私の身体に溺れる女 作:verdsmith7 「佐々木さん、いい加減学校の規則で決まった格好にしてくれません?」 「また、その話かよ。いい加減、毎日うざいんだよ。今日は勘弁してくれない?」 朝、高校に通う生徒達で賑わう学校で二人の女子生徒が口論をしていた。 二人は同じクラスに通うクラスメイトだったが、外見も性格も正反対だった。 「私は風紀委員として皆に学校のルールを守らせる義務があるのよ」 厳しい口調で語るこの風紀委員は吉沢三波という。 学校でも有名な風紀委員で、少しでも校則に違反する服装や持ち物を発見したら厳しく咎め更に先生にも有無を言わさず報告していた。 当然彼女の服装も校則にそった正しい格好であった。 黒髪で長さも肩にかからない程度の長さだ。 誰が見ても生真面目な性格だと思うだろう。 「五月蠅いな、そんなのあたしには関係ないだろ!」 一方風紀委員と口論している女子は佐々木茜、この学校でも有名な不良少女だった。 服装の乱れはもちろん授業は頻繁にさぼっていた。 髪は金髪に染め、化粧をし、髪は肩を通りこし胸の近くまで伸びていた。 当然正反対の二人なので会う度に口論となっていた。 何度風紀委員が注意してもこの不良少女は聞く耳を持たず、無意味な口喧嘩だけが続くのだった。 やがてその風景は学校の風物詩のように扱われ「またやってるよ」とよく言われるまでになっていた。 そして今日も。 「とにかくあんたから何と言われようとあたしは止めないから、じゃあね!」 「あ! こらっ! 佐々木さん、話はまだ・・・」 遂に業を煮やした茜は風紀委員の前から立ち去ってしまった。 まだ終わっていないのにと風紀委員の三波はため息を付いた。 「まったく! いつになったら分かってくれるのかしら!」 「今日もやってたのか? お疲れ様」 三波が顔を上げるとそこには男子が立っていた。 「何よ、気づいてたのなら一緒に注意してくれても良かったんじゃない? あなたも風紀委員でしょ」 彼は三波と同じ風紀委員であり、誰にも話していないが三波の彼氏でもあった。 彼氏といえど当然淫らな行為はせず、よく一緒に宿題をしたり買い物に行ったりしている程度だ。 「いや、今日も仲良くやってるなと思ったから、邪魔しちゃ悪いと思ってさ」 ニヤニヤと笑ってくる彼氏に三波はムスッとした表情になった。 「あれのどこが仲がいいように見えるってのよ」 「そうか? 喧嘩するほど仲が良いって言うけどな」 「そんなの死語よ」 茜との口論の上に彼氏から茶化されますます不機嫌になっていく。 「まったく朝から散々だわ」 そんな会話を遠くから見ていた人物がいた。 先ほど注意されていた茜だった。 「ああ、まったく本当にうざい。毎日毎日あいつと会うと小言ばかり。嫌になるよ。大体あいつが真面目すぎなんだよな。もっとあたしみたいに自由に生きればいいのによ」 「お困りのようね?」 茜の後ろから女の声が聞こえる。 「何だあんたは、あたしのこと聞いてたのかよ?」 後ろを振り返る茜はイライラをぶつけてやろうかと思った。 そこに立っていたのは同じ学校の制服を着た女子だった。 顔立ちもスタイルも良い美少女だと思った。 その顔を見てさっきまでのイライラが嘘のように消えていた。 「これを使えばあなたの望みを叶えられるわよ」 その女子はそう言って茜に手を差し出した。 「へえー、こんなのがあるだ。ありがとうな。ところであんたの名前は?」 「うふふ、香苗」 翌日風紀委員の仕事でいつものように校門で生徒をチェックしていく三波とその彼氏。 するといつも通り茜が校則に反した格好でやって来た。 周囲の生徒はまたいつものように口論になるだろうと三波を含めて想像していた。 しかし、茜が三波を見つけるとなんと茜の方から三波へと近づいてきたのだった。 「な、何よ? あなたから私に話し掛けるなんて、でも言い訳をしてもその格好は違反だからね」 「えへへ、実は三波さんに相談したいことがあってさあ。良かったら体育館倉庫へ来てくれない? すっごくやばくて重要なことだから、あたし明日から校則を守れるかもしれないよ」 薄ら笑いを浮かべる茜に三波は半信半疑だったが、彼女の口から校則を守るという言葉出て内心喜んだ。 やっと佐々木さんも守る気になったのかも、そう思った。 「分かったわ、じゃあ後のことはお願いしてもいい?」 一部始終を聞いていた彼氏はすぐに了承してくれた。 「分かった、後は任せてくれ」 体育館倉庫に三波と茜はやって来た。 朝だからまだ使っている人もいない。 静かな空間がそこに広がっていた。 そして倉庫へと入っていく。 こんなに人目につかない場所へと来ることは余程重要な相談ごとなのだろう。 三波はどんな相談をされるのか色々と思考をめぐらしていた。 「ここで大丈夫そうね、じゃあ始めるか」 そう言って茜は一本の薬を取り出し三波の前で飲み始めた。 