案外小さいのね」
「はっきり言ってくれるな、それで気持ちよくなれるんだから良いだろ」
そう言って彼は私の身体に男の象徴を差し込んでいった。
二人の身体が近づくにつれて二人は気持ちよさそうにしている。
「はあ、はあ。入ると意外と大きく感じるのね」
「だろ、じゃあいくぜ」
彼はそう言うと腰を振り始めた。
「あん、あん。本当凄い気持ちいいー」
私の身体はさっきよりも大きな喘ぎ声をあげて喜んでいる。
「はあ、はあ。なあどうしてこんな所でやりたくなったんだ?」
彼は腰を振りながら私の身体に質問をした。
すると私の身体も身体を揺らしながら答えた。
「あん、だって見てほしかったもの」
「誰にだ?」
「ふふ内緒よ」
そう言うと私の身体は私を見て笑った。
そしていよいよ彼の腰の動きが一層激しくなった。
「はあ、はあ、ねえ来て! 私の中に出して!」
「ああ、頑張るよ!」
私の身体も腰を揺らし快感を二人で楽しんでいる。
私はそれを見て泣いた。
「モー(ああ、私の初めてなのに・・・)」
そして私が小さな鳴き声を出した時、二人は絶頂に達した。
「あああん!」
「あああ!」

彼氏が帰ると私の身体は言った。
「この人間の雌の身体気に入っちゃった。あの雄もこの身体で頼めば何でもしてくれるし交尾も優しくて気持ちがいいから最高ね。牛の雄なんか本能だけでやろうとしてくるから嫌だったんだー。そうそう言い忘れてたけど私の中に一匹できちゃったみたいなのよね」
あっけらかんと私の身体はそう言うとお腹をさすった。
それは本来私の子どもになるはずの命だったのだ。
「うふふ、あなたにはこっちの子がいるでしょ」
私の身体は笑いながら私の大きなお腹をさすった。
「モー(違う、これは貴方の子よ)」
力なく私は鳴いた、もうどうすることもできない私はその時が来るのを待つしかなかった。
私はこの牛に人生を奪われてしまったのだから。


エピローグ
あれから数年の月日が経った。
私は彼と結婚して子供も何人か産んだ。
彼は私の家の牧場で働くようになっていた。
牛達の世話をしながら私はあの牛に日々の事を伝えた。
それを聞かされた牛は最初は悲しそうだったが、その内何も反応を返さなくなっていった。
私達に興味がなくなったのか、それとも頭も牛並みになってしまったのか、それは本人にしか分からなかった。
でも私は構わずその牛に話し掛けていたのだ。彼女が得るはずだった幸せを少しだけお裾分けしたかったのかもしれない。
だが、そんな生活も終わりを迎えようとしていた。
私はあの牛に近づくと静かに語った。
「あなたもうおっぱいは出ないでしょ。だから食用になるんだって・・・」
牛は私の言葉を聞くと顔を下げて静かになった、それは牛の死を意味していたのだ。
ミルクを出す牛もずっとミルクが出せるわけではない、そしていよいよ最近ではミルクが出なくなっていたのだ。
そんな牛に残された未来は一つだけだった。
「モー・・・」
牛は力なく鳴いた、それは諦めに似た鳴き声のようだった。
その声を聞いて私は決心した。
「さあ、行きなさい。本来私がやりたかったことをさせてあげる」
私は牛舎の扉を開きその牛を久しぶりの外へ出した。
外は暗いが綺麗な星空が見えていた。
牛は嬉しくなって駆けだした、狭い牛舎から解放され気分よく走り回っているようだ。
「じゃあね、元気で・・・」
私は解放した牛に向かって言った。
牛は立ち止まると私に振り返るとジッと私の顔を見た。
何かを言いたそうな顔をしたが、鳴き声一つ上げず私に背を向けた。
そして広い草原に向かって走り出して行った。
あの日自由になれるかもと思って走り出した私は気付けばこの身体になった。
そして本来のこの身体の持ち主は、前の私の身体である牛になっていた。
だから私はあの時の願いを叶えたのだ。
「行っちゃった。じゃあ、私も皆の所の戻ろうかな」
私は家族が待つ家へと帰って行った。
そして私は以前より大きくなった自分の胸を触って笑った。
「うふふ、それにしても人間の雌の身体って本当最高よね」







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