すぐに薬は飲み干されてしまった。 「あ、佐々木さんまた変なものを学校に持ってきて!」 それに構わず茜は薬を飲み干すと三波の前へとやって来た。 突然茜は三波の肩を掴んだ。 「キャア!」 強い力で捕まれ肩から痛みが走る、そして身動きがとれなくなってしまった。 「さ、佐々木さん、何を?」 恐怖心から身体が震え始めた。 もしかして日頃の事で乱暴されるのではと思ったのだ。 「へへ、大丈夫乱暴はしないよ。ちょっとあんたが真面目だからさ、もっと楽に生きられるようにしてあげようと思ってね。あたしみたいにさ」 「佐々木さんみたいに? どういう・・・うぐ!」 茜が何を言っているのか分からない、そう思った時三波の口には暖かい感触が押し付けられていた。 それは茜の唇の感触だった。 (わ、私キスされてるの?) 三波は離れようとするが、茜が片方の手を三波の頭を掴んでキスから離れられなかった。 「んんん、うむむ」 叫ぼうとしても唇を離せないので言葉にできない。 やがて三波の唇に茜の舌が入り込んできた。 それは口の中に入り込むとウネウネと動き三波の舌に絡みついてきた。 茜の唾液と舌の感触が三波の口の中で広がっていく、その度に口元でチュウチュウと音がなった。 その動きは女子高生とは思えないぐらいに上手く、同性の三波がトロンとしてしまうほどであった。 さっきまでの三波の抵抗が嘘のように消え、茜とのキスを続けた。 まるで自分からもキスを望んでいるかのように。 それに気づいた茜はニヤッと笑った。 「うううう」 唸るような声に三波は気づいた、それは茜の声だった。 何か我慢しているような声だ。 三波が茜を見ると彼女はお腹を押さえていた。 それに気づいた時口の中でも異変が起きた。 茜の口から大量の液体が三波の口に流れ込んできたのだ。 「んー、んー」 ドロドロのそれは三波に嫌悪感を与えた、先ほどと同じようにまた離れようとするが、それもさっきと同じく失敗に終わった。 次々と三波の口に液体が入り続け、それは三波の喉へと向かって行った。 三波に入る液体は異物だったが、何かよくない物であることはすぐに分かった。 自分の身体に何か別の物が入り込んでくるようなそんな感じだった。 「んぐ!」 そして大量の液体は三波の喉を通過してしまった。 液体を飲み干した三波は気持ち悪さと共に自分にも身体の中から何かが出てくるような感じを受け始めた。 まるで自分の身体のあらゆる物が自分から出ていってしまうような感じだ。 「んんん、んー!」 そして茜がしていたように三波の口からも大量の液体が口を通って入っていってしまった。 それを茜は待ってましたと言わんばかりにごくごくと飲み込んでいくのが分かる。 三波はそれが何かは分からなかったがとても大切なもののように感じた、自分の口から出ていくほどそれの喪失感は大きくなっていった。 それがすべて茜の身体へと注ぎ込まれていく、それを感じつつ三波は自分の口から茜へと液体を流し続けるしかなかった。 三波は気づいた、自分が今涙を流していることに。一方茜はそれを笑いながら見ていた。 やがて三波から流れていく液体も終わりを迎えた。 「けほっ、けほっ」 それと共に茜は三波から手を離した、咳き込みながらゆっくりと床へ崩れていく三波と茜。 すべてが終わったと思ったがまだ終わりではなかった。 あの液体を飲んでから何かが自分の中変わってしまった。 それは自分のすべてを変えてしまうようだった。 「あ、あああっ!」 三波は唸り声をあげた。 横になっていた三波はマットを掴み変化が終わるのを耐えた。 「う、うぐぐ」 見ると茜も何かに耐えているようだった。 それは時間と共に大きくなり二人に大きな負荷を掛けた。 「あああ!」 「いやー!」 そして二人はその負荷に耐えられず気絶してしまった。 目が覚めたのはしばらくしてのことだった。 「うう、何が起こったの?」 私は身体を起こして今までのことを整理した。 「確か佐々木さんから体育館倉庫に来るように言われて一緒に来たのよね。そこで・・・」 そして思い出した、自分が茜とキスをしてしまったこと、その後で何か液体のような物を飲んで気絶したこと。 気絶する直前に自分の何かが変わっていく気がしたのは覚えている。 私は自分の手を確認した、いつも通りの制服が着て手が袖から出ている。 ペタペタと何か変わってしまったところがないか身体を触っていく。 「あれ?」 私は異変に気付いた。 「私の髪なんでこんなに長いの?それにこの声・・・」 手に触れたのは胸の辺りまで伸びた長い髪だった。 だがおかしい、私はショートヘアだったはずだ。 そしてこの声、私の声はもっと高い声だったはずだ。 なのに今は前より低い声が出ている気がする、そしてその声はいつも聞いていた声のような気がした。 私は鏡を探した、一体私の身体がどうなってしまったのか知りたかった。 体育館にある大きな鏡を見つけ私はのぞきこんだ。 いつも通りの私がそこにいるはずだった。 しかし、その鏡に映っているのは別の人物だった。 「こ、これって佐々木さん?」 そこに映っていたのは吉沢三波ではなく私がよく注意している佐々木茜の姿だった。 私が驚いた表情をすると鏡の中の茜も驚いた表情になり、私が後ろを振り返ると一緒に後ろを振り返った。 つまり私が今鏡に映っている佐々木茜であると証明されてしまった。 服はさっきまで着ていた私の服だったが、身体は完全に茜のものだった。 髪は金髪ではなく黒髪だがロングヘアになり、顔は化粧はしていないが茜の顔だった。 背丈は大体同じだったが胸の大きさが私より少し小さい気がした。 私は自分の頬を手で触りながら言った。 「私佐々木さんになったの?」 「そうだよ」 聞きなれた声が後ろから聞こえた。 私は後ろを振り返ると絶句した、なぜならその姿は私吉沢三波のものだったから。 「え? わ、私?」 私は混乱しながら相手を確認した。 確かに私の顔だった、いつも鏡で見て、本来なら私の顔だったはずだ。 それが今ではショートの髪は金髪になり、顔は派手な化粧をしていた。 今までの私だったら想像できない姿がそこにいた。 「な、何で私が佐々木さんで佐々木さんが私になってるの?」 「へえ、あたしって普通にしてるとそんな風になるんだ。これはこれで地味だけどありかなー」 私の質問に答えず元の自分の身体に興味を示し始めた。 ジロジロと私が私を見てくる。 とても不思議な気分だった。 「答えてよ。あなたは佐々木さんなんでしょ?」 私は自分に向かって同じ質問をした。 「三波ってさ、真面目すぎなんだよね。だからもっと人生を楽しめるようにあたしの身体と交換したんだ。それに言ったでしょ、あたし校則違反しないってね。あんたの身体でだけど」 「な、何よそれ! そんな勝手なことで入れ替えたの?」 「まあ、まあ、そう怒んなって。こうなったんだししばらくお互いを楽しもうよ」 「ふざけないでよ、早く戻してよ!」 「分かった、分かったよ。実は元に戻る薬を切らしちゃってるんだよね。だからまた手に入れておくからさ、それまでいいでしょ?」 「ほ、本当でしょうね?」 「あんたが、その時戻りたいと思えたらね」 そう言って私の顔は不気味に笑った。 「思うに決まってるでしょ!」 この時私はそれ以外の選択はないと思っていた。こんな身体とは早く別れたいと思っていた。 こうして私は薬が手に入るまでしぶしぶ茜として生活をすることになった。 「じゃあ、教室に戻る前に服を交換しようか?」 茜はふいにそう言った。 「え? 何でよ?」 「だってこの身体だと私が三波の格好で三波が私の格好じゃん、別に嫌ならいいけど」 言われてみれば確かに服装やメイクは前のままだった。 私は嫌々服を交換したが、彼女のアクセサリーは受け取らなかったし、絶対に私の身体にそんな物を付けるなと注意もした。 それがどれだけの効果があるか分からないが言わないよりはマシだと思ったのだ。 しかし服は交換できても髪の色やメイクはどうしようもなかった。 当然私が金髪にするなんてありえないが、元の私の身体の髪が金髪だったのだ。 そしてチャイムがいよいよ鳴ってしまったのだ。 もうすぐ授業だ、急いで行かないと、金髪のことはどうすることもできないと思って諦めた。 走っていく三波を後ろから茜が笑いながら見ていた。 「ふふ、授業に行くのにあんなに焦っちゃってるあたしも可愛いな。さあ、三波ちゃんは本当に元に戻りたくなるかな?」 私は急いでクラスへと向かった。 私が教室に入ると皆が騒ぎ始めた、一瞬どうして皆が私に注目するのか分からなかった。 「佐々木の髪黒くなってる、どうしたんだろう?」 そんな声が聞こえてくる。 そうだ、自分は今佐々木茜だったんだ。 いつものようにクラスに入ってきただけなのに今は別の世界にいる気分だった。 皆が私を吉沢三波ではなく佐々木茜として見てくる。 そう思うと私はとても恥ずかしくなり、なるべく皆と顔を合わせないように席へと着いた。 「おい、そこの席吉沢さんの席だぞ」 隣の男子が注意してくる。 さっき自分が茜になってると理解していたのにいつもの癖で同じ席についてしまった。 私は顔を赤くしながら茜の席へ移動した。 だが前をよく見ていなかったせいで私はドンッという衝撃と共に誰かとぶつかってしまった。 「あいたた。ごめんなさい」 私はぶつかった人物に謝った。 「いや、俺の方こそごめんな」 その声を聞いて私はぶつかった相手が私の彼氏であると気づいた。 「あれ佐々木さんいつの間に髪を黒くしたの? ってそれより吉沢さん知らない。君と一緒に行ってから帰ってこないんだよ」 「え?」 そう言われて私は茜がどこにもいない事に気づいた。 さっき一緒だったからついて来てると思っていたのだが。 私は嫌な予感がした。 そして予想通り茜はいつものように授業をさぼってしまった。 私の身体を使って・・・ そのことに怒りも感じたが、今は授業の度に先生たちが私が髪を黒くしてまじめに授業を聞いているのに毎回驚くので、私はげんなりしていた。 「佐々木さん、今日は随分まじめに授業を受けているんですね」 そう言われて私はいつもまじめに授業を受けているんです! と何度も心の中で呟いた。 休み時間私はトイレに行った。 同じ女同士だからトイレの仕方は同じだけど、微妙にしている時の感覚は違った。 なんだか前の時より気持ちがよく感じたのだ、ただのトイレなのに。 そしてトイレにある鏡を見て自分が茜になっていることを思い知らされた。 この身体になって周囲の女子は私に何かイチャモンをつけられないように距離をとってくる。 普段仲の良い友達に避けられた時は流石に辛かった。 私が声を掛けようとすると「ごめんなさい、佐々木さん私用事があるから・・・」と言って走って行ってしまったのだ。 いつもの私に笑顔で接してくれる友達ですら今の私を受け入れてくれない。 放課後になりやっと私は茜を探す時間を手に入れた。 私が校庭で茜を探し回っていると学校の屋上で塀にもたれて立っている女子が目に入った。 目をこらすとようやく探していた人物がそこにいると分かった。 「やっと見つけた」 私は屋上へと駆け上がっていく、もうすぐで屋上だ。 だが屋上に出る直前に外で何か言い争っている声が聞こえてきた。 私は足を止めて屋上の様子を確かめた。 「三波、今日はどうしたんだよ、心配するだろ」 その声は私の彼氏のものだった。 「五月蠅いなー、あたしの勝手だろ」 茜は面倒くさそうに彼氏をあしらっている。 「今日の三波何か変だぞ、髪は染めて服も着崩して」 まるでいつもの私と茜の会話を聞いているようだった。 茜は適当に彼氏をあしらっていると、急に私の方を向いてニヤッと笑った。 どうやら私がいることに気づいたようだ。 「別にいいじゃん、それよりさ、あんたあたしの彼氏なんだろ? じゃあさ、恋人らしいことしない?」 急に茜は声色を変えて彼氏に迫った。 「な、何だよ急に」 「だってさ、あたしら恋人なのにあんまり進展してないじゃん、だからそろそろ・・・ね?」 茜は私の彼氏に近づくと無理やり大きな胸を彼に密着させたのだ。 彼は突然の事に動揺して顔を赤くしてしまった。 そしてすぐに茜は彼氏の方を見て唇を近づけていったのだ。 「ダメー!」 気づいた時私は屋上へ飛び出していた。 「あれ、佐々木さん、どうしたのこんな所に。あたしたちに何か用?」 茜は今私が来たという風に接しニタニタと笑っていた。 「あ、そうだ俺風紀委員の仕事がまだあったんだ、じゃあ俺は行くな」 彼はそそくさと屋上から降りて行ってしまった。 「あーあ、もう少しだったのに」 「何なのよ、もう! いい加減にしてよ!」 「だってあんたら本当に進展なかったんでしょ? お互い真面目だから、だからあたしが恋仲を進めてやろうと思ったんじゃん」 「余計なお世話よ、私の身体だけじゃなくて、彼も奪うつもり!」 私は茜に怒りを向けて大声で言った、それを聞いた茜はやれやれと言って屋上の出口へと向かった。 「まったく、あんたといるといつも怒鳴られる気がするよ。もういいからあたし帰るね。あ、そうだ。あたしの鞄に携帯があるから必要なことはそれで知らせるからね」 私の話を半分も聞かないうちに茜は帰ってしまった。 一人残された私は屋上にたたずんでいた。 今日茜と身体を取り替えられ、身体も学校の信頼も彼も奪われかけて私は涙を流した。 「うう、何でこんな目に合わなくちゃいけないの」 私はポツリとそう言った。 「やっぱりそうだったのか」 男性の声が聞こえた、私が振り返るとそこには降りて行ったはずの彼氏がいた。 「え? 何で?」 「どうも二人の様子がおかしいと思ってたんだ、だからこっそり話を聞かせてもらったんだ。二人は入れ替わっていたんだな」 彼がそう言うと私は彼に飛びついていた。 わんわんと泣いて私が三波だと分かってもらえた嬉しさを伝えた。 「おいおい、そんなに泣くなよ」 「だって・・・」 このまま三波だと認識されないのではと思っていたため、彼が理解してくれたのが嬉しかったのだ。 「大丈夫、三波がどんな姿になっても俺はちゃんと守るから」 その言葉を聞いて私は自然に唇を差し出していた。 今日はこれで二度目のキスだった。 優しく包み込まれるようなキスに三波はすっかりさっきまでの恐怖心を失っていた。 それと共に今朝茜とキスをしたことも思い出していた。 (佐々木さんの方が上手かったかな・・・) 空の色も赤色に染まり夜が迫ってきていた。 彼氏は一緒に茜のアパートまで送ってくれることになった。 最初は不安だったが彼がいてくれて心強くなれた気がした。 ぎゅっと彼の手をつかむと彼も私の手をぎゅっと握ってくれた。 私はガラスに映った私達をみた。 それは不良女子高生の茜と風紀委員の彼が手を繋いでいる光景でどこか不釣り合いに見えた。 「どうかしたのか?」 彼の声が聞こえる。 「ううん、何でもない」 「ここが茜の住んでるアパートみたいね」 アパートに辿り着くとメールに書いてある通りに鍵が鞄に入っていた。 ガチャリとドアを開ける。 中は散らかっていた、服や化粧品や食べ物の残りが散乱している。 「うわー、予想通り散らかってるな」 彼の茜の部屋の第一印象は最悪だったようが、私も同じ気分だった。 「とりあえず片づけるか」 「はあー、そうね」 私達はとりあえず部屋の片づけから始めた。 何で身体を入れ替えられた上に他人の部屋の掃除をしなければならないのか。 何なら私の家の部屋も汚しておいてやれば良かった思ったが、茜のことだから気にもしないだろう。 一通りの片づけが終わるとやっと腰を下ろした。 そして私は彼に入れ替えられた経緯や薬が手に入れば元に戻れることを伝えたのだ。 「そうだったのか・・・」 神妙な顔で彼は私の話を聞いてくれた。 普通の人だったら絶対信じてくれないような突飛な話だと自分でも思った。 「信じてくれる?」 「何を言ってるんだ最初から信じてたよ。それに君の話を聞いてたら話し方も接し方も三波に違いないって思ったさ」 その言葉は私をとても安心させてくれた。 今まであまり頼りないと思っていた彼が今はとても大きく見えた。 「じゃあ、俺は帰るから。明日迎えに来ようか?」 「ううん、大丈夫よ。それぐらい一人でできるわ」 「そうか、じゃあな」 別れを告げる彼に私はもう一つだで伝えたいことがあった。 「あ、あの・・・・」 「ん? どうした?」 「今日は本当にありがとう。私のこと信じてくれて・・・」 私は彼に言いたいことを言った。 いつもならぐうたらな彼を怒る私にとって今の私には本当に救いだったのだ。 彼が帰ると私は一人っきりになってしまった。 私を待つ家族も友人もいない孤独な世界だ。 「駄目よ。余計なことを考えちゃ。そうだ、宿題があったんだ」 私は気を紛らわせるためにも教科書とノートを開いた。 あれだけ汚かった部屋と比べて勉強道具は新品みたいに綺麗だった。 「ええと、ここがこうなって・・・駄目、全然集中できない」 勉強を始めてから間もなく私は茜の身体になった弊害を感じ始めた。 全然勉強に集中できないのだ。気が散って他の事をしたくなってしまう。 元の身体なら全然こんなことはなかった。 「はあー、早く元に戻りたい・・・」 私は勉強を投げ出し今日起こったことを思い出していた。 入れ替えられた時のこと、茜の姿で授業を受けたこと、彼氏に三波だと信じてもらえたこと、今日だけでも色々な出来事があった。 「私今日だけで二回もキスしたんだ・・・」 一回目は茜とのキス、二回目は彼とのキスだった。 当然私は彼とのキスを思い出していたが、なぜか脳裏に茜とのキスが鮮明によみがえってしまった。 何というか彼とのキスは普通のソフトなキスだったのだが、茜のキスは自分にも相手にも快感を与えるディープなキスだったのだ。 あれを思い出すと心臓がドキドキしてしまう自分がいた。 また戻る時に同じようにしてもらえるのだろうか? そんな事を考えていると私は自分が今ムラムラしていることに気づいた。 「何であの時のことを考えて私興奮しているのよ。止め止め。お風呂にでも入ろ」 自分の家にある大きなお風呂ではないと知っていたが、今はシャワーだけでも浴びたかった。 私が服を脱いでいると洗面所にある鏡が私を映し出していた。 いつも私を怒らせる茜の顔が映っている。 だが、今は長い黒髪で化粧も薄くアクセサリーや派手は服も着ていない、茜の裸が映っているだけだ。 「私本当に茜なんだ。でもこうやって見ると意外と美人かも」 普段派手な格好でいるせいかスッピンを見たことがなかったがスタイルも良いし顔立ちも整っているしで十分可愛いと思ってしまった。 そして自分の唇を見た。 「私この唇でキスをされたんだ・・・」 私は手で今の自分の唇を触った、プニっとした感覚が手に伝わってくる。 そしてあの魅惑のキスを思い出した途端また私は興奮してしまったのだ。 私に快感を与えた身体が今自分のものになっていると思うと更に興奮してしまう。 「はあ、はあ、私何か変・・・何で自分にこんなに興奮するの?」 私は鏡を見ながら身体中をペタペタと触る、この肌も自分のではない茜の肌だ。 よく見ると私の肌より若干日焼けしているような気がした。 次に私は胸を触った。大きさは私のより小さく、乳首も黒ずんで見えた。 「ああん!」 胸を軽く触っただけなのに私は声をあげてしまった。 「はあ、はあ、何これ? 同じ胸でもこんなに違うの?」 私も自分の胸を触ることはあるが、茜の胸を触った感覚とは全然違うのだ。 それはもう完全に開発された胸のようだ、しかもかなり感じやすいように。 私は胸に触れ続け、触るたびに快感を得た。 「あん、あん。ダメ、もう止められない、手が勝手に動いちゃう」 それは元の身体では味わえないものだった。 私はどんどん底なしの沼へと引きずり込まれていくような気がした。快感という名の沼へと。 そして下側も自分で濡れてきているのだとはっきりと分かった。 「佐々木さんの身体がエッチだから? それとも私がエッチだからなの?」 この快感をもっと得たいという思い、それが茜の身体と生真面目でエッチ経験のない三波からの両方から沸き起こってしまったのだ。 そして私は手をクリトリスへと近づけた。 まだ中に手を入れていないが、興奮しているせいで穴の周囲も暖かく感じる。 もう一度私は鏡を見た、トロンとした表情の茜が今まさにオナニーの終盤へとさしかかっているのだと分かった。 「はあ、はあ、私やっていいの? 他人の身体で? 茜の身体で・・・」 いつもの私なら絶対にしないだろう。だが今は違った。だって私は茜なのだから・・・。 私はもう一度鏡を見た、すると鏡の中の茜は先ほどの問いに答えるかのようにニコッと笑ったのだ。 それを見た私は何も迷わなくなっていた。 「そうよね、私が今茜なんだから」 そして自分のクリトリスへと指を入れた。 「はう。ああ、凄い。ちょっと動かすだけでこんなに気持ちいい」 私は入れた指を上下に動かした。 「本当すごいよ、私が私でなくなっていくみたい」 私の指がどんどん早くなっていく、それとともに私も更に息を荒くしていく。 「はあ、はあ。いい、私の、あたしのおま〇こすごい、やべえ・・・」 そしてあたしは絶頂を味わった。 「ああー!」 しばらくしてあたしは目を覚ますと鏡を見た。 ジーっと鏡の中の自分を見るとあたしは急いで部屋に置いてあった化粧箱を取り出した。 「いつものあたしにしないとね、へへ」 二っと笑うとあたしの手は自然と動いていた。 まだまだ夜は長い。あたしは部屋にある服や化粧品を次々に出して動き始めた。 翌日 俺は嫌な夢を見た。 目の前にいる三波が悲しそうな表情なんだ。 俺は「どうした?」と聞くと三波は泣いてしまった。 「私消えちゃうの、だからこれでお別れよ」 なぜ、そんな事を言うのか理解できなかった。 でも、俺は彼女を離したくなかった。 俺は彼女を抱くとキスをしていた。 ずっとこうしていたかった。 そしてキスを止めて彼女の顔を見んだ、するとその顔は佐々木茜になっていた。 「お前、三波じゃ?」 俺は驚きながら目の前の佐々木茜の身体に尋ねた。 「へ? あたしが三波のわけないじゃん。でもキスしてありがとね。今度はあたしからお礼だよ」 そう言って茜は裸になり俺と・・・ そこで俺は目を覚ました。 そしてさっき見たのが夢だったと知り深いため息をついた。 「昨日あんなことがあったら、悪い夢も見るか・・・」 学校へ行く支度を簡単に済ませていつも通り学校へ向かった。 俺は学校へ到着するとギョッとした。 三波の身体になっている茜がいつも通りに生徒の服装を校門でチェックしていたのだ。 「お、おい?」 俺は訳が分からずとにかく声を掛けてみた。 「あら、おはよう寝坊助さん。もうとっくに風紀委員の仕事は始まってるわよ」 そう言われて俺は鞄をわきに置いて一緒にチェックを始めた。 (どういうことだ?) 三波の身体は昨日何もなかったかのようにいつも通りになっていた。 金髪の髪も黒くなり、化粧も落とし、服装も整っている。 それはいつもの三波の姿だった。 「な、なあ?」 一通りの生徒のチェックが終わると俺は茜に声を掛けた。 (もしかして元に戻ったのか?) そんな期待をしたが、彼女がそれを否定した。 「ああ、風紀委員てだるいわね。毎日こんなことやって」 それを聞いて俺はまだこの三波は茜だと確信した。 三波は風紀委員の仕事に誇りを持っていたから、絶対そんな事を言わないはずだ。 「さて、今日も佐々木さんを注意しますか」 茜はそう言うと道路の奥からゆっくり向かってくる女子の方を向いた。 「え?」 俺はまたもや信じられないものを目にした。 歩いてくる人物は茜の姿をした三波なのだが、その姿は黒髪は金髪に染められ、化粧をして、カーディガンを腰に巻いて制服を気崩したいつもの茜だったのだ。 「佐々木さん、何ですかその格好は?」 茜は三波がいつも言っているように注意する。 「えー、またかよ。勘弁してよ。昨日ずっと起きてたんだから」 三波は大きなあくびをして、まるで本物の茜のように振る舞っていた。 俺はそれを目を丸くして見ていた。 まるで昨日の入れ替わりなんかなかったように二人はいつも通り口論していたから。 「まったく、ふふ、でも今日はこれぐらいにしてあげるわ」 「あれ? 今日はやけにあっさりしてるな?」 二人の口論は茜が引き下がる形で幕を閉じたようだ。 (でも二人に何が起こったんだ?) 「あはは、吉沢さん本当に私になっちゃったのね」 突然茜が笑い始めた。 「な、なんだよ? あたしが変だってのか?」 急に笑い始める茜に三波は動揺している。 三波もよく分かっていないらしい。 「もう忘れちゃったの? 本当頭悪いんだから。昨日私達入れ替わったのよ」 三波は一瞬何を言っているのか分からない表情で首をかしげた。 だが、少し考えてハッとした表情になったのだ。 「あ、あれ? どういうこと、あたし完全に自分を茜だと思って、それで・・・」 「そこまで進んだのなら最後に教えてあげるわね。昨日入れ替わったでしょ。あれは身体だけでなく精神もその身体に合わせて変化するようになってるの。精神の変化は身体と違って時間が掛かるんだけどね。だからあなたはもうすぐ完全に佐々木茜になるの。そうなったら自分が元は吉沢三波だったっててことすら気にならなくなっちゃうでしょうね」 勝ち誇った表情で茜は三波と俺に説明した。 「え、それじゃあ、本当にあたし・・・茜に・・・」 「だからそう言ったでしょ」 それを聞いて三波の身体は震え始めた、もうすぐ完全に自分が別人になってしまうと理解したようだ。 「あはは、そうやって何もできず震えながら完全に変わるのを待ってるといいわ。全部知ってる彼氏も愛する彼女が変わっていく様を見送ってあげることね」 そう言って茜は校舎へと歩いていった。 「うう、あたしこのまま茜になるの?」 三波はしゃがみ込むとそのまま泣き始めてしまった。 俺はそれを見ると三波の元へと向かった。 「大丈夫、ずっと俺が側にいる。三波が佐々木になっても俺は絶対守る。そして絶対に元の身体に戻ろう」 俺は変わっていく三波にそう言った。 今は何もできないかもしれないが絶対に元に戻る方法はあるはずだ。 だからここで絶望して諦めるわけにはいかなかった。 俺たちは体育館倉庫に来ていた。 「ごめんなさい。こんなことさせて。でもあたしに三波の自覚があるうちにやりたくて・・・」 寂しそうな表情をする三波に俺は手を回した。 俺の鼻に三波から出てくる香水の香りがした、それは茜がいつもしている強烈な香りの香水だった。 俺はキスをした、昨日と同じように。 目の前にいるのはもう完全に茜だった。 誰が見ても俺と茜がキスをしてると思うだろう。 だが、俺は目を閉じて唇を動かして触れてくる相手がその優しい動きから三波だと実感した。 チュッチュと唇同士が触れ合う音がしている。 だが、やがて三波の動きが変わっていった。 始めは唇を触れさせる程度だったのが、やがて俺の唇を吸う力を強め舌を入れてきたのだ。 チュウチュウと大きな音をたてるそれはソフトなキスではなくディープなキスだった。 やがて俺の股間に何かが触れているのに気付いた。 それは三波の手だった。 ズボンの上から俺の股間を撫でていたのだ。 「ううう」 その気持ち良さで俺は声を出し、その手慣れた動きに俺の股間はすぐにムクムクと盛り上がっていってしまった。 「み、三波?」 俺は三波に服を脱がされて息子を露わにした状態で横になっている。 それはビンと天井にそびえ立っていた。 「ごめん、もう我慢できないの」 カプっと三波は俺の息子を口に入れると絶妙な舌の動きで俺に快感を与えていった。 チュブチュブとイヤらしい音が辺りにひびく。 「ああ、三波、ああー」 俺はそれをやっている三波を見てもう彼女が茜になりかけているのだと思った。 段々と俺の息子は中から三波の口にあれを出したい衝動に襲われていった。 「う、ごめん。三波、もう限界だ」 ブシュッと息子から何か吐き出す感覚と共に三波の口の端から白い液体が流れ落ちた。 そして三波はそれをペロっと飲み込んでしまったのだ。 「じゃ、やるね」 三波は俺の上から跨ると俺の息子を自分の中へと入れていった。 息子の周囲を暖かいものが囲んでいくのが分かる。 「ああ、いい、気持ち良すぎ」 三波は自分の中に男性の一物が入っていくのを気持ちよく受け止めているようだ。 それはとても処女の様子ではなく手慣れた女の顔だった。 俺の息子が全部入りきると三波は身体を上下に揺すり始めた。 上下に揺れる度に俺の息子は三波の身体の中で揺れ動いた。 「はあ、はあ、ねえ、あんたも気持ちいいでしょ?」 「ああ、凄く気持ちいい」 俺も気持ちよかったが三波もとても気持ちよさそうな顔をしていた。 「ねえ、あたしの胸揉んでよ、早くぅー、お願ーい」 そういうと三波は俺の手を掴むと自分の胸に手を当てさせた。 俺の手に柔らかい三波の胸の感触が伝わる。 「あん、あん、ほら、次は揉んでよ」 ムニュムニュと俺は三波の胸を揉んだ。 「あん、そうよ。もっとあたしのおっぱいを揉んで! あん!」 俺はその言葉に従い手を動かしていく。 それに応じて三波も身体を大きく動かした。 「はあ、はあ、ねえあたしこんなんになっちゃったけど。これからも付き合ってくれる?」 「・・・」 俺はその時何も言えなかった。 ただ三波が与えてくれる快楽に溺れて答えられなかったのか、それとも・・・ そして絶頂に近づいてきた。 「あん、あん、やっぱりこの身体すごい。やばいよ」 「はあ、はあ、俺もうダメだ。いきそう」 三波が俺の耳元で囁いた。 「じゃあ、一緒にいきましょう」 そう言って三波は腰を大きく振った。 「ああー!」 「うう!」 「はあ、はあ・・・」 絶頂の余韻から俺がまださめないでいると三波は起き上がった。 「あはは、これであたしは茜ね。なんだか自由になった気分」 三波はとても嬉しそうに語った。 そして俺を向いてこう言った。 「こんなあたしだけとよろしくね」 エピローグ 「はあ、はあ」 「あん、あん」 二人は喘ぎ声をあげながらお互いの気持ちの良い所を触りあっていた。 「やっぱ、三波のおっぱいでけえな。あたしのより一回り大きいんじゃない?」 「そうかもね、でもそっちの胸の方が気持ちいいでしょ」 「あんっ!」 そうやってお互いの胸を揉みあった。 かつての自分の胸が気持ちよくなるように。 そしてキスをした、お互いの口を求めて三波と茜の唇が重なりあった。 キスをしている最中にお互いが目を開き相手を見た。 かつて自分の身体であったその相手を今こうして求めている、それは完全に二人が入れ替わった相手になってしまったことを意味していた。 そして最後にいつものように濡れた股間にお互いの指を入れる。 「あん、あん」 「ああん、すげえ」 これが最近の彼女たちの日課になっていた。 「三波ー、最近彼とはどうよ?」 エッチを終えて横になりながら最近のことについて聞いてみた。 「良いと思うわよ。でも何で振ったあなたがそれを気にするの?」 あれから彼は茜の姿をした三波と別れてしまった。 理由は色々とあったが、原因は三波が完全に茜になってしまった事で真面目すぎる彼と付き合うのに飽きてしまったことが原因だった。 そして決め手になったのは三波の一言だった。 「うん? 前の身体? いいよ、あたしこの身体気に入ったし、ほらあんたもこの身体で気持ちよくなれてるでしょ」 その言葉を聞いた彼氏は落胆した様子で別れ話を切り出したのだ。 最終的に彼は三波になった茜と付き合うことになった。 「最近三波の評判良いよね。前みたいに何でもかんでも風紀を乱したとか言ってガミガミ言わなくなってさ」 「あなたは相変わらずだけどね。というより前より評判落ちてない?」 「そうかもね。だってこの身体超楽しいしー」 三波になった茜は元のフランクな性格のせいか以前ほど風紀の仕事だけに専念しなくなった。 おかげで生徒の風紀は先生曰くだらしなくなったそうだが、生徒の評判は上々だ。 そして彼とも付き合い始めた。 最初は微妙そうだったが今では前より開放的になってエッチも上手くなったと大喜びしている。 一方の茜になった三波はガチガチな性格から一気に自由になったせいか以前よりも授業をさぼったり男と淫行事件を起こしたりして評判は最悪になっていた。 三波と茜はその後定期的に会ってはこうやってレズプレイをしている。 二人はかつての仲の悪さが嘘のように親友以上の仲になっていた、もちろん彼氏には秘密にしている。 「ねえ、私前に言ったよね。元に戻せる薬があるって」 身体が入れ替わった直後そんな事を言っていたかもしれない。 あの後精神が肉体に馴染んでからは前の身体のことなどどうでもよくなっていた。 「ああ、そういえば言ってたな」 「まだ戻りたい?」 「そうだな・・・って、んなわけないじゃん!あたしこの身体も生き方も超気に入ってるんだから、あんたが返してって頼んでも返さないよ」 そう言うと二人はまた身体を抱き合うのだった。 三波になった茜はニヤッと笑いこう言った。 「ふふ、じゃあその身体は一生あなたのものよ、茜ちゃん」 「やりー! じゃあ、これからもあたしとずっと気持ちよくしていこうな」 三波になった茜はそれには答えず黙っていた。 いつも彼氏が「三波、ごめんな。守ってやれなくて、戻してやれなくて」と泣きながらエッチをしていることを。 「なら私と別れる?」 意地悪そうに彼氏に問うと決まった答えを返してくる。 「絶対に離さない、例え中身が別人でもその身体だけは・・・」 私はそれに内心笑っていた。 そんな彼氏の思いを知らずに私の目の前の女は自由と快楽に溺れているのだ。 これほど楽しいことはなかった。 しかも私が入っているこの身体は風紀委員の仕事や勉強の成績のおかげで一流大学の推薦までもらっている。 だから、遅かれ早かれもうすぐ彼氏とも目の前の元私とも別れだ。 だから笑った。 けれどもお別れまでにはまだ時間がある。 それまでこの二人とたっぷりと遊べる、そう思うと笑いが止まらなかった。 「うふふ、じゃあ一生私は三波ちゃんの人生を楽しませてもらうわね。ふふふ」 そう言って私は目の前の女と快楽のためだけのキスをした。 |